2008年05月30日(金) 21時46分08秒

「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 歌野晶午 2008-060

テーマ:--歌野晶午
歌野晶午氏「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」読了しました。

amazonリンク
舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (カッパ・ノベルス)/歌野 晶午
¥900
Amazon.co.jp
出版元
光文社カッパノベル
初版刊行年月
2007/11
著者/編者
歌野晶午
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
舞田歳三は浜倉中央署の刑事だ。仕事帰りに兄・理一の家によって、小学五年生になる姪のひとみの相手をし、ビールを飲むのを楽しみにしている。難事件の捜査の合間を縫ってひとみをかわいがる歳三だが、彼女のふとした言動が事件解決のヒントになったりもして…。多彩な作風で知られる歌野晶午が、ちょっと生意気でかわいらしい少女と、本格ミステリらしい難事件を巧みに描く。刑事×難事件×おしゃまな11歳=歌野晶午流「ゆるミス」。軽やかに登場。


個人的にはお気に入りの作家さんである歌野氏の作品です。

全部で6話所収されています。

◆黒こげおばあさん、殺したのはだあれ?
◆金、銀、ダイヤモンド、ザックザク
◆いいおじさん、わるいおじさん
◆いいおじさん?わるいおじさん?
◆トカゲは見ていた知っていた
◆そのひとみに映るもの

作者自らも言っているとおり「ゆるミス」(もしくは「やわらか本格」)なわけですが、登場人物が刑事であるだけに扱う内容は、ちゃんとした事件。
なので、一般的な「ゆるい感じのミステリー」(→殺人事件ではなく、日常の不可思議なことを扱う)とは一線を画いています。

さて、本作の大まか流れは
①「事件が起きる」→
②「歳三、姪のひとみとあそぶ」→
③「ひとみから事件解決のアドバイスをもらう」→
④「事件解決」
といった感じなのですが、
③がもっと前面に出てもよかったのかなと思ったりしました。

いわゆるArmchair-Detectiveの役割に「ひとみ」を置き、事件解決をするという流れをきっちり毎回踏襲できると、マンネリではありながらも、それなりに連続性があって面白かったかなと思ったのです。

1話完結型ではありながらも、時系列がしっかりしていて、前の話に出てきた事件・主要人物が登場したりするあたりは、そういうのが個人的に好きなだけにニンマリしてしまいました。

あ~、でも歌野氏には、もっとシリアスな小説を書いてもらたいと思うのです。
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2007年11月17日(土) 10時37分55秒

「ハッピーエンドにさよならを」 歌野晶午 2007-130

テーマ:--歌野晶午
歌野晶午氏「ハッピーエンドにさよならを」読了しました。

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歌野 晶午
ハッピーエンドにさよならを
出版元
角川書店
初版刊行年月
2007/08
著者/編者
歌野晶午
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
望みどおりの結末になることなんて、現実ではめったにないと思いませんか?小説の企みに満ちた、アンチ・ハッピーエンド・ストーリー。前人未到のミステリ四冠を達成した偉才が仕掛ける未曾有の殺意。<<紀伊国屋Bookweb>>


11の短編が所収されています。
一つ一つの長さはまちまちで、中には極めてショートな作品もあります。(「天国の兄に一筆啓上」)

タイトルのとおり、所収されている作品の共通点は「ハッピーエンドではない」という点。

ただ、「ハッピーエンド」の対義語として「バットエンド」があるとして、では、本作に所収されてるすべての作品が「バットエンド」なのかというとそういうわけではありません。
作品としては、「物語が収束する前に突然終わる」といった趣もあったりします。
ですので、細かく言うと、「バットエンドな作品」「エンドしない作品」があるということですね。

ま、どっちにせよ「ハッピーエンド」ではないのは確かなので、間違った表現ではありません。

11の短編の中で興味深かったのは「サクラチル」と「尊厳、死」でした。
どちらも初出が「小説すばる」であることもあり、ストーリーがしっかりしております。
また、歌野氏の「葉桜~」に近いトリックがあることも評価が高かった点だと自己分析します。

どっちにしろ、読み手の心身が、ともに健康であることが大前提の作品です。
読書することで、救われようなどと思っていると、つらくなりますので、ご注意ください。

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2007年06月16日(土) 10時55分19秒

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」 歌野晶午 2007-067

テーマ:--歌野晶午
個人的には「外れのない作品」の作家さんである歌野氏。
氏の作品が講談社ノベルズで読めるってことに、何故か感慨深くなってしまったりします。
ということで、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」読了しました。
さてさてこちらの作品はどうでしょうかね?

