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  テーマ:「オバマの対宗教戦争」 
         講師:早川 俊行氏(世界日報ワシントン特派員)
                     ー10月19日(土)開催ー

 今回のテーマ「オバマの対宗教戦争」を世界日報の連載記事として取り上げようと思ったのは、日本メディアによるアメリカ報道は政治、経済、外交、安全保障が中心で、「宗教」の視点からの報道が極めて少ないからだ。信教の自由を建国の理念とするアメリカを理解する上で「宗教」の視点は欠かせないといえる。

 アメリカでは、キリスト教を土台とする伝統的価値観を守ろうとする保守派とこれを排除しようとするリベラル派の間で激しい“文化戦争”が行われている。オバマ大統領の就任以降、アメリカの伝統的価値観が圧迫され、排除される傾向が強まっている。日本ではあまり語られていない「宗教」の視点からオバマ政権の実像を伝えていく必要があると考え、今回の連載記事を書いた。

1、「内部腐食」する米軍
 アメリカは現在、巨額の財政赤字を抱えている。赤字削減が急務となっているが、そのあおりを最も受けているのが米軍だ。国防予算の大幅削減によって、米軍の戦闘能力低下が懸念されている。しかし、米軍の問題は、戦闘能力という目に見える部分だけでなく、オバマ政権の下で規律やモラル、秩序といった目に見えない部分でも問題が生じ始めている。

 米軍ではもともと、同性愛者の入隊は禁じられていたが、クリントン政権時代に、同性愛者であることを隠している限り黙認する、いわゆる「聞かない・言わない政策」が採用された。すなわち、同性愛者であるかどうかを米軍側は“聞かない”し、同性愛者の兵士もそれを“言わない”というものだ。しかし、同性愛者であることが発覚した場合は、除隊処分となる。だが、オバマ政権は、この「聞かない・言わない政策」を撤廃し、同性愛者の入隊を完全に解禁した。

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 だが、陸海空軍・海兵隊の4軍制服組トップは当初、同性愛者の受け入れに強く反対していた。軍は一般の職場とは異なり、兵士たちが寝食をともにする環境だ。そうした環境に性的指向の異なる同性愛者を受け入れることは、部隊の規律や秩序に悪影響を及ぼすと懸念したのだ。「聞かない・言わない政策」が2011年9月に正式撤廃されてから2年が経過したが、現場指揮官たちの懸念は既に現実のものとなっている。

 国防総省は今年5月、米軍内で発生した性暴力に関する調査報告書を発表した。それによると、「聞かない・言わない政策」が維持されていた2010年に比べ、米軍内の性暴力の数は35%も増加したことが分かった。性別で見ると、女性兵士の6.1%、男性兵士の1.2%が何らかの性暴力の被害に遭っていた。女性兵士は20万人いるので、その6.1%は約1万2千人。男性兵士は120万人いるので、その1.2%は約1万4千人。当然ながら、割合は女性被害者のほうが圧倒的に多い。しかし、被害者の数は女性よりも男性のほうが多いという驚くべき結果が判明した。その男性兵士たちは誰から被害を受けたのか。女性兵士に襲われるケースもあるだろうが、それはごく少数で、大半は男性兵士からの性暴力だったとみられる。また、女性対女性の性暴力も増えているといわれている。

 ではなぜ、オバマ政権が現場指揮官の反対を押し切り、同性愛者の入隊を認めたのかといえば、オバマ政権は米軍をリベラル政策を推し進めるための「社会実験台」として利用している側面がある。オバマ政権は国民から広く尊敬されている米軍に同性愛者を受け入れさせることで、世論を同性愛者の権利拡大に肯定的な方向に誘導しようとしているわけだ。

 実は、米軍を用いた「社会実験」はまだ終わっていない。オバマ政権は「LGBT」全ての権利拡大を最終的な目標としているからだ。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性転換者)の総称。「聞かない・言わない政策」の撤廃で入隊が解禁されたのは「LGB」までで、「T」はまだ認められていない。オバマ政権は最後の「T」の入隊まで認めたいと考えている。つまり、男から女に性転換した人を女性兵士として、女から男に性転換した人を男性兵士として受け入れたいのだ。

 だが、こうした過激な社会実験を推し進めれば、米軍の根幹が揺らぐ危険性が指摘されている。米軍は自衛隊と同じように志願制を採用しており、新兵募集が死活的に重要だ。だが、オバマ政権の過激な社会実験により、保守的な若者が米軍を敬遠する可能性は十分考えられる。自分に娘がいると仮定し、その娘が18歳になって「米軍に入隊したい」と言い出した時のことを想像してもらいたい。娘の隣に同性愛者、あるいは女に性転換した男が寝るかもしれない環境に快く送り出せるだろうか。

