検証 西部邁は真正保守か? | 日本を語るブログ

検証 西部邁は真正保守か?

http://www.youtube.com/watch?v=WMrox8FgNlk

これは2005年5月8日の「新報道2001」での菅直人と西部邁の発言です。

以下、「エセ保守監視小屋」からの引用。http://www.geocities.co.jp/WallStreet/3408/newslog.htm


西部:僕は今、梁さん(=梁起豪、盧武鉉政権のブレーン)のね、発言に、半分以上賛…反対なんだけど、その意味はですね、よくこういうことになるとドイツのことをまた例に出されるんですけどね、もちろんあれですよ、漢和辞典調べたって「罪」ってのは「恨みを買うこと」っていう風に書いてありますからね、つまり「罪」っつったときにはですね、その法律的議論とかね、何かを超えてですよ、ともかく最後は侵略ですからね、日本がやったことはね、そうである以上侵略された側が恨みを持つことはありますからね、そりゃいろんな意味で重々謝罪することは必要だと思う。けどしかしですね、ドイツと日本がやったことは、かつてね、やっぱ相当レベルが違うんだってことね。ドイツはホロコーストもやったし、それ以外に共産主義者、社会主義者、リベラリスト、宗教者ね、その他ほとんど殲滅するようなことをやって、したがって戦後出てきたのはね、戦前に殺された、ほとんどホロコーストまがいに殺されようとしたグループの人たちが、戦後のですね、ドイツの、その権力に付くわけですね。そうならば簡単に謝罪もね、できるしすべきだって言うことになるけども、日本とはね、全然レベルが違うということを抜きにしてドイツの例を持ち出すってのはね、やっぱり全て一括りにして謝るか謝らないかみたいな話に持ってくね、そんな議論を僕はこれ以上アジアでやってもしょうがないと思う。

菅:いや、ここはね、ちょっともう一度、ここだけは私、西部さんの、あの意見と違うんですけどね。あのまず、あの、どちらがそのより酷いことをやったかという、そのことをどうこうするんじゃなくて、つまり、日本自身がやったことを日本人がどう判断するかが問われてるんであってですね、そのドイツのことを我々がどうこう言うことは、それは一般論としてはあっていいです。ですから私は冒頭申し上げたように、あの戦争は、少なくともなぜ始めたのか、それはその満洲事変からいろいろやりましたように、日中事変があって、それから太平洋戦争に至るわけです。で、日本人だけでも300万人を超える人が亡くなったわけです。負ける戦争をやったわけですよ。少なくとも歴史的に言えば、負ける戦争をやった将軍は、例えば戦国時代で言えば腹を切るんですよ。つまり日本自身が日本の、その負ける戦争をやった責任を何一つ問わないから…

黒岩アナ:どういう戦争責任を取れば良かったんですか?

菅:私はやはり一つはですね、日本自身がもし京都裁判(原文ママ)をやらないとすれば、少なくとも政治的にはですね、その何が間違っていたかを明確にして、まあ例えば天皇陛下は私はあのときに逮捕されていたほうが良かったと思いますね。

黒岩アナ:逮捕されたほうが良かった!

菅:退位、退位!

黒岩アナ:退位?退位ですね?

菅:ちょっと気を付けてください。これはあの、実際の当時の、あの戦争…

黒岩アナ:天皇に戦争責任があった?

菅:いやいや、だから…

黒岩アナ:だから退位すべきだったと?

菅:ちょっと気を付けてください、そこも。明治憲法下で、基本的には天皇機関説的に動いてましたから、直接的な政治責任はありません。しかし、象徴的にはあります。ですからそこはですね、一つのけじめを政治的にもつけるべきだし、象徴的にもつけるべきだった。ですから例えば、当時のA級戦犯であった岸信介という人がですね、その後復活するわけですよ、日本で。ですからそういうことが日本のけじめのなさの象徴なんですよ。

西部:そうですよ、僕はそれには賛成ですよ。

菅:ですからそういうけじめをつけないで、ドイツのことを、あのドイツよりは日本がやったことはそれほど悪くはないということでですね、そんな議論をしても意味がないんです。日本がやったことに対して、日本人がまずけじめをつけないでおいて…

西部:だから僕両方言ってるわけですよ。菅さんが言ったことも本当ですしね、そのつまり天皇も含めてですね、法律的責任もない、政治的責任がなくてもですね、最終的にやっぱり道徳的責任はあったと考えるべきですよ。そうならそれだけの責任を国内で追求するというね、でもそのこととね、やっぱりその中国・韓国の問題について、きちんと問題を仕分けしてくってことは両立することですからね。


私は西部邁は保守だと思ってましたがどうも好きになれませんでした。

それはともかくとしてこんなことを平気で言い放つ人間が果たして真正保守なのか?

