そうなんです、年末帰省

ちょっと前に出かけた南の島

太陽が素敵だっただけでなく

ゴハンもすごく美味しかったんです・・・!

 

今回の旅行、我々は

いわゆる『パッケージ』を利用しまして

つまり料金は航空運賃と宿泊費を

含んでの値段を前払いの形式で、

問題は食事の設定をどうするか。

 

『ハーフ・ボード(Half Board)』という

朝食・夕食の二食付きを選ぶか

『オール・インクルーシブ

(All Inclusive)』という朝昼夜の三食に加え

朝食時から夜11時までの飲み物も

最初から料金に含まれたプランを選ぶか。

 

「何でしょうね、僕は実はちょっと

パッケージ旅行を申し込むことそれ自体に

恥ずかしさのようなものを感じるんです、

楽をしようと手間を惜しむ、

それは堕落ではないかと。そこにさらに

三食プラス飲み物まで最初からつけちゃうと

これはもう大堕落なのではないかと・・・」

 

変なところで腰が引けているわが夫(英国人)に

「なるほど、その気持ちはわかる。

しかし見てくれ、複数の旅行代理店が

似たようなプランを出しているが、ほら、

これ、同じホテルで出発日も同じだろ。

で、こっちのプランの『オール・

インクルーシブ』料金、これな、

他の代理店が『ハーフ・ボード』の値段で

提示している金額より安いんだよ。

どういう仕組みなんだろうな?

さらにな、『ハーフ・ボード』を選ぶとするだろ?

すると夕食の時に頼む飲み物は別料金になり、

で、たまには外で昼も食べるだろ?

調べたところホテルのある地域の平均的

昼食料金と飲料代がこれくらいで、で、これを

『ハーフ・ボード』の金額に足すと完全に

『オール・インクルーシブ』より高くなるのだ。

こう見比べると『オール・インクルーシブ』

のほうがお得な感じがするのは私だけか」

 

・・・自分で思います、私、ジェイムズ君みたい・・・

 

 

 

 

「・・・明らかにお得です。何事も経験です、

『オール・インクルーシブ』を試してみましょう」

 

いや、これが大正解だったのよ、

選んでよかった『オール・インクルーシブ』。

 

プールサイドで飲み物を頼むたび

小銭を気にしないで済むこの開放感よ。

 

・・・すみません、後付の理由です、

私はそういうところで損のできない

吝嗇な人間であるだけです。

 

まあ一番よかったのはホテルの食事が

我々の事前予想の上を行く

美味しさであったところかな、と。

 

いやもう、本当にアタリだったんです。

 

朝昼晩の3食、基本はビュッフェなんですが

毎日『テーマ国』を変えて献立に反映させ、

質量ともに申し分なく、特にサラダなどの

冷菜コーナーは味だけでなく見た目も

非常に美しく毎回盛りつけられていて

・・・今は亡き祖父を私はここに

連れてきてあげたかったなあ、と。

 

「私の祖父は好きだったね、ここ、絶対に。

あの方は案外派手好みというか、こういう

賑やかな雰囲気がお嫌いじゃないんだ。

そしてこの、おお、豪華だな!豪勢だな!という

押し出しみたいなものをすごく喜ぶ方だったんだ」

 

給仕係は気が利いていて愛想もよく

ああ、聞こえる、私の耳には祖父の

「あの給仕に心付けを渡してこい、

いいか、さりげなく、でも『せんきゅう

(注:Thank you)』ってちゃんと言うんだぞ!」

の声がはっきりと聞こえる・・・!

 


見ているとお客のうち多くの方は

『毎年このホテルを利用している』様子で

(つまりリピーター率が高い)

顔見知りの接客係に会うとそういうお客は

とても嬉しそうに挨拶をして、すると

接客係は心のこもった抱擁を返し・・・

「いや、ちょっと待て。接客係というか

給仕係って普通お客を抱擁するか?」

 

「いいんじゃないですか?

英国や日本では見ない光景ですけど

ここはスペイン文化圏ですし、皆幸せそうですし」

 

ちなみに日替わりの『テーマ国』ですけど、

これが妙に緻密かつ大雑把で

ある日選ばれたのは『スイス』。

 

「スイス料理って何だ。ああ、あれか、

チーズフォンデュか。いや、待てよ、

チーズフォンデュをどう配膳するんだ?」

 

「フォンデュは手間がかかりそうですからね、

チーズ卓が充実するんじゃないですか」

 

その日の夕食にはフォンデュも

特配チーズもなかったのですが

夫によれば妙にデザートケーキの種類が

豊富になっていたそうでございます

・・・スイス・キュイジーヌの肝は製菓なの?

 

確かその翌日が『イタリア』、翌々日が『メキシコ』

(メインの料理だけでなく毎日出る

『つけあわせの野菜煮』の味付けが

テーマ国に合わせて少し変えられていたり

小技が効いているところがまたニクイ)、

「なんだか楽しくなってきたな。

アジアの国が選ばれる日もあるのかな」

 

「『日本』だったらやはりお寿司ですかね」

 

・・・ある朝食堂に向かってみると

入り口に堂々と中国国旗が掲げられていて

「ああ、今日は中華の日か。素晴らしい、

中華料理にはずれなし、だ」

 

「いや、妻ちゃん、よく見てください」

 

中国国旗の下に

書かれていたのは『アジア』の文字。

 

・・・いいけど、いいんですけど、

まあね、日本だってヨーロッパ各国の

料理をまとめて『洋食』って総称しますし。

 

その日の夕食には当然

八宝菜やインドネシア風サテに並んで

お寿司が出ました。

 

日本のお店で海原先生にお出ししたら

「店主を呼べいっ!」

ってなりそうな出来ではありましたけど

でもここは欧州文化圏の南の島、

この心意気を楽しむのが正解です!

 

・・・私はとても楽しかったです。

 

『ゴハンが楽しい』って大事よねえ・・・

 

なお、我々の周囲でこれまで

『オール・インクルーシブ』の

バカンスに出かけた人は全員

例外なく増量して帰国していたので

私と夫はそこらへん非常に気を付け

毎回食事に行く前に

「今日はメイン料理だけで我慢しような」

とお互いに声を掛け合っていたんですけど

私はどうしてもあの美々しい

前菜コーナーの誘惑に打ち勝つことが出来ず

一方夫はデザート及び

アイスクリーム・コーナーで

夕食のたびに大敗を喫しておりました。

 

負けて悔いなし、でございます。

 

 

ホテルの建つ海沿いの道には

レストランやカフェも並んでいたのですが

『ギネス生あります』とか

『本場アイルランド料理はここ』とか

『オーストラリアが恋しい人いらっしゃい』とか

『プレミアリーグ生中継』とか

『ベルギービールとベルギーの

一部リーグ試合中継あり』とかの

あの看板類は何なんだ

 

「そういうものが恋しいならば

無理して飛行機に乗って

遠出せんでもいいじゃないか。

ビールと料理はまだわからんでもないが

わざわざ異国の地の自国風パブで

サッカー中継を観る意味とは何だ」

 

 

 

 

 

 

「それだけサッカーが大事なんでしょうね、

ああいう人たちにとっては」

 

・・・夢中になれるものがある、というのは

悪いことではないと思います、はい

 

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