 米軍には「チャプレン」と呼ばれる聖職者が5000人以上いる。彼らは宗教者の立場から兵士のメンタルケアを受け持つ。チャプレンの一人にインタビューしたが、「保守的なキリスト教徒が米軍入隊を敬遠する恐れがある」と強く懸念していた。

 同性愛者の入隊解禁により、宗教的信念に基づいて同性愛が不道徳だと信じる兵士たちの信教・良心の自由が脅かされる事例が報告されている。例えば、個人的なブログで同性愛に否定的な見解を述べただけで、懲戒処分を受けた兵士がいる。また、あるチャプレンが「同性愛者の入隊解禁後も我々は同性愛を道徳的に誤りだと教えることができるか」と上層部に尋ねたところ、「できない。方針に従えないなら、辞めてもらう」と言われたという。

 米兵の4割はキリスト教徒の中でも特に保守的な福音派だといわれる。彼らは愛国心が強く、国の役に立ちたいという公共心にあふれる人々だ。この福音派キリスト教徒なしに米軍は成り立たない。だが、オバマ政権は彼らを遠ざける政策を強行している。

 さらに、オバマ政権の社会実験は、目に見える米軍の戦闘能力にも悪影響を及ぼす恐れがある。同性愛者の入隊解禁にあたり、米軍ではその受け入れ準備に膨大な資源が費やされた。本来なら訓練や装備品の購入などに使われるべき予算、人員、時間がオバマ政権の社会実験に費やされたわけだ。これはただちに米軍の戦闘能力に影響を及ぼすことはないだろうが、今後も社会実験が行われれば、長期的には悪影響が生じる可能性が指摘されている。アメリカとの同盟関係を安全保障の機軸とする日本にとって、「内部腐食」ともいえる米軍の状況は決して無視できない。

2、拡大する同性婚
 米国では同性婚を認める州が増えており、50州のうち13州と首都ワシントンDCが同性婚を合法化している。これに伴い、結婚は男女間のものだと信じるキリスト教徒が訴えられる事例が相次いでいる。例えば、西海岸のワシントン州では花屋を営む70歳近い女性が、州司法長官から訴えられる事件が起きた。この女性は敬虔なクリスチャンで、結婚式を挙げる同性カップルのフラワーアレンジメントを断ったところ、差別を禁止する州法に違反するとして訴えられた。

 キリスト教徒が訴えられる事例は、同性婚が認められていない州でも起きている。ニューメキシコ州では女性カメラマンが同性カップルのセレモニーの撮影を拒否したことで州人権委員会に訴えられ、7000ドルの支払いを命じられた。

 カトリック教会は慈善活動として各地で養子の斡旋事業を行っているが、同性婚が認められたマサチューセッツ州やワシントンDCでは事業撤退を余儀なくされた。というのは、同性婚が認めれらた州では、同性愛者にも等しく養子を斡旋しなければならず、カトリックの教義に反する行為を行うわけにはいかないからだ。

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 これらの事例から分かるように、結婚は男女間のものだというキリスト教徒の2000年に及ぶ道徳観念が、現在のアメリカでは偏見と見なされる風潮が急速に強まっている。すなわち、信教の自由より同性愛者の権利が優先される事例が増えてきている。

 こうした同性婚拡大の風潮を後押ししたのが、他ならぬオバマ大統領だ。特に大きな影響を与えたのが、昨年5月にオバマ氏がアメリカ大統領として史上初めて同性婚支持を表明したことだ。しかし、オバマ氏は上院議員として大統領選を戦っていた2008年時点では、全く正反対のことを言っていた。「キリスト教徒として、結婚は一人の男性と一人の女性の結合だと信じる」と述べていたのだ。オバマ氏は同性愛者と接するうちに考え方が変わったと説明しているが、宗教的信念に基づく結婚の定義がこれほど簡単に変わるものなのか。そもそも、彼が2008年に同性婚に反対したのは、宗教的信念でも何でもない。ずっと前から同性婚を支持していたのだ。

 オバマ氏はイリノイ州の上院議員に立候補した1996年に、地元シカゴの同性愛者雑誌に「同性婚合法化を支持し、これを阻止するいかなる試みとも戦う」と表明していた。1996年といえば、どの州もまだ同性婚を認めておらず、当時としては過激な考え方だった。

