世界をかける少女 第22話 Dパート | しゅご神ブログ

世界をかける少女 第22話 Dパート

 翔子はエクステリアに、前回の結末はどうだったのかを尋ねる。すると、一同は、表情を暗くした。

「聞くか?」

「思い出すためには、いろいろ聞かなくちゃいけないんでしょ?」

………おそらく、過去最悪の結果だった」

「最悪?」

「ヴァルキュリア自信による暴走。それは、奴以上に、驚異になる存在だった」

「暴走

「以前のお前だ」

「えっ?」

 エクステリアにそう言われたとき、翔子の脳裏に、夢で見た光景が映し出された。

「まさかあの夢は

「見たようだな。なら、言うまでもないな」

「あのあと、どうなったの?」

もはや手がつけられなかった。だから私がお前を殺した」

「!!」

 その一言に、翔子は言葉を失った。


 かつての翔子の暴走をエクステリアが止めた。それで、前回の戦いは終わった。だが

「どうするんだ?彼女は、あんた達ヴァルキュリアの切り札なんだろ?このままにするつもりかよ!?」


「黙ってないでなんとか言えよ!エクステリア!」

「薫ちゃん、エクステリアさんを責めても仕方ないよ」

 エクステリアに当たる薫に、なのはが止めに入った。

「だけどよ!なのは姉、これでいいのかよ!?」

「わたしは

「一緒に戦ってきたのにこんな終わり方、ないよ


 この結末に、納得する人物は誰一人いない。みんなが翔子のために、涙を流していた。

1つだけ方法はある」

「あるの?」

「かなり長い月日が必要となるが

「もったいぶらないで、教えてください!」

ヴァルキュリアを甦らせるには、みんなの力が必要だ」

「わたし達の?」

「そうだ」



 エクステリアの説明はこうだった。

 この場にいる全員の力をヴァルキュリアに与え、ヴァルキュリアの魂を転生させ、新たに生まれてくる人間が、ヴァルキュリアとしての力を開花させる。

 各世界の乙女達は、自らの分身を作り、ヴァルキュリアとしての力を開花させる少女を見守るために、同じ世界に送り込む。

 いつ命を狙われるか分からない。いつ誰が、彼女の元にたどり着くかギャンブルの高い内容だが、これに賭けるしかない。

 こうして、新たなヴァルキュリアの覚醒を待ちながら、世界は再び分裂した



って、ことは、あたしの回りにみんなが集まってきたのは、偶然じゃなくて、最初から決まっていたことなの?」

「そういうことになる」

「あたしが、天空寺家に生まれてきたのも?」

「そこはわからなかった。だが、それを突き止めた私は、天空寺夫妻に事情を話し、お前を育ててもらった」

………ほとんど、ほったらかしていたくせに」

「お前がヴァルキュリアの魂を持って誕生し、乙女達の分身が、お前の元に次々とやってきた。そして、待つこと17年。ようやく時は来た」

「17年

「ユグドラシルが復活し、世界融合を始めた。それに対抗するには、お前の力が必要だった。だが、なにも知らないお前は、力を失った状態。だから、ヴァルキュリーパスを与え、力を取り戻す旅へと導いた」

………今までのことは、全部仕組まれたことだったんだ」

 世界をかける旅に導いた、真の理由を知った翔子は、顔をうつむかせる。

「仕組まれた、ということは

「だってそうじゃない!あたしが魂を持って生まれてきたというのは、最初からこうさせると言っていると同じじゃない!」

「翔子さん

………だったら」

「?」

「だったら、その運命とやらに、抗ってやろうじゃないの!どのみち、ユグドラシルを放っておいたら、好き勝手やりたい放題だし。そんなやつに、世界を独占させるわけにはいかないわ!」

「立ち直りが早い

「でも、それが、翔子らしいわ」

「なら、翔子。世界を解放するために、ユグドラシルと戦うぞ」

「当然よ!」

「決まりだ。今から、お前が指揮官だ」

「あたしが!?」

「そうだ。すべて、お前に任せる。皆もいいだろう?」

 翔子が指揮を取ることに、反論をする人はいなかった。

「みんな、力を貸してね」

「当然よ」

「自分たちの世界を救うためにも」

「この連鎖を断ち切るためにも」

「わたし達は、あなたと共に戦います」

「よぉし、やるわよ!目指すは、世界解放!!」

「おぉ―――!!」

(今回こそ必ずやり遂げる。すべてを終わらせるために)



 世界を救うために翔子は、乙女達と共に、ユグドラシルに戦いを挑むことにした。

 だが、ユグドラシルも決して黙っているわけではない

 翔子の旅の終着点として、最後の戦いがこれから始まろうとしていた



第23話へ続く



次回予告

「乙女達を中心とした、世界解放軍として、あたし達はユグドラシルと戦う!」

「ですが、敵もかなりの戦力を持ってますよ、お嬢様」

「どうということはないわ。みんなの力を結集すれば!」

「そうはいかないというのが、物語の約束だよ?世界を翔る少女」

「なっ!?」



次回、世界をかける少女

第23話

「世界分断作戦

 ―ファーストミッション 結界を破壊せよ!―」

「さあ、最高の戦いを始めようじゃないの!!」



「今回使用したカード」

・ヴァルキュリアの証

・デュエンスカード リフレクター