2009年05月31日(日) 21時52分30秒

「チェーン・ポイズン」 本多孝好 2009-043

テーマ:--本多孝好
本多孝好氏「チェーン・ポイズン」読了しました。
久々の「やられました」感たっぷりの作品です。

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チェーン・ポイズン/本多 孝好
¥1,680
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2008/11
著者/編者
本多孝好
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:5点 
装丁:3点

あらすじ
誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた―。新境地を開いた驚愕のミステリー。 <<Amazonより抜粋>>



4年前にイニシエーション・ラブ という作品を読み、相当衝撃を受けたのですが、それに類する衝撃でした。
物語そのものがショッキングなのではありません。
もちろん物語自体が平坦なわけでもありません。

ただ、ここで書けない仕掛けがあるのです。
そもそも「仕掛けがある」という表現を使ってしまう事自体驚きが半減しちゃいますから、黙って読んでもらって良いのです。
ちなみに以下感想にネタバレはありません。



ストーリはあらすじのとおりです。
物語は大きく2つに構成されています。
1つはあらすじにある、自殺することを1年後まで待ち続ける女の物語
2つは時間軸を未来にし、自殺してしまった女に不審な点を感じ、調査を進める記者の男の物語。

1つ目の物語に、2つ目の物語が挟み込まれるようになりますので、自ずと焦点は「自殺してしまった女は誰によってどのように死んでしまったか」ということです。
この焦点は、2つ目の物語で「解かれる事」を期待し、1つ目の物語の「ラストそのもの」なのです。

で、読み進めていきます。
それぞれの物語はきっちりと展開し、だらだらとしたところはありません。

そして、終盤に、世界がぐにゃりとするのです。
ぐにゃりです。

うまいな~と思いました。

今までの本多作品にないトーンです。
そして、この構成には脱帽です。

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2007年08月01日(水) 21時40分54秒

「正義のミカタ ~I'm Loser~」 本多孝好 2007-087

テーマ:--本多孝好
本多孝好氏の最新刊「正義のミカタ」読了しました。
今までの作風とはちょっと違った感じですが、どことなく「本多作品」ってところが良かったです。

うん、これは、よかった。

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本多 孝好
正義のミカタ―I’m a loser
出版元
双葉社
初版刊行年月
2007/05
著者/編者
本多孝好
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
いじめられっ子の亮太は自分を変えようと「正義の味方研究部」に入部する。果たして亮太は変われるのか。いじめ、リストラ、格差。こんな社会で生きていかなきゃならない、将来が少し不安なあなたに贈る、書き下ろし青春小説。<<Amazonより抜粋>>



極めて個人的な感想なのですけど、きっと「真夜中の五分前」が本多作品の代表作だと思う方には、イマイチ乗り切れないじゃないかと思います。
、「MOMENT」が代表作だって思う方は、気に入ります。
私は、後者なので、気に入りました。

主人公の亮太は、高校までいじめられていたことで、「叩かれても無理によけない→急所をはずす」という特技をもっています。
それが同級生のトモイチの目にとまり、晴れて「正義の味方研究部」に入部することとなるあたりが、冒頭。

この冒頭で、亮太の、「意外な才能が開花し、心身ともに正義の味方となる物語」と思いましたが、実際はそうではありません。(そんなに簡単ではない)
亮太は亮太としてのアイディンティティが根深くあって、そんな簡単に新しい自分を肯定することができません。
そして、いろんなエピソードがあって、亮太が進むべき道は・・・みたいなストーリです。

なんせ端的に言ってしまえば「大学生の部活動」と「大学生(ハイティーン)世代の悶々とした自分探し」のようなものが物語の根底にありますから、ノリとしては非常に軽い。
ストーリー上、まったく関係しませんが「鴨川ホルモー」と同じ感触だなと思いました。
それから、伊坂幸太郎の「砂漠」とか。

なんですけど、前述した作品と大きくことなるのは、前述した本人の心持ちの違い。
亮太は、変わりたいでも変わることを肯定できないと悩み、いろんなことを経て、最終的に「本当に変わりたいのはどんな自分か?」と問いかけ、きっちりそれを表現するに至ります。
これは、きっちり成長しているということなんですね。

タイトルの「正義のミカタ」というタイトルも示唆的ですね。
あえて、「ミカタ」をカタカナにしているというのも、個人的にアリです。
「正義」なんて言葉では表せない「何か」を亮太は手に入れたってことと理解しています。
これは最後まで読めば分かります。

