2009年01月22日(木) 00時44分12秒

「僕の好きな人がよく眠れますように」 中村航 2009-007

テーマ:--中村航
中村航氏「僕の好きな人がよく眠れますように」読了しました。

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僕の好きな人が、よく眠れますように/中村 航
¥1,470
Amazon.co.jp
出版元
角川書店
初版刊行年月
2008/10
著者/編者
中村航
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「好きになることとは、こんなにも巨大なことだったのか」北海道から僕の通う大学院にやってきた、魅力的なゲスト研究員。だが、彼女はすでに既婚者だった…。やがてどうしようもなく抑えられない二人の恋の行方は―<<Amazonより抜粋>>



なんといいましょうか。
最近の中村航氏の作品の中では、極めて純度の高い作品なのでしょう。

ここでいう純度というのは、「恋愛」度ということなので、困ったものです。

決して嫌味には思いません。
他の作家さんの「甘い恋愛小説」よりは、十分読めます。

それだけ文体やら語り口やらが、個人的には合っているからです。

でもですね。ここまで純度が高いとちょっとヒキマス

この本は圧倒的に、同じような境遇にあるカップルにオススメであり、そんな境遇にない方々にはオススメできない本なのです。(念のため補足しますが、私は十分幸せです)

ただ、この物語の最大にして、最高のサプライズは、あの「キド」が再登場している点。
これは、諸手を挙げて喜んでしまいました。

「キド」は、ここでも、戦っていました。
良いです。
良いアニキです。

次がありそうなラストも好みではありました。
もちろんキドの活躍を願っております。

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2008年02月15日(金) 22時54分39秒

「あなたがここにいて欲しい」 中村航 2008-021

テーマ:--中村航
中村航氏「あなたがここにいて欲しい」読了しました。

個人的に、”唯一の恋愛モノを良しとする男性作家”といっても良いかもしれませんね。
なかなかにして良本。

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中村 航
あなたがここにいて欲しい
出版元
祥伝社
初版刊行年月
2007/09
著者/編者
中村航
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:5点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
懐かしいあの日々、温かな友情、ゆっくりと育む恋―僕は、守り続けなきゃならない。『100回泣くこと』の中村航が贈る、静かで優しい物語。<<紀伊国屋Bookweb>>



3篇の中篇が所収されております。
そのうち「ハミングライフ」は「LOVE or LIKE」  で既読です。

それぞれにちょっとずつ感想を。


『あなたがここにいて欲しい』

「吉田くん」の物語です。
三人称で主人公が「くん」づけってのも新鮮でしたし、なによりとても効果的だなと思いました。
吉田くんと友達の又野くんと舞子さんの物語なのですが、「吉田くん」と2人の距離感・空気感が秀逸。
もう一度、ゆっくり読みたい作品です。
ちなみに、吉田くんと舞子さんの話は、いわゆる「恋愛モノ」なのですが、こちらでもコメント し、前述したとおり、恋個人的にこの手のは苦手なのですが、氏の作品は良いなと思います。

○又野くんの持論(引用)
「世の中には、ヤンキーとファンシーと文明人しかいないんだよ」


『男子五編』

もともとはいくつかのエピソード(短編)だったものを再構成し、「小」「中」「高」「大」「浪」とエクストラエピソード「今」という形にしています。
ちなみに「小」から「大」は後ろに「学生」がつきます。
男性諸君なら「アルアル」と思わず言ってしまいそうな、数々のエピソードと「今」の世界三大美徳に惚れました。

○三大美徳(引用)
「礼儀」「仲良し」「もう一つを探し続けること」。

いいなぁ・・・


『ハミングライフ』

前述にあるとおり、再読なのですが、やっぱりほのぼのとして、やっぱり空気感が抜群で、どうでも良いような男女のやりとりってのがとても爽やかです。
女性目線の物語なのですが、何故かそれを意識させない物語。
「ゆっくりと育まれるもの」
こういう流れが個人的に好きなんでしょうかね?

