新・世界をかける少女 EPISODE2-4 | しゅご神ブログ

新・世界をかける少女 EPISODE2-4

EPISODE2-4「襲撃!3人の守護神」


 もし、未来が見れたら―――


 あの時の悲劇だって、変えられたのかな…?



ノリ子「もし、未来が見えたら?」


駆蓮「うん…」


ノリ子「どうしたの?急にそんなこと聞いて」


駆蓮「ノリ子は、どう思う?」


ノリ子「そうだねぇ…」


 駆蓮のいきなりの質問に、ノリ子は少し考える。


ノリ子「得するなら得することをするし、損するなら、それを阻止する…みたいな?」


駆蓮「…だよね」


ノリ子「なに?はじめから答えが分かっていたような言い方」


駆蓮「そういうつもりは…」


ノリ子「そういう駆蓮はどうなの?」


駆蓮「わたし?わたしは…ノリ子と同じ」


ノリ子「なんだ、つまらない」


駆蓮「なんで!?」



 もし、未来が見れた…それに抗うべきなのか?


 この人にも聞いてみた。



翔子「あら、駆蓮」


 購買に行けば、大概遭遇する。そう考えた駆蓮は、待ち伏せをしていた。案の定、その相手、翔子が姿を現した。


翔子「めずらしいわね。あなたが、待っているなんて」


駆蓮「翔子さん、ちょっといいですか?」


翔子「ん?」



 購買で菓子パンを買い、屋上へと場所を変えた2人。そこで、駆蓮は未来について、翔子に質問した。


翔子「未来が見れたら?」


駆蓮「はい」


翔子「…ホント、面白いことを言うわね。あなた」


駆蓮「からからないでください!」


翔子「ごめん、ごめん。で、未来が見れたらって、質問ね」


駆蓮「翔子さんはどう思いますか?」


翔子「ん~…思いっきり抗ってみる」


駆蓮「えっ?」


翔子「未来が見えるというのは、絶対いいことばかりとは限らない。嫌な事だって見えるわ。だから、嫌なことに抗ってみる」


駆蓮「…」


翔子「って、ちょっと!なに?その意外だ、という顔は!」


駆蓮「いや、そんな答えが返ってくるとは、思わなかった」


翔子「悪かったわね。…で?なんで、そんな質問をしたの?」


駆蓮「…もし、そんな力があったらって思って」


翔子「………ついに目覚めたか。その力に」


駆蓮「目覚めた?どういうこと?」


翔子「…さぁね」


駆蓮「待って!」


 立ち去ろうとした翔子に、駆蓮は立ちふさがり、問いただす。


駆蓮「翔子さん、あなた、何を知っているの?」


翔子「なにって?」


駆蓮「とぼけないでください!無限の聖域とか、無限の籠手とか…なんでそのキーワードを!?」


翔子「知ってどうするの?」


駆蓮「知っているなら、教えてください。あれは一体なんなのか…」


翔子「…今あたしが言えることは、ただ1つ」


駆蓮「なんですか?」


翔子「今のあなたにはまだ早い」


駆蓮「!?」


翔子「真実が知りたいなら、やりつづけることね」


 翔子はそう告げたあと、屋上を後にした。


駆蓮「知っているんですね!?あなたは!無限の聖域のこと!そう思っていいのですね!?」


翔子「そう思っていいわよ」


 駆蓮の最後の質問にそう答えた翔子。答えを告げると同時に、完全に姿が見えなくなった。


駆蓮「…まだ早いって、どういうことよ」



翔子「…そう。あなたには、まだ早い。それに、まだ真実を告げるわけにはいかないのよ」



 未来が見える―――


 最近、駆蓮の頭の中に、突発的に見える、未来。


 学生都市のバベルにも、未来を予知するエスパーはたくさんいる。


 だが、そのエスパーたちは、あくまで、未来を“予知”する。駆蓮の場合は、未来を“見る”。確実性の違いである。



駆蓮「(なんで、急にこんなものが…)」


 いきなりのことに、駆蓮は少々戸惑っていた。急に見える未来。大概、なにか大変なことになる未来ばかり見えてくる。


 最初は疑ったが、それは段々と確実性が高いことに気づいた駆蓮。幸い、駆蓮はどの組織にも所属していないので、危険を事前に回避するよう、行動がしやすい。


 学生都市で起きた事件を駆蓮の未来を見る力で、回避している。その活躍に、バベルや警備隊はもちろん、乙女達の耳にも入ってきている。


薫「最近、駆蓮年ちゃんの活躍すごいよな」


なのは「そうだね。バベルの予知エスパー顔負けだもんね」


のぞみ「どこにでも即参上!って、感じですよね」


なのは「でも、なんでそんなことを…」


薫「駆蓮姉ちゃんも、エスパーなのかな?」


なのは「適性検査では、エスパーじゃないって、皆本さんが言っていたわ」


