白黒猫、名誉挽回

テーマ:

我が家の兄弟猫

黒猫サイドスワイプ君と

白黒猫サンストリーカー君。

 

黒猫に比べ白黒猫のほうが

体はひとまわり・・・いや、

ふたまわりは大きいというのに

頭脳・胆力・勇気・腕っぷしで

白黒猫は黒猫に全く歯が立たず。

 

喧嘩をすれば勝者は必ず黒猫

・・・喧嘩といっても多くの場合

何かの拍子に気が緩んだ白黒猫が

冗談半分に黒猫にちょっかいをかけ

「ふざけるな」と一蹴されてお終い、みたいな・・・

 

 

そんな駄目猫一直線の白黒猫が

本年1度だけそのなけなしの

男気を見せたことがありました。

 

あれはまだ春前のこと。

 

ある朝、前庭のほうから

夜明け前の漆黒の闇を

切り裂くような猫の喚き声が

突然聞こえてきたのです。

 

「・・・何だありゃ?」

 

私の問いかけにわが夫(英国人)は

「どうやら猫の喧嘩のようですね」

 

「まーたサニーのアホが

サイド君に何かしたのか」

 

「でもあれ、声からすると

かなり本気の喧嘩みたいですよ」

 

そう言いながら夫は外履きに足を入れ

暗闇の中を前庭に向かって出て行きました。

 

一方私は念のため猫の寝床を確認しようと

家の一番奥の部屋を覗くと

「・・・夫!サイド君はここにいる、

室内にいるぞ!つまり喧嘩に

サイド君は関わっていないみたいだぞ!」

 

私の声にサイド君は迷惑そうな顔をしたので

「違うよ、サイド君、今の聞こえなかった?

なんか外で猫が喧嘩をしているみたいなんだ、

でも君がここにいるということは

喧嘩をしているのは誰なんだ?」

 

そこにもう一度かなり殺気立った

猫の威嚇の声が聞こえてまいりまして、

それを耳にした黒猫は

迷いなく寝床から床に飛び降り

颯爽とした足取りで出口へ、そして外へ。

 

私も慌ててその後を追い、

しかし自分の靴が近くになかったので

出口から顔だけ出して

暗がりの向こうにいるであろう夫に

「おい、サイド君がそっちに行ったぞ。

何が起きているんだいったい」

 

「どこかの猫が迷い込んできたみたいで

なんとサニー君が縄張りを

主張していたんですよ・・・あ!」

 

「『あ!』って何だ、『あ!』って!」

 

「今サイド君が来て、その姿を見るなり

迷い猫が逃げ出しました!

サイド君がその後を追って・・・

納屋のほうに行くみたいです、

僕、ちょっとついていってみますね!」

 

夫もまあ物好きなことだ、

気持ちはちょっとわかるけど、と

ドアを閉めようとしたところ

サニー君がのたのたと登場。

 

全身の毛が逆立っていて

ただでさえ太目な体が

さらに大きく見える不思議。

 

庭から家の中に入り、

ドアのところに立っていた

私の脚の間にぐっと体を落ち着けると

ものすごく恐ろしげな顔をして

これまた非常に攻撃的な唸り声を

納屋方向に向かって発する白黒猫。

 

「・・・なるほど、かつて見たことがないほど

今日の君は攻撃的で果敢だ。だがな、

そういう声は納屋のほうに行って

君の兄弟猫の隣で出してあげなさい。

助太刀は多い方がきっと嬉しいものだから」

 

しかしサニー君は繰り返し

「おらあー!やったるでえー!」的

唸り声を喉からほとばしらせるも

お尻はすっかり床の上に貼り付いていて

どうやら再び外に行く気はゼロである模様。

 

念のため私も足の先で一度

サニー君のお尻を

押し出すようにしてみたんですが

その瞬間サニー君たら

物凄く驚いた表情で私を振り返り

(『そういう冗談はやっちゃ駄目な冗談だって

小学校で習わなかったの?』みたいな)

・・・君、喧嘩に戻る気さてはゼロでしょ。

 

そこに夫が納屋から戻ってきて

「いや、面白いものを見ましたよ。

最初はそこのサニー君と

どこかの見知らぬ猫の

縄張り争いだったんですよ。

サニー君のほうがあっちより

体は大きかったんですけど

気合負けというんでしょうか、

サニー君がどれだけ唸り声をあげても

迷い猫のほうはどこ吹く風で自信満々で、

一方サニー君はもう耳なんかこう

ぴったり頭の上に伏せてしまっていて

・・・それでもサニー君は何度も

声を出して頑張っていましたよ」

 

「うむ、サニー君にしては上出来だ」

 

「でもこれは喧嘩としては明らかに

向こうに軍配が上がるな、という時に

黒猫サイドスワイプ君が登場したんです。

サイド君は唸り声一つ上げず

ただ顎をあげて堂々とその場に

歩み寄って来ただけでした、でも

その姿を見るなり怪しい迷い猫は

一目散に納屋に向かって駆け出しました」

 

「一対二じゃ分が悪い、という判断かな」

 

「どうでしょう、もしくは我が家の黒猫は

歴戦の猛者の威厳を身にまとった

凄腕の戦士であるのかもしれません。

迷い猫はすごい勢いで逃げていきましたよ」

 

「さすがサイド君だ、戦わずして勝利を得るとは

・・・対してこのサニー君はどうしたものかね」

 

白黒猫サンストリーカー君は

唸り声の間にぶふっぶふっと短く息を吐き

武者震いというのでしょうか体を震わせ

・・・うむ、見たところとても勇ましいが

何故そこで移動する先が外の納屋ではなく

家の奥の餌皿なのかね、君は。

 

用意してあった朝ご飯に鼻を突っ込むと

もぐもぐと食事を開始するサニー君。

 

 

「・・・まあ彼もサニー君にしては

今日なかなか頑張ったといえますし」

 

「そうだな、いつかみたいに

『縄張り争いに気付きませんでした』みたいな

白々しい演技をしなかっただけマシだよな」

 

そんな我々の会話を理解してか

サニー君、がつがつと餌を貪りながら

同時にまた例の物凄い喧嘩用の声

(『うらあー!どつくど、

われえー!』みたいな)をあげ

・・・君、もしかして今、興奮のあまり

自分が何をやっているのか

よくわかっていないのと違いますか。

 

外から家に戻ってきてしばらく経つのに

シッポは相変わらず

巨大ゴーヤのように太いまま。

 

 

 

 

 

・・・サニー君はサニー君なりに

本当に全力を尽くしたのだと思います・・・!

 

さて数分後、今度はサイド君が

勝者の余裕とともに凱旋帰宅。

 

そして普段は白黒猫のことを

すっかり馬鹿にしているこの黒猫が

この日は興奮に震えるサニー君を

落ち着かせようとするかのように

日中ずっとそばに寄り添い

最終的にはストーブ前で体をくっつけて

添い寝までしてあげていたのでした。

 

 

これが我が家の猫の

兄弟愛というものなのかもしれません。

 

 

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