2009年01月06日(火) 21時48分18秒

「静かな爆弾」 吉田修一 2009-002

テーマ:--吉田修一
吉田修一氏「静かな爆弾」読了しました。 

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静かな爆弾/吉田 修一
¥1,365
Amazon.co.jp
出版元
中央公論新社
初版刊行年月
2008/02
著者/編者
吉田修一
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
テレビ局に勤める早川俊平はある日公園で耳の不自由な女性と出会う。取材で人の声を集める俊平と、音のない世界で暮らす彼女。やがて恋に落ちる二人だが。<<Amazonより抜粋>>



悪人 」が良かったのですね。
吉田修一 氏も、この作品で、一皮向けた感があって、とても好感触だったのです。

で、その後の作品である「静かな爆弾」。
タイトルは好きです。

「悪人」以前の雰囲気小説とはやはり違う感触をもったのは事実なのですが、だからといって、特筆すべきこともないのです。

物語はあらすじの通りであり、テーマは「コミュニケーション」と「大切にすべきもの」。

恋愛物語といえば、その通りではありますが、耳の聞こえない響子との、この半ば「王道」とも言うべき「困難な状況」をどのように料理するかといえば、それなりな感じだったわけです。

確かに、真正面から捉えるのは難しいのですが、もう少し「がっつり」とこの「困難」を描いてもらえればなと思いました。
そこらへんの「困難な状況」に打ち勝つ「恋愛物語」とは違うんだぜというところを魅せてもらいたかったというのが正直な感想です。

やっぱり新聞連載小説が良いのでしょうか?

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2008年02月21日(木) 22時12分55秒

「悪人」 吉田修一 2008-026

テーマ:--吉田修一
2008年本屋大賞にもノミネートされている吉田修一氏「悪人」読了しました。

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吉田 修一
悪人
出版元
朝日新聞社
初版刊行年月
2007/04
著者/編者
吉田修一
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。<<Amazonより抜粋>>


今までの吉田テイストとは明らかに違う作品です。
元々この物語は朝日新聞に掲載されていた、いわゆる「新聞小説」なので、多少なりと意識したのでしょうかね。

正直、冒頭から読み進めるまでは、結構抵抗がありました。
地理的な説明から始まるこの物語は、「あ~、やっぱり物語があまり進行しないんだな」とせっかちに思ってしまったのです。

ただ、そこを越えると、あとはぐいぐいいけちゃいます。

一つの殺人事件に様々な人間模様が織り成されていきます。

ちょっと表現しづらいのですが、「群像小説」と称しても良いかもしれません。。

被害者と被害者の家族。
被害者の友人。
加害者と加害者の家族。
加害者と逃避行しようとする女。
加害者に間違えられた者とその友人。
加害者と昔付き合っていた、女。
その他、諸々の物語なのです。

なんといっても本作の重要な視点は、タイトルの「悪人」。

この「悪人」は、誰から見た誰のことなのか?
一般的には加害者を「悪人」と呼ぶわけですが、この物語はもう一つ大きな輪を見せてくれます。

個人的に強く思ったのは、この「悪人」とは読者そのものだったりしませんかね?

与えられた情報を使って、自分勝手に誰かを「悪人」に仕立て上げなければ、ストレスとなってしまう我々読者。
その読者そのものが「悪人」なんじゃないか
と、強く思ったのです。

また、どうしても、阿部氏の「シンセミア」 と比較したくなってしまうのですが、あちらが「すべての登場人物がどうしようもない人たち」だったの比して、こちらは「少しずつ「悪」を持っている登場人物」であり、評価するのはやはり我々読者の目線だったりします。


読後に、あれやこれやと悩む作品です。
ということは、良本ってことですね。
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2008年01月17日(木) 20時57分16秒

「ランドマーク」 吉田修一 2008-005

テーマ:--吉田修一
吉田修一氏「ランドマーク」読了しました。

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吉田 修一
ランドマーク
出版元
講談社
初版刊行年月
2004/07
著者/編者
吉田修一
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
関東平野のど真ん中、開発途上の大宮の地にそびえ立つ、地上35階建ての巨大スパイラルビル。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人の運命が交差するその建設現場で、積み重ねられた不安定なねじれがやがて臨界点を超えるとき―。鮮烈なイメージと比類ない構想、圧倒的な筆力で“現代”のクライシスを描く芥川賞・山本賞作家の傑作長篇小説。<<Amazonより抜粋>>