のぞみ「じゃあ…」


なのは「恐らく、無限の籠手の力だと思う」


 駆蓮がエスパーじゃないとするなら、考えれるのは、無限の籠手の力としか言いようがない。それ以外、思い当たる節がない。


駆蓮「ただいま」


 そんな話をしていると、ちょっと疲れ気味の駆蓮が帰ってきた。


薫「お帰り…って、どうしたんだ?」


駆蓮「ちょっと疲れた」


なのは「力の使いすぎかもね」


のぞみ「大丈夫ですか?」


駆蓮「休めば治るはずだから。それじゃ」


 休めば治る。そう言って、フラフラしながら、駆蓮は部屋に戻っていった。


のぞみ「…大丈夫でしょうか?」


なのは「本人がそう言っているから、多分…」


薫「でもさ、力の使いすぎは、身体に良くないしな」


なのは「そうだね…私と薫ちゃんは、経験ありだもんね」


薫「その点に関して、のぞみは…」


のぞみ「わ、わたし!?なんでこっち見るの!?」



~バベルの駆蓮の部屋~


駆蓮「疲れたぁ………」


 部屋に入るなり、そのままベッドに飛び込む駆蓮。相当疲れているようだ。


駆蓮「見えるのはいいけど…突発的っていうのは、ちょっとね。寝よ」


 駆蓮はそのまま眠りに付いた。




??「駆蓮!逃げろ!逃げるんだぁ!!」


駆蓮「お父さん!!お父さ―――ん!!」


 ザスッ




??「本当に残念だ」


??「この研究も、ここで打ち切りね」




??「研究はどうなんですか?」


??「娘が引き継ぐのですか?」


駆蓮「…」




??「まったく。なんでうちが、この娘を…」


??「仕方ないだろう。少しの辛抱だ」


駆蓮「…」




 夢の中で出てくるのは、あの悲劇からの日々。


 家族を奪われ、メディアに追い掛け回され、親戚には疎まれ、あちこちを転々とする生活。


 一時期は、死ぬ事だって考えた。だけど…そんなことはできなかった。


 怒られながらも、死んではいけないと、教えてくれた人がいたから。


 でも…誰だったっけ?そのことを教えてくれた人は…




 翌日―――


??「各員、現状を報告せよ」


??『Aチーム、異常なし』


??『Bチーム、異常なし』


??『Cチーム、問題ありません』


??「いよいよだな、ヴィンデル」


ヴィンデル「ああ。この前の借りを返す時がきた」


??「ですが、本当にここにいるのですか?」


ヴィンデル「間違いない。お前たちも頼りにしてるぞ。イグニート。アクエリアス」


イグニート「任せておけって」


アクエリアス「我ら兄妹も、お力をお貸しいたします」


ヴィンデル「よし…いくぞ!」




 同じ頃、まだ寝ていた駆蓮は、ある光景を見ていた。


 学生都市に、ヴィンデルと2人の新たな敵に対し、なのは、ドリーム、薫の3人が立ち向かっていた。


 しかし、新たな敵の攻撃の前に、ドリームと薫は敗れ、不意を突かれたなのはも、地面に倒れた…。



駆蓮「…なんだったの?今の」


 無限の籠手が見せたものだったのか?それとも、夢か…いずれにせよ、不愉快な夢である。


駆蓮「…ていうか、外が騒がしいわね」


 外がうるさい。祭りでもやってるの?そう思いながら、窓を開けたそのとき、目の前で、大爆発が起きた。


駆蓮「……なに?これ」


 祭りにしては、ちょっと派手すぎる演出。下を見ると、武装した集団が、町の人達を襲っていた。


駆蓮「あれは、阿修羅王国を襲った…!」


光一「駆蓮さん!いるか!?」


 事態を把握したとき、部屋に光一がやってきた。


駆蓮「なにが起きているんですか!?」


光一「わからない。だが、何者かによるテロ行為だということは、間違いない」


駆蓮「テロ行為…!?目的は、わたし…?」


光一「それより、薫を見ませんでしたか?連絡が付かなくて…」


駆蓮「連絡が付かない?」


葵『皆本はん!聞こえる!?』


 薫との連絡が取れないときかされた時、葵から通信が入った。


光一「どうした!?」


葵『薫が、親玉らしき人物を見かけたら、単独で…!』


光一「なんだと!?」


葵『それと、なのはさんや、キュアドリームも、一緒の方向に向かっていったみたいや!』


駆蓮「あの3人が一緒の方向に…?葵ちゃん!みんながどこへ向かっているか、わかる!?」


葵『駆蓮はん?せやな…方角からして、セントラルやと思う!』


駆蓮「セントラル…!」


 駆蓮はさっき見た夢を思い出す。あの3人が一緒に行動し、ヴィンデルたちと戦っている光景。よくよく思い出せば、周辺の建物は、セントラルにしかない建物だった。もしかすると…!


