地方選挙を制するためのミニ講座

勝負の世界には、後悔も情けも同情もない。あるのは結果、それしかない。 (村山聖/将棋棋士)


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もう十分に周知されていることですが、

今夏の参院通常選挙より、18歳以上の国民に選挙権が与えられることになります。

日本国民の多くは高校3年生時に18歳の誕生日を迎えますので、

当然高校生が選挙権・参政権を得ることになります。

すなわち、選挙運動の現場に高校生が現れることになるかもしれないわけです。



選挙権を与える年齢を下げた理由は、

若年層にも政治に関心を持ってもらい、投票率の向上を図るというのが、

世間一般の見解だと思いますし、一定の効果は期待できると思います。

私は本当のところ納税者人口の増加が目的ではないかと思っているのですが、

その考えは置いといて、

高校生が投票行動をするだけならまだしも、

高校生が選挙運動に参加できるようになるということは、

社会のルールの非常に大きな変更であり、

現場や地域にはもっと周到な対策が求められるのではないかと案じています。



ところが地方紙等を購読していますと、

今の教育現場(高校)や地域では「選挙を勉強する」との目的で

模擬投票が盛んに行われていることを知ります。

中には自治体から本物の投票箱を借りてきて投票の仕方を実習するなど、

手の込んだことを実施している高校もあります。

しかし投票って、実習させなきゃならないほど難しい行為でしょうか。

切符を買って電車に乗るより簡単なことだと、

私は思うのですが…。



こんなパフォーマンスで対策したつもりになっているのが教育現場の現状です。

こんなくだらない実習に駆り出される高校生も父兄も怒るべきです。

「バカにするのもいい加減にしろ!」って。



今ほんとうに、高校生に教えなければならないことは公選法の正しい解釈と、

選挙事務所を取り巻く社会環境の実情です。

私は選挙の現場を誰よりも経験している人間の一人として物言いますが、

高校生が選挙に運動に参加できるようになることに伴って、

二つ大きな心配ごとがあります。

その一つは、「公選法の要点を理解している大人があまりにも少ない」こと。

もう一つは、「選挙の現場が盛り場以上に誘惑の多い場所である」ことです。

解説は後にしますが、もし私が高校3年生の親だとしたら、

わが子には選挙事務所に出入りすることを禁じるでしょう。

選挙の現場とはそういうところです。



例えば、これは私が実際に関わった現場で起きたことですが、

某市議会議員選挙、告示後の選挙運動期間のことです。



A候補はとある駅にて通行者(駅利用者)に向かい、

「市議会議員候補の●●です。ご支援よろしくお願いします!」と、

声かけによる運動を行いました。

さらにA候補の両脇にはA候補が雇用した

アルバイトのBさん(18歳・専門学校生)ら数人が立ち、

A候補と同様に声掛け運動を行いました。



さて選挙後A候補はこの行為が事件となり公選法違反で逮捕され、

罰金刑と5年の公民権停止を食らいますが、

皆さんはこの行為の何が違反であったか説明できるでしょうか。



この行為には2つの違反が隠れております。

第一に未成年(選挙権の無い者)を「選挙運動」に参加させたこと。

次に車上以外で行う「選挙運動」に対して報酬を払った(払う約束をした)こと。

この二点が違反行為です。

もし、このアルバイトのBさんらにやらせる仕事が「選挙運動」ではなく、

公営掲示板へのポスター貼りや、選挙ハガキのあて名書きなどの「労務」であれば、

未成年(選挙権の無い者)であっても賃金を払うことを許されていますので、

全く罪に問われることはありません。(金額の上限はありますが)

選挙後にこの人員を雇い、賃金を払った旨を、

領収書を添付して選挙収支報告書に記載報告すれば、事後処理も完璧です。



実はA候補は定年間近まで勤めた行政職のOBです。

でも知らなかったんです。公職選挙法のイロハのイを。

そして処分されるのが自分だけならまだ救われましたが、(本人談)

