2007年06月30日(土) 00時12分08秒

「ジュリエット×プレス」 上甲宣之 2007-075

テーマ:--上甲宣之
上甲氏の「ジュリエット×プレス」読了しました。

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上甲 宣之
ジュリエット×プレス
出版元
角川書店
初版刊行年月
2006/09
著者/編者
上甲宣之
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:2点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
新年のため携帯電話が、現在つながりません―。高校の寮で平和に年明けを過ごすはずだった佐倉遙。だが大晦日の深夜、予期せぬ訪問者は彼女にこう告げる―「これから殺人フィルムの噂を語ろう」。しかしそこに血まみれになっている少年が飛び込んできて!?一方同じ頃、遙のルームメイトである真夕子はある事情から誘拐された子供を寝台特急でさがし、さらに寮から数百メートルを隔てた家では、智美が残忍な強盗に襲われていた!大晦日の23:45。すべての物語はここから始まる!携帯が通信規制でつながらない今、3人のヒロインの運命は?接点がない3つの物語が少しずつ絡み合いひとつになって、45分後にはあらゆる想像を超えた衝撃の結末へ―『24』を超えるリアルタイムノベル。 <<Amazonより抜粋>>



独立した3つの物語が同時刻からはじまり、平行して進みます。
このような物語構成上、当然といえば当然のことながら、物語間にリンクが張られており、最終的にはそれぞれの登場人物の”抜かりない”人物相関図ができるようなイメージです。

この3つの物語に共通しているのは
・主人公が女性である。
・主人公が不幸い見舞われる
そして、「話の展開がはやい」
があげられます。

最後の「話の展開」については、とにかく早い。
この展開の早さにはちょっと違和感がありました。

要するに背景とか葛藤とかがあまりなく、物語のために登場人物が用意されているといった印象に近いです。

新本格推理というカテゴリーが生まれたときに、その当時の作家がこぞって「人物が描けていない」と批判したという話がありますが、まさにそんな印象です。
人(登場人物)が物語を牽引しているのではなく、物語(正しくは書き手)が物語を牽引している。
うまく表現できませんが、そんな印象を受けました。

この構造にはまる読み手は、このスピード感はたまらないのでしょうし、ちょっとでも違和感を感じる読み手だと、最後まで違和感を感じるような気がします。
私自身は残念ながら後者に近いです

とはいえ、物語の収束感は、それなりに満足ですし、人の異常性のようなものを感じ入ることができたのは収穫かもしれません。

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2006年08月08日(火) 21時58分59秒

「地獄のババぬき」 上甲宣之 2006-100

テーマ:--上甲宣之
記念すべき2006年100冊目の読後感想でございます。
とはいえ、何か大それたイベントがあるわけでもなく、淡々と始まります。

・・・”記念すべき”をはなっから否定してしまって、ごめんなさい。
でも、やっぱり淡々と1冊/100冊として、読後感想しちゃいます。

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上甲 宣之
地獄のババぬき 『このミス』大賞シリーズ
出版元
宝島社
初版刊行年月
2005/01
著者/編者
上甲宣之
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
卒業旅行のため夜行バスで東京へ出発したしよりと愛子。旅行気分を満喫していた二人だが、なんとバスジャック事件発生!気づかないうちに飲まされた猛毒が、全身に回って絶命するまで一時間しかないという!犯人の命令により、しよりたち乗客は解毒剤を賭けて命がけのトランプ対決に挑戦しなければならなくなってしまった―。同じ頃、しよりの親友・弥生は深夜タクシーに乗っていた。カーラジオからは、一般リスナーが語る薄気味悪い怪談話が聞こえてくる。やがてその話は、現実を侵食し始めて…。運命に導かれ、バス車内に最強のメンバーが集まったとき、命を賭けた“地獄のババぬき”が始まる!ゲームがテレビ中継されるなか、明かされるバスジャック犯の真意とは?果たしてしよりたちは生きてバスを降りることができるのか。<<Amazonより抜粋>>