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歌野 晶午
密室殺人ゲーム王手飛車取り
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2007/01
著者/編者
歌野晶午
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
“頭狂人”“044APD”“aXe”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームをもつ5人がインターネット上で殺人推理ゲームの出題をしあっている。密室、アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、犯人当てなどなど。ただし、ここで語られる殺人はすべて、現実に発生していた。出題者の手で実行ずみなのである…。茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、歌野本格の粋。<<紀伊国屋Bookwebより抜粋>>


あらすじにあるとおり、ネット上での殺人推理ゲーム(=快楽)のためだけに、現実に殺人事件を起こすパーティーの参加者の話です。
そんな展開上、「ホワイダニット(なぜ?)」のない、「ハウダニット(どのように?)」だけを追求した作品になっています。

この作品を、エンターテイメントとして楽しめるか、ただの狂気の世界として嫌悪感を持って接するかは、読み手次第だと思います。
私個人としては、後者がちょっと強かったりしますね。
ただ、私自身もネットでの匿名性を利用して、こうしてつまらない書評をしていたりすると、部外者でもなかったりするので、心苦しい思いがあります。

現実社会に投影された、今でしか起こり得ない、犯人=探偵の構図
嫌々しく読み進めていくと、この物語が現実でも起こっているかのような錯覚を覚えます。
倫理観とか道徳観とか難しいことを述べる必要はありませんが、この物語はある意味で問題作であり、現実に生きる我々に警笛を鳴らす作品だったりします。

一歩引いて、物語そのものに触れてみると、展開そのものは、非常にシンプル。
誰かが、実際に殺人事件を起こし、その現場の状態などを他の参加者にヒントとして提供し、「どのように殺人をしたか?」を当てる。
・・・あらすじのとおりですが、そういうことです。

ラストの展開なども、今までの歌野作品に比べれば衝撃度は、少なめです。
(ややネタバレですが)犯人(加害者)=探偵=被害者という状況。
匿名であった登場人物の顔が見えたときに、別の何かが見えるかといったら、そうでもない。
これって、物語そのものが、登場人物に感情移入しづらい構図をしていることもたぶんに影響しているような気がします。

大ラスの参加者が集ってからのくだりは、正直、無理やりなところがありました。
タイトルにある「王手飛車取り」の意味はそこにあったりするのでしょうけど、それにしても、「終わらせました」的なラストです。

ということで、「ある意味で問題作」だったわけですが、もう少し昇華させると、もっと怖い作品になったかもしれません。

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2006年10月11日(水) 22時48分36秒

「そして名探偵は生まれた」 歌野晶午 2006-132

テーマ:--歌野晶午

「葉桜・・・」「女王様と私」「世界の終わり、あるいは・・・」 と結構良いものを提供していただいている歌野氏の中編集ですね。
やっぱり歌野氏、ただの”王道”推理小説じゃありませんでした。

ということで「そして名探偵は生まれた」読了しました。

amazonリンク

歌野 晶午
そして名探偵は生まれた
出版元
祥伝社
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
歌野晶午
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
三月には珍しい雪の日、伊豆の山荘で惨劇は起こった。新興企業アラミツ・グループが所有する保養所・萩宮荘で、若き総帥・荒垣美都夫が撲殺されたのだ。ここは歴代の所有者が次々と不幸に襲われたという呪われた山荘だった。殺害現場となったホールは完全な密室状態だった。外部からは争う物音が確認されたが、現場に入ってみると荒垣の死体しかなかった。ホールの窓の外は降り積もった雪が逃走した者がいないことを証明している。犯人はどこへ消えたのか?社内懇親会で集められた二十人の中に犯人が?事件の解決に名探偵・影浦逸水が乗り出したが…。『生存者、一名』『館という名の楽園で』を収録した密室トリック三部作。 <<Amazonより抜粋>>



