「2015.11.11 原田審議委員の金懇会見はやっぱりこの程度のクオリティだった件」 | 素人日銀ウオッチャーの日銀考

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日銀の金融政策について日々感じたこと・考えたこと(実態はツッコミ)を、マーケット関係者・エコノミスト・経済学者でない素人の立場で綴っていきます。メインメニューは金融政策決定会合議事要旨や政策委員の講演・記者会見テキストの鑑賞およびそれに対するツッコミです。

昨日の金懇挨拶に続き、今日はブッ飛び君の記者会見を鑑賞していきたいと思います。


http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1511b.pdf


2つ目の質疑応答からです。


(問)※2~3ページ

『午前の講演で、今の政策について雇用が増えているので大成功だと思う、物価についてはいずれ上昇するので心配に及ばないというご発言がありまして、どちらかというと物価よりも雇用を重視されているような印象を受けたのですが、雇用が良い状況でいずれ2%に達するのであれば、多少2%の達成時期が遅れても大きな問題ではなく、追加緩和も必要ないと理解してよろしいでしょうか。』


(答)

『まず、雇用を重視していますが、雇用が物価より大事だと考えているわけではありません。』


なら「雇用が増えてるから大成功」とか言うな。


『ただ、経済状況が良くならないのに物価だけ上がっているというのは良くないことで、雇用が良くなり、賃金も上がり、結果として物価が上がっていくということが望ましい経路だと考えています。』


お前はそれでもリフレ派か。


『現在、物価が直近でマイナスになっているのは、石油価格下落の影響が大きいわけです。これは国民経済にとっては非常に良いことです。国民経済にとって良い状況で物価が短期的に下がっている、しかし石油価格下落の影響はいずれ剥落することが分かっています。分かっている中で、さらに物価を何としてでもすぐさま上げるために追加緩和をするということまでは必要ないのではないかと思います。』


どの口が言ってんだ。


『現在、景気が良くなって物価が上がっていくという経路は、多少弱くはなっていますが続いていますので、その効果が顕れて、次第に物価が上がっていく、そして同時にエネルギー価格が物価を下げる効果も剥落していきますので、いずれ物価が2%に近付いているということを確認できると思います。
そういうわけですので、現在の段階では追加緩和は必要ないのではないかということです。』


ということで、リフレ派はもうどこかに行ってしまったようです・・・


(問)※3ページ

『(1点目は割愛)

2つ目は、仮の話ですが、追加される場合の政策手段として、総裁は付利をいじられることは検討したこともないし、することもないとおっしゃっていますが、原田委員は大学にいらした時は撤廃を提唱されていらしたので、その考え方に変わりはないのか、確認させて下さい。』


(答)

『追加緩和ですが、これは、所得から支出、支出が物価を引き上げるというメカニズムが崩れるのであれば、躊躇なく追加緩和が必要だと申し上げています。それは政策委員会の多数のメンバーも同じ考えだと思います。追加緩和の手段を、具体的にここで議論するのは差し控えたいと思いますが、あらゆる手段があります。追加緩和に制約があると言っておられる方もいらっしゃいますが、私はそういう制約はないと考えています。』


質問に答えろ。あと正しいと思うなら1対8で否決されても提案しろ。


(問)※4~5ページ

『(前略)物価安定目標2%の達成という観点からは、増税はやはりない方が良いと、延期した方が良いというふうにお考えでしょうか。これがまず第1点。
次に、消費について、日銀の中心的な見通しは底堅いということですが、原田委員は、直近、懸念されるような動きがあるように思うと、あるいは消費と投資の回復は弱いままであると、おっしゃっています。それにもかかわらず、なぜ物価だけは、本年度末には2%に向けて上昇していることが確認できるとなるのか。ここの根拠というか、消費なり設備投資が弱いままなのに何で物価だけ上がるのでしょうか。過去は余りそういうことはなかったのではないかということでお伺いします。

最後に、物価がQQEによって成功裡に上がっているということを示す根拠として、BEIをここでは挙げられていますが、今年に入ってからはほぼBEIは右肩下がりになっています。これをどのように説明されるのか。先程も繰り返しましたが、今年度末に向けて物価目標2%に向けて上昇していることが確認できるという動きとは真っ向から反対方向の動きになっているわけですが、それをどのように解釈されているか。この3点をお願いします。』


(答)

『まず、消費税増税ですが、これは政府が決定すべきことであって、それに対して日銀審議委員である私がコメントすることはありません。ただし、消費増税をすればその分だけ景気が悪くなることは確かであって、景気が悪化する分だけ物価の上昇を抑える影響があるということは事実です。政府としては、財政再建のために消費増税は必要であるという認識のもとに進めておられるわけですから、それに対して私としてコメントすることはないということです。』