 だが、国政進出を目指した2004年頃から、同性婚反対の立場を取るようになる。シカゴのリベラルな地域を拠点としていたイリノイ州上院議員時代とは違い、イリノイ州全土から支持を集めなければならない連邦上院選では、自らのリベラル色を薄める必要があったからだ。

 オバマ氏は、2008年大統領選でも同性婚反対のスタンスを維持した。大統領選ではリベラル派だけでなく、中道派や無党派、さらには一部共和党支持者からも票を集める必要があるからだ。2012年の大統領選前にオバマ氏は同性婚支持に転ずるが、この時、アメリカの世論は同性婚容認派が反対派を上回る状況になっていた。同性婚支持に転じても選挙戦にマイナスにはならない、むしろ、より多くの票を得られると踏んだのだ。つまり、同性婚に対するオバマ氏のスタンスは、宗教的信念とは全く関係がなく、全てが選挙目的だった。

 だが、オバマ氏はまだその過激な本性を完全には明かしていない。オバマ氏が昨年、同性婚支持を表明した際、「地方レベルで取り組むべき問題だ」と述べ、同性婚の是非は各州の判断に委ねる考えを示した。だが、これも彼の本音ではない。

 オバマ氏は今年1月に行った2期目の就任演説で、同性愛者の権利拡大を19世紀に始まった女性の権利拡大運動や人種差別解消を求めて黒人が繰り広げた1960年代の公民権運動と同列に位置付ける発言をした。同性婚が権利、平等の問題であるなら、同性婚を否定する州があってはならないことになる。彼の最終目標は同性婚の全米合法化であり、同性婚を誰も否定できない「市民権」として定着させることだ。しかし、まだ機は熟していないと見て、過激な本性を隠している。

 連邦最高裁は今年6月、結婚を「一人の男性と一人の女性の法的結合」と定義した連邦法「結婚防衛法」の規定に違憲判決を下した。オバマ氏はツイッターで、この判決を「love is love(愛は愛だ)」と歓迎した。このコメントは、愛情は性別と無関係、だから結婚も性別と無関係であるべきだ、という彼の考え方を端的に表したものだ。だが、これは極めて危険な考え方だ。結婚が愛情のみで定義されるとすれば、なぜ結婚を二人に限定するのか。一人の男性が二人、三人、四人の女性を愛することもできるし、一人の女性が二人、三人、四人の男性を愛することもできる。すなわち、結婚が愛情だけで決まるなら、一夫多妻や一妻多夫などあらゆる形態を認めなければならなくなる。

 この最高裁判決を同性愛者たちは当然喜んだが、それ以外に喜んだ人たちがいた。一夫多妻主義たちだ。アメリカでは今も一夫多妻主義を実践している人が数千人いる。現在の法律では重婚は犯罪であり、彼らは犯罪者のレッテルに怯えながら生活している。だが、今回の判決により、「一人の男性と一人の女性の法的結合」という結婚の定義が否定されたことで、結婚の平等が一夫多妻主義者にも拡大される道が開かれたと歓迎しているのだ。アメリカ社会は同性婚という“パンドラの箱”を開けてしまった今、結婚や家族の在り方をめぐり、さらなる混乱に直面することは間違いない。既に訴訟を起こしている一夫多妻主義者もおり、同性愛者とほとんど同じ論理で自分たちの結婚の平等を要求している。

3、神にとって代わる連邦政府
 オバマ政権やリベラル派は、宗教をどのように捉えているのか。教会や寺院、モスクといった宗教施設の壁の内側で祈りを捧げたり、礼拝を行ったりするのは構わないが、宗教施設の壁の外側、つまり公の場では宗教活動をするのは認められない、というものだ。つまり、「信教の自由」を「礼拝の自由」に狭め、宗教を教会の壁の内側に閉じ込めようとしている。リベラル派は政教分離の原則を盾に、公の場から宗教を排除しようと訴訟に次ぐ訴訟を起こしている。

 米国の一部では「クリスマスツリー」を「ホリデーツリー」に、「メリークリスマス」を「ハッピーホリデー」などと言い換える動きがある。リベラル派の圧力によって、脱宗教化、脱キリスト教化が急速に進んでいる。