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2007年12月19日(水) 22時51分55秒

「星空放送局」 中村航 絵・宮尾和孝 2007-147

テーマ:--中村航
中村航氏 絵・宮尾和孝氏の「星空放送局」読了(鑑賞?)しました。

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中村 航, 宮尾 和孝
星空放送局
出版元
小学館
初版刊行年月
2007/11
著者/編者
中村航 絵・宮尾和孝
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
手紙・月・星をそれぞれモチーフにした3話構成のイラスト+ショートストーリーです。共通している部分は、「祈り」=「願い」をこちら側から向こう側へ届ける、というピュアな思いです。<<Amazonより抜粋>>



中村氏のハードカバーではお馴染みの宮尾和孝氏のイラストと3編のショートストーリーが所収されております。

「大人の絵本」などと、使い古された感じのする言い回しになってしまいますが、本作はまさしく「絵本」には違いありません。

イラストが良いですね。
ほのぼのとします。

そして文章もしっくりきます。

第1話「出さない手紙」⇒第2話「カラスは月へ」⇒そして第3話「星空放送局」とちゃんと繋がっています。
しかも既出の中村航作品のキャラクターもちょっとずつ出ています。
ヨシモクとか。
このあたりの「サービス精神」も良いです。

できれば、初期の中村氏の作品を読み、そして本書を読み、もう一度、今度は挿絵をじっくりご覧になりながら、本書を読むと、随分と贅沢に楽しめます。

そして、なんとなく暖かくなったりもします。
冬にオススメの一冊ですね

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2007年04月29日(日) 15時30分16秒

「絶対、最強の恋のうた」 中村航 2007-052

テーマ:--中村航
「絶対、最強の恋のうた」読了しました。
こちらをもって中村航氏の既刊分を読破いたしました。

この空気感、良いですね。

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中村 航
絶対、最強の恋のうた

出版元
小学館
初版刊行年月
2006/11
著者/編者
中村航
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:5点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
社会科教師のおでこのテカリ占いをしては大受けしていた陽気でマシンガンな中学時代からクールで一目置かれる弓道部員の高校時代を経て、大学生になった私がしたことは、恋をすることだった。遠くの的を見抜く力のおかげで視力が2.0以上になっていた私はその年の秋、キャンバスで遙か遠くから歩いてくる同じ学年の男の子に「今度は的じゃなくて、別のものを射抜くことにしたんです。例えば男子とか」と笑いかけていた。怖いくらい、好きになる。それでもいいと思った。最強の恋愛小説。 <<Amazonより抜粋>>


ILOVEYOUというアンソロジーを以前読みました が、そこに所収されていたのが氏の「突き抜けろ」。

この「突き抜けろ」という短編がなんとも良くて、以来、中村氏が、借り出し常連さんとなったといういきさつがあるのですが、既刊の最後のこの作品がその「突き抜けろ」の世界であったのは、なんとも喜ばしい限りです。

ということで、がっつりした恋愛モノはあまり好きではないのですが、この本は良いですね。
どうしても美味しいと思えない素材(恋愛モノ)を、ちゃんと調理(中村航テイスト)してみたら意外においしかったといった感じです。

5つの章に分かれていて、1・2章が彼氏「大野」目線(2章が「突き抜けろ」)、3・4章が彼女目線、そして最終章が彼氏の友達である「坂本」目線。
時間軸としては1・2章と3・4章が同時間軸(若干、3・4章が広いところはありますが)、5章が後日談の体裁になっております。

全体の行き渡る空気感が良いです。
氏の作品に見られる、勢いはあるけれど、気負うことなく過ごしていく感が全面に押し出されております。
簡単に言ってしまえばそれだけなのですけれど、これはこれで相当のテクニックだったりします。
なんせ恋愛がテーマ(しかも十代)なのですから、そりゃ、本来であればじたばた・どたばたするのでしょうけど、極めて淡々とそれでいて、しっかり描ききっているのは、凄いですね。

