平成28年元旦の靖国神社(日比恆明氏) | 清話会

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【特別リポート】 
平成28年元旦の靖国神社

日比恆明氏 (弁理士)

 皆様、明けましてお目出とう御座います。

昨年は近年にはなかった大事件が世界各国で発生しました。シリアで発生したイスラム国は勢力を急激に伸ばし、シリア国内の各地で内戦状態となっています。この過激派による活動は近隣国にも影響があり、イラク、ナイジェリアでも同調する集団が出現してきて、中東状況は混迷しています。そのため、中東からヨーロッパに移動する難民が約百万人となり、受け入れ国は大変なことになりました。

さらに、パリではイスラム国の支持者によるテロがあり、多数の犠牲者が出るような事態となりました。ヨーロッパの各国では、何時、何処でテロが発生するか分からず不安な社会となっているようです(ただし、最近にパリに出掛けた人の話では、現地では日本のニュースで流れるほど緊張感は無かった、と聞きましたが)。

そもそも、この紛争は宗教・民族の問題から発生したものであり、話し合いとか調停などといった平和的な解決策は見当たらないようです。これからイスラム国とヨーロッパ連合体との紛争は相当に長引くのではないかと予想されます。こうした状況を聞くことにより、私は11世紀に始まった十字軍を連想しました。十字軍の遠征は3百年も続いたもので、もしかすると、イスラム国による紛争は百年も続くのではないか、と危惧しています。

また、ロシアによるクリミア半島の自国編入、南支那海における中国による人工島の建設などの領土問題が発生しています。これらは一触即発の問題であり、何時かは大きなトラブルに波及する火種になっています。戦後70年間、世界は比較的平和でしたが、ここにきてどこかで大きな局地戦が発生するような気がします。

国内を振り返ってみると、年末には日韓の懸念事項であった慰安婦問題が両国で合意に達し、解決することになりました。しかし、これは国同士の合意であって、合意内容が履行されるかどうかとは違うのです。もしかしたら、合意が覆される可能性もあるのではないかと思われます。
 
さて、今年も元日に靖国神社に出掛けました。境内で見たままを報告致します。

      写真1

今年は午前9時前に神社に到着しましたが、この日は一日中快晴であり、風は無く春のような暖かさでした。最高気温12度、最低気温4度で、過去10年間で2番目に高い気温でした。

       写真2


        写真3

今年の靖国神社の境内での大きな変化は、各種の設営品や飾り付けの位置が変わっていたことでした。写真2は、今年になって神門を背にして拝殿の方向を撮影したものです。

写真3は、昨年の元日に同じ方向を撮影したものです。両社を比較すると、参道の石畳の右側にある仮設の小屋が無くなっているのが判ります。従来は参道の右側には小屋が設営され、ここで振る舞い酒が配られたり、破魔矢などの縁起物が販売されていました。今年はそれらの小屋がなくなってスッキリしています。どうも、参拝者が増えてきたので、通行の邪魔になるようなものを取り除いたのではないかと推測されます。仮設の小屋ばかりか、例年は参集殿の横に設置されていた絵馬の展示も靖国会館の方に移動させてありました。要するに、拝殿の周りにはゴチャゴチャとしたものを設営せず、広く使えるようにスッキリとさせたようです。

       写真4

さて、参拝者は中鳥居を抜けて拝殿前まで進み、ここでなにがしかの賽銭を投げ入れて参拝します。写真4は行列の先頭で、例年、参拝者は拝殿まで到着したなら右側に折れて参集殿の方向に向かうことになります。しかし、参集殿前の広場は狭いため、ここで参拝者が滞留して大変な混雑となっていました。
 
今年は拝殿を取り囲む塀に、写真5のように退出口が開設してありました。拝殿に向かって左手の位置にあり、今までは閉鎖されていたところです。参拝者は写真4の位置で参拝したなら、左方向に誘導されて塀の外に出ることができるのです。人の流れを従前とは逆の方向に向け、参集殿前の混雑を避けるためした工夫でしょう。参拝者を一方向に向けて進むようにしたもので、明治神宮では以前からこの方法で人の滞留を防いでいました。

        写真5

        写真6

このようにして参拝者の流れを一方向に向け、境内での混乱を避ける仕掛けをしていたのですが、残念ながら神社側が考えていた通りにはならなかったようです。それは、参拝者の人数が昨年に比べて減少していたからでした。写真6は今年の正午過ぎに、神門から第二鳥居方向を撮影したもので、写真6は昨年のほぼ同一時刻に同じ位置で撮影したものです。両写真を比べると分かるのですが、今年は参拝者の列が短くなっているのです。一昨年は昨年よりももっと参拝者が多く、行列は第二鳥居の後ろまで続いていました。
 
これだけ参拝者が減少すると、写真5のように特設した退出口は必要とならなくなり、こちらの出口を利用する参拝者はあまりお見かけしませんでした。混雑が無かったので良かったのか、参拝者が減少して残念だったのかは判りませんが。