「西部邁ゼミナール」では愛国保守政治家の西田昌司さん、平沼赳夫先生らと対談していますがこの発言から見る限りどうも西部邁は真正保守なのか疑問です。


私の手元にある西部氏の論稿は昨年のWiLL10月号、今年の1月号しかありませんが今回は10月号を基に、西部氏は本当に保守かどうかを考えてみたいと思います。


WiLL10月号「菅総理は対米屈従の反省ザルだ」

昨年の菅談話を受けて西部氏が書いた論稿ですが私が首をひねる部分が多々ありました。

それを見てみましょう。


(ライシャワー氏の回顧録の中の原爆についての発言について)

「戦争終結を早めるためには必要だった」と。さらには「少なくとも言えることは、広島に原爆を投下したおかげで原爆の被害が実際に、どれほどひどいものであるかということを世界人類に知らせることが出来た」とまで書かれている。

普通に考えれば、このことに対して日本はアメリカに謝罪要求をすべきです。もちろんライシャワー氏はもう亡くなってますからいまさら謝罪要求も出来ませんが、原爆の被害がどれほど酷いものかという実験ならば、「ニューヨークなりロサンゼルスなりで好きにやってくれ」と抗議するのが日本人のあるべき態度のはずです。

ところが、日本の左右両翼からこのライシャワー発言を咎める声など一切起こらない。それどころか、東京大空襲を立案したカーチス・ルメイに対しては、勲一等旭日大綬章を与えている。対米関係においてそういう愚かなことをやっている国が。はたして朝鮮半島なり中国大陸に向けて偉そうなことが言えるのか。

中国大陸なり朝鮮半島に対して、慨ね謝罪や反省など必要ないと叫ぶのならば、基本的に日本国家は反省や謝罪をすべき大いなる不正義は、一切犯していないとしなければなりません。


この発言に関しては頷ける部分もありますが最後の赤字の部分はどうも分かりません。

確かに日本は正義に反することも行ったでしょう。しかし「大いなる」はどういう意味なのでしょう。

西部氏はあの南京大虐殺はあったと考えるのでしょうか。


(日韓併合に関して)

保守派の論客と称する人々が、あの当時日本が行ったことは、きちんと条約として成立しているという。そういうことで自己正当化するのは、必要であるが、僕は弱すぎると考える。

その意味は、冒頭申し上げたように条約を結んだのだからいいだろうとなれば、それこそ法治の形式主義であって、そのことだけを言い続けては韓国や中国、朝鮮の側に認識論上の正当性まで出てきてしまう。


はぁ!?国際法にのっとって結んだ条約で各国も認めたのにそれを言うと中国や韓国に正当性が出てくる!?

信じられん!西部邁は韓国併合は不当だったというのか?


つまり、韓国側はこう反論するでしょう。

「条約を結んだのは確かである。しかし、日本軍が明らかに武力的威圧をしていたではないか。何を言ってるんだ。武力による威圧なり出動なりについてきちんと議論しようではないか」。

すると、日本のやったことが不当であると言えてしまう。


日本のやったことは不当!?

韓国併合について条約を結ぶ際、日本軍が武力的威圧、出動などしていないのは事実です。

西部氏は一体何を言っているのでしょうか?

しかしこの後に「僕はそのことについて決して謝罪してはならないと思っている」と述べいている点から見ると。西部氏はやっぱり保守なのでしょうか・・・。


(藤尾正行文部大臣の「日韓併合は韓国にも責任がある」という発言に関して)

それはその通りであり、物陰で言う必要はあるでしょうが、そんなことを外交の表面で言うのはこれまた子供の所業なわけです。


事実を外国で言うのは子供の所業!?

さらにことの後、日本が韓国に対して鉄道や道路や学校を建設したのを「日本が勝手に作った」と言い放っているのです。

何を言っとるんだこの人は?

本当にこの人は保守派の評論家か?

これらを見てると西部邁は保守派なのか疑ってしまいます。

しかしこういう歴史観を持つ人物がかつて「新しい歴史教科書をつくる会」にいたのです。なんとも不思議な話。

ですが西部氏は改憲、核武装を提唱してるところを見ると一応保守であることは確かなんです。

しかし、「真正保守」ではないのです。

このような人物に真正保守を自称する資格は無いでしょう。


西部邁よ、あなたに真正保守を自称する資格は無い!!