で、これ以上に気に入ったのは、「本書最上級の脇役」である「木戸」の存在。
第1章以外のすべての章に存在し、文字数以上に存在しちゃいます。
違った見方で本作を見てみると、この物語は「木戸」のためにあるといっても過言ではないくらいです。
先の食事の例で言えば、相当美味しいソースのような存在ですね。
ソースだけでご飯が食べちゃえるくらい良いです。

この存在感は、伊坂幸太郎氏の「チルドレン」でいうところの「陣内」レベルなわけですが、比して、相当ダメでどうしようもないオトコなのです。
そのキャラクター自体が愛される存在であると同時に、ヘタをすると同性が憧れてしまう存在であると思うのです。
だから、坂本の気持ちがよく分ります。

「肉にキープはない」
「礼儀は世界三大美徳の一つ」
「どんな筋肉だろうが、棒にはかなわない」
「鍋は、最高の調理法」


数々の名言を生み出した、相当なダメオトコの木戸。
木戸に逢うことができたことだけでも、これはオススメです。

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2007年02月14日(水) 01時43分01秒

「ぐるぐるまわるすべり台」 中村航 2007-021

テーマ:--中村航
2007年に追ってみようと思う作家さんの一人、中村航氏。
そんな中村氏の「始まりの三部作」の完結編、「ぐるぐるまわるすべり台」読了しました。

ちなみにあんまり刊行数がないもんで、そろそろ既刊コンプリートです。

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中村 航
ぐるぐるまわるすべり台
出版元
文春文庫
初版刊行年月
2004/06
著者/編者
中村航
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。“熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集”そんなうたい文句に集まったロックな面々。ボーカル志望の中浜に自らの分身を見た瞬間、僕の中で新たな物語が始まった。カップリング作「月に吠える」も収録。<<Amazonより抜粋>>



相変わらずの中村節炸裂。
肩の力を抜いて読み進めると、ちょっとだけ”ぐっと”くる作品です。

この「ちょっとだけ」ってのが加減良い感じですね。

始まりの3部作の3作目。
黄金比ではじまる物語。

主人公「僕」は、何かを始めるために「大学を退学」し、何かを始めるために「塾の講師」を続け、何かを始めるために「バンドメンバーを募集」します。
この辺りの雰囲気は、「何かを始めるために、何から始めれば良いか?」という、ちょっとした矛盾に近いことを模索する青年の世代ならではの悩みがあります。
そういえば、シチュエーションは違えど、似たような悩みを、やはり大学時代に感じていたな~と感慨深くなりました。

バンドメンバーが集まっていくところは、古き良き青春物語のようです(でも媒体は携帯サイト)。
そういえば昔、ちょっとしたバンドをやっていたもんで、この辺りの高揚感みたいのも、とても親近感があったりします。

塾の講師である「僕」の教え子である「ヨシモク」は典型的な”知ったかぶりキャラ”であり、実は相当面倒な奴なのですが、そこを許せる包容力のある主人公に、(こいつは本当に19歳か?)と思いました。

ラストシーンは、なんだか切り取って絵にでもできるようなシーンでした。
屋上から見る何かに切り取られた夕焼け。
最近、私自身がこういった何気ない風景とかに感化されやすい年頃になったので、(きれいなんだろうな~)と思いをはせつつ、やっぱり(私が最近、そういった風景に感化される年頃になったのに、こいつはやっぱり19歳なのか~)と思わざるを得ませんでした。

全体に流れる「自然体」な文体がとても好印象な作品でした。

タイトルの作品と同時に所収されている「月に吠える」は、同じ世界観の「ぐるぐる」よりちょっと前の話。
狛犬(仮)のギターの「てつろー」とドラムスの「千葉」が出会った頃の話であり、ちょっとボーナストラック的作品です。
こちらもQCサークルとかグループディスカッションのある講義など、社会人にはわかりやすいモチーフを利用して、「うんうん、あるある」と納得しちゃいます。
こいつらも何かを始めようとしているといった具合ですね。

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2007年01月26日(金) 21時49分10秒

「夏休み」 中村航 2007-013

テーマ:--中村航
注目の作家さんである中村氏の読書数でいうところの3冊目、著者の本としてはデビュー作「リレキショ」につづく2作目である「夏休み」を読了しました。

