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2005年06月30日 16時57分24秒

香港・返還記念日に同性愛者がデモ

テーマ:国際―アジア

同性愛の権利拡大 是か非か/返還8周年で揺れる香港
同性婚合法化へ意気込む-同性愛団体/民主派分裂-今年のデモは大幅縮小に

ジレンマに陥る中国共産党

 七月一日、香港は英国領から中国に返還されて八周年を迎える。二〇〇三年と〇四年の返還記念日には五十万人を超える市民が民主化デモに参加。だが今年は景気が上昇し、新行政長官に高支持率の曽蔭権(ドナルド・ツァン)氏が就任したことで、デモのテーマが不鮮明となった。その中で同性愛団体が今回もデモ参加を表明。同性愛に反対する各宗教団体は猛反発している。(香港・深川耕治)


 英領だった香港は中国返還前までは同性愛行為を違法として厳しく処罰していた。一九九六年から同性愛を「差別問題」として調査する機関が発足。返還後の現行法では二十一歳以上の同性愛行為は違法とされないが、戸籍上の同性婚は一切認められていない。


 同性愛の権利拡大を狙う香港の同性愛者らは二〇〇二年、同性愛者の男性同士、女性同士のカップル各一組が互いに相手を交換して結婚式を挙げ、異性同士の夫婦にしか認められていない公共住宅の入居資格を偽って取得した。同性同士で生活し始めたため、当局は、最終的に偽装婚姻手続きだったとして公共住宅の入居資格を剥奪(はくだつ)した。


 偽装工作に関与したのは、香港の急進的な同性愛者団体「彩虹行動」。七月一日の民主化デモに〇三年以降、毎年参加。今年も民主化要求とは別に「同性婚を認める立法制定を目指して訴え掛ける」としている。


 彩虹行動は〇一年八月、香港中区警察署前で同性愛の権利を主張する抗議行動を行った。同署内に侵入して公務執行妨害で罰金刑に処せられた。〇二年五月、同性愛者の献血を拒否したことを不服とし、香港赤十字会が主催した献血活動で抗議活動を展開、保安要員ともみ合いになった。さらには、同性婚に反対する香港カトリック教区の広報紙評論に猛反発し、〇三年八月、同教区礼拝堂に乱入。礼拝堂内で同性愛者同士がキスをして抗議した。


 海外では、同性愛者を「性的少数者」と解釈し、オランダ、ベルギー、カナダなどで同性婚を認めたり、男女間の婚姻と同等の権利を与えるドメスティック・パートナーシップ法や登録パートナー法がフランス、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、米国の一部の州などで制定されている。養子縁組まで認める同法制定に対し、欧米の保守的なキリスト教団体などが強く抗議し、米国では同性婚を禁止する州も出てきている。


 今年に入り、香港政府は、国際的な同性愛者の権利拡大の趨勢(すうせい)と同性愛組織の再三の催促を受け、性的志向による差別を禁止する「性傾向岐視条例(SODO)」の制定準備に入った。今年末までに意見聴取を行い、過半数が同条例案の立法化を支持した場合、同性婚や同性愛者の差別禁止を認めるSODOの立法化を本格的に進める構えだ。


 この動きに対し、キリスト教団体は、SODO制定は「民主化に逆行、家庭崩壊を助長する」と猛反発している。毎年、デモに参加していた民間団体「香港教会刷新運動」の志偉牧事務総長は「今年のテーマと運動イメージのままでは参加できない」と語る。香港人のモラル維持を求めるキリスト教系民間団体「明光社」の蔡志強事務総長も「参加者が誤解されるだけだ」としてデモ参加の取りやめを表明した。


 複数の同性愛団体は七月一日の民主化デモに毎年参加しており、今回が三回目。「デモはどんな団体でも参加できるはず。同性愛者の人権を認めない人がいるならば、われわれは反対の旗を高く掲げる」(同志連席の邵国華広報官)と主張している。


 同性愛者の法的な権利拡大に警鐘を鳴らす民間団体「維護家庭連盟」は、同性愛者の法的権利拡大に反対する一万人余の署名と二万人余の上申書を民政事務局に提出。香港紙「明報」にも同内容を全面意見広告の形で掲載し、同性愛団体の活動と真っ向から対立している。


 一方で、民間団体の青年公社、青年連合社、キリスト教学生運動などの青年組織は今年のデモへの参加を表明。今年は若年層の主張が前面に出てくるような様相だ。


 動向が注目されるのは香港カトリック教区。新行政長官の曽蔭権氏夫妻は篤信なカトリック信徒であり、同教区に所属する。曽氏は「(民主化)デモ参加の権利を誰もが有する」と寛容さを強調。同教区代表の陳日君司教も同性愛に否定的な見方ながら「デモ前の祈祷会は続ける」としている。


 七月一日の民主化デモを主催する民主派団体「民間人権陣線」招集人の荘耀洸氏は「デモに社会的弱者の組織が出てくるのは、人権と平等の情報を強調するためだ。(同性愛団体がデモに参加しても)今年のテーマに大きな影響を受けない」と話す。民主派勢力の大連合を目的として結成された民間人権陣線としては、同性愛問題だけで事を荒立てたくないのが本音。しかし、分裂を想定し警察当局に届けるデモ参加予定者数を、昨年までの十分の一に満たない五万人とした。


