正論12月号 小川榮太郎氏に異議あり! | 日本を語るブログ

正論12月号 小川榮太郎氏に異議あり!

今月号の正論に文藝評論家の小川榮太郎さん「靖国・消費税・TPPで問われる保守の本質」と題して寄稿されています。
小川さんは安倍晋三さんの再登板を熱心に応援し、第一次安倍政権の戦いを「約束の日 安倍晋三試論」という素晴らしいノンフィクションにまとめ、安倍再登板待望論を世論に広げた、安倍政権の立役者の一人です。
そんな小川さんですが、この正論に寄稿した論文には、異議を唱えざるを得ません。

「(消費増税に関するネット保守の反対論について)その全てが、私には根本的に倒錯し、とち狂つてゐるとしか思へない。そもそも、一般国民、いや社民党や共産党さへ大人しいのに、保守層だけが、これでもかといふばかりに、安倍氏の政策判断をミスと決め付け、さうした自分の言動・判断を恥ぢず、疑はずにゐる。」
つまり小川さんは、安倍総理の政策判断にミスはないと思っているのでしょうか。確かに小川氏はフェイスブック上で「消費増税の判断をしても、安倍総理の決断を支持する」と明言していました。
しかし、この経済状況で消費増税の判断は明らかに判断ミスです。それを自分で証明するかのように「景気の腰折れを防ぐため」と6兆円の経済対策を打ち出しています。

「そもそも、国際的なネットワークやグローバリズムへの反感が、今の保守には大変強い。幕末で言へば攘夷だ。しかし、結局、日本が幕末を生き延びられたのは攘夷の情念を超克して、尊王開国を決断したからです。これから大騒ぎになりそうなTPPでもさうなのですが、どうも今の保守派の議論は、攘夷を更に小さくした、旧来の自民党的保護主義に、根性が似てゐる。グローバリズムとは、アメリカナイゼーションであり、日本収奪だと言ふ。だが、日米同盟による防衛費や人的心理的負担の巨大な軽減の中で、収奪だと喚くのは身勝手が過ぎよう
要するに小川さんは「安全保障で米国に大変お世話になっているのだから、TPPで市場開放ぐらいしてもいいではないか。少しぐらい収奪されてもいいではないか」という考えなのでしょうか。
そもそもグローバリズムという考え方自体が、左翼の世界統一政府に直結するような考え方であり、それに傾倒する安倍総理に我々保守派が異議を唱え、歯止めをかけるのは当然のことだと思います。それを小川さんは「攘夷を更に小さくした旧来の自民党的保護主義」としか受け止められないのでしょうか。小川さんは日本の国柄を根本から覆しても構わないと思っているのでしょうか。
TPPは明らかにアメリカンスタンダードの押し付けであり、本来の「戦後レジームからの脱却」から遠ざかってしまい、むしろ亡国への道を歩むことになります。

「これから安倍首相の本当に気の長い「日本を取り戻す」戦ひが始まるといふ時に、やれ靖国参拝で安倍は駄目だ、TPPで嘘ついた、増税後の冷え込みがやはり来た・・・・・・、こんな具合に、その都度「保守」が消耗してゐては仕方がない。
安倍総理は実際にTPPで嘘をついたとしか思えないような態度を見せています。
西川公也自民党TPP対策委員長の主導による聖域5品目の検証は、明らかに安倍総理の意向を汲んでのことです。「聖域」を確認してTPP交渉に入ったのだから、守られないという場合は脱退するべきです。無理してTPPに入ることもない。
そもそも、ISD条項、知的財産権、公共事業の門戸開放など、TPPにはメリットがないことは明白です。
私のように、TPPに反対する保守派は、小川さんの言葉を借りるなら「与党側」として、公約を守れと言っているだけなのです。

「(靖国参拝に関して)我々は、第一に国民全体に靖国神社の異議を浸透させ、また総理の参拝を国民が強く望む気風を醸成し、総理の後押しをせねばならない」
それならなおのこと、安倍総理は堂々と靖国神社に参拝しなければなりません。春季例大祭、8月15日、秋季例大祭に安倍総理が堂々と靖国参拝し、それを毎年続けることで、一般の国民にも、靖国神社の意義深さが浸透すると思います。



最後に余計ですが、私の安倍政権に対する考えを述べさせていただきます。
このブログでも既に表明しましたが、私は安倍政権支持の旗を降ろしました。
ですが、安倍政権の可能性が消えたとは思っていません。上記のTPP、消費増税に加え、地方を更に疲弊させる国家戦略特区や規制緩和など、絶望するしかない状況に立たされているのは確かです。
ですが、特定秘密保護法案、国家安全保障会議(NSC)設置法案など、安全保障面では確実に王道を歩んでいます。
「安倍政権が出来たのは拉致被害者救出のためだ」と言った人がいました。
それだけでも、安倍政権には大きな意義があるのではないでしょうか。私は拉致被害者を救い出すことが出来るのは、安倍政権しかないと思っていますし、安倍総理と古屋圭司拉致問題担当大臣が強力なタッグを組んで、水面下で拉致被害者救出に取り組んでいます。
私は拉致被害者救出だけでもいいと思っています。極端な話、それだけやってもらっても構わない。

所謂「安倍信者」はTPP・国家戦略特区などの亡国政策には目を向けません。対して安倍総理
を批判する保守派(特にユダヤ陰謀論者)は、安全保障政策には目を向けません。
私に言わせれば、どっちも同じです。「これが良いから全部良い!」「これが悪いから全部悪い!」なんて小学生のような議論はやめにしていただきたいものです。