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 オバマ政権は世俗的価値感を国民に押し付けようとする傾向が顕著だ。特に、宗教界が強く反発しているのが避妊費用負担問題だ。カトリック教会などは避妊薬や不妊手術など人工的な避妊を不道徳とみなしている。これに対し、オバマ政権はカトリック系の病院や大学、慈善団体など宗教系の非営利団体にも医療保険を通じて職員の避妊費用を負担させる方針を打ち出した。また、オバマ政権が同性愛者の権利拡大を強力に推し進めるため、宗教的信念から結婚は男女間のものだと信じる人々が偏見を持つ者と見なされる風潮が広まっている。本来、モラルや道徳は、神や宗教に由来するものだ。しかし、今のアメリカでは、モラルや道徳の基準は連邦政府が定め、それを一般国民に押し付けるという状況が生まれている。つまり、オバマ政権下のアメリカでは、連邦政府以上に崇高な存在はない、連邦政府が神にとって代わっている、ともいえる状況が現出しているのだ。

4、オバマ氏の宗教観
 オバマ氏は20代の頃、シカゴで住民運動を組織する「コミュニティー・オーガナイザー」として働いていた。当時、彼はシカゴの教会を組織化するプロジェクトに携わっていた。オバマ氏は1985年にシカゴの有力黒人教会を率いていたジェレマイア・ライト牧師のもとを訪ね、協力を得ようとした。これがきっかけとなり、オバマ氏はライト師に師事するようになり、キリスト教信仰を持つようになった。

 しかし、このライト師は極めて過激な思想の持ち主で、日曜礼拝の説教では反米・白人敵視のレトリックを繰り返していた。例えば、「政府は我々(黒人)に『ゴッド・ブレス・アメリカ』を歌わせるが、違う! ゴッド・デム・アメリカ(米国に神の呪いあれ)だ!」と述べたり、9・11同時テロ後の最初の礼拝では、広島、長崎にアメリカが原爆を投下したことなどを挙げ、「我々が海外でしてきたことが自分たちに跳ね返ってきたのだ」と主張した。また、「エイズウイルスは黒人を抹殺するための米政府の陰謀」と述べたこともあった。

 ライト師の過激な思想の土台になっているのが、マルクス主義をルーツとする黒人解放神学だ。白人を抑圧者階級、黒人を犠牲者階級と捉える考え方だ。オバマ氏はライト牧師から極めて大きな影響を受けており、ライト師の社会主義的な解放神学はオバマ氏の世界観を形成したといわれている。ジャーナリストのエドワード・クライン氏が大統領として未熟なオバマ氏の実像を描いた著書『ザ・アマチュア』は、オバマ氏とライト師の関係について次のように書いている。「ライト師はオバマ氏にとって宗教的、精神的指導者以上の存在になった。父親の代わりであり、人生の師であった。父親に飢えていたオバマ氏の心を満たし、大統領選に出馬する心構えをさせたのはライト師だったと言っても過言ではない」と。

 ライト師の過激な説教は大統領選中にメディアに報じられ、一時、大きな騒ぎになった。普通ならこのような人物との関係が明るみに出れば、大統領選からの撤退を余儀なくされてもおかしくはない。しかし、オバマ氏寄りの大手メディアはこの問題を深く追及しなかったため、致命的な打撃にはならず、オバマ氏は当選を果たしている。

 『ザ・アマチュア』には、オバマ氏の信仰観を知る上で極めて興味深い内容が書かれている。著者のクライン氏がライト師に直接インタビューした内容によると、ライト師はオバマ氏から「私はイスラム教を学んだ(少年期にインドネシアに住み、父親はイスラム教徒)。キリスト教を理解するのを助けてほしい」と求められ、「(キリスト教の)基本から始めよう」と応じたという。このやり取りについて、クライン氏が「あなたはオバマ氏をイスラム教からキリスト教に改宗させたのか」と突っ込んで質問すると、ライト師は「それははっきり分からない。私は彼にイエスが誰なのか自分で決めて構わないと納得させた。彼の家族のイスラム教要素やイスラム教徒の友人をけなす必要はないと言ったんだ」と答えている。つまり、オバマ氏の人生の師であるライト師でさえ、オバマ氏が本当にキリスト教を信じているのかどうか分からないと言っているのだ。

 ライト師はインタビューの中で、ミシェル夫人の信仰心の薄さにも触れている。「ミシェルはバラク(オバマ氏)と結婚するまで、どの教会にも所属していなかった。(ライト師の)教会に来た後も、子供たちを教会の日曜学校で育てようとはしなかった。ミシェルは母親に連れられ、教会や日曜学校に通った黒人女性ではなかった。そのような環境で育ってこなかったのだ」と。