 民主派勢力の分裂機運に危機感を抱く民間人権陣線は七月一日、デモのスタート地点となる香港島ビクトリア公園で、デモ参加者による模擬住民投票を行う。投票内容は〇七年の行政長官選挙を完全直接選挙にすべきか、〇八年の立法会議員選挙を完全直接選挙にすべきか、を問う。投票締め切り後、すぐに開票結果を公表する。


 中国政府は昨年三月、台湾で行われた初めての住民投票実施に猛反発した経緯があるだけに、「模擬」とはいえ香港で住民投票を行うことに、親中派や中央政府は厳しい非難を浴びせることが予想される。


 香港の同性愛運動のために、民主化デモが大幅に縮小されるなら、中国当局にとっては悪いことではない。しかし香港の同性愛運動の過激化は、必然的に大陸にも浸透していく。中国共産党にとっては、目が離せない事態なのだ。


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2005年06月30日 16時47分42秒

男女共同週間/首相は参画理念の逸脱を正せ

テーマ:今日の社説

小泉首相殿


郵政民営化もいいけど、もう少し男女共同参画社会基本法にも関心持ってくださいよ。あなたの知らないあいだに、ずいぶんと逸脱した方向に向かっちゃっていますよ。これを修正するのは、あなた様の責任ではないでしょうか。このまま推進されたら、日本は壊滅状態だ。


この法案を隠れ蓑にしたジェンダーフリー思想を見抜いて、世界日報では徹底糾弾してますよ。



 小泉首相は「男女共同参画週間」の「全国会議」であいさつし、「ジェンダー」に基づく現在の男女共同参画行政と全く異なる、正当な発言をした。内閣府は、男女共同参画推進本部長でもある首相の趣旨にのっとり、参画行政の理念の逸脱を正すべきである。


役人に丸投げの小泉首相


 現在の男女共同参画行政は、基本的に「男女の違いを重視しない」というものだ。このほど開かれた、男女共同参画基本計画の「中間整理」に関する公聴会で、古橋源六郎・基本計画専門調査会会長代理は、役割を考える上で優先されるべきは「男女の違いより個人の違いの方だ」と訴えた。


 しかしながら、小泉首相は「男女がそれぞれの違いを生かし、お互いが補い合いながら築く社会を」と語った。これは、男女の特性を認めた上で、男女共同参画社会の形成に努力するよう訴えたもので、現在の参画理念とは異なった内容である。


 小泉発言は、極めて正当なものだ。国民の大多数の考えだと言ってもよい。ところが、男女共同参画局では、逆に差別を助長するものと、とらえているのだ。


 同局の歪曲(わいきょく)行政の原因は「文化的社会的に形成された性別」と定義したジェンダーの概念を政策の柱にしていることだ。従って、「男らしさ女らしさ」を肯定的に評価しない。それを評価すると「男は外で働き女は家を守る」という役割分担を固定化する、と決め付けているからだ。


 女の子を雛(ひな)祭りで、男の子には鯉(こい)のぼりで祝うことは、「男女の違い」をはぐくむことになるとして危険視する。それ故、公立保育園で、雛祭りが祝えない事態まで生じている。


 「男・女らしさ」の概念が「生物学的性別(セックス)」とは無関係であるとの考え方も根底にある。だが、最近発達が著しい脳科学によると、男女は生まれた時から脳の構造の違いがある。これに文化社会など後天的要因が影響して、ジェンダーが形成されるのである。


 フェミニストらが好むスウェーデンの中学教科書ですら「男子と女子の生物学的な違いは大変なもの」(『あなた自身の社会』)と書かれている。


 しかし、こうした科学的事実を無視して今の男女共同参画行政が進められているのは問題である。


 小泉首相は、全国会議のあいさつで「ここに出席できたのは今回が初めて」と述べた。男女共同参画政策を役人に丸投げしているため、首相が退席した後、会場では「生まれた時からの男女の違いより、ジェンダーが重要」という議論ばかりが展開された。


 だが、首相の意向が無視されたのは、今回が初めてではない。


 男女共同参画社会基本法が制定された平成十一年、当時の小渕首相は基本法の前文にある「性別にかかわりなく」の意味を「男女がお互いの個性や長所を認めつつ、かけがえのないパートナーとして」と説明した。


 しかしその後、これは「文化的社会的に形成された性別(ジェンダー)にかかわりなく」の意味にすり替えられてしまった。



暴走にブレーキ掛けよ


 同行政の最高責任者といえども、首相の「男女の違い」を前提とする発言は、フェミニスト議員らの圧力も加わっていとも簡単に握りつぶされてきたのである。


 小泉首相は事態の異常さと問題の深刻さを明確に認識し、ジェンダーに基づく男女共同参画局の暴走にブレーキを掛け、根本から政策修正をすべきである。


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2005年06月29日 16時42分11秒

サイパン島慰霊/遺族を癒やした両陛下の祈り

テーマ:今日の社説

 天皇皇后両陛下は、太平洋戦争の激戦地サイパン島を訪れ、鎮魂と平和の祈りをささげられた。慰霊目的での初の海外ご訪問となったこの旅は、両陛下の強いご希望によって実現した。


