flatland
エドウィン・A. アボット, Edwin A. Abbott, 石崎 阿砂子, 江頭 満寿子
多次元・平面国―ペチャンコ世界の住人たち

この本はエドウィン・アボット(1838年~1926年)という人が書いた本です。

『異次元は存在する』  の著者リサ・ランドール女史が推奨していた本で、

気になって読んでみました。


内容は、平面(2次元)の世界に暮らす “正三角形” が主人公となって、平面国(フラットランド)の様子を紹介してくれるのですが、それは私たちの暮らす立体世界である3次元(スペースランド)とさして変わらず、政治・教育・格差・宗教などが広がる世界でした。  

ただし、2次元であるがゆえに、私たちとは世界の見え方が根本的に違います。 著者アボット氏は、驚くばかりの想像力をもって、私たちに2次元世界のあり方を連想させてくれます。  

そして私たちがある次元の中に属して暮らしている限り、異次元、特に上の次元の存在を認識することはとても難しいということ、それでも一旦意識をズーム・アップして想像力を働かせたのなら、異次元の存在を感じ、理解出来るのだということを教えてくれます。 決してそこに行く事はできないけれども理解はできるのです。


3次元の私たちから見たら、2次元の世界はとても限られていて不便なものであるように、2次元の世界の住人から見ると、1次元に暮らすラインランド人(1つの直線世界)や、ゼロ次元に暮らすスポットランド人(点の世界)が恐ろしく狭い視野の中で暮らしていて滑稽にさえ見えるという内容は印象的でした。


この本の著者アボット氏は、想像力を働かせることの面白さと大切さを一番に伝えたかったのだろうと思います。  理論上、私たちが暮らしている次元ではない次元がきっとある。 それはいったいどんな世界なのだろうと。


個人的には後半100ページを越えたあたりからこの本の醍醐味を味わいました。

こんな本に時々ふっと出会うことができるから、本を読んでいくことが楽しいのかもしれません。