タイトル表題作を含む3つの中編が所収されています。
”本格の王道”とも呼ばれる「雪の山荘」「孤島」「館」という3つのシチュエーションの3作です。

「そして名探偵は生まれた」
これは、オチそのものよりシチュエーション自体に、やられたって思いました。
難事件を解決する名探偵は、実は儲けが少ないというジレンマがあるという告白があり、ちゃんと仕事として対価が払われない限り事件を解決しようとはしません。
そんな不遇な名探偵がいて、助手がいて、事件が起きて、そんな事件を解決するという展開です。
トリック自体も非常に解り易く、普段の推理小説でも上級でありながら、それでいて普段のラストではありません。
その辺りの「余裕っぷり」がいいですね。

「生存者、一名」
これは読み終わってタイトルの妙に気がつきました。
新興宗教団体による駅の爆破事件。
その実行犯である6名が、孤島に逃げ込むところからストーリがはじまります。
その後は、お馴染みな展開が待っております。
要するに「そして誰もいなくなった」的展開となり、まさにタイトルの通り「生存者、一名」ということなのですが、ここに大きなトリックがあるわけですね。
最後の最後まで含みを持たせる辺りも、ある意味で技量だと思いました。

「館という名の楽園で」
N大学の探偵小説研究会の同窓のメンバーが、同じくメンバーだった冬木から「招待状」をもらいます。
その「招待状」とは、館の完成に先立った招待状であり、そこで「探偵ごっこ」をしようと提案を受け、メンバーはしぶしぶ了解し、館での「探偵ごっこ」がはじまるわけです。
この物語のテーマは、やっぱり館のトリックだったりするわけです。
ウィリアム館とエドワード館とマシュー館のエピソード(架空)を、伏線にしたトリックなのですが、さすがシチュエーションとして探偵小説研究会のメンバーが作ったシナリオということで、まったくもって、もれなく暴かれる時は、なんだかすっきりしてしまいました。
で、そこに追い討ちをかけるように、物語全体にかかる謎も解かれていき、二重のトリック構造になっておるわけです。

ということで、3作とも推理小説の王道シチュエーションでありながら、ちょっと違った展開を見せるあたりが、憎いぜといった感じですね。

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2006年07月26日(水) 22時07分14秒

「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野晶午 2006-095

テーマ:--歌野晶午
何を今更・・・という声も聞こえそうですが、ようやく読了しました「葉桜の季節に君を想うということ」

なるほど、これは唸ります。
まんまと騙されちゃいました。

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歌野 晶午
葉桜の季節に君を想うということ
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2003/03
著者/編者
歌野晶午
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:5点 
装丁:4点

あらすじ
ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた“何でもやってやろう屋”探偵・成瀬将虎。恋愛あり、活劇ありの物語の行方は?そして炸裂する本格魂。<<Amazonより抜粋>>


【注記】
なるべくネタバレをしないつもりで記述しますが、たぶん無理です。ははは
なんとなくネタバレになってしまい、それが未読の方の「読了後の喜び」を、絶対阻害することとなりますので、読む気があって未読の方は、まずは読了していただき、その後にお会いしましょう。(・・・長い)

・・・

・・・ということで

メインストリームは、
「①主人公である「なんでも屋」成瀬将虎が、知人の依頼で悪徳商法まがいの蓬莱倶楽部の悪事をあばくというもの」
でありますが、その間には、
「②成瀬が、過去に経験した連続殺人事件」
「③古屋節子という女性のどん底人生模様」
「④安藤士郎という男性の切ない人生模様」
というエピソードが、挟み込まれています。

で、普通に読んでいれば、メインストリーム(①)とエピソード(②~④)の関連性が、どんな形でやってくるのだろうか?という読み手意識をそそる展開になるわけなのですが、想像以上に見事に関連しちゃいます。
特に①と③と④の関連性あたりは、読書を進めて事実を知って「ぬぬぬ」と唸ってしまったのです。
そう、この物語は「○○トリック (クリックすると、そのトリックについての説明に飛びますので、未読の方は開かない方がよいでしょう)」だったわけで・・・
そりゃ、ま~唸るのです。