「すべての人々」を追悼


 サイパン島は、第一次大戦後、日本の委任統治領となり、沖縄県民をはじめとする多くの人々が渡り、現地住民と共にサトウキビ栽培や製糖業に携わった。第二次大戦で米軍は一九四四年六月十五日、同島に上陸。激しい戦闘が繰り広げられたが、日本軍は徐々に島北部に後退し、七月七日の主力の「玉砕」攻撃でほぼ全滅した。米軍への降伏を拒否した在留邦人らの多くは断崖から身を投げるなどして自決した。


 この戦いで、日本軍の軍人・軍属約四万三千人が戦死し、在留邦人約一万二千人が犠牲になったほか、米軍も約三千五百人が戦死し、現地住民も約九百人が亡くなっている。


 二十七日到着された両陛下は、ご訪問に合わせて同島を訪れた遺族会や戦友会の人たちと懇談され、遺族たちの話に聴き入られた。翌朝は、多数の日本兵が戦死した砂浜で、戦友会のメンバーから壮絶な戦いの模様も聴かれた。


 両陛下は、ほとんど休む間もなく島内を回られた。まずサイパン島を含む中部太平洋戦域で犠牲になったすべての人々をまつる「中部太平洋戦没者の碑」を訪れ、白菊の花束を献花し鎮魂の祈りをささげられた。その後、投降を拒否した日本人が断崖から身を投げたスーサイドクリフ、バンザイクリフで深々と黙祷をささげられた。


 さらに両陛下は、「おきなわの塔」「太平洋韓国人追念平和塔」にも黙礼をささげられた。両慰霊塔への黙礼は、公表された予定には入っていなかったが、これも両陛下のご意向によって実現した。


 いったんホテルに戻られた後には、現地住民の犠牲者を慰霊する「マリアナ記念碑」、米兵を慰霊する「第二次世界大戦慰霊碑」も訪ね黙礼をささげられた。


 天皇陛下は、日本をたつに当たって述べられたお言葉の中で、「先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼し、遺族の歩んできた苦難の道をしのび、世界の平和を祈りたいと思います」と述べられた。「すべての人々」には、日本の軍人や民間人だけでなく、敵として戦死した米国人、そして現地住民、さらに日本統治下におかれ、故郷から離れた南の島で犠牲となった韓国人も含まれていたのである。世界平和に対する陛下の真剣なお心がそこには込められている。


 日ごろ、ご公務にお忙しい両陛下であるが、そのご公務の中で、大戦の犠牲者への慰霊・鎮魂がいかに重要な位置を占めているかを改めて知らされる。これまで広島、長崎、沖縄はもとより、小笠原、硫黄島にまで足を運ばれている。戦後六十年、日本人の先の大戦での体験は、日々風化の危機に見舞われているが、それを誰よりも正面から食い止めておられるのが両陛下である。「今日の我が国が、このような多くの人々の犠牲の上に築かれていることを、これからも常に心して歩んでいきたいものと思います」とのお言葉の重みを思わざるを得ない。



真心のこもった旅に


 両陛下の強いご意思によって実現した今回の慰霊の旅。両陛下の深い祈りと同情と真心のこもった慰霊の旅であった。


 それによって、悲壮な最期を遂げた戦死者、戦没者の霊が慰められ、多くの遺族たちの心が癒やされたことを感謝したい。

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2005年06月28日 16時56分22秒

拉致被害者家族/座り込みの心情をくみとろう

テーマ:今日の社説


 金曜、土曜、日曜日と週末の三日間にわたり首相官邸近くで、北朝鮮による拉致被害者家族会などによる座り込みが行われた。家族らは座り込みの間、「拉致被害者を救うために北朝鮮に経済制裁の発動」を政府と小泉純一郎首相に訴え続けた。

経済制裁を予告した政府


 こうした家族らの直接行動は平成十二年十月、北朝鮮へのコメ五十万㌧の追加支援を決めた政府に、その撤回を求めて行って以来のことである。この時のコメ支援は結局、被害者救出には全く役立たず、徒労に終わった。家族らの訴えの方が正しかったのだ。


 今回の座り込みは、政府が昨年十二月二十四日に、北朝鮮から提供された横田めぐみさんのものとする遺骨や死亡診断書などの「物証」がすべて捏造(ねつぞう)と判明したことを受けたものである。「北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をしない場合、厳しい対応をとらざるを得ない」(細田博之官房長官)と、政府は制裁を予告した。


 座り込みに入った二十四日は、それから半年目に当たる。家族会は六カ月の間、隠忍して北の誠意ある対応を待ったのである。


 だが、この間の北の対応は、誠意のかけらすらないものだった。日本の鑑定を「捏造」だと開き直り、拉致問題解決のための日本との交渉を拒絶したのだ。


 にもかかわらず、政府は「対話と圧力」(小泉首相)を言い重ねるばかりで、その対話すら何もできていない事実を見ないがごとしだ。対話を引き出すための「圧力」という発想はないようで、被害者家族への説明責任も果たさないまま不作為を続けていることは、厳しく批判されよう。


