1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >> ▼ /
December 31, 2004

愛と勇気だけが友達さ

テーマ:ESSAY

「愛と勇気だけがともだちさ」は、
アンパンマンのオープニングソングの歌詞なんですが、
これは大人でも充分聞き応えのある、
むしろ大人でなければ分からないような歌詞がちりばめられています。

「何が君の幸せ? 何をして喜ぶ
分からないまま終わる そんなのは嫌だ」

という一節なのですが、
この詩が上手く出来てるなぁと思うのは
「何が君の「幸せ」=何をして喜ぶ」
という幸せの定義を最初にしてくれているところです。
いきなり幸せについて語られても、で、幸せってなんなのさ?と思うけど、
「何をして「喜ぶ」」ことこそ幸せなんだと。単純にして明確。

そして、「分からないまま「終わる」」っていうのは「人生の終わり」でもあるのかと。

つまり、幸せ(何をしたら喜べるのか)を知らないで死ぬのは嫌だと。
これが分からないまま終わる人って、結構多いのではと思います。
うちの母にも物心ついた頃から、
あなたはああしてこうすれば幸せになれる、と教わってきたわけですが、
案外、そういうステレオタイプだけでは幸せになれないものなんですよね。
人から褒められる生き方、名誉な生き方であっても、
積み重なる日々を喜べないと
多分それが「何をして喜ぶ」ことと繋がらないからじゃないかなって思います。
必死で頑張って、親や周囲の興味は一時的に引ける結果になっても、
周囲の喜びが自分の幸せに繋がらないこともあって、
どこかその褒められる何か、の先に淡々と続く毎日が虚しかったような。
わたしは学生時代までいつも、
自分より他人に褒められる生き方を取って来てしまったので、
(今はすっかりそんな生き方から、ドロップアウトしてしまいましたが)
「分からないまま終わる」怖さを知っているが故、
考えさせられてしまうのです。

ちなみに、アンパンマンのパンを分けることは、キリスト教由来だと思いますが、
一つのパンを二人で分けることは、「copan」=「友達」という意味があるそうです。

愛と勇気だけじゃなくて、パンを分けた友達がいっぱいいるんですね、
アンパンマン。それゆけ!

(2003.8.14)
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事
 もっと見る >>
December 29, 2004

リスの実

テーマ:おはなし


冬になると 


丘の上のおおきなその木には


丸くなったリスが


いっぱいいっぱいなっている

リスの木を ゆさゆさゆらすと


実ったリスがいっぱいおちてくる

リスの実を一つひろって


それから

たくさんあつめて


スカートにいっぱいのっけて

おもいおもいと


スカートの上でころころ転がしながら

おうちに帰る


たくさん取れたリスの実を


ふとんにならべると

おおきなしっぽに顔を埋めていた


リスがもぞもぞうごきだす


ひろってきたたくさんのリスたちと

いっしょにねむる


ねているときにふまないように

リスたちはすこしたかいところにならべて


ふとんをこしらえる

リスはさむいから


またリスの実にもどって

丸くなってねてしまう


窓辺にならんだリスたちは


月のひかりをあびて

すやすや寝息をたてている



春まで寝息をたてている



AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
December 29, 2004

カナリアと少女

テーマ:POEM



赤いモヘアのセーター


ショートボブの黒髪の少女

その手の中に黄色いカナリア

がらんとした空いたままの部屋の

焦げ茶色の板張りの床

少女は細い体を曲げて

白い壁に背中をつく

手の中のカナリアを眠らせようとする

白い空

木枯らし吹き込む

出窓の向こうから

パトカーのサイレン

少女は何も

思うつもりは  なかったのに

少女の手から

小さなカナリアが

羽ばたいて

窓から飛び出してゆく そのまま消える

少女は初めて  鳴き声を聞いた

白い空


その時  少女は


髪も掻き上げず

俯いたまま

思ってしまったことに

気がついた


AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
December 28, 2004

猫キック

テーマ:POEM


飽き足らない


くじらの絵を描いて呑み込む

飽き足らない

足の指をすべて伸ばして開いて

各自勝手に動くきのこみたいで

飽き足らない

電話のメモリ数字の羅列をボタン一つで全消去

飽き足らない

いつか深夜TVで見たタイのゲイのキックボクサーみたいに

首から原色の花輪下げて

しっぽの長い猫みたいに軽やかに舞って

ミニスカートの中に黒のボクサーパンツ履いて

出来れば この赤外線センサーの自動扉が開く前に

ニ三発 ハイキック お見舞いしてやりたい


いいね!した人  |  リブログ(0)
December 25, 2004

優しい森

テーマ:ESSAY


もう何年も前、わたしが大阪に住んでいた頃、


お世話になっていた某編集部の方たちと、いかにも大阪的な飲み屋さんのカウンターにずらりと並んで飲んでいた。


楽しくはしゃいでいるうちに、遅くなってアパートに帰れなくなった。

わたしは、当時良くして頂いたそこの編集部の方から紹介されて、

その夜は、そこの若い女性社員の方の一人暮らしのお部屋に泊まらせて頂くことになった。

そこはまるでその日がクリスマスのようなツリーだらけ。


テーブルや棚、至るところに、所狭しと、緑にキラキラのボールや星のモールの飾りのついたツリーばかり。

てきぱきと動く彼女から、ホテルのような使い捨てのパッケージの歯ブラシを頂戴し、洗い立てのタオルに、黒いトレーナーも貸していただいた。

「人が来た時に、その人が居心地が悪くないように
いつもお泊りグッズがあるんです」

と彼女は言った。


初対面で泊まらせて頂いたが、わたしより若いのに、

ずっと気配り上手で笑顔が優しく美しい女性だった。

だから、恋人がいないと聞いてびっくりした。

後から考えてみれば、それどころではなかったのかも知れない。

部屋の中にあるテレビや炊飯器や自転車や家具や調度品たちは、その編集部の方々の貰い物だという。

阪神大震災で家を失い、窓から会社が見える、歩いてすぐ傍のマンションに引っ越した彼女は、会社の仲間からのカンパで、部屋に必要な家財道具がどんどん持ち込まれてきたそうだ。

それにしても、何でこんなにたくさんのクリスマスツリー?


と尋ねたら

「他のプレゼントだと可愛くないこともあるけど、クリスマスツリーはみんな可愛いから。
クリスマスにはツリーが欲しいって言うんです」

と答えた。

たくさんの同僚や先輩、お友達に恵まれた彼女の部屋は、


緑、白、ピンク、金色の賑やかなツリーたち。

具体的にどんな被害があったのかは訊かなかったが、

クリスマスツリーの森の中の彼女は、けなげでまっすぐで、

郷里を一人離れて大阪に住んでいたわたしの心が温まった。

それなのに、わたしは彼女に充分なありがとうが言えず、


翌年から病気をして関東に帰り、その編集部に仕事や飲みに行くこともなくなった。

そして、文章も書かなくなった。

彼女は、今でもあの優しい森にいるのだろうか?

優しくて賑やかで人の暖かさに満ちたツリーの森に。

大阪の知らない人たちの愛情に、若かったのか、わたしは当時すぐ慣れてしまった。

楽しい時間は、失ってもまた取り返せる永遠だと錯覚するのは何故だろう。

大阪を離れる時も、お世話になったその編集部の方々に、ちゃんとありがとうも言えなかった。

今、故郷の街の乾いたツリーの間を、白いコートのポケットに手を入れながら歩く。
孤独にも慣れてきた。



ありがとう。メリークリスマス。




(2003年12月・2004年12月加筆)
いいね!した人  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >> ▼ /

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。