ということで、総じてよかったです。

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2006年08月03日(木) 02時15分45秒

「MISSING」 本多孝好 2006-098

テーマ:--本多孝好

ようやくにして本多氏のデビュー作「MISSING」を読了いたしました。
そしてデビュー作読了したことで既出作品コンプリートもしちゃいました。パチパチ。

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本多 孝好
MISSING
出版元
双葉社
初版刊行年月
1999/06
著者/編者
本多孝好
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
繊細な視線で描かれた物語が、心の奥底に潜むミステリアスな風景を呼び覚ます…。小説推理新人賞受賞作「眠りの海」ほか「祈灯」「蝉の証」など、4作品を収録した処女短編集。 <<Amazonより抜粋>>



「小説推理」の掲載された5編の短編が所収されています。
意外な注目点は、この5編の作品は94年~98年の5年間に書かれたという点でしょう。

巻末にある初出一覧を抜粋してみると
・眠りの海 「小説推理」1994年8月号
・祈灯 「小説推理」1995年4月号
・蝉の証 「小説推理」1996年1月号
・瑠璃 「小説推理」1997年9月号
・彼の棲む場所 「小説推理」1998年4月号

まるで、玄人受けするロックミュージシャンのCDアルバムのような作品集です。

5編それぞれが、とてもスタイリッシュな文体です。
ストーリも、人のありきたりな苦悩ですら美化されてしまうくらい綺麗です。

青年時代に村上春樹に傾倒していた私にとっては、なんだか懐かしいくらいの(良い意味で)クールな登場人物に、これも懐かしの”そんなうまいこと言えるか”ってくらいの軽快な会話
伊達に「春樹チルドレン」と銘打たれている本多氏ではありませんね。(本人がどう思っているかは知りませんが)

5編の中でも個人的に印象的だったのは4編目の「瑠璃」でした。
僕の視点から見た、憧れの対象でもある従姉妹のルコの物語(半生記)なのですが、この地文の僕とルコの関わりが、綺麗なほどルコの人生の大きな分岐点をはずしているんです。
この分岐点をあえてはずす(正しくはその分岐点の後に僕との関わりがある)ことで、ストーリ全体が滑らかにかつ驚きのあるものになっているな~と感心しました。
そして、「人の人生は、その人でしか解決できないことばかりなのだ」と、極めて自然な事柄を強く印象付けてもらえました。

また、この物語で語られる僕とルコの会話は、村上春樹氏の「風の歌を聴け」を彷彿させるほどの呼吸感であり、気持ちよく受け止めることが出来ました。

その他4編も、前述したように、スタイリッシュな作品ばかりで、読んで損はないはずです。

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2006年07月14日(金) 09時56分01秒

「Fine days―恋愛小説」 本多孝好 2006-086

テーマ:--本多孝好
本多氏の「FINE DAYS」読了いたしました。
本多節炸裂の中編集です。

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本多 孝好
Fine days―恋愛小説
出版元
祥伝社
初版刊行年月
2003/03
著者/編者
本多孝好
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
僕は今の君が大好きだよ。たとえ、君自身が、やがて今の君を必要としなくなっても-。表題作のほか「イエスタデイズ」「眠りのための暖かな場所」「シェード」の全4作のラブ・ストーリーを収録。<<Amazonより抜粋>>



4つの中編が所収されております。
あらすじには「ラブ・ストーリ」とありますが、そこにあまりこだわらない方が良いでしょう。
少なくとも、ラブ・ストーリなどという画一的なカテゴリでは括ることはできないように思います。

■「FINE DAYS」
転校生の周りで起こる不可解な自殺事件。
そして、また漏れなく起こってしまった事件の真実を知った「僕」は・・・

■「イエスタデイズ」
余命わずかな父親から、35年前に別れた昔の恋人を探すように頼まれた「僕」は、二人が暮らしていたアパートに訪れる

■「眠りのための暖かな場所」
過去からの呪縛から逃れられない院生の「私」は、友達のできない大学生の結城ツトムに同じ感覚を見つけるが、徐々に明らかになるツトムの過去にどう立ち向かっていくか?

