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March 29, 2005

鉄格子

テーマ:POEM

tuki






輪郭の霞んだ満月の夜

人目を避けて

階段を少し下りた

閉店した地下街の入り口で

キスをした


錆びた鉄格子の向こうには

眠っている街

鉄格子の中にいるのは

本当は わたしたち

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March 12, 2005

惰眠

テーマ:POEM


昼の日差しを


横たわる腰に

カーテンの隙間から白線みたいに浴びて

週末のテレビは途中で消すまで

羨ましい

羨ましい

と呟きながら

アルミ袋の中を探り最後の一切れを口に入れる


カーテンから射す夕陽が

赤いセロファンで覆った照明に

とても似ていた

講堂の演劇部の発表でそれを浴びていた時

舞台に登場する時の台詞

太陽は

太陽は

その先が

思い出せない


いつの間にか

夕陽までも

両の瞼を抜けてゆき

惰眠だけが甘く囁く

カーテンの向こうは深い闇

暗転

暗転


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March 06, 2005

闇の扉

テーマ:POEM


扉を開ければ闇の世界


闇の扉を開けると更に大きな闇の世界

扉を開けて扉を開けて扉を開けて

ビターチョコレートのような扉が

扉を開ければ開けるほど

夥しく重なり合って

開けるだけでも重いのに

開ければ またそこは闇の世界

闇の扉は苦くとろける

あの時蹲るわたしの前を

通り過ぎた少年がぺろりと舐めて

「これは食べられるものだね」と

あっけらかんとそう言った

その言葉を思い出して

蹲ったままのわたしは

闇の扉を貪り食べる

次の足音が聞こえるまで


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March 06, 2005

孔雀の夜

テーマ:POEM


光も音も時間もない闇の中

細い銀色のリップスティックを天辺まで捻り

桜色に唇を染めて

テーブルに一つだけ置かれた

遠い月みたいに光るライチを剥いて齧る

薄紅色のサテンのドレスで横たわり

ベッドに溢れる水を掬えば

白い指先に沁みる冷たさに

あの夜の記憶が蘇る

あなたが捨てたふたりの夜が

鮮やかな孔雀の羽根になって

スローモーションで

闇の宙から舞い降りる

手を広げるわたしに降り注ぐ

青と緑の天然色の

グラデーションで

暗闇に輝きながら舞い踊る


孔雀の羽根はそれでも一つも拾えず

この胸に受け止められないまま

光のない水面に 

浮かんでは流されてゆく

劣情の金魚が一匹

紅の花弁の尾を振って

ベッドの傍をしきりに泳ぎ回り

口を何度も開けているから

水に浮かんで色褪せた

孔雀の羽根を食べさせる

記憶の水に浸されたまま

ベッドが沈む夜が訪れるまで

わたしはここで横たわり

あなたの捨てた夜たちを

こうして拾い集めては

今宵も孔雀の夢を見る






“日常妄想絵本”のKyokoさま
朱夏さんの言葉たち。 という絵を描いてくださいました。

その絵からイメージして、更に詩を書かせていただきました。
イメージのイメージ、ですね。


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March 05, 2005

東京で待ってて

テーマ:POEM



カラフルな豆電球の果実たちは電池切れ


終電は大崎止まり


東京の街はもう眠る頃


総天然色の夜もエンドロール

フューシャピンクのリップは


始発前の朝陽を浴びた新宿高層ビル

このパフューム一吹きすれば


あの春の香り

新緑の代々木公園 飛沫光る噴水の前


あなたと笑って

ひっくり返りそうになった


新宿東口ではあなたを探せない

八重洲口はいつも冷たい


銀座のサブウェイは落ち着かない

青山は出口がない


池袋なんて問題外

渋谷のハチ公口前の


階段を下りるところで

待っていてよ


あなたの知らない街で

あなたの知らない白いブーツを買ったから


春にまだ間に合うように

履いていくわ


あなたの知らない街で

あなたの知らない白いブラウスを買ったけど


あなたの知らない誰かに貝のボタンを触られたから

やめておくわ

あの時ふざけて


手相を見てあげると

あなたの手を


触ったのはわたし

その手を握り返したのはあなた


深夜のファミレスで

白色電灯が賑やかなメニューを照らす


冴えない誘惑

それがふたりにはお似合い


終点は大崎止まり

たまには気の効く山手線

東京はここよりずっと

アンテナをみんなが立てているから


お喋りな人たちの洪水から

あなたをすぐには見つけられない


だから 

渋谷のハチ公口前の


階段を下りるところで

待っていてよ


すぐに行くから

着信音もあなたが好きな曲に戻して

新幹線に乗るわ


あなたの知らない誰かなんて


わたしも知らなかったように

会いに行くわ





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