著者の表現する物語の”温度感”というものにマッチしてる自分を見つけました。

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中村 航
夏休み
出版元
河出書房新社
初版刊行年月
2003/06
著者/編者
中村航
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「十日間ほど留守にします。必ず戻ります」。吉田くんの家出がきっかけで訪れた二組のカップルの危機?!ユキと舞子さんの書き置きに導かれて、僕と吉田くんのひと夏の不思議な旅が辿り着く場所は―キュートで爽やか、心にじんわりしみるとびっきりの物語。 <<Amazonより抜粋>>



(20年も昔の話ですが、)村上春樹氏が読書デビューであった私にとっては、この文体は、”ばっちり”でございます。
ストーリー性とか、その展開とか、盛り上がりとか、いろいろと評されていたりするようですが、ま、文体というか温度感だけで、「これはこれで、いいんじゃない」という作品があったりするのです。
個人的に。

(ここからは、村上氏の小説を読了されているかたのみに伝わる表現なのですが)
具体的には、初期から中期のころの村上春樹氏の短編に近い温度感があります。
例えば、それは「カンガルー日和」の一編だったりしますし、羊男が出てきちゃうシリーズだったりします。

物語はとてもシンプルで、
”妻の友人の旦那が無断で家出をしたので、それを残された3人で探しに行ってみよう。”
ということなのですが、物語全体は、決してあたふたせず、暖かい春の日差しのような「ぽかぽか気分」で進みます。
それぞれがそれなりに個性の強い登場人物であり、それぞれが接触することで、起こるささいな摩擦のような会話があるのですが、それがまたとても機転の利いた会話だったりして、しつこいようですが、村上春樹氏の小説を読まれている方にとっては、「そうそう、この温度感よね」と思うわけです。

『この温度感ではじまり、(実はいろいろあるんですが、)この温度感をキープして終わる。』

『(個人的には)上質の雰囲気小説』。

これで良いと思います。

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2007年01月13日(土) 22時14分05秒

「100回泣くこと」 中村航 2007-008

テーマ:--中村航
個人的に「2007年に追いかけたい作家」 の一人である中村航氏の「100回泣くこと」読了しました。

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中村 航
100回泣くこと
出版元
小学館
初版刊行年月
2005/12
著者/編者
中村航
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだったのだ。4年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げた。彼女は、1年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。愛犬→バイク修理→プロポーズ??。幸せの連続線」はこのままどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた。精緻にしてキュート、清冽で伸びやか。今、最注目の野間文芸新人賞作家が放つ恋愛長編。 <<Amazonより抜粋>>


「僕」の一人称で4章からなる物語が語られていきます。

■1章「ブックとバイク」
実家の飼い犬「ブック」が死にそうであり、「ブック」に逢うためにバイクを修理し、4年ぶりに犬に逢いに行くまで。
■2章「スケッチブック」
付き合っている彼女にプロポーズをし、練習のために同棲をはじめ、いろいろあるけど、幸せな日々を過ごしているまで。
■3章「開かない箱」
幸せの生活の中、彼女が体調をくずし、精密検査の結果、癌であることが発覚。その後、過酷な治療を施していくが、あえなく彼女が亡くなってしまうまで。
■4章「箱の中身」
彼女が亡くなって100日。ブックが死に、そろそろ復調するという僕の誓いまで。

タイトルの「100日泣くこと」は、具体的には3章と4章の間の100日を指しています。

正直、悪く言えばベタな展開であったりもしますが、非常に辛く悲しい物語であり、それをとても丁寧に描いてると感じました。

この「丁寧」を言い換えると、正しい表現ではありませんが、「品質の高い作品」。
丁寧に紡がれた、品質の高い文章は、とても好印象であり、さすが(個人的に)「2007年に追いかけたい作家」の一人であったりします。