 ライト師はさらに「教会は彼ら(オバマ夫妻)の精神生活になくてはならない存在ではなかった」とまで言い切っている。ではなぜ、オバマ氏は20年以上もライト師の教会に所属し続けたのか。これについて、ライト師は「教会はバラクの政治になくてはならない存在だった。彼は黒人の基盤を必要としていたからだ」と、あくまで政治目的だったとはっきり述べている。

 米国では建国以来、非キリスト教徒が大統領になったことはない。オバマ氏がキリスト教信仰を持ち、教会に所属することによって得ようとしたものは何か。政治家としてのキャリアを積み上げる上で必要だった黒人教会の集票ネットワークとキリスト教徒という「肩書き」だったのかもしれない。

5、宗教を排除する公教育
 「宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム」が昨年行った世論調査結果によると、どの宗教にも所属していない無宗教の米国民の割合は、2007年の15.3%から2012年には19.6%に増加している。つまり、現在、米国民の5人に1人が宗教を持っていないことになる。無宗教者のうち、無神論者は1.6%から2.4%に拡大。神の存在を認識するのは不可能と考える不可知論者も2.1%から3.3%に増加している。

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 年齢別に見ると、18~29歳の32%、30~49歳の21%、50~64歳の15%、65歳の9%が無宗教者だ。若い世代ほど宗教離れが加速していることが分かる。米社会は今後一段と宗教離れ、すなわち世俗化が進んでいくことは容易に想像できる。その背景にあるのが公教育だ。公教育の現場では、過剰ともいえる宗教排除が行われている。

 例を挙げると、テキサス州のある高校では、卒業式でスピーチした生徒が自分をキリスト教徒として育ててくれた両親やイエス・キリストに対する感謝の言葉を述べた途端、突然、マイクが切れる事件が起きた。これは機械の故障ではなく、学校側の意図的な措置だった。学校行事で宗教的な内容に触れるのは不適切と判断されたためだ。

 また、ノースカロライナ州の小学校では、退役軍人に敬意を表する「ベテランズ・デー」の行事で、1年生の女児が詩を朗読することになった。この児童の祖父は父方、母方ともにベトナム戦争に従軍した兵士で、詩には「彼(祖父)は神に平和を求めて祈った。彼は神に強さを求めて祈った」という一節が含まれていた。詩の内容を知ったある父兄が、学校行事で「神」に言及するのは不適切だという苦情を寄せると、学校側は女児に詩から「神」を削除させた。

 さらに、マサチューセッツ州の小学校では、学校行事で「ゴッド・ブレス・ザ・USA」という歌を歌うことになったが、教師は生徒たちに「ウィー・ラブ・ザ・USA」と歌うよう指導した。父兄や歌の作者が抗議したため、最終的には本来の歌詞で歌われることになったものの、学校当局は「生徒たちは『ゴッド・ブレス・ザ・USA』と歌っても歌わなくてもいい」と、曖昧な態度を取った。

 このように、学校が「神」という言葉を禁止用語のように扱っている現状を考えれば、若い世代で宗教離れが進むのも無理はない。

6、世俗化が米外交に及ぼす影響
 米外交を語る上で重要なキーワードの一つが、「例外主義」だ。これは、米国は特別な責任を持った例外的な国であり、世界をリードする道義と責任があるとの考え方だ。米国は20世紀以降、第一次大戦、第二次大戦、冷戦、ポスト冷戦の今日まで、国際秩序の形成、維持のために主導的役割を果たしてきた。その背景にはこの「例外主義」の考え方があった。

 「例外主義」のルーツは、信教の自由を求めて新大陸へ渡ってきたピューリタンにさかのぼる。ピューリタンたちが船でイギリスから大西洋を航行中、彼らの指導者だったジョン・ウィンスロップが大変有名な演説を行っている。彼はこの中で、「我々は丘の上の町とならなければならない。全ての人々の目は我々に注がれる」と主張した。

 「丘の上の町」とは新約聖書に出てくる言葉で、イエスが世の人々の模範となる行いをしなさいと説く文脈の中で出てくる。つまり、ウィンスロップは、我々ピューリタンが新大陸に築く新たな社会は、全世界の人々が仰ぎ見る丘の上の町のように、道徳的で模範的な共同体にしなければならないと訴えたのだ。自分たちは神から特別な使命を与えられた特別な人々だという概念は例外主義の土台となり、米国には世界に自由と民主主義を広める責任があるとの認識に発展する。