○○トリックの、幸せな読み方(もしくは○○トリックの用いた物語との幸せな出会い方)は、

「未然に、○○トリックが入っているという事実そのものを知らされないこと」であり、そういった意味では、まったく前提知識がない(せいぜい評判くらい)状態で、この本を読むことが出来たのは、とても幸せだったと思っております。

裏を返せば、この事実を未然に、耳にしてしまうことから、よこしまな気持ち(おいおい、どこが○○トリックなんじゃいという観点)で本書を読んでしまうので、そりゃそれで楽しいのでしょうけど、ちょっと淋しい感じがします。

要するに「お化け屋敷」でお化けにビックリするか、「日常の生活」でお化けにビックリするかの違いなのです。(微妙に分りずらい比喩ですみません。)

ちなみに読書を進めていく中で、そんなトリックがあることを知らない間、私自身が気にしていたポイントは、
前述したメインストリームとその他エピソードの関連性の他に
・主人公「成瀬」とヒロイン格の「麻宮さくら」の恋路の行方(死語)
・関係していそうでいない「蓬莱倶楽部」と「麻宮さくら」の関連性(あるのか?ないのか?)
・主人公の奇妙な夢の正体
だったわけですが、それらはすべて解決します。
で、その収束した物語世界を内包する(もしくはあざ笑う)、もう一つの事実が本書の評判を上げているわけです。

ということで、評価としては満足しちゃっていますが、採点が今一つだったのは、以前にこちら (このリンク先もネタバレの要素を含んでおります。.)を読了していたからであり、この驚き自体が既に経験済みだったからなのです。
きっと、こちらを先に読んでいれば、もっと評価が高かったと思われます。

ということは、○○トリックに騙されるということは、一生に一度の幸せな瞬間だったりするのですね。

それと、エピソード②に関しては、ちゃんとした推理がなされ、解決するといった一般的なミステリの流れが加わっており、それはそれで好印象でした。

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2006年07月20日(木) 22時07分08秒

「女王様と私」 歌野晶午 2006-091

テーマ:--歌野晶午
当書評では「世界の終わり、あるいは始まり 」がそれなりに評価の高かった歌野氏。
で、その「世界の終わり・・・」に近いテイストを持つ本作「女王様と私」を読了しました。

これはこれで良かったです。
でも、やっぱりこの感想自体がネタバレになるんですよね~

amazonリンク

歌野 晶午
女王様と私
出版元
角川書店
初版刊行年月
2005/08
著者/編者
歌野晶午
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「引きこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。あの「女王様」に出逢うまでは。彼女との出逢いが、めくるめく悪夢への第一歩だった……。戦慄的リーダビリティがあなたの脳を刺激する、超絶エンタテインメント!!<<Amazonより抜粋>>


あらすじにあるとおり、44歳(!)の”オタク(私)”真藤数馬が、12歳(!!)の”女王様”来未と出会うところから始まります。
このシチュエーション自体で、エンターテイメント性に(やられた!!(もちろん良い意味で))と思い、加えてその世界で起こる、連続殺人事件に(おぉぉ!!(これまた良い意味で))と思ったわけです。
まさか、このシチュエーションで連続殺人事件が起こるなど思いもよらなかったので。

で、物語の中盤以降は、この連続殺人事件の犯人探しを、素人探偵となった数馬が追うわけですが、この辺りからストーリは大きく揺らいできます。(正しい意味で「揺らいできます」)
そして、ラストはそれなりの意外性をもって、収束します。

前述したとおり、既読の「世界の終わり、あるいは始まり」に近い作品なのですが、この物語世界は、ある意味で、「世界の終わり・・・」を超越したモノであるかもしれません。
「犯罪の若年化」が「世界の終わり・・・」のテーマであるとしたら、この「女王様と私」は、それに加えて「大人の若年精神化」をテーマとなっております。
随所に現れる真藤数馬の、やや危険とも思われる現実逃避癖と世間に対する無責任な思想。また来未が見せる、当たり前のような人権無視・軽視の思想
いやいや、これは重いテーマですね。

リアリティーという観点においても、どうしようもない事件ばかりが続くこの時代(現実)では、決して絵空事ではありません。
こういう時代(現実)だからこそ、読み手の心に何かが残る作品となっています。

12歳の女王様「来未(クルミ)」は、「未来」を逆にした文字配列であり、このあたりにも著者の何かしらのメッセージがあるのでしょうか?