■「シェード」
夫を亡くしてしまった女性と交際する「僕」は、クリスマスプレゼントを買うためにアンティークショップへ訪れる。
そこで聞くこととなる欲しかったランプシェードにまつわる物語。

この4作品に共通に言えるのは、主人公(地文担当)が、皆「若く、人生に不器用である」といった点だと思いました。
不器用であるが故に、人を傷つけ、不器用であるが故に、人を慈しむ。
そういった構図が、すべての物語のベースにあります。

この4作品で特に気に入ったのは「眠りのための暖かな場所」。
これは本多作品では、めずらしく女性視点の作品ですが、亡くなった妹から逃れられない主人公の私が、他者を救い出すことによって自分自身の救済を試みようとします。
そこに、人間の嫉妬心や、ちょっとしたホラー的要素も加わり、物語の読むスピードを加速してくれました。

また、注目すべきは2作目の「イエスタデイズ」。
これは、MOMENT のストーリラインをなぞっており、原点的な作品かもしれません。
(注釈:本書自体は03年刊行であり、一方「MOMENT」は02年刊行。刊行では逆順のようですが、「イエスタデイズ」が小説NONに初出されたのは、00年ということで、時系列的にはこちらの作品の方が先に書かれたものと思います。→違いますかね?)

本多氏の作品、特に会話部分には独特のリズムがあり、そのリズム感がマッチすれば、これほど読みやすい作品もないかも知れませんね。(たぶん、これが村上春樹氏から脈々と繋がっている「リズム」だったりします)

さてさて、現時点で未読は「MISSING」だけです。う~ん本多氏の長編が読みたい!!

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2006年06月25日(日) 15時08分16秒

「MOMENT」 本多孝好 2006-079

テーマ:--本多孝好
83さん !!よかったですよ~

ということで、「真夜中の五分前(Side-A  Side-B )」「ALONE TOGETHER 」と読了してきた、本多氏作品。
この「MOMENT」では、前2作(読了した2冊)とはまた違った雰囲気を醸し出しておりました。
もう、本多氏を「雰囲気小説の作家さん」とは思いません。
とんだ思い違いをしておりましたと深く反省しつつ、とても面白く読ませていただきました。

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本多 孝好
MOMENT
出版元
集英社
初版刊行年月
2002/08
著者/編者
本多孝好
総評
25点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―。静かに胸を打つ物語。<<Amazonより抜粋>>


病院で掃除夫のアルバイトをしている大学生・神田の視点、「僕」で語られる全4編が所収されています。
この「僕」が、末期患者の願いを一つかなえてくれる噂の必殺仕事人(ある意味で「必殺」にはかわりないのです)であり、最終編を除けば、「末期患者」の願いをかなえる「必殺仕事人」の仕事振りが物語の主題です。

「FACE」では、戦争中に、殺してしまった同僚の遺族の様子を知りたいという願い。
「WISH」では、修学旅行中にあった親切な大学生にもう一度会いたいという願い。
「FIREFLY」では、病院を抜け出してデートをしてほしいという願い。

それぞれの願いは、必殺仕事人の見事な仕事振りで、きっちりかなえられます。
ただ、この願い自体、もしくは展開には、大きな依頼者(末期患者)の企みがあって、それぞれの終盤で物語は一気に流転するのです。
それは読み手にとっても大きな驚きであり、純白だったものが黒くなってしまったような錯覚に陥ります。
人は、死を前にしたところで、決して清らかなのではなく、やはりその瞬間まで、何かを引きずって生きているのだと、痛切に思いました。

文体自体は、非常にスタイリッシュで、会話もユーモアが溢れており大変読みやすかったのですが、前述した「死を前にしてもなお・・・」というテーマが重くのしかかっています。

最後の「MOMENT」は、それまでの3編とはちょっと趣向が違います。
簡単に言ってしまえば「必殺仕事人 VS 必殺仕事人」。
それまでの3編に共通して登場してきた、ひとりの患者の「死にたい」というパラドックスな願いをめぐり、「灰色の仕事人」と「黒の仕事人」の対決が見られます。
そこにあるのは、映画的要素のエンターテイメント性と、小説的要素の「生きることへの執着」であり、両方が共存したとても良い一編でした。
この「MOMENT」で、本書全体がぐっと引き締まった感じがしました。


PS1:読み始めてすぐに、伊坂テイストを感じてしまいました。本書には「死神の精度」に似た雰囲気があるように思います。
PS2:神田の同級生である葬儀屋の森野(女)とのバランスも微妙な感じがして好感触でした。