久しぶりの吉田修一作品。
なんとなく、今まで読んだ作品とは違った印象を受けました。

誤解を承知していってしまえば、「都会小説」とか「雰囲気小説」とか印象が強い、氏の作品だったのですが、こちらは、スパイラルビルというシンボルにも意味を持つような「人のねじれ」が印象に残ります。

「孤独」な感じ。
「閉塞」な感じで、しかも「ねじれ」がある。

物語は、スパイラルビルの設計者である犬飼とその現場で働く隼人という二人の視点が交互に訪れます。
3人称表現なので、我々の目線はあくまでも「傍観者」の位置づけですが、物語の展開自体が、それ以上の「疎外感」を与えます。

決して我々を寄せ付けない、登場人物自らが発している「孤立感」とか「閉塞感」

このあたりは「雰囲気小説」といった感じなのですが、この「個々人の閉塞感」が、ちゃんと物語を構成できている点において、今までの小説とはちょっと違うんですよね。

その点は、ある意味で評価できます。

物語の収束に向けては、ちょっとした事件が起こり、事件半ばで物語が終わるわけですが、最終的に我々はこの物語をどのように受け止めようが、「終わってしまった」という印象が残ります。

う~ん、むずかしいですね。
この小説が評価されるのは、読み手の「熱のなさ」とのバランスに依存しているのかなとも思いました。

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2006年04月05日(水) 01時17分56秒

日曜日たち 吉田修一 2006-041

テーマ:--吉田修一
他作品では、やや批判じみた表現で、「雰囲気小説」などと命名された、吉田小説。
じゃあなぜ借り出してしまうのか?
・・・
わからないのです。これが。
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吉田 修一
日曜日たち
出版元
講談社文庫
初版刊行年月
2003/08
著者/編者
吉田修一
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。 <<Amazonより抜粋>>



パークライフ 」の書評では、吉田氏を始めとするいわゆる「雰囲気小説」について、

”こういった作品において、どこまで作品世界に深く関与できるかは、読者の感性(と状況としての余裕さ)しだいですが、比較的読みやすく、パラパラと読み続けると当たり前のように「何ごとも起こらず」終わる作品なので、ホントに「さらさらかけこめるお茶漬け的作品」でした。”

と表現しております。

で、本書も漏らさずこの点に合致するわけですが、前作(正確には前に読了した作品群)と比べて、質感があるんじゃないの~と思ったりしました。

その重要なファクターとして、5つの中編に共通して登場する小さな兄弟がいます。
この兄弟は、5つの物語の登場人物であり、さりげなく、それぞれの主人公格の男女に関わりを持ち、ちょっとしたやさしさのようなものを受け取ります。
この関わりの「点」を結ぶと、5つの物語を跨ぐ、大きな「線」になり、5つの目の「日曜日たち」では、彼ら自体の物語も加わり、「面」となって終結するという構成そのものが、質感を生んでいる
ように思えました。

物語自体は「日曜日の新郎たち」が、非常に良くできています。
この物語は、それぞれが大事なものを失った父親と息子という関係が、その関係を越えて喪失感を共有する物語であり、特に人込みの嫌いな父親の不器用ながらも息子へ露呈する最後の言葉が印象的でした。

いやいやヨッシュウー、いいかも知れませんね~。

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2006年01月21日(土) 08時31分14秒

「パーク・ライフ」 吉田修一 2006-009

テーマ:--吉田修一
第127回芥川賞受賞作のパーク・ライフ読了しました。
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吉田 修一
パーク・ライフ
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2002/08
著者/編者
吉田修一
総評
17点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:2点 
装丁:3点

あらすじ
公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。<<紀伊国屋BOOKWEBより抜粋>>



タイトル作品と、「flowers」の2編の中編が所収されています。
2006年最初の読後感想で登場した吉田修一氏の作品。
2006年で2冊目ってのは、単独トップです(当たり前ですけど)。

受賞作である「パーク・ライフ」は、日比谷公園という場所で起こる「ぼく」の日常の話です。
ふとしたきっかけで出会った女性と、仕事の昼休みに公園で会い続ける。極めて日常的な場所であり、その象徴でもあるような公園というシチュエーションで、徐々に変化が見られる「ぼくたち」の関係性を見せる物語です。

もう1作の「flowers」は、周囲の反対を押し切って東京にやってきた夫婦の話と、その夫である「ぼく」が就職先で出会った「元旦」という男との話。この元旦という名の男を通じて、やや非現実的な側面もあるけど十分「日常」の範疇に収まる日々の出来事の物語です。

ということで、どちらも「日常」を淡々と描く作品であり、日常である以上、それ以上の結果を求めてはいけないものとなっています。
このような種の作品を勝手に「雰囲気本」と称してみたいと思います。