駆蓮「大変!!」


光一「駆蓮さん!?」


 何かを悟った駆蓮は部屋を飛び出し、ラッシュスピンを走らせた。


駆蓮「(薫ちゃん、なのはさん、ドリーム!早まらないで!!)」



~セントラル通路~


??『ターゲット、目標ポイントに接近中』


ヴィンデル「よし、そのまま誘導しろ。イグニート、そっちは?」


イグニート『超能力の小娘がついてきているぜ』


アクエリアス『こちらは、伝説の戦士が追撃してきます』


ヴィンデル「予定通りだな。では、セントラルにて迎え撃つぞ!」


 ヴィンデルは通信を切り、セントラルへ向かう。背後に、ターゲットを誘導させながら。


なのは「(あれは、鈴香が言っていた、風の守護神…どこへ行くの?)」


隊員『なのは隊長!どこまで行くつもりですか!?』


なのは「テロのリーダーを発見した。指揮は、あなたに任せるわ」


隊員『で、ですが…!』


なのは「もしもの時は、フェイトちゃんの部隊に応援を頼んで」


隊員『は、はい!』



~セントラル~


薫「くそっ!どこ行った!?」


ドリーム「見失った…」


 イグニートとアクエリアスを追いかけてきた薫とドリーム。しかし、広場に出た時、見失ってしまう。


薫「あれ?ドリーム」


ドリーム「薫ちゃん。どうしてここに?」


薫「テロの親玉らしき奴を見つけて、ここまで来たんだが…ドリームは?」


ドリーム「わたしも同じ」


なのは「あれ?2人とも…」


薫「なのは姉ちゃん!」


 そこに、ヴィンデルを追いかけてきたなのはが現れた。


ドリーム「なのはさんも、誰かを追いかけてきたんですか?」


なのは「うん。でも、見失ったわ」


ヴィンデル「いや、ここにいるぞ」


一同「!!」


 そのとき、3人の頭上から、ヴィンデルが降りてきた。


なのは「あなたは…!」


ヴィンデル「はじめましてだな、乙女達よ。我は、風の守護神ヴィンデル」


ドリーム「風の守護神…?」


薫「響子姉ちゃんの仲間…じゃないよな」


なのは「このテロ行為は、あなたの仕業?」


ヴィンデル「ふっ、いかにも」


ドリーム「あなたは何者なんですか?どうしてこんなことを…」


ヴィンデル「質問に答えるつもりはない」


薫「なら、力付くで、吐かせてやるぜ!」


ヴィンデル「できるかな?」


薫「やってやるぜ!」


 ヴィンデルの挑発によるように、薫は地面を蹴る。


ドリーム「薫ちゃん!」


なのは「…!薫ちゃん!左右から来る!!」


薫「!!」


 なのはの警告を聞き、薫は上昇する。そのとき、左右から火と水の攻撃が直撃しあった。


イグニート「よく気づいたな」


アクエリアス「外しましたね」


ドリーム「増援…!?」


なのは「3対3か…」


薫「おもしれぇ!」



~学生都市 第3地区 セントラル街通路~


