誠設計所長のつれづれなるままに ~長野の住宅設計知恵袋~

北信濃で住まいや学校・公共施設などの設計を手がける設計事務所の所長です。
誠設計事務所のこと、今手掛けている物件や建築への想い、日々の関心ごとをつづっています。


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天皇皇后両陛下が第67回全国植樹祭のため来県され、
6月4日、中野市(旧豊田村)にある高野辰之記念館を訪ねられました。

高野辰之記念館は、国文学者であり、文部省唱歌「ふるさと」「春の小川」「おぼろ月夜」など数々の作詞を手掛けられた高野辰之博士の業績を末永く後世に伝えるため、1990年に建設された施設。私たちにとっても思い出が多く、設計プロポーザルコンペ(複数の設計事務所から設計提案を受け、採用案を決定するもの)にてわが社が設計監理を手掛けた建物。ひと際思い入れある施設に両陛下がいらっしゃると聞いて私も足を運んだところ、施設周辺には市内外から沢山の人々が集まっており、両陛下を歓迎して手を振ったり写真に収めたり。両陛下も手を振って応えて下さり、とても嬉しいひと時でした。

両陛下は、1時間ほどかけて記念館をご見学。
寺島館長より、国文学者だった辰之先生の業績についての説明をお受けになりながら、先生の作詞された「春の小川」の歌詞などたいへん懐かしんでいらっしゃったとのこと。
両陛下がご帰館された後、館長さんにご様子をお聞きすると、
1928年(昭和3年)辰之先生が赤坂離宮にて日本歌謡の変遷について昭和天皇と香淳皇后にご説明する「ご進講」をされたことがあり、「奇しくもご進講は今日と同じ6月4日でした」とお伝えすると、笑顔でうなづいていらしたとのこと。
不思議なご縁に感激されたお話を聞き、私まで感激して嬉しくなりました。
 
記念館設計にあたり心がけたこと
(1)豊田村(現中野市)に住む人々が、故郷を大切に思い
 親しみが持てるよう景観に溶け込む伝統的デザインであること
(2)「日本の故郷」を訪ね訪れた人々が、ほっとするよう
 印象的で美しいこと
(3)自然素材でつくること
そして、旧豊田村に隣接する中野市にある、
日本のフォスターと称される作曲家の中山晋平記念館(当社設計監理担当)と合わせ、地元はもとより音楽の里として、全国各地から音楽愛好者やふるさと探しを求める多くの方々に訪れていただけるよう連携することを意図し、計画しました。
 
完成した記念館の概要
木造RC2階建て、延べ面積751㎡
越屋根付大屋根の母屋を管理空間、離れを土蔵造りの展示空間とし、瓦屋根と白壁・木造アラワシでつくる。敷地内に、小川と池を配し、ヤマモミジをシンボルツリーとし、全体に植栽を施し、木レンガの小径でアプローチをつくった。
 
両陛下が訪問されると知り、カメラを片手に駆け付けた記念館は建設当時のそのままの姿で建っていました。経年変化で風格が増し、樹木・植栽も大きく育ち、なお一層周囲に溶け込み成長しています。
今後も地域文化の宝として大切に手を加え、育ててほしいと願っています。
今日は、私たちの26年前の仕事を大勢の前にさらされた感じですが、建築に対する基本的な考え・取り組みはずっと変わらないなぁと改めて気づいた日でした。
 
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