 確かに今、六カ国協議再開の動きが出ている中で、日本だけが経済制裁に動くことは慎重にならざるを得ない状況であることは理解できる。北の核問題の協議による解決への道筋づくりが重要課題で、六カ国に期待がかかっている。それが一年以上、中断したままの事態を関係国が何とか打開を図ろうと努力していることも分かる。米国も、北に五万㌧の食料支援を決めている。


 しかし、拉致問題は日本にとって、その存在が問われる根源的問題である。国家を構成する要素は、主権、国民、国土の三つだが、拉致はその三要素が侵され踏みにじられた重大問題なのだ。グローバル化する世界においても、共通かつ普遍的価値となりつつある人権・人道にかかわる問題で、その重要性は核やミサイルの問題に劣るものではない。


 まず当事者である日本が、そのことを主体的に強く主張しなければ事態の打開は望むべくもない。政府は、この問題に対する強い関心が弱まることはなく持続している、という日本の正しいメッセージを発しておく必要がある。同時に、事態が打開されなければ、経済制裁の発動も躊躇(ちゅうちょ)しない、という強い決意のもと、万全の準備を怠るべきではない。


真正面から向き合うべし


 家族らの座り込みは、初日は家族会と救う会など関係者約百人に、二百人からの応援座り込みがあった。二日目は応援が四百人に増え、三日目は七百人を数え、三日間で延べ二千五百人以上となった。その背後に、五百万人を超える署名という国民的支持が家族会にあることを忘れるべきではない。


 「政府や政治家の言葉というものは、かくも軽いものなのですか?」


 六カ月前の細田長官発言を問う家族に、真正面から向かい合う姿勢すら政府にないことは、悲しいことと言わなければならない。


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2005年06月26日 16時00分50秒

国連憲章60周年/価値観抜きでは行き詰まる

テーマ:今日の社説

 国連憲章が一九四五年六月二十六日、サンフランシスコで調印されてから六十周年を迎えた。

 加盟国は五十一カ国から百九十一カ国に膨れ上がった。いま国連改革について安保理常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、ブラジル、インドの四カ国(G4)と非常任理事国の倍増を主張するイタリア、韓国、パキスタンなど十数カ国の「コンセンサス連合」がせめぎ合っている。

共産圏の抑圧に手打てず


 国連が改革案で揺れている最大の理由は、平和維持機構としての機能を失った上に、スキャンダルまみれとなっているからだ。安保理拡大といった技術問題よりも、国連がなぜ行き詰まったかについて思想面からの根本的考察から改革を考えるべきだ。


 平和維持機能について国連が役に立ったのは、国連軍を結成できた韓国動乱(朝鮮戦争)と湾岸戦争ぐらいのものだ。東西冷戦、キューバ危機、ベトナム戦争の解決に国連は無力だった。特にイラク戦争では武力行使をめぐり国連内で鋭く対立した。


 国連憲章は平和維持とともに人権と自由の尊重を図るための国際協力をうたっている。国連の失敗は、日独イタリアの打倒で結集した国々で平和と人権や自由が守れるとの幻想から出発したことだ。価値観が明確でなかった。


 国連創設はルーズベルト、チャーチル、スターリンの米英ソ三国首脳による四五年二月のヤルタ会談などを経て決まった。ルーズベルト米大統領の錯覚は、ソ連を米英と価値観を同じくする「民主主義国家」とみなし、戦後の平和構築で協力できると考えたことだ。こうしてナチス・ドイツ以上に全体主義国家だったソ連に拒否権を与えたことで国連安保理は機能不全に陥った。


 国連のいま一つの欠陥は、異なる価値観の共存を認める多元的価値観を前提にコンセンサスで平和や人権を守れるとした一国一票制度だ。総会が多数決方式である限り、加盟国の多数を占める非民主的で反米的な発展途上国の声が「国連の声」として正当化される。中国が“米国封じ込め”と国連での多数派工作に力を入れるのもこのためだ。米国の国連離れの理由もここにある。


 国際政治で重要なのは価値観だが、ルーズベルト大統領をはじめ米民主党は伝統的に多元的価値論者が多く、国連憲章でうたわれた自由や人権の尊重を国連の柱として国際社会で強く求めなかった。


 こうして国連は、バックボーンとなる確固としたイデオロギーを欠いたため、スターリン、毛沢東、ポル・ポト、北朝鮮などによる自国民抑圧に何の手も打てなかった。中国のチベット支配やアフリカでの部族・宗教対立による内戦や大量虐殺に無力だった。


 国連が国家エゴで動く国々の集合体である限り、自国の利益に反してまで人権や自由のために動く可能性は少ない。


 国内の人権尊重で疑問視されている多くの国がその資格を問われることなく「人権委員会」に名を連ねているのも疑問だ。米議会の超党派の国連作業特別班が民主主義の原理に立ち、独裁国家の価値観を排除した国連改革を提案したのもこのためだ。


先導役の新機構創設を


 国連の失敗の根本原因が価値観の問題をなおざりにしたことである以上、人類の普遍的価値とは何かを問う機構を新設することが必要だ。多元的価値で機能マヒした、現在の国連の上部機関あるいは先導役としての新機構創設を検討すべきだろう。