駆蓮「間に合うかな…いや、間に合わせてみせる!」


 駆蓮は、第3地区からセントラルに入ろうとしたところに差し掛かっていた。


??「落ち着いてください!シェルターはこっちで…ちょっと、あなた!」


 避難誘導していた警備隊員は、逆走する駆蓮の腕を掴み、食い止めた。


駆蓮「は、放してください!」


??「この先は危険よ!なにをしにいくつもり!?」


駆蓮「行かなきゃいけないんです!行かないと、なのはさんたちが…!」


??「なのは?あなた、なのはの知り合い?」


駆蓮「なのはさんだけじゃない!薫ちゃんやドリームも危ないのよ!」


??「…あなたもしかして、斑鳩駆蓮?」


駆蓮「そうですけど…」


フェイト「そう。あなたが…。私は、第2部隊隊長のフェイト・T・ハラウオン。なのはの親友よ。事情を聞かせてもらえる?」


 駆蓮はなのはの親友と名乗る、フェイトに事情を簡潔に説明した。


フェイト「未来が見える?」


駆蓮「今までの経験上、必ず起きるものです。その中に」


フェイト「あの3人がいるというわけね」


駆蓮「はい!だから!」


フェイト「…わかった。行きなさい。なのはたちを頼んだよ」


 事情を理解したフェイトは、手にしていた杖で、駆蓮になにかの力を授けた。


フェイト「これで、早く走れるよ」


駆蓮「ありがとうございます!フェイトさん!」


 フェイトに力をもらい、駆蓮は全力で駆け抜けていった。


フェイト「セントラル3番街にいる隊員に告げる!逆走する女の子の為、道を開けて!」


隊員『どういうことですか?フェイト隊長』


フェイト「説明している暇はない!急いで!」


隊員『はっ!』



 駆蓮がセントラル通りに差し掛かった頃、セントラルでは、なのはたちが、ヴィンデルたちと激闘を繰り広げていた。


薫「こいつ、ただの敵じゃない!」


イグニート「今更気づいたか?」


ドリーム「グランゾートとも違う…この力は」


アクエリアス「そこらの敵と同じだと思わないでください」


ヴィンデル「そう!我らこそ、この世界を統べる!」


なのは「この世界を統べる…?何を言っているの?」


ヴィンデル「言ったはずだ。答えるつもりはないと!」


イグニート「アクエリアス!仕掛けるぞ!」


アクエリアス「ええ!兄さん!


 そのとき、イグニートとアクエリアスが、ドリームと薫を包囲した。


薫「なんだ!?」


ドリーム「何か来る!」


イグニート「燃え尽きろ!乙女」


アクエリアス「私たちの力、受けてみなさい!!」


イグニート・アクエリアス「ハイドロ・フレイム・パニッシャー!!」


 2人の肩パーツが開き、そこから火と水の攻撃が飛び出した。


ドリーム・薫「!!」


 ドォ―――ン


なのは「ドリーム!薫ちゃん!」


ヴィンデル「隙あり!」


なのは「しまっ…!」


 ガキンッ!


