そんなわけで一時期の私は

『犬のお散歩ボランティア』の名目で

ちょくちょく保護犬収容施設に顔を出し

わが運命の犬を探す日々を

送っていたのでございます。

 

我ながら少女漫画的で恐縮なのですが

やはりそういう犬と巡り合えた瞬間は

私の脳天に雷撃が落ちたほどの衝撃を

感じられるものなのではないかと。

 

「この子・・・この子です、私、

この子をずっと探していました!」みたいな。

 

 

 

 

しかし人間、日常生活において

なかなかそういう

劇的な場面には巡り会わない。

 

犬のお散歩それ自体は

楽しかったんでございますけど、

いかん、これじゃそのうち

「この施設に来たら犬と散歩できる」と

己の心が満足してしまって

そもそもの目標である

『自分の犬を飼う』から遠ざかってしまう・・・!

 

またこの時期ちょうどこの施設には

多くの犬が預けられた状態になっていまして

「この間までは『譲渡先を探しています』って

犬の数はゼロだったんだけどね、

なんか今はたくさんいるんだよね」

とは同じく『お散歩ボランティア』で

毎日施設に顔を出している紳士の弁。

 

そう、とにかくたくさん

『譲渡先模索中』の犬がいるため

悠長にお散歩ボランティアなどしていては

それらの犬すべてと

面通しすることはかなわない、すなわち

なかなか出会いの回数は稼げない。

 

「君、いつもお散歩係でここに来ると

『今日まだお散歩をしていない子は

どの子ですか』って訊ねて、で、

『じゃあこの子』って受付の人に

言われた子と歩きに出るけどさ、

一度この施設のHPを見てごらんよ。

『譲渡先を探している子』一覧があるから、

そこで『あ、この犬』って子を見つけて、で、

今度はその子を指名して散歩してごらんよ。

引取り希望ならそのほうが早道だよ」

 

なるほど、それも一理ありますね。

 

ということでHPを閲覧してみた私。

 

 

・・・いかん、こんなのやっぱり

どの子もこの子も欲しくなる・・・!

 

いや、サイズや犬種的に

「この子は私には無理」ってのは

どうしたってあるんですけど、

でもねえ、そこらへんもほら、ちょっと

人間側が頑張ればねえ・・・

 

あ、これは私、危ない方向に

迷い込もうとしている、と

理性の力で自覚した私は

戦法を変えることにいたしました。

 

自分で犬を選べないなら

犬のほうから選んでもらえばいいじゃない!

 

この『引き取り手探し中』リストに

載っている犬のうち

一番長く施設で暮らしている子、

一番人気のない子

引き取ればいいじゃない!

 

そりゃ勿論『気性に問題あり』とか

『猫を見ると絶対に尻尾に

噛みつきます』とかそういう理由で

不人気な犬は残念ながら

私もお断りせざるを得ないんですけど。

 

そんなわけで私は意気揚々と

リストを頭から見直したのでありました。

 

続く。

 

 

本文中でも触れました

お散歩ボランティア紳士は

当然のごとく犬好きで

本来なら『自分の犬』を飼いたいところ

「僕の年齢を考えるとね、やっぱり

今から犬を1頭飼って最期まで面倒見ます、

とはなかなか言えなくてね。だから

ここの施設にいる犬を自分の犬のように

可愛がらせてもらっているんだよ」

 

紳士の姿を見かけると犬たちは

それぞれの個室の中で

ぴょんこぴょんこと飛び跳ね

全身で嬉しさを表していました

 

この紳士は犬好きとして

自分と犬の双方を幸せにする

見事な選択をしたのだと思います

 

ご自分の犬を

大切にしていらっしゃるあなたも

犬を大切に思うあまり

自分の犬を持てないあなたも

お帰りの前に1クリックを

人気ブログランキングへ