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2005年06月24日 20時23分28秒

東京都議選告示/安全、教育など政策を競え

テーマ:今日の社説


 東京都議選がきょう告示され、七月三日の投開票に向けて選挙戦のスタートを切る。都議選は、地方議会選のレベルを超えて国政に大きな影響を与えるので、全国的にも注目度は高い。有権者は東京のみならず日本の進路をも見据えて選挙に臨むべきである。


小泉政権の是非問う面も


 思い出されるのは、四年前の都議選が日本の政治の転換点になったことだ。小泉政権の誕生直後ということもあって、それまでの棄権率の高い低迷選挙を脱したばかりか、自民党が圧勝し民主党とともに「二大政党時代」の先駆けとなった。


 そして共産党が歴史的惨敗を喫したのも前回の都議選だった。こうした政治傾向は今日まで続いており、都議選はその時代の「政治のバロメーター」となってきたと言ってよいだろう。


 今回の都議選は国政選挙の谷間に当たる。それだけに各党とも次期国政選挙を占う「首都決戦」と位置付けて挙党体制で臨んでいる。自民党は五十議席を勝敗ラインにとらえ、公明党は全員当選を期す。一方、民主党は政権交代の“予備選”として大幅議席増を目指す。共産党は議席挽回に全力を挙げ、社民党は前回の議席ゼロの汚名をそそごうとしている。生活ネットも議席固めに余念がない。だから、国政での対決構図が都議選に持ち込まれ、小泉政権の是非を問うという側面も見逃せない。


 しかし、その一方で「争点なき選挙」とも称されている。石原都政に対し、一部政党を除いてオール与党化しているからだ。その石原都政は福祉事業の疑惑をめぐる問題で三カ月にわたって紛糾し、求心力が落ちた。それが「争点なき選挙」の背景となっており、投票率の低下が懸念されている。


 しかし、本当に争点がないのだろうか。


 例えば、都民が最も懸念しているのは「安全」である。内閣府の今年四月の「社会意識に関する調査」によると、日本で一番悪化しているのは「治安」との回答が最も多かった。他の世論調査でも「犯罪に遭う不安」が八割近くに上っており、「安全」が都政の大きな課題になっているはずだ。


 外国人犯罪や少年凶悪犯罪の増加に都民の不安は高まっている。東京都板橋区で十五歳の都立高校生が両親を殺害するという陰惨な事件も起こったばかりだ。性犯罪も増加し、少女が被害に遭うケースが都心で急増している。


 石原都政は治安対策本部を設置し、あるいは国政より一歩先んじて都青少年健全育成条例を改正して性犯罪に厳しく対処するなど、治安対策には前向きだ。こうした安全問題に各党・候補者はどう臨もうとしているのか。


 これは教育や家庭の在り方とも連動している。かつては家庭や地域社会が犯罪を抑止する機能を果たしていたが、家庭は崩壊の危機に瀕し、地域の共同体意識も希薄になった。その再建が都政の課題として突き付けられている。


震災対策も緊急の課題


 安全といえば、震災対策も緊急課題のはずだ。今年二月に東京直下型地震の被害想定が公表されたが、最悪で建物全壊や焼失が八十五万戸、死者が一万三千人、避難者が七百万人に上ると予想されている。ここでも地域社会の防災の在り方が問われている。


 安全だけを取り出しても都政の課題は大きいといわざるを得ない。その行方は都民の生命と財産に直結しており、「争点なき選挙」などと高をくくっておれない。


 首都決戦は政策をしっかりと見据えておくべきだ。


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2005年06月23日 15時08分55秒

中東民主化/改革推進へ相互理解深めよ

テーマ:今日の社説


 パレスチナ情勢は、二月のイスラエル・パレスチナ首脳会談での停戦合意後、落ち着いていた。だが、このところ再び、イスラム根本主義組織によるテロが発生するなど、先行きに不透明感を増している。


ガザ撤退確認した両首脳


 そうした中、シャロン・イスラエル首相とアッバス・パレスチナ自治政府議長が、エルサレムで会談した。しかし、八月に実施される予定の「ガザ撤退」を協調して進めることを確認した程度だった。予定されていた共同記者会見も実施されないなど、成功とは言えないものだった。


 だが、アッバス議長の就任で、ようやくイスラエル・パレスチナ間の交渉が再開された。再び激しい暴力の応酬に戻ることのないよう、両者は粘り強い交渉を行うことが必要だ。


 イラクではイラク人による選挙が実施され、移行政権が誕生した。しかし、各勢力間の利害の衝突、相次ぐテロなどから、民主化に停滞感が漂っている。


 サウジアラビアなど湾岸諸国では、民主化要求を受ける形で、議会選が実施されるなど、一定の改革は進んでいるかに見えるが、根本的な変革につながっていない。


 エジプトでは、憲法が改正され、大統領選に複数の候補が立候補できる道が開かれた。だが、与党以外の候補者が立候補するのは事実上不可能というのが実態。「改革圧力をかわすための見せ掛け」との批判が内外から上がっている。


 シャロン・アッバス会談の直前に中東を歴訪したライス米国務長官は、こうした民主化の停滞感の払拭(ふっしょく)を狙った。ライス長官はエジプトのカイロで、「自由な選択に懸念があるからといって、自由の否定を正当化することはできない」と、中東諸国に民主化の推進を強く求めた。また、長官は「誰もが求める普遍的な価値観と自由」の実現を訴えた。