 20世紀に「丘の上の町」を演説で引用した大統領は二人いる。民主党のジョン・F・ケネディと、共和党のロナルド・レーガンだ。「例外主義」は、アメリカの政治指導者に党派を超えて引き継がれてきた概念であることが分かる。

 この「例外主義」に対し、懐疑的、否定的なのが、他ならぬオバマ大統領だ。オバマ氏は2009年にフランスを訪問した際、記者から「アメリカの例外主義を信じるか」と質問されると、次のような極めて奇妙な回答をしている。「イギリス人がイギリスの例外主義を信じ、ギリシャ人がギリシャの例外主義を信じるように、私は米国の例外主義を信じる」と。全ての国が例外であるなら、本当に例外的な国は存在しないことになる。つまり、アメリカを含め、全ての国が同等だというのが、彼の基本的な世界観なのだ。

 アメリカが世界に対して特別な責任があるとの自覚を失った場合、すなわち政治指導者や一般国民の間で「例外主義」の意識が薄れていった時、アメリカは国際問題への関与に消極的になり、孤立主義の傾向を強める恐れがある。アメリカ社会の世俗化は、国際秩序にも影響を及ぼす可能性があり、十分注視していく必要がある。

 オバマ政権が同性愛者の権利拡大に積極的なのは、米国内に対してだけではない。他国に対しても強く働きかけている。2011年にヒラリー・クリントン国務長官(当時)は、国連欧州本部での演説で、「オバマ政権はLGBTの人権擁護を外交政策の優先課題として取り組む」と宣言した。具体策としては、海外でLGBTの権利を侵害する事例や法律があれば、世界各国の大使館を通じて是正を勧告していく。また、国務省内にLGBT権利拡大のための専門部署を設けたほか、海外のLGBT団体などを支援する「グローバル平等基金」を立ち上げると発表した。

 オバマ大統領は世界各国に派遣する大使に、同性愛者を積極的に起用している。オーストラリア、スペイン、デンマークの大使がそうだ。また、カリブ海のドミニカ共和国大使に指名された人物も同性愛者だが、カトリック教徒が多い同国では強い反発が起きている。この人物は外交経験など全くない同性愛活動家だが、大統領選でオバマ氏に多額の政治献金を集めた論功行賞で起用された。

 新大陸に渡ってきたピューリタンたちは、他国の道徳的模範となる社会を目指したが、全世界が仰ぎ見る「丘の上の町」は今、世俗的価値観を他国に押し付ける国となってしまっている。

7、世俗化が米政治に及ぼす影響
 前述の「宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム」調査によると、民主党支持者の宗教別内訳は、どの宗教にも属さない無宗教者が24%、黒人プロテスタントが16%、白人主流派プロテスタントが14%、白人福音派プロテスタントが9%、白人カトリックが13%、ヒスパニック(中南米系)カトリックが5%、その他が18%となっている。つまり、無宗教者は今や、民主党内で最大勢力の地位を占めていることになる。これに対し、共和党はキリスト教徒を中心とする宗教保守派が依然、主要支持基盤だ。民主党と共和党の二大政党の対立は、世俗政党と宗教政党の対立となりつつあり、価値観をめぐる相違が一段と先鋭化しつつあるといえる。同性婚についても、民主党議員の大多数が賛成、共和党議員の大多数が反対と、真っ二つに割れている。

 昨年の大統領選前に行われた民主、共和両党の党大会では、共和党が採択した党綱領には「神」という言葉が12回出てくるのに対し、民主党の綱領には1回も出てこない。民主党指導部は欠落を批判された「エルサレムはイスラエルの首都」という記述とともに、「神」を綱領に加えようとしたところ、党大会に参加していた党員の多くが反対した。最終的に党指導部が修正案を無理やり可決させたが、会場はブーイングの嵐となった。これは民主党内の空気を象徴する出来事と受け止められた。

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 また、ピュー・フォーラム調査によると、2000、2004、2008年の各大統領選で、民主党候補に投票した無宗教者は61%、67%、75%と右肩上がりで増加している。これは、無宗教者の民主党傾斜が強まっていることを示すものだ。民主党にとって、無宗教者が増えるほど、社会の世俗化が進むほど、選挙に有利になる状況が生まれている。

 アメリカ社会の世俗化は宗教にとどまらず、政治や外交など幅広い分野で“地殻変動”を引き起こす可能性があることを認識する必要がある。
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