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2006年06月01日(木) 00時58分37秒

「ALONE TOGETHER」 本多孝好 2006-068

テーマ:--本多孝好
真夜中の五分前で味をしめてしまった、「春樹チルドレン」本多孝好氏の作品です。
前作同様、前提知識なしで読みましたが、この作家さんは「前提なし」で高得点を獲る作家さんかも知れません。
なにかしらの前提・ストーリーが読む前から頭にあったら、また評価が違うんだろうな~と思いました。
それがどんな意味かは、書いている本人にも分りませんが・・・

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本多 孝好
ALONE TOGETHER
出版元
双葉社
初版刊行年月
2000/10
著者/編者
本田孝好
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。 <<紀伊国屋書店BookWebより抜粋>>



「ALONE TOGETHER」。
妙な翻訳でなければ、「一緒に孤独」ってことでしょうか。昔の某氏の某曲タイトルにも同じようなものがあったような・・・。
ま、いいです。

対象者と同調し、本心を見抜くことができるという、不思議な能力を持つ青年、柳瀬の視点で描かれる一人称の物語です。

主人公の厭世的な雰囲気は、前読了作品の「真夜中の五分前」テイストと似ています。
広い意味では、春樹チルドレンのチルドレン足りうる主人公設定とでも言いましょうか。
基本的にこの設定は好きなので、とても読みやすかったです。

この主人公の持つ不思議な能力(作中では「催眠術」とか「超能力」とか呼ばれますが)を披露するエピソードがありつつ、全体の流れとしては教授から依頼された少女「立花サクラ」を守ることとなっています。

全体の展開については後述するとして、気に入ったのは「エピソード」の方です。

決して対象者を幸せにできる能力ではない、極端に言えば不幸にさせてしまう能力を備えています。
で、それを知りつつも、柳瀬自身は、(ええい、ままよ)とそのまま口にしてしまいます。
よくよく考えてみると、この能力は、その結論の持って行き方で、人を幸せにできるはずなのに、抑制できないようです。

▼本音を知る→それでもいいじゃないかと説く→対象者はその瞬間はありがたいと思う・・・
この展開の大きな落ち度は、元々対象者は本音を隠さなければならない状況だったということで、そこを開放されたら、そりゃ良い方向にはいかないということです。

▼本音を知る→本音を知った上で、対世間としての意見を説く→対象者が納得する
このロジックだったら、どうにか持ちこたえると思うんですけどね。

ある意味、スカッとする部分もありながら、(もっと世の中をうまく渡ってもいいのにね)と社会人としては思ってしまいました。

といったことを、考えてしまうような優れた啓発本でした。

本筋のストーリ展開は、ラストがやや弱いと思いました。
ここは、思い切って、この能力を使った続編があれば、面白そうだなと思いました。

ちなみに笠井教授は、同じ能力を有しているが、経験が多いためその辺りの抑制ができるから、あういう行動を起こしたのでは?などというミステリ的な読み方もあるやも知れません。(読んでいる人にしか伝えられなくてすみません。)

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2006年05月21日(日) 03時02分20秒

「真夜中の五分前 side-B」 本多孝好 2006-064

テーマ:--本多孝好
ということで、Side-A に引き続き、Side-Bでございます。
Side-Aからの展開上、
(こりゃまったりするんだろうね。でもページ数も短いから、まぁいいね)
と思って見たりしてみましたが、いやいやちゃんと物語してました。

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本多 孝好
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
出版元
新潮社
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
本田孝好
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
「砂漠で毛布を売らないか」IT企業の社長・野毛さんに誘われるまま会社を移った僕は、バイトと二人きりの職場で新しく働き始める。仕事は、客入りの悪い飲食店を生まれ変わらせること。単なる偶然か実力か、僕の仕事はすぐに軌道に乗り、業界では隠れた有名人となる。ある日、本当に久しぶりに尾崎さんから電話が入った。もう二度と会うまいと決めていたのに―。再会した尾崎さんは、「頼みがあるんだ」と、信じられない話を切りだした。<<Amazonより抜粋>>


「起承転結」ときっちり収束した(はずの)Side-Aから約2年後の物語。

相変わらずの「僕」キャラ満開ですが、開始早々に、この物語を大きく展開させる事実が知らされます。
決定的な出来事がSide-AからこのSide-Bまでの2年間の間に起こっていることを知らされてしまうわけです。
「起承転結」の後の「転結」がSide-Bでございます。
「雰囲気本」などと括ってしまったことを後悔するくらいの「転」でございました。