 しかし、現地での反応は冷ややかだったことが伝えられている。米国は、中東諸国の指導者、国民が納得できる方法で民主改革を推進できる道を、模索していくべきだろう。それには、相互理解をいっそう深めることが肝要だ。


 なかでも、パレスチナ問題は中東諸国による対米不信の大きな原因となっている。イスラエル、パレスチナで双方の首脳と会談したライス長官は、シャロン・イスラエル首相が進める「ガザ撤退」を双方の協調の下で進めることで一致、米国も撤退実施へ支援を続けることを強調した。


 一方、ライス長官はアッバス議長との会談では、米国が治安対策で全面協力することなどを約束した。だが、囚人釈放、ガザ地区の空港、港の再開などで進展がなかったことから、パレスチナ側に不満が残ったもようだ。


 イスラエルは、ヨルダン川西岸で入植地の拡大を進めている。「占領地奪取への既成事実の積み上げ」ととられかねない入植活動の停止を明確にするなど、信頼確立への努力が必要だ。


 またパレスチナ囚人の釈放、検問所の撤去など、住民の生活と直結し、早期の解決が望まれる問題について、率直な話し合いが行われるべきだろう。


協調と信頼関係強化を


 「ガザ撤退」がパレスチナ情勢にとって大きな転機となるのは間違いない。そのためには、協調と信頼関係の強化が欠かせない。パレスチナ情勢の安定は、中東全体の安定に貢献するだけでなく、世界の安定にも資する重要な課題だけに、国際社会はさらに総力で支援をしていくべきである。


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2005年06月21日 18時55分52秒

日韓首脳会談/関係悪化への歯止めを期待

テーマ:今日の社説


 ソウルで行われた小泉首相と韓国の盧武鉉大統領との会談で、教科書問題を日韓歴史共同研究のテーマとすることで合意するとともに、新たな追悼・平和施設の建設を国内世論を見て検討することになった。また、北朝鮮の核問題では六カ国協議の早期再開で日韓米が連携することや日韓交流を活性化させ、次回首脳会談を年内に日本で開催することで一致した。


地道な積み上げが大切


 盧大統領は、歴史認識問題などで真剣に意見交換したが「合意に達しなかった」と述べており、小泉首相との間で率直なやりとりがあったようだ。合意事項のほとんどは事務当局で用意したものだが、「千里の道も一歩から」という。地道な積み上げと、忌憚(きたん)のない意見交換が関係改善の糸口となり得る。その点で次期首脳会談の年内開催に合意したことで、両国関係のこれ以上の悪化に歯止めが掛かることを期待したい。


 一九九八年の日韓共同宣言(小渕恵三、金大中両首脳)で日本側は、過去の植民地の支配について「反省とおわび」を表明。両国は未来志向の関係構築をうたった。盧大統領も済州島会談で「私の任期中には両国間の歴史問題を公式的には議題や争点として提起しない」と述べた。


 それが急変したのは、竹島、教科書、靖国問題が浮上したことと、「386世代」(三十歳代で八〇年代に大学で学び六〇年代生まれ、一部四十代前半を含む)が韓国社会の中核を形成し、青瓦台で対日外交を仕切っていることだ。


 この世代は民族主義的で親北派も多い。朴政権が結んだ日韓基本条約の見直しを求め、反日、反米的傾向が強い。盧大統領の政治基盤はポピュリズムであり、この世代に強く影響されている。盧政権が、日本の植民地時代の対日協力行為のあぶり出しを、歴史見直し事業の一環として始めたのも、このような背景からだ。


 忘れてならないのは、急速に左傾化する韓国政治への危機意識から大学教授を中心に新右派「ニューライト」運動が台頭していることだ。参加者たちは「386世代」の偏った発想と経験不足が国政の混乱を招いているとして彼らに理論闘争を挑み、二〇〇七年の次期大統領選挙での左派陣営勝利の阻止を図っている。


 今後の日韓関係で必要なのは、このような韓国の国内情勢を見ながら、日本側の基本方針を確立することだ。


 その第一は両国は引っ越しのできない隣国であり、共有が必要な運命共同体との認識が求められる。両国は安全保障その他で互いに補完し合う共通目標を設定し、小異を捨てて大同に就く姿勢が大切である。


 第二は日本側には「いつまで謝れば気が済むのか」の不満があるにせよ、韓国民の長い受難の歴史を考えればそれを配慮してわれわれが一歩を踏み出すべきだろう。


 第三は日韓の出発点は自由、人権、民主主義の価値観を共有していることだ。過剰なナショナリズムが価値観の共有を混乱させる危険がある。両国とも「共産主義とは何か」の基本問題で共通認識を打ち出すべきだ。


息長い文化交流の促進を


 第四は日本にとりアジア外交の入り口は韓国との認識が必要だ。アジア諸国の対日怨念(おんねん)の問題はまだ解決していない。最も身近な隣国の怨念を克服できなければ、他のアジア諸国の不信感の根本的な除去は困難だろう。


