お豆腐を食べただけで

あっという間に増量した自分に

危機感を持った私は

その翌日は意識して食事量を控えめにして

夜に体重計に乗って一安心、

よしよし、じゃあ夫(英国人)が

出張から帰って来るまでこの調子で、と

夜はまた湯豆腐(お豆腐、少なめ)と

うどん半束で健康的に食事を済ませた後

何かにとりつかれたかのようにデザートとして

ポテトチップス!スムージー!

おせんべい!ポッキー!アイスクリーム!

 

・・・私はどうしてしまったのでしょうか。

 

この『夫の不在時に

適当なもので食事を済ませようとし

結果食べ過ぎ、太る』の呪い

結婚以来続いているんですが

・・・結婚式に呼び忘れた妖精が

いまだに怒っているのかしら・・・

 

 

 

 

怒っているといえば先日

車でちょっと行ったところにあるお店に

アジア系食材を買いに行ったところ

お店についたのが午前11時ちょっと過ぎ、

店長とおぼしき女性は

レジの後ろに座り込んでいて

私が挨拶をしてもじろりと睨み返すだけ。

 

このぶっきらぼうさは独特よね、と

店内をひとまわりしてから

「冷凍庫の中の物を買いたいので

冷凍庫の上に置いてある荷物を

どかしていただけますか?」

 

その冷凍庫は入り口から

入ってすぐのところにあったのですが

段ボールに梱包されたままの野菜ですとか

缶詰ですとかが上にどんと乗っていたんですよ。

 

故にお客である私は

上部の扉を開けない、という。

 

私の言葉を聞いた店主さんは

レジの後ろで舌打ちをして

(舌打ちをされたのも思えば久しぶり)

ドカドカと多分あれはワザと

足音高く近づいてくると

中国語っぽい言語で何やら言って来たので

「オーウすみません、

私は中国語喋れません(英語で)」

 

店主さんはちょっとぎょっとした後に

(一部中国人には私は『中国北部

出身者にしか見えない』らしいです)

やはり苛立ちをこめた口調の英語で

「5分くらい待ちなさいって言ったのよ!」

 

・・・5分?

 

「あら、すみません、もしかして

お宅はまだ開店準備中だったんですか!

それなら出直します!開店は何時ですか?」

 

私は心から素直にそう問いかけたのですが

店主の女性は何故か顔を歪めると

「・・・2分でいいわよ!何よアンタ!」

 

何よアンタって私はただ純粋に

冷凍庫の中の納豆が買いたいだけのお客です。

 

何だろう、私の英語も結局外国語だし、

彼女にしてみたら響きや言い回しがものすごく

嫌味っぽかったのかもしれない、或いは

彼女は今朝何か悲しいことがあって

その悲しみがこういう形で

制御不可能なまでに迸っているのかもしれない、

若い頃だったら私も反射的に態度を硬化させたり

もうこんな店に二度と来るものかと

心に決めたかもしれないけれども

大丈夫、私ももう色々経験を積んだ中年だ、

苛立ちに苛立ちを返しても生産的な結果は

なんら生まれないことは知っている。

 

そんなわけで私はお釣りを

投げてよこした彼女ににっこりと微笑んで

(お釣りを投げられたのも久しぶり、

というか人生初の経験であったかも)

「領収書貰えますか、お手数ですが」

 

彼女はどうしたものか少し怯んだ眼差しをして

無言でレジの器械を叩くと

予想通りレシートを放り投げてきました。

 

ここまで接客態度が悪いともはや愉快だな、と

笑いを噛み殺しながらお礼を言って

お財布をカバンに仕舞いお店を出ようとしたら

私の背中に向かってかの女性が呻くように

「あー・・・サンキュウ・・・?」

 

何ですかその物凄い低音の疑問のトーン

 

しかしお礼を言われて

私も嬉しくなかったわけではないので

そこはお返しに昭和の時代の

NHK教育テレビのお姉さんのような

惑いのない朗らかさで

「こちらこそありがとう(英語で)、

あー、えーと、謝々(中国語で)!」

 

レジの後ろからはその時

物凄く大きな舌打ちとため息

聞こえてきました・・・

 

客として私の態度は

何か間違っていたのでしょうか。

 

 

その後いろいろ情報を収集したところ

あの店主さんはいつもあんな態度で

有名なんだそうでございます

 

・・・本当に?

 

嫌だわ、何か気になるわ、

今度あの街に行ったら

用もなくあのお店を覗いてみたいわ

 

これは恋なのか、それとも

私は彼女の特異な集客技術に

引っかかってしまったカモなのか

 

あ、あと調べたらお店は

10時半開店だったんですって

 

・・・段ボールくらい

さっさと奥に移動させとけ

 

いや、それもできないくらいの

緊急事態が起きたとか・・・?

 

ああ、どうしよう、気になる

 

そういうことを気にする前に

連日の過食を気にしなさい

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