        写真7

        写真8

       写真9

        写真10

今年の元旦に気がついたのは、境内で公衆無線LANが使えるようになったことです。スマホの設定で無線LANの接続をオンにすると自動的に接続され、写真8の画面が表出されます。初期画面では「日本語」と「英語」のどちらかを選ぶことができ、いずれかをクリックすると神社の説明の画面に移ります。境内の各所には写真9のような案内板が設置されていて、説明をする番号が表示されています。例えば、「遊就館」の前の案内板では26番となっていて、スマホの画面で26番と入力すると写真11のように「遊就館」を説明する画面に移動します。この画面では遊就館の説明文が表示され、さらに、ボタンをクリックすると歴史や由来を音声で解説してくれます。
 
良くできた仕掛けであり、スマホかタブレットを持っていれば境内の各所にある遺物の説明を受けることができるようになっていました。特に、英語での解説は外人観光客に人気があるそうです。昨年11月からこのサービスを開始したとのことでした。ただ、英語での解説はあるのですが、中国語、韓国語の解説はありません。そこまでサービスすると近隣国から変な勘繰りを受けるからでしょうか。
 
なお、この公衆無線LANでは靖国神社のホームページしか接続できません。無線LANに接続しても他のホームページなどを検索する機能は付いていないです。サーバーを乗っ取られたり、成りすましの発信者となることを防止するためではないかと思われます。



       写真11

こちらは「はとバス」の案内嬢で、観光バスに乗車した観光客を神社に案内していました。観光バスのコースには「宮城前」「国会議事堂」「靖国神社」がお決まりの観光地であり、これらの観光地に「浅草」とか「東京タワー」などを組み合わせたものがバスコースとなっているようです。お上りさんコースであり、この数十年の間全く変わっていないのです。しかし、地方から上京してきた観光客にとっては一番無難で関心のある場所なのでしょう。この日は観光バスから降り立った観光客ばかりではなく、近くのホテルの宿泊客もボーイの案内で参拝してみえました。

        写真12

境内の茶店には、早くも今年の政治を風刺したみやげ物が売られていました。タイトルは「山口限定 覚悟燃ゆ まんじゅう」と「伊勢志摩 晋ちゃんのお茶会」でした。「覚悟燃ゆ」のまんじゅうは第3次安倍内閣が組閣された時に発売されたそうで、以前から販売されていたものです。製造元は山口県にある小さな菓子屋のため、今までは東京で発売していなかったそうです。「伊勢志摩」の方は、今年三重県で開催される主要国サミットでの晋ちゃんの「おもてなし」がどのようになるかを期待したもののようです。


 写真13


 写真14

昨年の靖国神社の大事件は、11月に発生した韓国人による爆発音事件でした。南門の近くにある便所の天井に爆薬が仕掛けられ、爆発音がしたのです。写真13は南門を裏側から見たもので、その南門の左側に公衆便所があり、ここから爆発音がしたようです。事件現場の便所は写真14にあるように、ブルーシートで厳重にカバーされていました。犯人は、犯行後一旦は韓国に戻り、再入国したときに逮捕されています。
 
この事件は不可解な点が多く、どのマスコミも「爆発音」と表現しており、「爆発」もしくは「爆破」などという文字は一切使われていないのです。また、犯人逮捕後に詳報が続いていないことです。多分、犯行が行われた時には既に犯人は特定できたのですが、日韓の政治問題に係わるため報道規制をしたのかと思われます。特に、犯行現場がそのまま保存されているのも奇怪しいことで、通常の火災現場では早期に撤収されています。


 写真15


 写真16

年始年末には参道の両側には屋台が出ていました。昨年7月のみたま祭りの際には屋台の出店禁止があり、寂しいものでした。それ以来の屋台の出店であり、賑わいを取り戻したような感じがあるのですが、昨年の正月に比べると屋台の数が減っていました。目測で10~15%は減少しているのではないかと思われました。
 
そんな中で、「紅ずわい天」という屋台を見つけました。一見すると、ずわい蟹の長い足肉を焼いてタレを付けて食べさせるように思われました。店番の兄ちゃんから話を聞いたら魚のすり身に紅色を付けたもので、いわゆるカニカマを大きくしたものだそうです。どうりで看板には「紅ずわい蟹天」とは書かれていませんでした。
 
その屋台の右下を見たら写真16のような表示がありました。「一本500円」という意味でした。中国人が多いのでこのような表記をしたのか、このような表記をすることで中国人を呼び込もうとしたのかは不明です。


 写真17

 写真18

どの屋台も客寄せのためにさまざまな工夫をしていました。写真17では「ふりふりポテト」の垂れ幕を飾っているのですが、店主はこの垂れ幕に5万円近くを払ったと言ってました。写真18はダルマを売る屋台なのですが、屋台全体にダルマのデザインをしていました。年始年末の数日だけ使うためにこのくり抜きの看板を制作したようです。


 写真19


 写真20

こちらの屋台では「広島風お好み焼き」を実演販売していました。台の上には材料の袋が並べられてました。写真20は焼きそばの麺と紅生姜の袋です。その袋をよくよく見たら、「業務スーパー」の文字が印刷されてました。都内のあちこちにある安売りの業務スーパーで購入してきた食材でした。要するに、誰でも購入することができる食材を鉄板で炒めているだけのものなのでした。
 
日頃はスーパーで10円、20円の値段に目くじらを立てている主婦が、たいして旨くもない焼きそばに500円もの大金を払う心情が理解できません。祝日であるので財布の紐が緩んだのか、それとも小腹を満たすためには仕方ないと考えているのか不明です。