先月マンチェスターで起きた
テロの犠牲者を追悼しまた
彼らへの支援金を集める目的で
本日これから英国時間でいうところの
６月４日（日曜日）午後７時から
『One Love Manchester』と冠された
コンサートが開催されます。
先月５月２２日、米国の人気歌手
アリアナ・グランデさんが
マンチェスターでコンサートを開き、
コンサート自体は無事に終わったものの
その終幕時を狙ってコンサート会場の外で
自爆テロ犯が事件を起こしました。
死者の数だけでも２２人。
重傷を負った人の数はそれ以上で
犠牲者の多くが子供と若人であることに
英国社会は衝撃を
受け深い悲しみに包まれました。
今日開かれるチャリティー・
コンサートに先立ってアリアナさんは
テロに巻き込まれて大怪我をした
子供達を入院先にサプライズ訪問し
ちびっこファンを狂喜させ
そんなニュースを確認してこちらも
温かい気持ちになって土曜日は就寝、
そして目が覚めたらロンドンでのテロの報。
凶行の現場となった
ロンドン橋とバラ・マーケットは
私も何度か観光に訪れている素敵な場所で
・・・あそこで！
私の愛するあそこであんなことが！
暗くなる気持ちに鞭を入れて
今朝は私、無理矢理外出してきました。
そりゃ私はひきこもり気質の持ち主ですけど
でもこういう時はあえて外に出て
「世間は今日も普段通りです」という
姿勢を示すのが市民の義務でございましょ？
（当局から『外出禁止令』が出た場合を除く）
今夜のマンチェスターのコンサートの成功を
心から祈る人々の、私もそのうちの一人です。
なおこういうチャリティー系の
イベントが開かれるたび一部からは
中傷の声が出るもので、いわく
「金目当てだ」あるいは「売名行為だ」。
しかしそうした声に負けることなく
堂々とコンサートの開催を宣言したアリアナ、
そのアリアナの声を聞いて
「あ、じゃあ自分も出演したいんだけど」と
参加意思を表明した他のアーティスト、
「よっしゃ、そういうことならチケット買うぜ」と
入場券を発売開始２０分で完売させた聴衆、
そして今夜のコンサートを会場の外から
警備する人々に私は心からの拍手を送りたい。
・・・これ、日本で
同じことが起きたらどうなるでしょう？
縁起でもない仮定かもしれませんが
人気歌手のコンサート終了時を狙って
道端で爆発があって死傷者が出て、
追悼コンサートが開かれることになって
他のアーティストも参加を表明して。
「金目当て」「売名行為」の声にも負けず
コンサート準備が進んでも、私はここで必ず
「しかし待ってほしい。当日、会場の外で
警備にあたらねばならない警察関係者の
迷惑を我々は考えるべきではないだろうか。
コンサート参加者が勇気をもって
テロ対象となるリスクを背負うのは自己責任、
しかしそこで本当に事件が起きた際には
コンサートに何の関連もない警察官が
犠牲になるかもしれない。そう考えると
コンサート開催それ自体が間接的な
加害者という立場ににならないか」という意見が
一部から出てくる気がするんです。
そこで果たして何人の人が胸を張って
「そういう考え方こそがテロリストの思うつぼ。
もう一度コンサートを開こうと開くまいと
テロリストは機会さえ得たら事件を起こす。
市民として社会として我々は暴力に屈することなく
勇気をもって日常を維持すべき。
ここでコンサートを中止したら
長期的なリスクを高めるだけです」
と強く主張できるのか。
正直申せば私自身もこういう時
『警察の方へのご迷惑』を
結構最初に考えてしまう人間なんです。
だってどうしたって
コンサート開催ということになったら
警備のためかなりの人数の動員が
なされることになるだろうし、そうなったら
マンチェスターならマンチェスターの
違う場所の警備がどうしても手薄になるでしょうし。
しかし英国人は（少なくとも表面上は）
こうした気おくれを全く見せずに
今回のコンサートを応援している様子。
私は静かに感銘を受けています。
「異国人・異文化の主張にも耳を傾けよう、
社会として共生の方向を探ろう、
しかしテロなんて手段を使う連中の
望む所だけは絶対に達成させねえ」という
この強く深い意地の力よ。
アリアナ・グランデという有名人の名を
これまで耳にしたこともなかったという
わが夫（英国人）も
「僕は彼女がどんな人か知りませんし
どんな歌をうたっているのかも知りません。
いい人なのかそうでないのかもわかりません。
でも今回彼女がコンサートを開くことには
大賛成です。テロなんかでこっちは
挫けないし負けません、ということを
明らかに示すその心意気、僕は応援します。
彼女は正しいことをやっています」
彼女のコンサート、日本時間だと
たぶんこれから深夜３時に開始です。
盛況のうちに幕を閉じ
人々が皆無事に家に帰ることを
世界中の心正しき人々が
祈っていることと思います。
先日マンチェスター出身の
好青年と話をする機会がありました
「テロに巻き込まれて亡くなってしまった
女の子が住んでいた町で僕は一時期
バイトをしていたことがあるんだよ。
とてもいい町で、住んでいる人も皆親切で、
今回の事件であの町の人たちが
どれほど悲しんでいるか想像しただけで
僕は本当に胸が痛く悲しくなるんだ。
アリアナのコンサート、成功して欲しいよね」
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