2006年10月10日(火) 21時26分20秒

「神狩り2 リッパー」 山田正紀 2006-131

テーマ:--山田正紀
9月の中旬に読了した「神狩り 」の続編です。
「神狩り」の刊行年が1976年ですから、30年の時間を隔てての続編なわけです。
そう考えると物凄いことですね。
で、その2作品を同時期に読めたこともそれなりに感慨深いものです。
こういった読者(私のことですが)もいるってことですね。

ということで、「神狩り2 リッパー」読了いたしました。

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山田 正紀
神狩り 2 リッパー
出版元
徳間書店
初版刊行年月
2005/03
著者/編者
山田正紀
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:2点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
デビューのその瞬間、すでにして日本SFを代表する名作であることを証明した、前作『神狩り』。あれから30年。読者はもう一度、あの衝撃に出会うことができる。お待たせいたしました―。現代SFエンターテインメントの最先端、書下し1100枚。 <<Amazonより抜粋>>



前作は意外にさらっと読めましたが、本作は書き下ろし1100枚(著者あとがきによると1600枚のものを削ったようです)というボリュームでした。

タイトルの通り「神の視点(第三者による三人称)」で語られる物語です。
プロローグで登場する「巨大な天使」に驚愕しつつ、その後、「近未来」「1933年」「1980年」「200×年」「20××年(=冒頭の近未来)」という流れで物語が展開します。

途中の「1980年」というのが、前作「神狩り」の後という設定であり、本当の意味での続編部分ではありますが、物語はそこで終わったりしないわけです。

続編ということで、前作の登場人物についてはそれなりに関連されております。
前作主人公の島津圭介も意固地な老人役でちゃんと出演されております。

ストーリの軸にあるのは「人の脳の構造」ってことで、そりゃ生半可な気持ちでは読めない代物です。
そんな代物なんですが、SFと割り切って、「斜め読み」してもそれなりに追うことができるという感じですね。

前作は「古代文書」をきっかけに島津がいろいろと災難にあって、その後、神との戦いの不毛さを解くアーサー・ジャクスンとの一騎打ちで終わったのですが、本作品は、そのストーリの前後に尾ひれがついて一大クロニクルの様相になります。
こういった「一大クロニクル」的作品は個人的に嫌いではないです。(他書で言えば、「ベルカ、吠えないのか」など)

ただ、最後の最後まで「神との戦い」とか、「神狩り」というタイトルそのものは意味が解らず終いだったので、まだまだ読みが浅いな~と反省したのでした。

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2006年09月13日(水) 21時36分50秒

「神狩り」 山田正紀 2006-116

テーマ:--山田正紀
1976年に刊行され、一部の方々には「SF小説の金字塔」と呼ばれてる「神狩り」を読了しました。

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山田 正紀
神狩り
出版元
早川書房
初版刊行年月
1976/11
著者/編者
山田正紀
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
若き天才情報工学者、島津圭助は、神戸市で調査中の遺跡、花崗岩石室内壁に、ある『文字』を見せられる。十三重に入り組んだ関係代名詞と、二つの論理記号のみの文字。論理では解くことのできないその世界の言葉を執拗に追うある組織は、島津の卓越した頭脳に、この文字を通じて『神』の実在を証明することを強要する。 ―語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない。ヴィトゲンシュタインの哲学に反く行いに幕を開ける、SF小説の金字塔。<<紀伊国屋Bookwebより抜粋>>



あらすじの通り展開なのです。

加えて、いわゆる神の言葉とされる「古代文字」を巡って、組織やら個人やら霊能力者やらが、私利私欲なりなんなりを理由に、その真実を追究(もしくは阻害)しようとするといった内容です。

物語は主人公である島津圭介の一人称で語られていきます。

ストーリテラーである島津の語り口は、往年のハードボイルド的要素があって読みやすく、ストーリそのものもSF的要素を含んだハードボイルドっぽくあり、この手の小説の中では飽きさせません。

また、本書のキーワード自体が、論理では解くことのできない複雑な構成を持つ「古代文字」であり、その行き着く先に<神>という存在を用意していることで、高尚なニュアンスを受けてしまいます。