本書は、メインストーリそのものはまったく別のものですが、主人公格の関係性など時系列的に「そのケータイはXXで(感想はこちら )」の続編に位置づけられております。
ですので、先に「そのケータイは××で」を読了されてから、本書をお読みいただくことをオススメします。
ま、読まなくっても、本書は本書で読めますけど、その後に「そのケータイは××で」を読もうとすると、こちらに、ややネタバレに近い表現があったりするので、やや興醒めしちゃんだろうな~と、ちょっと心配します。

ちなみにこの後に出版された「コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ)(感想はこちら )」は、この「地獄のババぬき」に登場した人形娘が再登場しますので、ちゃんと出版順に読めれば理想的ですね。

で、本書の感想なのですが、とってもシンプルに「ババ抜き」を追及した作品となっています。
厳密に言えば「ババ抜き」というゲームで発揮される心理戦やらイカサマの数々をご紹介しているといった感じですね。

真のテーマであろう「障害者への過度な親切心」のようなものも、いまいちメッセージが弱く、サイドストーリとして語られる「ラジオの怪談」とメインストーリとの連携も、やや消化不良な感じがしちゃったりして、ちょっと詰めが甘いような気がしました。

ということで、ストーリそのものは前述でご紹介している「あらすじ(長い!!)」以上のものはなく、ラストも予定調和的に終了しちゃいます。
ですから、この「あらすじ」を読んで、「ほうほう、なら読んでみようかしらん?」と思われる方にはオススメの一冊ということになります。(何度も言いますが「そのケータイは××で」を未読の方は、そちらから読了したほうが良いです)

例えていうなら、章タイトルからして清涼院流水テイストに溢れた作品で、具体的には、清涼院流水氏の「エル 全日本じゃんけんトーナメント」の”物語構成”と、「彩紋家事件」の”マジックネタバレ”と、「ぶらんでぃっしゅ?」の”トーナメント形式”を、足して3で割ったような作品でした。(なんだそりゃ?)

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2006年07月15日(土) 21時32分07秒

「コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ)」 上甲 宣之 2006-087

テーマ:--上甲宣之
いやいや、やられちゃいました。
本作、まったく新しいヒロインの登場です。

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上甲 宣之
コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ)
出版元
宝島社
初版刊行年月
2006/05
著者/編者
上甲宣之
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
辺倉史代は、頭はいいのに陰気な性格で、友人も恋人もいない孤独な三十路の女。職業は小学校教師。人づきあいに臆病で内気な史代は、生徒はおろか同僚の教師の間でも「やる気のないダメ教師」というレッテルを貼られ、敬遠される存在である。そんな彼女の生きがいは、ちまたの噂で有名な「紅蓮女」と呼ばれる幽霊の変装をして、人を驚かす事。夜な夜な、オーダーメイドでしたためた豪勢な「紅蓮女」の仮装に身を包み、怪奇スポットや自殺の名所を徘徊、その場に居合わせた人々を怖がらせる事に甘美を感じているのだった…。口裂け女、都市伝説パーティー、生き神信仰、呪いの手紙、電話男―さまざまな怪奇スポットで遭遇する事件に、「紅蓮女」が立ち向かう。<<Amazonより抜粋>>


エピローグでも触れられておりますが、本作自体が、ヒーロー・ヒロインものの(歪んだ形での)オマージュになっており、それはタイトルでも現れております。

■プロローグ:紅蓮女同好会BBS
■第一夜:ハロウィン「紅蓮女 vs 口裂け女」
── 昭和の伝説、口裂け女に遭遇!? 新旧世代交代戦
■第二夜:クリスマスイヴ「紅蓮女 vs 紅蓮女es (フレイム・レイディーズ)」
── コスプレ監獄居酒屋での怪談パーティー
■第三夜:大晦日「辺倉史代 vs 刃業(はごう)の鏡」
── 紅蓮女に変身できず!? 阿鹿里旅館、見てはならない鏡を探せ
■第四夜:バレンタインデー「紅蓮女 vs 苦色(にがいろ)の手紙」
── 副担任の涙の記憶、エマ先生をあざむけ!
■第五夜:史代の誕生日「紅蓮女 vs 電話男」
── 紅蓮女の正体がバレた!? 謎の脅迫電話を退けろ
■エピローグ:エイプリル・フール「紅蓮女 vs ??」
── そして紅蓮は、桜の海に

