私は当初、石橋真幸の応援に駆けつけるつもりであったが、
奇しくも一週間後のホーストカップに出場が決まっていたので、
生で見届けることを断念した。
速報は現地の名古屋JKフィットネスチーフ竹村健二と、
変態顧問税理士の上杉氏に任せ、
私は居間でツイッターのタイムラインを3秒に1回リロードした。
それはそうと、私は2004年に関根勤氏から

「佐藤嘉洋は3秒に1回攻撃する男」

と命名されている。
それは今でも変わらないのである。
ひょっとしたら夜のベッドでもそうかもしれない。

リロードしまくっていると、変態税理士のつぶやきがあった。

「3ー0で石橋勝利!あ、ちょっとウルっときた(T_T) よかったなぁー!」


私は居間で涙腺崩壊である。
「よしっ!!」と大声でガッツポーズをした。
ツイッターのタイムライン、Facebookでは復帰戦を勝利で飾った石橋にお祝いのメッセージが数多く届いた。
そして、それを見た試合後の石橋はこう呟いた。

「皆のツイート見てるとホントによかったと。
やっててよかったと。
ありがとう。
一人ではこれなかった。」


会長がもし、あのときプロの欄から「石橋真幸」の名札を取って、
練習生の所にそれを移動していたら……。
会場やSNSで石橋を気にかけて声をかけてくれるファンや関係者がいなかったら……。
そして、一番近くで彼を支えた身内の励ましがなかったら……
今の石橋はいなかったかもしれない。

石橋真幸よ。名古屋のスピードスターよ。
アゴが折れても、右足が「グニャリ」とへし折れても、
よくぞリングに帰って来た。
でも、これは決して奇跡の復活なんかじゃない。
自身の不撓不屈の精神力を持ってして、
一旦は折れた心をもう一度繋ぎ合わせて実現した、

執念の復活劇

なのだ!!

仏教では執着・執念を「不要」とする節がある。
だが、私は思う。

執着は素晴らしい。執念は素晴らしい。

「悟り」なんぞクソ食らえ、である。
「欲」よ、どんと来い、である。

ソチオリンピックで感動のストーリーを紡いだ日本人選手にも、
心は確かに震わされた。
しかし、

この艱難辛苦に耐え、

自分の存在に自問自答し、

執着と執念の固まりと化してリングに上がり、

しかも勝利して執念の復活劇を演じた石橋真幸の方が、


私にとってはよっぽど、
明日への活力をもらえたんだ。


終わり



エピローグ

時は遡って、2012年の荒くれた合同忘年会の翌日。
泥酔した石橋と会長は何を話していたのか気になったので聞いてみた。

「ああ、石橋が『本当はまだやりたい』って言うもんだからさ。
別にオレは、オマエが引退したなんてこれっぽっちも思ってないよ、って伝えたんだ。
オマエが勝手に辞めるって言っただけだろ。
オレはオマエの引退なんか認めてないから、

やりたきゃやればいいんじゃない?

って」

そして、会長は自信満々にこう言い切った。

「オレはアイツがまだやれるって、最初からわかってたよ。
だって目が死んでなかったから」


石橋真幸、執念の復活劇①
石橋真幸、執念の復活劇②
石橋真幸、執念の復活劇③
石橋真幸、執念の復活劇④
石橋真幸、執念の復活劇⑤
石橋真幸、執念の復活劇⑥

明るく生こまい
佐藤嘉洋

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試合直前情報
公開練習&インタビュー動画


2014年3月23日(日)
名古屋国際会議場イベントホール
セミファイナル第10試合
佐藤嘉洋vsペットマンコン
開始15:00 
大会終了予定19:00
私は多分18時以降?

VIP席40,000円(打ち上げパーテイー・パンフレットつき)
SRS席20,000円
RS席13,000円
S席7,000円
A席5,000円

佐藤嘉洋応援シート締め切りました!!
それなりのご応募ありがとうございました!!
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佐藤嘉洋が講談社から作家デビュー。
処女作
『悩める男子に捧げる 1001のローキック』
販売中。
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