ま、「読みやすくて、ややアカデミック」という点で評価してしまうところですが、一方で結論は、極めて歯がゆい感じがしました。

<神>との会話(もしくは対決)といった、とても大きなテーマについては、結局のところ、うまくまとめられておりません。
せっかくなので、勝手に解釈すると、それも<神>の仕業といったメタ的結論も在りうるのですが、やや苦しい感じです。

実は本書には続編があるらしく、それについては追々読んでみたいなと思いました。
同じ結論だったらちょっと悲しいですけどね・・・

P・S
ちなみに文庫版には、「不在の私が、不在の君に」という著者あとがきがあり、2002年の著者が、1976年当初の著者に向けて語っています。
これはこれでとても趣き深い文章でした。

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2006年08月11日(金) 23時00分02秒

「翼とざして アリスの国の不思議」 山田正紀 2006-103

テーマ:--山田正紀
「翼とざして」読了いたしました。
テーマは「アイディンティティの揺らぎ」(著者の言葉)ってことのようでして、てっきり「幻想モノ」を想像しておりましたが、いやいやどうして、きっちり本格推理領域でございました。

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山田 正紀
翼とざして アリスの国の不思議
出版元
光文社カッパノベルズ
初版刊行年月
2006/05
著者/編者
山田正紀
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
各国が領有権を主張している南洋の島、海鳥諸島。その中のひとつ、鳥迷島に、右翼青年のグループ『日本青年魁別動隊』が上陸した。しかし、上陸早々、仲間のひとりが断崖から突き落とされた!わたしは、わたしが突き落とすのを見ていた…。グループの人間が次々と惨劇遭う。仕掛けているのは、わたしなのだろうか。わたしも、殺されるのだろうか。魔術的な筆致で紡がれる、傑作本格推理長編。 <<Amazonより抜粋>>


物語は「章タイトルのない短文」の後、「孤島」「殺意の翼」「愛の翼」と続き、再び「孤島」というタイトルで終わります。

「章タイトルのない短文」、「殺意の翼」を除いては、登場人物の一人である綾香(「わたし」)目線で物語が進むのですが、この辺りは、地の文担当の「わたし」自身が混乱しているので、読み手も当然ながら混乱しながら読み続けます。

「わたしが仲間を崖から突き落とすところを、わたしは見た」

この英語の翻訳ミスのような既成事実を受けて、なんだそりゃ?って感じで読み進めるわけです。

物語が進行するにつれて、時代背景とか、魁別働隊の7人の出会い、それぞれの登場人物のキャラクターが紹介されていき、ここに至るいきさつや、外観を知ることとなりますが、最後の最後まで、この翻訳ミスのような既成事実にひきづられていきます。
個人的には、こういった物語世界とかはそんなに嫌いじゃないので、単純に楽しんでしまったりしちゃいました。
ま、この単純に楽しんじゃった辺りが、追々ちょっとした感動を呼んだりするのですが・・・

で、話は、そこに留まらず、その後も次々と不可解な事件が起こり、クエスチョンにクエスチョンを重ねていき、(あれ?もしかして、このままぼんやり終わっちゃうんじゃなかろうか?)と不覚にも不安になったりもしましたが、ちゃんと推理され、解決されてしまうのです。

最終章「孤島」で見せた綾香の推理を読んで、(おぉ、おぉ、これは推理小説だったのか~)と思い出して、変に感動してしまいました。

ただただ、物語を楽しんでいたため、「本格推理」ってことを単純に忘れていただけなのですが、これって意外にありがたい感動だったりしますね。

ちなみに”忘れていた”で、思い出しましたが、冒頭の「章タイトルのない短文」も意外に忘れがちで、読了後読み直すと、(あぁぁあの話だったのね)とこれまたふんふんと思ったのでした。

ということで、忘却によって感動を呼び起こした作品でございました。

PS:謎解きネタ(いわゆるハウダニットとかフーダニットとか)そのものについては、賛否両論があると思われます。
(えぇぇ、そんなん、見間違える訳ないじゃん・・・)とか(動機ってそれだけ・・・)とか。
なので、最初から「本格」と構えて読むと、納得感はないかも知れません。

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