この「──」から始まる「副題」が「火サス(古い!)」っぽくて好感触です。

加えて内容も、どうにも卑屈な教師「辺倉史代)」が、人を驚かすためだけに紅蓮女に変装し、夜な夜な街を俳諧するのですが、この変装した「紅蓮女」の存在意義そのものが、徐々に本人の趣旨に反した方向に流れていきます。
いわゆる「亡霊」ではなく「望霊」となって活躍する紅蓮女というわけです。

で、面白いのは、本人の趣旨に反した方向に流れているにもかかわらず、本人はまったく悪い気がしていないとう点
(おいおい、そんなんで良いのかよ~)的突っ込みもありますが、一方でこういった趣味を持つ人達に持つある種の固定観念を打ち破ってくれる作品に仕上がっています。

また、数々のマッチを使った必殺技(これは、火傷などをしながら、自身が開発した技)を駆使し、恐怖にさいなまれながら、それ以上の恐怖を相手に与えることで、勝利を勝ち取り(って、ここでいう勝利というのは、本人のプライドが保たれるという意味)、一方で世間的にも、ちょっとハッピーになるといったラストとなるわけです。

まったく新しいタイプのヒロインものの登場です。
なんだかちゃんと終わってしまうのが残念でした。

PS1:
第三夜は、「このケータイは××で」のあの場所、およびエピローグには、その物語の主人公達が、サプライズゲストとして登場してくれています。
氏の作品を刊行順に読むことをお勧めします。(とかいって、私も「地獄のババぬき」未読ですけどね・・・)
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2006年06月17日(土) 00時59分07秒

「そのケータイはXXで」 上甲 宣之 2006-074

テーマ:--上甲宣之
帯には「話題の「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉」とありました。
隠し玉って・・・隠してないじゃんと思いつつ、読了。

楷書で書いたパニックホラー系ミステリ(なんだそりゃ)って感じです。
ぐいぐいいっちゃいました。

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上甲 宣之
そのケータイはXX(エクスクロス)で
出版元
宝島社
初版刊行年月
2003/05
著者/編者
上甲宣之
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
旅行で訪れた山奥の温泉地、そこは怪しい村だった―。女子大生しよりと愛子を次々に襲う恐怖の事件。今すぐ脱出しなければ片目、片腕、片脚を奪われ、“生き神”として座敷牢に一生監禁されてしまうという!?頼りの武器はケータイのみ!二人は生きて逃げ出すことが出来るのか。<<Amazonより抜粋>>


エピローグ的な位置づけの最終章を含めて4章構成。
主人公格のしよりと愛子視点で、同時刻の1章と2章、3章は、交互に視点が変わるといった趣向です。

あらすじにあるとおりのあらすじなのですが、なんせこの物語の舞台となる、山奥の温泉地である阿鹿里って場所が、相当陰湿な感じなのです。

街の雰囲気からその住民まで、そうとう嫌な感じなわけですが、そんなところで起こるのは、一方的な事件であり、まったくもって主人公には主導権がありません。
ネタバレになってしまうので、これ以上の詳細は書けませんが、異常な状況にずんずんと休みなく、精神的に追い込まれて様は、まさにパニックホラーな雰囲気ですね。

タイトルのとおり、彼女達の武器となるのは極めて一般的な「携帯電話」なわけですが、この武器は、時に混乱を招くツールともなります。
このあたりは、なるほどミステリーな訳で、例えば、第1章のしよりの携帯電話にまつわる混乱の一部を、補完する形で、同一の時間軸で活動する第2章の愛子の章があったりします。

ただのパニックホラーに終わらなかった大きな要因は、携帯電話での混乱を含めて、「誰を信じればいいのか?」という、しより視点の物語であって、ここはさすがに「隠し玉」って感じでした。

いわゆる、変形的なフーダニット(誰が嘘をついているのか?)が秀逸です。
というか、最後まで混乱しまくりなのです。
読者も含めて。

また、前述した「ずんずんと休みなく精神的に追い込まれる(特に第2章)」というテンポと文体の読みやすさも手伝って、それなりに厚い本ですが「ぐいぐい」といってしまいましたよ。
活字慣れしている方なら、2時間くらいでいけちゃいます。

ということで、上甲氏、ちょっと追っかけちゃいます。

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