 若い世代を中核とする両国民の息長い文化交流を促進していかねばならない。


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2005年06月20日 18時24分00秒

中国政府幹部に読ませたいこのレポート―靖国参拝批判を繰り返す中国政府幹部へ

テーマ:オピニオン

靖国神社参拝問題が、未だくすぶっている。遺族会の古賀氏の発言も、各所で物議をかもし出しているようだ。


今回は、少しだけ視点を変えて靖国神社問題を見てみたい。私自身も靖国神社には何度も参拝に行っているし、靖国神社に併設されている遊就館にも2度ほど足を運んだことがある。いわば、日本における「戦争の系譜」を知ることができる。この中で印象的だった人物の一人に「堀内豊秋大佐」がいる。


中国は、「A級戦犯が祭られている・・・」という言葉を枕詞のごとくつけて、いちゃもんをつけてくることにいい加減嫌気がさしているところだが、上記に挙げた堀内豊秋大佐は、BC級戦犯として銃殺刑に処せられたお方である。この人物のことを知れば知るほどに、中国政府幹部たちに、この人物のことを知らせたい。


おまえら、これでも靖国神社参拝を批判するのかと。


この堀内豊秋大佐が上官だったというジャーナリスト・青山昌史氏のレポートは、圧巻である。


【青山昌史の目】靖国に眠る堀内海軍大佐

軍紀守り、善政敷いた武人
正義と民族平和念じ刑死


 靖国参拝というと、BC級戦犯で銃殺刑に処された元海軍兵学校教官、堀内豊秋大佐を思い出す。捕虜虐待の汚名を着ても言挙げせず、黙って散った堀内大佐は今、靖国に祀られ、遊就館に遺影が飾られている。


 堀内大佐は太平洋戦争緒戦の昭和十七年一月、落下傘部隊を率いてインドネシア・スラウェシ(旧セレベス)島のメナドに降下して電撃的勝利を収め、例の高木東六作曲の「藍より蒼き」の「空の神兵」とうたわれた人。一転して戦後はオランダ当局から、彼の与り知らぬ部下の残虐行為の責任を問われ、銃殺刑に処された悲劇の人でもある。



オランダの反感


 大佐は熊本県出身。海軍では米内光政―山本五十六―井上成美の系譜に属し、米英とはむしろ和平派だったが、いったん宣戦の大詔が発せられれば、軍人として戦うほかはなかった。大佐は占領下の現地インドネシア人を愛し、投降したオランダ兵への暴行を厳禁した折り目正しい武人だった。


 オランダ統治時代の四分の一という住民も驚く大幅減税を行い、貴重な塩の製造法を教えたり、学校や教会を建てて住民に読み書きを教えた。軍紀は厳正で、女性が安心して外出できる街にした。


 「日本軍は、インドネシアをオランダから解放するために戦っている。軍紀は厳しくするから安心して仕事に励むように」と伝えたが、これがオランダの反感を招き、戦後の処刑につながったかもしれない。


 大佐は次の任地のバリ島では、腰布ひとつの島の女たちに胸を覆う布を配り、日本兵との事故を防いだ。またバリ島から転戦して行く陸軍部隊が住民の宝物を取り上げて行こうとしたのに対し、新たに進駐した堀内大佐が住民の訴えを受けて、「日本の恥」と陸軍部隊にねじ込み、奪った宝物を返させた。


 こうしてトアン・ホリウチの名は戦後にも伝えられ、平成四年一月には堀内司令官を敬愛するメナドの住民の尽力で、現地で落下傘降下五十周年式典が催され、日本からも堀内大佐の縁故者や海兵時代の教え子ら百二十人が参加、州知事はじめ住民の熱烈歓迎を受け、昔覚えた日本の歌も披露され、式典は大いに盛り上がった。大佐の人徳が五十年後も住民の心に刻み込まれていたのだ。


 大佐は日中戦争下の廈門(アモイ)でも、在任中に中国語を覚えて現地住民にとけ込み、不足の物資を配給したり、子供たちに体操や水泳を教えたので、住民から感謝状を贈られたり、転任引き止めの嘆願書まで出されている。ここでも虐待や強制労働、慰安婦などとは全く無縁であった。


一切の弁明せず


 占領地で名声を高め、善政を敷いた堀内大佐は敗戦後、邦人の引き揚げ業務に従事していたが、その大佐を待っていたのはBC級戦犯の逮捕状であった。


 オランダ法廷の起訴状は「メナドの戦闘で投降したオランダ軍人や官吏を大佐の部下が銃剣で突き殺したり、繰り返し虐待、暴行を加えた」というもの。大佐は残虐事件に耳を疑ったが、彼は一切の責めを負って昭和二十三年九月、処刑の銃弾に倒れた。四十七歳の若さだった。


 汚名を着て言挙げせず死んで行った大佐の心中には、自分の死がかつての同僚、部下の減刑につながるという切なる思いと、多くの部下を死なせた上官としての強い責任感があったのだろう。


 戦争中の虐殺といっても、実はその前の戦闘で戦友が無残にやられた報復の例が多く、どこまでが戦闘中で、どこからが非戦闘の局面なのか、特定できない場合が多い。所詮は殺し合いなのだから、どちらが悪いともいえない。負けた方がいつまでも一方的に謝るよりも、今は前向きに戦争の根絶を互いに誓い、平和への努力をすることこそが肝要なのではないか。