「そもそも、金融政策で財政規律が弛緩するなら、増税しても同じです。国債を発行しやすくなれば使ってしまうというのなら、私は、増税して収入が増えれば使ってしまうだろうと思います。(昨日の挨拶テキスト10ページより)」なんて言ってたのは一体どこの誰だコラ。


『消費は底堅いと言っているが、弱いのではないかというのは、それはどのくらい弱いのかという話です。確かに活発でないのは事実ですが、弱いながらも上昇が続いています。それは、消費についても投資についても、弱いながらも上昇が続いていて、その上昇が続けばいずれ物価にも影響してくるだろうということです。それが余り強くないから物価上昇のモメンタムがなかなかみられないというのはその通りですが、エネルギーを除いた物価をみれば、徐々に上がっています。一方で、雇用と所得の関係が崩れていない以上、弱いながらも消費と投資は増えていって、結果的には物価の上昇に結びつく、ただ、それが後ろ倒しになるということです。』


???一体何を言ってるのかどなたかわかる方教えてください。。


『3番目は、QQEで物価が上がるというひとつの根拠として、BEIを挙げているが、そのBEIは直近下がっているではないかというご指摘です。皆様方に配付した私の講演内容に書いていますが、QQEの実施後、物価それ自体も上昇したし、BEIも上昇しました。ところが、QQEを拡大した直後はBEIが上がったが、その後は下がっているのはご指摘の通りです。』


付き合いきれんわ・・・


『ただ、物価の予想は色々な指標でみるべきですし、またBEI自体が足許の物価の上昇率に影響されるということもあると思います。足許の物価上昇率がBEIにも反映して、結果としてそうなっているということも考えられます。一方、所得から物価へのメカニズムがある限り、いずれ物価は上がるということも確かなのではないかと思います。』


リフレ派ならそういうことは言わないはずでは??


『足許の物価と予想物価とどちらが大事かという話になりますが、私が日銀に参る前は、予想物価が大きく変化して現実の物価に大きく働きかけるという経路が強いと思っていましたが、その後の現実の物価の動きをみますと、やはり人々の予想というのは足許の物価の動きに引き摺られますので、予想物価自体が足許の物価に影響を受けます。ですので、予想物価と現実の物価が上がっていくのに時間がかかるということだと思います。』


「期待に働きかける」というQQEの触れ込みは一体何だったんでしょうか???


『前に私がデフレ脱却について編集した論文集を別の用があって読み直してみましたが、その中にも「予想物価は、過去の予想物価と足許の物価に影響される」という論文があり、この論文の通りだと思った次第です。』


うるさいわボケww


(問)※5~6ページ

『2点お伺いします。1つは、毎勤(毎月勤労統計)ベースですと夏のボーナスはかなり今回落ち込んだわけですが、色々サンプル替えとか要因はあるとは思いますが、年末にかけても消費に関しては冬のボーナスへの期待がかなりあるようでして、それがまたそういったデータベースでマイナスということになると、さらに消費を冷やしてしまうのではないかという恐れがあります。この点についてどのように思われますか。

もう1つは、ご自身の著書でも日本の物価はなぜ上がらないのかということを分析されて、CPIの3つの大きな構成要素のうち比重の高いサービス価格が上がらないからだと、それは本来であれば、企業が、利益が増えればそれを賃金に回すべきだが、その当時は出来ていなかったと、それで物価が上がらない、物価が上がらないのでさらに賃金が抑え込まれる。今の現状をみていますと、やや改善しているとは言っても、まだそこが断ち切れていないように思いますが、日銀がさらに追加で資産を買ったとしても、企業に対して直接給料を上げるようにとか、投資促進にはならないのではないかと思いますが、その点をどう分析されますか。』


(答)

『まず毎勤ベースの夏のボーナスのデータについての私の疑問は――説明しますと長くなりますので――、配付した講演内容に書いてある通りです。それから、冬のボーナスについては、私は冬のボーナスが増えて、消費も増えることを期待しています。』


逃げたな。


『それから2番目の点で、私の著書でそういうふうに書いたか記憶はないのですが、サービス価格が上がらないから物価が上がらないというのは、結局、サービス価格の構成要素のほとんどは賃金ですので、賃金が上がらないから物価が上がらないと言っているようにも聞こえると思います。』


はあ。


『私がどういうふうに書いたのかは正確には覚えていないのですが、言いたいことは、賃金が上がるのは、物価が上がっている時に上るのであって、物価が下がっていれば賃金も下がってしまうので、賃金が物価を決めるというわけではないということです。』


物価と賃金がバランスよく上昇していくのが望ましいんじゃなかったんですかねぇ。


『ただ、物価が上がって、かつ労働需給が逼迫すれば賃金も上がっていくだろうと思います。そうであれば、賃金と物価が同時に上がるわけですから、人々の生活水準が上がりながら物価が上がるということになって、安定的な経済状況が生まれると思います。』