で、この2年後からの物語は、その決定的な出来事を通過した、僕を含めた登場人物がSide-Aのいくつかの伏線を持たせつつ、進行していきます。
本書は、ミステリでも何でもないのですが、この辺りの展開は、あえて「ネタバレ」にならないように伏せておきます。
いやいや、是非、お手にとって読んでみてください。
私は正直、この展開を想定しておりませんでした。
やっぱり「雰囲気本」などと、簡単に括ってしまったことを後悔するくらいの「展開」でございました。(2回目)

それでもって読了してみると、「あえてSide-AとSide-Bを分けた理由」とか「装丁のコントラストの違い」とかが理解してみちゃったりしたのでした。
ややネタバレ的な表現を使わせてもらうと、「あえてSide-AとSide-Bを分けた理由」なんてのは、結局のところ「僕」の周りには何も残らないのであって、実は、そのままレコードのように、もう一度Side-Aを読み始めても、良いような構成になっているなぁぁとか。

ただ、「僕」自身は大きく変化(これを「成長」といえるか否かは不明ですが)し、本当の意味で「喪失からの復活」を遂げていたりします。

ふむふむ、ちょっといい感じの本書でございました。

もし、お読みになる方がいらっしゃれば、是非、立て続けに「Side-A」「Side-B」をお読みください。

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2006年05月19日(金) 00時15分16秒

「真夜中の五分前 side-A」 本多孝好 2006-063

テーマ:--本多孝好
以前の記事 で「春樹チルドレン」と紹介された本多氏の作品。
Side-AとSide-Bを連続して読了しましたが、あえて別々に読後感想して見たいと思います。
いわゆる「雰囲気本」ではありますが、正統派の春樹チルドレン(なんだそりゃ?)って感じで、意外にも好感触でした。

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本多 孝好
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
出版元
新潮社
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
本田孝好
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失い、以来きちんとした恋愛が出来ないでいる。死んだ彼女は、常に時計を五分遅らせる癖があり、それに慣れていた僕は、今もなんとなく五分遅れの時計を使っていた。最近別れた彼女から、「あなたは五分ぶん狂っている」と言われたように、僕は社会や他人と、少しだけずれて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。「かすみ」と「ゆかり」は、子供の頃、親を騙すためによく入れ替わって遊んでいた。しかし、それを続けるうち、互いに互いの区別がつかなくなってしまったという。かすみは、双子であるが故の悩みと失恋の痛手を抱えてていることを、僕に打ち明ける。そんな「かすみ」を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋めあうように、僕とかすみは次第に親密になっていく――。<<Amazonより抜粋>>



語り手である「僕」の一人称で語られる物語です。
この「僕」ってのが、現代に生きる「村上春樹初期3部作(あるいは4部作)」の僕のようでした。

この「僕」に関しては、読み手の感想が両極端になるんじゃないかって思いました。
文中でも先輩から「俺はお前がきらいだ」って告白されちゃうくらいの「僕」であり、冷静でそつのない「僕」。
「好き」・「嫌い」という二極もあれば、「立派」・「かわいそう」っていう二極や、「えらい」・「えらくない」とかもありそうです。

ちなみに上の例で言えば、私自身は「好き」で「かわいそう」で「えらい」といったところでしょうか?

そういった意味で、ちゃんとキャラがしっかりしているという点で、まず、評価しちゃいます。

そんな「僕」の輪郭をはっきりさせる、いくつかのエピソードがあるのですが、特に「仕事ぶり」ってところは興味がありました。
直属の上司である「小金井さん」との関係などは、(これくらい、さっぱりできれば仕事もらくだね)と変に感心してしまったわけです。

メインストリームである一卵性双生児のかすみとの出会いからはじまる物語は、「僕」自身の「喪失と再生」がテーマであり、Side-Aでは一旦の帰結を見ることができます。

冷静でそつのない「僕」が吐露する、どうしようもない過去。
その過去からの呪縛を解き放たんとするカスミとのラストの掛け合いは、それなりにきっちり描けているように思いました。

そんなこんなで、このSide-Aを読了後、その2年後の物語とされているSide-Bを、すぐに読み始めたのは言うまでもありません。

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