【森野榮一のエコノぴっくあっぷ】(2)「ハイジ」 森野榮一氏

2009-05-01 06:59:59 テーマ:【森野榮一のエコノぴっくあっぷ】

森野榮一のエコノぴっくあっぷ

第2回 「ハイジ」

森野榮一氏(経済評論家、ゲゼル研究会代表)



米国のNPR(National Public Radio)というラジオ局のサイトを見る。分かりやすい解説や風刺の効いた情報を提供してくださっているので、時折、ネットでみている。

http://www.npr.org/blogs/money/2009/04/hear_shadow_banking.html


そこでハイジの話を読んだ。ハイジといってもアルプスの少女ではない。デトロイトのハイジで、バーの経営者。


今回の金融危機の経緯をなるほどと納得させてくれる寓話に仕上がっている。まずはご一読を。


<以下引用>


ハイジはデトロイトでバーを持っている。売り上げを伸ばすために、彼女は、ほとんどが失業中でアルコール中毒患者の常連客が飲んでも後払いを認めることにする。彼女は帳簿で飲まれたドリンクの動向をおさえておく(そうすることで、顧客に融資する)。


ハイジの今飲んで後払い(ナウ・ドリンク・ペイ・レイター)の販売戦略は噂となり、客が増えて、ハイジのバーは溢れるばかりとなる。そうしてすぐに彼女はデトロイトのバーでいちばんの売上高を達成する。


即座の支払要求から客を解放することで、ハイジはワインとビールの価格をかなり上げても、なんの抵抗も受けない。ほとんどの客が飲み物を飲む。彼女の売上高は膨大に増加する。


若くて活動的な地方銀行の副社長が、これらの客の負債が貴重な将来の資産であると認めて、ハイジの融資枠を引き上げる。彼は担保としてアルコール中毒患者の債務を持つてからも心配しすぎるどんな理由もないと考える。銀行法人の本部では、専門のトレーダーがこれらの顧客ローンをドリンクボンド(DRINKBONDS)とか、アルキボンド(ALKIBONDS)とかピューク(注:ゲロのこと)ボンド(PUKEBONDS)に変える。そうして、こうした証券類は世界中の証券市場で取引される。だまされやすい投資家は、AAA格付けの担保付き債券として彼らに販売された証券が本当に失業しているアルコール中毒患者の負債であることをまったく理解していない。


それにもかかわらず、それらの価格は絶え間なく上昇する。そして、その証券類はその国の主要な仲介会社の最も良く売れている商品になる。ある日、債券価格はまだ上昇しているが、銀行のリスクマネージャーが(彼の消極性に突然火が付いて)、ハイジのバーの酒飲みが負った債務に支払い要求をするときがきたと決める。


ハイジは彼女のアルコール中毒の支援者に支払いを要求するが、失業している彼らは、酒を飲んだ債務を返済できない。それで、ハイジは、彼女の融資義務を果たせず、倒産を求める。


ドリンクボンドやアルキボンドは90%値下がりする。ゲロボンドは80%まで落ちた後で価格が安定し、パフォーマンスは少しはよい。債券の資産価値が減少して、銀行の流動性を破壊し、銀行が新規融資をするのを妨げる。


ハイジに多額の支払い増を認め、その証券に投資したハイジのバーの納入業者たちは彼女の負債の償却に直面し、彼女の債券の80%以上を失うはめになる。彼女のワイン納入業者は倒産を要求し、ビール納入業者は競争相手に乗っ取られる(その競争相手は、直ちに、現地の工場を閉鎖して、50人の労働者を一時解雇する)。


銀行や斡旋業者は二つの政党の指導者たちと劇的な不眠不休の交渉をして、政府に救済される。こうした救済に必要とされる資金は酒を飲まず、仕事についている中産階級から徴収された税金から得られる。


<引用終わり>


こうした、米国で起こり、いまも継続しているシーンを彷彿とさせる話を、米国の証券化商法に終わりはくるのだろうかという気持ちで読む。証券化で、ハイジも酒飲みの客も、納入業者も、そして銀行も債券斡旋業者もみな、売上げ増でハッピーだった。しかし終わりがくる。もともと返せないアルコール中毒者の債務をその繁栄の基礎においていたからだ。しかし証券化によって、投資家たちはそれを知らず、カネが踊るアブナサのなかバブルが生まれ、崩壊した。尻ぬぐいは、アル中ではなく、働き者が税金で救済するというのも、なんともな話。米国の国民の怒りの一端が感じられる。


なお上記サイトで、ハイジの話を読むには登録(無料)が必要かもしれない。簡単な手続きで登録は終了するので、ネットを使われる方にはお勧めしたい。Planet Money Stories というワサビの効いた話をあれこれ読めるはず。


【森野榮一のエコノぴっくあっぷ】バックナンバーはこちら


○森野榮一氏公式ブログ

  http://a1morino.blogspot.com/



○ゲゼル研究会公式HP
  
http://www.grsj.org/  

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