集団的自衛権を含む法的基盤見直しに関する提言書が安保法制墾から総理に提出され、政府与党内での議論がキックオフする。

一方、我々が忘れてはいけないのは、西沙諸島での中越間の公船同士の衝突に見られるように、中国の南シナ海における「攻撃的な挑発行為」がエスカレートしていることだ!

中国の比越との軍事力格差を背景とした南シナ海での覇権的膨張活動は止まらない。西沙諸島だけではない。比と係争中の中沙諸島のスカボロー礁では、岩礁の上に構造物建設を始める等既成事実を積み重ねている他、南沙諸島のジョンソン南礁では大量の土砂を運び込み滑走路を建設中という。

「南シナ海で起きたことは、東シナ海でも起きる」、海は繋がっている、他山の石であってはいけない。

中国による西沙諸島近くでの石油の採掘開始は、時期的には、オバマ大統領のアジア歴訪直後であり、オバマ大統領が中国を意識して表明した「リバランス政策」を受け、それへの反発や米国の出方をうかがっている感じもする。

また、越との境界が定まっていない海域での中国による一方的な石油採掘は、今回が初めてであり、その移動式採掘装置(リグ)を衛るために、80隻程度の護衛船舶が展開しており、越側の発表では、その中に軍艦や戦闘機も含まれているようだ。

越も35隻程度を派遣し、中国の一方的な石油採掘を止めようとしたが、逆に中国は、中国公船による放水や障害物の設置だけでなく、直接船をぶつける等の妨害行為をエスカレートさせ、越側には負傷者も出ているという。

お互いの主張が異なる排他的経済水域(EEZ)内で、海底資源をめぐる公船同士の衝突は、国際法的にはかなりグレーな部分でもあります。ただ、間違いなくステージは一段上がった感じがします。

南シナ海は日本にとっても重要なシーレーンであり、南シナ海の安定や航行の自由は、日本にとって死活的に重要です。

安倍総理は「積極的平和主義」を唱え、積極的外交を展開しているが、厳しさを増す安全保障環境を考えれば、一国平和主義では守れません。それは南シナ海も同じです。

今般、安倍総理の主導する法的基盤の整備でも総理が強調しているように、国の独立、主権、領土、国民の命を守る上で、必要な法整備も行うし、自衛隊・海保の態勢の整備、新防衛装備三原則によるアセアンへの巡視船提供等、行うべきことをしっかり行うことが必要です。

これまで以上の積極的な責任の遂行が求められると思います。 米国、豪州とも連携しながらアセアンを支援すべきです。

中国の力を背景とした現状変更を許してはいけません。不法行為を許してはいけません。

繰り返します。一国平和主義では、守るべきものを守り抜くことは出来ません。