未成年を含む数人の若者が警察で、長い時間拘束され、調書を取られ、

取り調べを受ける事件の張本人となってしまったわけです。



皆さんの周りにだってA候補の違反をきちんと説明できる人は、そうは居ないはずです。

現職の議員だって、説明できない人の方が多いと思います。

選挙管理委員会とは名ばかりで、総務課と併設のような小さな役場では、

役場職員であってもA候補の違反を即座には説明できません。

高校の社会科の先生でも無理かもしれません。



投票率がどうのこうのと言う前に、

公職選挙法が一般にほとんど理解されていないことが問題です。

社会問題だといってもいいかもしれません。

市民の中には選挙事務所から払われるお金は全て違反だと思い込んでいる人もいるし、

逆に選挙事務所のバイトはおいしいバイトだと思っている人もいます。

そして選挙事務所=違反行為の巣窟という一般の人が持つイメージも、

公選法を理解していない人がここを仕切っているのであれば、

これは一般の人のイメージ通りということになってしまいます。



次に「盛り場以上に誘惑の多い場所」であることの説明ですが、

選挙は武器を持たない戦争と称される通り、戦いの場所であります。

相手候補の誹謗中傷をやったりやられたり、

選挙事務所としてはそんな下衆な選挙をやりたくなくても、

外野が勝手に怪文書を撒いたり、ネガティブキャンペーンを企画したりします。

日常では味わえない「勝負と緊張」がそこにあり、

この興奮こそが選挙が人を惹きつける麻薬であり、

一度この酔狂を味わった人間にとって、選挙は娯楽と化すわけです。



この独特な興奮状態は、

陣営内において特異な連帯感を生みます。

戦う男からは妙なフェロモンが出るのか、

とにかく男女仲がまとまりやすいのが選挙事務所です。

結婚難の時代、これがいい出会いばかりであれば言うことありませんが、

インスタントの肉体関係や、不倫カップルの成立などを

私はたくさん見てきています。

そうとは知らず「花嫁修業に…」などと親から送り込まれる、

本当は夜遊びと男遊びの大好きな行かず後家なんかが、

事務員や手伝いとして存在しているものだから、

いよいよ選挙事務所は娯楽の場として盛り上がります。



そんなところに高校生ってどうなんでしょうか…。

選挙を仕切る陣営からすれば、

高校生の票というのは未知であり無垢であるとの観点から、

新たな票田を開く取っ掛かりとして欲しくなると思うのです。



顔の効きそうな学生に小遣いを渡して名簿を集めたり、

大きな居酒屋を貸し切って100人単位の学生を集めておいて、

飲食代は陣営もちにして投票依頼をしたり、

これまでも大学生を対象に「小金で票を買う」事件はあちこちで起きています。

私の地元、かの筑波大学でさえ数十年前ですが、

200人近い学生が選挙事務所から金を受け取った事件を起こしています。

対象が高校生でも、選挙陣営は同じような接近を試みると思います。

生徒の中にちょっと大人の世界に顔が利くというような小生意気なのがいれば、

校内に活動範囲を拡げる仲介役・手配役として

選挙事務所としては重用するでしょう。



そして運動員として唯一報酬を受け取ることができるウグイス嬢。

若くてかわいい娘がいれば現場の男たちは俄然張り切ります。

そこに女子高校生のバイトが加わる…。

高校生の初心者に陣営が高給を出すことはないと思いますが、

公選法上車上運動員は日当15,000円を上限に報酬が受け取れます。

プロであれば30,000円。あるいは50,000円という人もいるくらいです。

(完全な違法ですが)

そんなに稼ぐプロに感化されて、

人生の進行方向を変えてしまった女性も私は何人か見ています。

やっぱり若い人ほど感化されやすいのが実情です。

その後本当にプロを極められれば何も言いませんが、

選挙事務所の中でお姫様扱いされることの快感が動機にある場合は、

この経験が人生暗転へのターニングポイントになります。



さらに、選挙事務所で最も高給取りかつ、選挙事務所のマスコットであり、

慰安婦であるウグイス嬢の性質を熟知したうえ、

自在にコントロールできる「ウグイス界の教祖」のような人物がこの世界には存在し、

華のある選挙事務所にはどこからともなく現れ、仕切り始めます。

不貞を極めた人間に「手加減」などという紳士論は通用しません。

スキあらば確実に貞操を奪われます。



「盛り場以上に誘惑の多い場所」とはこういうことです。

裏社会への落とし穴がぽっかりと空いている場所、

それが選挙の現場です。



選挙権があるということは運動も自由。

高校生以外の18歳の方々に説教することは何もありませんが、

「選挙事務所」という魔物が、校内という票田に食い込むために

高校生を毒牙にかけようとあれこれ画策してくることは予測のできることです。



自治体から本物の投票箱を借りてくるくらいの機動力があるなら、

教職員と地域が公選法をよく理解して、

校則でしっかりと生徒の政治活動・選挙運動を規制するべきです。



私が卒業した高校はアルバイト禁止、バイク等の運転免許を取ることも禁止。

理由は「学業を修めるのに必要ないから」だったと記憶していますが、

生徒の政治活動・選挙運動を規制するのも

「学業を修めるのに必要ないから」で、充分だと思います。

さらに生徒を守るのであれば、

選挙が執行される数か月前には自治体選管を経由して、

「わが校の生徒を選挙の現場へ導かないでくれ」と

各陣営に告知して回るような工夫も必要かと思います。



今回は選挙の陰の部分を披露することになりましたが、

18歳が選挙権を得ることを機会に、

まっとうな政治討論や政治家の評価の仕方を勉強し、

活動を拡げている方々も多く見られるようになりました。

私としても18歳選挙権という新たに施行される制度が、

この国の政治を良い方向に導いてくれることを願ってやみません。



選挙への参加の仕方や、

公選法の解釈の仕方等でご質問等があればお寄せください。

できる限りの協力を差し上げたいと思っております。

今回は長い文章になってしまいましたが、

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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