で、この「雰囲気本」の雰囲気とは
例えば、食事でいえば、「お茶漬け」
例えば、趣味でいえば、「お香(匂いを楽しむやつですね)」
例えば、映画化するとなれば、その主人公の配役は
「かつて暴行傷害事件を起こし、しばらくの謹慎の後、復帰した若手俳優の復帰1作目」。
といった感じです。
この例示に他意はありません。ははは。

で、この微妙なニュアンスの作品(もしくは数多の作品群)に感想となれば、(やっぱり雰囲気がいいねぇ)となるわけで、それ以上ではないわけです。
私の文章能力では。

こういった作品において、どこまで作品世界に深く関与できるかは、読者の感性(と状況としての余裕さ)しだいですが、比較的読みやすく、パラパラと読み続けると当たり前のように「何ごとも起こらず」終わる作品なので、ホントに「さらさらかけこめるお茶漬け的作品」でした。
例えば、物語を彩る様々な装飾(それは、「スターバックスにかよう女性達の描写」であり「公園で気球を回転しないように上げてようとしてる男の心情」だったり)に暗喩が隠されているといったプロ的書評ができればまたこの作品の良さをお伝えすることもできるのでしょうが、いやいや困ったものです。

ただ、2作目の「flower」の後半に見せる、主人公と妻繭子、主人公と元旦の関係性には、日常の残酷さ、人の脆さのようなものが語られているようで、なんだか感慨深くなりました。

ということで、本作パーク・ライフの感想というよりも、私が普段思っている、この手の「雰囲気本」の雰囲気をお伝えしたような感じの感想となってしまいました。すみません。

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2006年01月04日(水) 17時09分36秒

「最後の息子」 吉田修一 2006-001

テーマ:--吉田修一
(ようやくの)2006年最初の読後感想は「最後の息子」。
別に狙ったわけではありません。(それに実際には年末に読んでいたりする)
春樹チルドレンの一人 なのだそうです。
どこがどのように「春樹」で、何がどうなって「チルドレン」なのかってことですね。
なかなか難しい問題です。

あ、あと本文にはまったく関係ありませんが、今年から(また)題名のスタイルを変えてみました。
今までは、「№連番 + 「タイトル」 +  作者」
でしたが、「「タイトル」 + 作者 + 年-連番」としてみました。
色々と分りやすくすることを目的としております。
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吉田 修一
最後の息子
出版元
文春文庫
初版刊行年月
1999/07
著者/編者
吉田修一
総評
17点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:2点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。<<本裏表紙より抜粋>>


それぞれの雰囲気・世界観を持つ中編3作です。

1.最後の息子
「ぼく」の一人称スタイルで、今まで撮ったビデオを見ながら過去を振り返るといった趣向の作品です。
ポイントは、このビデオを見ている現在が、どのような状態であるかってことなのですが、あまり気にしなくてもよいでしょう。(気にしないほうが世界を堪能できるでしょう)
この手の本をお読みの方なら大抵のことを許容できちゃう方々だと思います。
オカマのヒモである「ぼく」と「大統領」と呼ばれる青年と、その「ぼく」のヒモ相手である「閻魔ちゃん」の話です。

2.破片
母を亡くした兄弟と父親の話です。やや兄より視点での三人称スタイルです。この弟ってのが比較的キャラクターとして突出しております。海の町を舞台にしていて、海の近くに住んだことはありませんが、潮の匂いのする作品となっています。だからといってそんなに爽やかな感じではありません。どちらかといえば、若者の悶々とした感情にあわせて、汗が噴出す夏の一コマという感じです。

3.Water
4人の高校生の物語で、この4人の中の凌雲視点の三人称スタイルです。水泳のメドレーリレーにかける4人の高校生が最後の思い出として、スポーツマンシップに則り、正々堂々と大会に出場します。というのは嘘で、もちろん、その過程には、理解ある大人の存在とか、メンバー同士の不信感やら、淡い恋などが挟み込まれています。

ま、簡単にそれぞれ紹介しましたが、例えばこの作品を、私自身の中にある「春樹チルドレン」という冠なく淡々と読書していたら、どうなっていたかと考えてみて、正直、苦しいのかなと思いました。
それぞれの作品が、それぞれの世界を醸し出してはいるものの、やはりそれは雰囲気でしかないといった印象です。
作中の登場人物に感情移入することもなく、やはり淡々と読みきってしまいました。
可もなく不可もなくという感じです。
ちょっと、別の作品(できれば長編)を読んで、確認してみたいと思います。

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