PS1:
本表紙裏・裏表紙裏に書かれた物語も、読了後に読むと「なるほど」と唸らせるようなのですが、なんせ図書館で借りており、ぴっちりカバーがされているため、読めません。
ので、申し訳ないな~と思いつつ、ちょっと本屋まで行って読んで見ました。
・・・なるほど、こういうことですね。これは唸る。

PS2:
各章のタイトルも、読了後のお楽しみとして、読んでいる最中はあまり意識されないことをオススメします。

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2005年10月28日(金) 01時43分31秒

№117 「世界の終わり、あるいは始まり」 歌野晶午

テーマ:--歌野晶午

歌野 晶午
世界の終わり、あるいは始まり

ある意味で「既存のミステリの枠を超越した衝撃の問題作!(本帯より)」は間違いではありません。
タイトルは「世界の終わり、あるいは始まり」ですが、正しくは
「世界の終わり、あるいは始まり、あるいは終わり、あるいは始まり・・・・」といった感じです。
圧倒的な小説世界(はたまた、起こりうる現実世界)を堪能することができました。

先にお断りしておきますが、できれば、本書をお読みになってからこの読後感想をご覧いただければ、良いと思います。
なるべくネタバレにならないよう努力しますが、この本の性質上、「感想を述べること自体がネタバレ」だったりしちゃいますので。


小学生ばかりを狙った連続誘拐殺人事件が勃発した。新興住宅地で家族と共に平和に暮らす富樫修は、小学校6年の息子の部屋で、事件にかかわるある物を目にしてしまう。その後、次々と見つかる息子犯人説への物証。「なぜ、我が子が」という戸惑いと、息子の将来だけでなく、自分も家族の未来も破滅するという恐怖。免れようのない悲壮な現実を目の前にしたとき、人はあらゆる知識と想像力を総動員して逃げ道を探す。自分を守るため、そして家族を守るために。<<Amazonより抜粋>>

物語の前半は、自分の息子の無罪を証明するために、主人公である富樫修が付近で起こる連続誘拐殺人事件の犯人探しをするのですが、中盤から後半にかけては、その息子である富樫雄介の部屋から見つけてしまったあるものが、何かを決定づけてしまい、それ以降について、父親視点で物語が描かれていきます。

普通に読んでいると、中盤(もしくは前半の最後)あたりで、犯人が確定してしまい、「?」と思うことでしょう。本書の前提知識がない私は、
(ははぁん。後半はその更正あたりを書いて、結果的に「あるいは、始まり」なのかぁ)などど、浅知恵を働かせてしまいました。

ところが、そうは簡単に終わらないのが本書です。

まさに「世界の終わり」をまざまざと見せつけちゃってくれます。
どうひっくり返っても「更正」しようのない彼と、「救済」しようのない物語が、とてもスピード感をもって展開されます。
このあたり、著者のテクニックはもちろん、(次には一体なにが起こるのか的)「悪意」を持って、嫌な気分で読み進めていきました。
ホントに「世界の終わり」って感じなんです。
・・・どう考えても。


(以降ややネタバレ)


で、それら物語全体が、ある時点における父親の苦悩の上での想像だったりして、ホッとしたりするあたりから、(この小説は一体何なのか?)と思い始めるわけです。

ここまできたら後は一気に読んでしまってください。
ここは眠らなくても一気に読んでいただいた方が良いでしょう。
私自身仕事が猛烈に忙しかったりしましたが、夜中3時過ぎまでかけて、読みきってしまいました。
引き続き(もしくは、より一層の)スピード感で、ぐいぐいいけちゃいます。