 海兵七十八期生であった筆者は、終戦前の数カ月、堀内大佐の指導を受けた。あのヒゲの大佐が自ら創案した海軍体操を、英語まじりでユーモラスに指導した姿は、六十年を経た今も脳裏に焼きついている。同じく七十八期生の今井敬・前経団連会長も、堀内大佐五十年祭記念誌の中で「ヒゲに包まれた温顔。英語での毎朝の堀内体操。腰をかがめる運動の時、like badger(あなぐまのように)と言われたことを思い出す。たぐいまれな善意の人は、正義と民族の平和を念じて従容として死に就かれた」と述べている。


目隠しも断り


 極東裁判では、堀内大佐のほか千人もの旧軍人たちが、それまでにはなかった戦争犯罪人の汚名を着せられ、処刑された。それらの人たちの多くも、遺書を読むと、堀内大佐と同様、人を愛し、平和を切望していた。敗色濃い昭和二十年七月、堀内大佐が海兵教官から前線への転任に際し「メナド降下行」と題する次のような自作の詩を朗読した。


 士気をあおるような個所はなく、戦う者の悲哀が行間にあふれ、強烈な平和志向さえ見られるのである。



「余は降下兵の死を悼む

 余は敵兵の死を悼む

 余は名もなき、戦士の死を悼む

 犬死にではなかりしことを

 平和の礎えたらんことを

 再び血の争いのなきことを」



 刑死した堀内大佐は遺書で「自分の死は見守る人もいないが、立派なものと信じてほしい。死に臨んで少しの不安もないのは、過去の清らかな生活がそうさせるのだろう」と書き、目隠しも断り、処刑の銃弾に倒れた。

(ジャーナリスト)


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2005年06月20日 18時17分54秒

日韓国交40周年/大きな成果を未来に繋げよ

テーマ:今日の社説


 二十二日、日韓基本条約が締結されて四十周年を迎える。これを記念して今年は「日韓友情年」とし、様々な催しが企画され、日韓交流がさらに深まることが期待された。ところが、降ってわいたような竹島問題や歴史問題によって、交流は水を差された形となった。


日韓米の結束が安保の要


 しかし国交正常化四十周年に当たり、いま一度冷静にこの四十年を振り返ると、その成果の大きさに改めて気付く。日本も韓国も経済発展を遂げ、民主主義国家として自由を享受するに至っている。


 反共の盾となった韓国は、日本の安全保障にとって大きなプラスとなったし、韓国は日本との経済関係をてこに発展を成し遂げた。


 歴史にイフはないが、もし日韓関係が正常に機能していなかったなら、冷戦も自由主義陣営の勝利という形で終結していたかどうか怪しい。日韓米三国の結束が、東アジアの安全保障の要となった。それはこれからも変わりない。


 四十年の交流は、昔とは比較にならない親密さをつくり上げた。国交正常化当時は年間一万人だった両国の往来は今や一日に一万人にまで増えた。とりわけ二〇〇二年のサッカーワールドカップ共同開催、そして昨年の韓流ブームで、「近くて遠い国」といわれた両国関係は、「近くて近い国」に変わりつつあることは確かだ。


 そういう中で起きた竹島問題は、島根県議会が二月二十二日を「竹島の日」と定めたことが直接のきっかけだった。領土問題は、国益、国家エゴがもろにぶつかり、もちろん簡単ではないが、韓国側が「戦前の植民地支配を日本が肯定している」ととらえるところに、他の領土問題にない難しさがある。島根県議会も当然韓国側からの反発は予想しただろうが、それが歴史認識にまで飛躍するとは予想しなかっただろう。


 日本から見れば、それは韓国側の誤解であり、過剰反応と言いたいところである。しかし、被害を受けた側としては、加害者側にはなかなか理解できない、感情が働くことを認識すべきだろう。


 外交はあくまで国際ルールいわば「理」に従って進めるべきだが、そのベースとなる国民世論を考えたとき、相手国民の「情」への配慮は重要だ。とりわけマスメディアが発達した今日においてをや、である。


 四十年の交流で、われわれはどれだけ最も大事な隣人についての知識を深めただろうか。そこで得た経験、知識を今後の交流に生かしていくことが求められている。


 今のところ、どうしようもないようにみられる領土問題もしかし、世代をかけて交流を深めていけば決して解決不可能な問題ではない。先日その結果が公表された日韓歴史共同研究についても、両国研究者間での認識の違いが浮き彫りとなったが、古代史などではそれなりの成果を収めている。早急に成果を求めるのでなく、気長に研究を進めていくべきだ。


 過去を不問にする口実としての「未来志向」は欺瞞だが、やはり日韓関係は「未来志向」で取り組むべきである。自由貿易協定(FTA)や日韓海底トンネルが具体化すれば、両国が核となり東アジア全体の繁栄をもたらすことになる。そのためにも、民間の交流はこれまで以上に進めていくべきだ。


辛抱強く交流深めたい


 かつて敵国同士で何度となく戦争をしたドイツとフランスは、今や欧州連合の枢軸として、定期的に合同の閣議を開くまでに至った。辛抱強く交流と理解を深めていけば、日韓でこのような関係を築くことも夢ではない。


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