その説明だとどう考えても賃金が上昇する方が後になるのだがつくづくこの人は何を言ってんだと。


(問)※6~7ページ

『現在の政策で、実際のところ企業に賃上げをさせるという点とは、どう結びつきますか。』


(答)

『それは労働需給が逼迫することによって、賃金はいずれ上がってくるということだと思います。企業の方に聞くと、人手不足で大変だとおっしゃいますが、私は人手不足で大変だったらもっと賃金を上げて頂きたいと思いますが、なぜか上がらない。それは労働需給の逼迫度がまだ足りないということだと思います。』


逼迫度が足りないのではなくて、逼迫している地域・業種・職種等がまだ幅広くなっていないということだと思うが。


『今やっているQQEを続けていけば、労働需給が逼迫して賃金が上がって自然に物価が上がるということになると思います。パートの賃金の方が正社員の賃金よりも安定的に、かつより速いスピードで上がっています。これは労働需給の逼迫を表わしているので、これがもう少し続けば賃金は自然と上がってくるだろうと思います。』


パートの賃金だけ上がっても正社員の賃金が同じように上がらないと意味ないでしょ。


(問)※7~8ページ

『(前略)今回の展望レポートで下方修正しつつも追加の金融緩和を見送ったといったことで、日銀のクレディビリティが損なわれたんじゃないかとか、バズーカ弾切れなんじゃないかとか、言行不一致だとか結構色々ご意見が出ているようです。それについて、原田審議委員自身は政策決定会合で賛成されているわけですが、どういうふうにお考えなのでしょうか。
もう1点は、(中略)果たして石油価格が下がることによって消費を押し上げる効果は実際に出ているのでしょうか、それともこれから出るのでしょうか、そのあたりについてもお考えをお聞かせ下さい。』


(答)

『まず物価が2%にならないから日銀のクレディビリティが下がっている、あるいは崩れているということはないと思います。と言いますのは、多少繰り返しになりますが、物価が下がっているのはエネルギー価格の低下によるものであって、生鮮食品とエネルギーを除いた物価でみれば、順調に上がっています。エネルギー価格が物価に与える影響はいずれ剥落することは明らかですので、単に2%に近付く過程が後ろ倒しになるだけです。目標が崩れているわけではないので、クレディビリティが崩れるということはないと思います。』


これを野党審議委員が言うならわかるんだがアナタが言っても全く説得力がない。


『それから、弾切れという話ですが、繰り返しですが、政策手段はいくらでもあるわけです。どのような手段をどのように使うかというのは、その時々の状況によるわけですので、あまり具体的なことはお話ししない方が良いと思います。ただ、その手段はいくらでもあると考えています。』


ここは与党かいww


『それから、エネルギー価格の下落によって生じた所得がいつ出てくるのかということですが、実際問題として、例えば貯蓄率は上がっています。貯蓄率が上がっているということは、実質所得の増加分が支出に使われていないということですから、現在のところまだ一般的には出ていないということです。』


ハァ?実質所得が増加?


『ただ、それがいつまでも続くということはないと思います。つまり、貯蓄率が無限に上がっていくことはないので、それはいつか出てくる。あるいは、貯蓄率の上昇が止まれば、所得が増えた分だけ必ず使われるので、それは出てくるということです。それは出てくるはずなので、目標達成時期が遅れたとしても、必ず2%を達成できるということを申し上げているわけです。』


願望を言ってもしょうがねえだろうよ。


次がラストです。


(問)※8~9ページ

『そうしますと、2年程度で2%という強いコミットメントをずっと言い続けているわけですが、2%というところを目標としてキープしていれば、時期については、既にだいぶ後ずれしていますが、ずるずる後ずれしても、いわゆる追加緩和ですとか政策手段をとる必要はないとお考えでしょうか。』


(答)

『それは2%を達成するメカニズムがちゃんと働いているかどうかということになります。それを何で判断できるかというと、所得が増えているということです。それは「雇用×賃金」でみれば良いと思いますが、それが増えている限り必ずそうなるわけで、エネルギー価格の下落によって、一時的に遅れたとしても、それは構わないのではないかということです。ですから、2%を達成できない理由によると思います。それが石油価格の下落であれば問題はないのではないかと思います。ただ、所得から消費へのメカニズムが崩れるようなことがあれば、それは追加緩和が当然必要だということになります。』


ということで、ここでもリフレ派とは程遠い説明に終始していますけども、これを政府の代弁人としての発言と素直に捉えてよいものかどうか、まだしっかりとした確信が持てないのが残念ですが、今後の政策変更を読み取るヒントになるでしょうから、これからもブッ飛び君の発言には気を付けたいと思います。

(個人的にはクルーグマンの変心がかなりキーポイントになるんではないかと考えていますが果たしてどうなるでしょうか)


まあそれにしてもこのオッサンは家元に勝るとも劣らないくらいの問題児だってことを改めて実感しましたわorz