ヴィンデル「なんだと!?」


なのは「…駆蓮!?」


 隙を突かれたなのはのピンチを救ったのは、駆蓮だった。ピンチを救われたのは、なのはだけじゃない。


ドリーム「今のは…」


薫「あたしたち…助かったのか?」


駆蓮「よかった。間に合った」


ヴィンデル「貴様…駆け抜ける者!」


 駆蓮の登場に、ヴィンデルたちは、一旦距離を取る。


なのは「駆蓮、どうしてここに…」


駆蓮「説明はあとです。まずは、こいつらを片付けます!」


イグニート「ヴィンデル、あいつが」


ヴィンデル「ああ。駆け抜ける者だ」


アクエリアス「あのグローブが、もしや」


ヴィンデル「無限の籠手…?以前と形が違うようだが…」


イグニート「だが。ターゲットが自ら出てきたんだ。叩くぜ!」


なのは「(ターゲットが自ら?彼らの狙いは、駆蓮だったの?)」


薫「よしっ!反撃と行こうぜ!」


駆蓮「待って」


ドリーム「どうかしたんですか?」


駆蓮「みんなは動かないで」


なのは「えっ?」


 反撃に出ようとした一同だが、駆蓮はなのはたちに、動かないように指示を出した。


薫「なに言ってるんだよ!駆蓮姉ちゃん!」


駆蓮「わたしには、“見えている”から」


ドリーム「見えている?」


駆蓮「とにかく、ここを動かないでください」


なのは「待ちなさい!単独で勝てる相手じゃ…!」


 駆蓮はなのはの制止を振り切り、ラッシュスピンを走らせ、ヴィンデルたちに立ち向かう。


イグニート「1人出来たか!」


アクエリアス「死に急ぎたいのかしら!」


イグニート「遠慮することはねぇよな!?」


 1人で向かってくる駆蓮に対して、イグニートとアクエリアスは、火と水の砲撃を放つ。


駆蓮「見えている」


 しかし、駆蓮に、その攻撃は通用しない。ラッシュスピンで巧みに攻撃をかわし、2人に接近する。


アクエリアス「なっ…!」


イグニート「早い!


駆蓮「そこだ!」


 ガキンッ ガキンッ


 2人を捉えた駆蓮は、ヴァイブレーションソードで切り込み、鎧に亀裂を入れた。


イグニート「なにっ…!?」


アクエリアス「たった一撃で…!」


駆蓮「ヴィンデル!勝負!」


ヴィンデル「よかろう!阿修羅王国での借りを返す!」


 イグニートとアクエリアスを退け、ヴィンデルへ攻撃を仕掛ける駆蓮。ヴィンデルは風で応戦するが、駆蓮にはお見通しのように、かわされていく。


イグニート「やろう!」


アクエリアス「まだ負けたわけじゃない!」


 イグニートたちは、背後から駆蓮に攻撃を仕掛ける。だが、駆蓮はヴィンデルの攻撃を避けると同時に、イグニートたちの攻撃をもかわしてしまう。


薫「すげぇっ…」


ドリーム「3人同時に相手をしているのに…」


なのは「まったく引きを取らない。むしろ、押している!?」


 駆蓮の戦いぶりに、なのはたち3人も驚きを隠せない。数日前に、無限の籠手を手に入れた者の動きなのか?


駆蓮「(すごい!相手の動きが、手に取るように分かる!)」


ヴィンデル「このままでは…ならば、これでどうだ!?」


 ヴィンデルは、周囲に風を集め始める。なにかの技が来る前兆か。


駆蓮「竜巻による技、か。だが」


ヴィンデル「奥義!デットリーテンペスト!!」


 ヴィンデルが両手を前に突き出し、4つの竜巻が同時に繰り出された。それが1つとなり、風の竜が生まれる。


薫「んなっ!?」


ドリーム「竜!?」


なのは「駆蓮!!」


駆蓮「…無限の籠手よ。その力…無限の可能性を見せなさい!!」


 “エレメンタルドレイン・ウインド”