重要なテーマは「いつまでも繰り返される世界の終わり」。


そして、読み終わって、とっても「重い気持ち」だけが残りました。

少年犯罪というテーマしかり、加害者家族のあり方しかり、やっぱり、いつになっても救われない物語しかり、いくらラストは、タイトルの通り、「始まり」だったりしても、それ自身が「いつまでも繰り返される世界の終わり」に含まれているのではないのか?という疑いがあったり、これが現実だとしても、存在しない次のページでやっぱり「世界の終わり」が待っているのではないかとかを想像して、読み終わってしばらく大変でした。

綺麗な収束好きなわたくしですが、この収束の仕方もある意味で「綺麗」だと思います。

ここまでの「気持ち」が残る作品は早々見つかりません。
といった意味で十分「問題作」であるわけです。
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2005年06月14日(火) 23時17分51秒

「ジェシカが駆け抜けた七年間について」 歌野晶午

テーマ:--歌野晶午
著者: 歌野 晶午
タイトル: ジェシカが駆け抜けた七年間について

「葉桜の季節に君を想うということ」の歌野氏の04年2月の作品。
原書房のミステリーリーグといえば、鳥飼氏の「本格的」をこの間、読んだばかりですが、そのミステリーリーグレーベルの作品です。
しっかりとしたミステリです。あっさり騙され、あっさりと読めます。
が、ぐいぐいとはちょっと違うってのがポイント
です。

原田歩はアスリートとしての生命を、監督の〝最悪の指導〟によって断たれてしまう。
だから呪い殺すことにした。そのときは、自分が遠く離れたところにいても大丈夫なように、わたしの分身か、親友のジェシカを使おう。そう決めた。
……原田歩の失意の自殺から七年、ジェシカ・エドルは導かれるように、そこへやって来た。目の前には背中を見せている監督、ジェシカは側にあった砲丸に手を添える。
彼女のためにしてあげられることはもうこれしかないのだ――。
<<Amazon内容紹介より一部抜粋>>


1.このトリックは中々解けません。(やられた~)というよりは、(なるほどね~)といった種類の謎解きです。
2.そして読後感想は、ネタバレを覚悟しなければなりません。

そういった意味では、極めて上モノのミステリなのですが、うがった視点だとアンフェアな部類だったりするんでしょうかね。読了後よくよく読んでみれば伏線あるかも(=フェアなのかも)って感じなのですが、実のところ、最近「謎解き」そのものに興味がなくなってしまった私なのです。
(脱ミステリ宣言に近い発言ですが、ご心配なく。ミステリ自体は読み続けます。)

で、ストーリそのものがこのミステリの大きな伏線となっていたりするので、書評が難しいわけです。

・原田歩が自殺をし[七年前]、
・その原田歩と名乗る女性が観光客をちょっとしたトリックで騙し[ハラダアユミと名乗る女]、
・七年後の日本で、ジェシカが監督と対峙し[7年後]、
・監督の殺人事件が起こり、数々の容疑者(ジェシカ含む)や過去のエピソードが語られ[アユミ・ハラダに呪われた男」、
・再び七年後の日本で語られる真実[七年後]。

これがぎりぎりのストーリライン紹介であり、ある意味ネタバレだったりするので、難しい。
そう、この本は、章立て自体・構成自体が、謎解きの伏線そのものだったりするのです。
特に[ハラダアユミと名乗る女]で語られるショートストーリの謎解き自体が、全体の物語のヒントになっていたりして・・・いかんいかんこれ以上は、ネタバレになってしまうので、やめときます。

ちょっと残念だったのは、マラソン競技者の世界や、登場人物に今ひとつ感情移入できなかった点
このあたりは「古き良き本格ミステリ」の世界を踏襲している雰囲気もあり、なんどもお断りしますが、今の私にはちょっと物足りなかったのは事実です。なので「ぐいぐい」ではなく、「あっさり」なわけです。

謎解きに飢えている方、またどんなトリックにも寛容な方にはお勧めです。
決して悪くはないのですが、これだけのミステリを、(なるほどね~)で済ましてしまう私にはやや高尚すぎたのかもしれません。



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