そしてストーリ。
個人的に、この手の物語には弱く、弱いことを理解しているからこそ、”傍観者”としてのスタンスを取って読んでしまいます。
ですが、主人公は、「基本的に人にやさしい」≒(「人として脆い」)ことがあって、その辺りに共感が持ててしまい、結果、とっても辛い物語であることを感じてしました。

・・・しみじみ・・・

さて、3章・4章の物語もさながら、個人的に秀逸と思ったのは第1章の「ブックとバイク」。
物語全体としては、序文といっても良いのですが、この導入部だけで、十分物語としての品質を確認することができました。
これだけが別の短編集にあったりしても相当評価が高かったと思います。
どれだけ、良いかは、是非手にとってお読みください。
ばるばるばるばる。

ちなみに1章で登場するガソリンスタンドの加藤さんは、「リレキショ」の半沢良の先輩加藤さんだったりします。実際。

ということで、もう一度読み返したくなる作品の一つであると思います。
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2007年01月07日(日) 00時39分07秒

「リレキショ」 中村航 2007-004

テーマ:--中村航
こちら の読前感想で「エソラ 」で見つけた作家さんなどと記述してしまいましたが、実はこちら のアンソロジー「ILOVEYOU」で見つけた作家さんでした。
お詫びして訂正します。
で、やっぱり、「ILOVEYOU」に所収されていた「突き抜けろ」に近い作品で、好印象。

ということで、第39回文藝賞受賞作、中村航「リレキショ」読了いたしました。

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中村 航
リレキショ
出版元
河出文庫
初版刊行年月
2002/12
著者/編者
中村航
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
「弟と暮らすのが夢だったの」という姉さんに拾われて、彼女の弟となった19歳の「僕」。新しい名前は「半沢良」。面接用に書いた「半沢良」の履歴書に、物足りなさを感じた「僕」は、真っ白な紙にもうひとつの「リレキショ」を書き上げる。免許・資格は「どこでもいける切符」。趣味・特技は「護身術」と「アイロンがけ」。無事、深夜のガソリンスタンドで働くことになった「僕」は、ある日、1通のラブレターを受け取る…。<<Amazonより抜粋>>


「僕」の一人称とウルシバラから僕宛の手紙で構成されています。

第一にシチュエーションが良いですね。
過去を失くして「半沢良」として生活することとなる僕。
その「僕」を取り巻く「姉」、「山崎さん」、「ウルシバラ」の女性3名。

物語は、あまりあり得ないシチュエーションを、あまりにも淡々と極々普通の生活のように描いております。

初期村上春樹氏の作品にも近い作風ですが、主人公の僕には、村上氏の「僕」より、少し血が通っているといった印象を受けました。

ストーリそのものも相当印象深いのですが、加えて印象深かったのは僕自身の姿です。
それは、護身術を覚える姿であり、深夜のガソリンスタンドで丁寧に仕事をする姿、山崎さんからもらった自転車「どこにでもいける切符2」(略して「どこ2」)を整備する姿、そしてウルシバラからの手紙を貰ったときの姿であったりします。
これら姿は、非常にリアリティーがあり、また、どこにでもありがちな気持ちの良い”青年の姿”なわけですが、物語の根底にあるのは、”どこにもいく事のできない閉塞感からの自由”であり、読んでいて羨ましくなる姿なわけです。
そんな「僕」自身が、あまり気負うことなく流れに身を任せながら、それでいて確固たるものを隠している雰囲気も個人的にはマッチしました。
この辺りは、作者の筆致によるところも大きく、期待の持てる作家さんだと思いました。

そんなこんなで、物語冒頭に姉が語る
「大切なのは意志と勇気。それだけで大抵のことは上手くいく」
というコメントは、相当の重みのある言葉でありながら、このような流れの中では、読み手にすっと入り込んでくるのでありました。

ちなみに「どうして半沢良は、半沢良となったのか?」といった物語のそれなりに本質に近いところの疑問には一切答えてくれません。
ただ、読み終わってみて、この疑問自体が所詮過去のことであり、そこに物語のメッセージがないことに気がついてしまえば、それほど気にはなりません。

ということで、2007年は、中村航氏を追ってみたりしようかと思う今日この頃。

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