 籠手に『風』の文字が浮かび、デットリーテンペストを手に吸収してしまった。


一同「!!?」


駆蓮「エレメンタルドレイン…なるほど」


ヴィンデル「貴様…今何をした!?」


駆蓮「ヴィンデル、悪いけど…あなたの負けは確定したわ。今、この瞬間にね!!」


 そう宣言した時、駆蓮の腕に、風が集まり始めた。


ヴィンデル「風だと…!?まさか!」


駆蓮「無限の可能性…その身で知りなさい!」


 集まった風を纏った両手をくっつけると、1本の砲台へと姿を変えた。


一同「ほ、砲台ィ――――!?」


駆蓮「サイクロンバースト・エクストリーム!!」


 ドォ―――ン


 風を収束したキャノン砲、「サイクロンバースト・エクストリーム」は、ヴィンデルに直撃。ヴィンデルは壁にめり込まれた。


イグニート「バカな…ヴィンデルが、負けた!?」


アクエリアス「…兄さん、ここは引きましょう」


イグニート「だが!」


アクエリアス「ヴィンデルは…もうだめです」


イグニート「…ちぃっ!ここで、守護神を1人失うとは…」


駆蓮「逃げるの?」


 背を向けたイグニートに、駆蓮は砲台を向けた。


イグニート「ああ、ここは引いてやる。だが」


駆蓮「次は覚悟しておけ。でしょ?」


イグニート「…わかってるじゃねぇか。俺は、火の守護神イグニート」


アクエリアス「その妹、水野守護神アクエリアス」


イグニート「無限の籠手を持つ者よ。名前を聞いておこう」


 イグニートに名前を聞かれた駆蓮。砲台を解除し、イグニートに指差ししながら、


駆蓮「この無限の聖域を駆け抜ける者!通りすがりの来訪者よ!覚えておきなさい!!」


ドリーム「と、通りすがり…!?」


イグニート「あえて名乗らないか。よかろう」


アクエリアス「次は必ずいただきます。駆け抜ける者よ」


 名前を名乗らないことには突っ込まず、イグニートとアクエリアスは一瞬にして姿を消した。


薫「追いかける?」


なのは「ううん。今はこっちが優先だよ」


ドリーム「セントラル…ボロボロになっちゃいましたね」


 戦いが激しかったせいで、建物などが半壊状態だった。その中に、ヴィンデルの姿を見つけた駆蓮は、歩み寄る。


ヴィンデル「…見事なり、駆け抜ける者よ」


駆蓮「聞かせてもらおうわよ。わたしを狙う理由、まぁ、だいたいわかっているけど」


ヴィンデル「…なら、話すことはないな。最後に、我を打ち負かした相手の名前を聞きたい」


駆蓮「…駆蓮。斑鳩駆蓮よ」


ヴィンデル「斑鳩…?斑鳩、だと…?」


駆蓮「?」


 斑鳩という苗字を聞いた途端、ヴィンデルはなにかを悟った。


なのは「駆蓮のことを知っているの?」


ヴィンデル「なんということか…まさかな…」


薫「なにを言ってるんだ?」


ヴィンデル「駆蓮とやら…お前…あの方の…」


駆蓮「あの方?誰のこと?」


ヴィンデル「いや……まだ知るときではないか」


駆蓮「まだ…?どういうこと!?」


ヴィンデル「駆蓮…立ち止まるな。真実を知りたければ…その名のとおり…駆け抜けろ」


 その言葉を言い残し、ヴィンデルは息を引き取った。


駆蓮「ヴィンデル…」


ドリーム「…なんか、後味が悪い感じですね」


薫「だな…」


なのは「…各員、周囲の被害状況を確認。救助活動も忘れずにね」



 ヴィンデルを倒したことで、敵の襲撃を退けた。


 しかし、学生都市の被害も軽症ではすまなかった。


 そして、駆蓮の心には、1つの疑問を残していった…。



駆蓮「あの方って…一体、誰のこと…?



EPISODE2-5へ続く




次回、新・世界をかける少女

EPISODE2-5「駆蓮、学生都市追放」

世界を駆け、世界を救え