2009年03月01日(日) 16時13分31秒

「ユージニア」 恩田陸 2009-019

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「ユージニア」読了しました。

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ユージニア/恩田 陸
¥1,785
Amazon.co.jp
出版元
角川書店
初版刊行年月
2005/02
著者/編者
恩田陸
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
あの夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。ある男の遺書によって、一応の解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。 <<Amazonより抜粋>>


実験的な小説であると思いました。
まずは、章毎に時間と目線(地文)と相手が違います。

過去にひとつの大量殺人事件があり、その当時の関係者証言をインタビューで聞きだす章があれば、三人称で「物語」としてその事件を語る章があり、新聞記事や手紙の断片のような章があったりするわけです。

ひとつの殺人事件を中心に、多面的な考証をしているようにも思えますが、一方で極めて個人的な感傷の世界も覗かせます。

この流れそのものは、ひとつの物語へ構築する事自体、読者への挑戦状といえば挑戦状。
「ドグラ・マグラ」に近いのかもしれません。

なので、この物語を、単純な「推理小説」と思っては物足りません。

実験に立ち会うことができ、それによって自分自身に得られる影響をモニタリングできる「被験者」の気持ちで読んでみると、とても気持ちよくなるなと思いました。

犯人が誰だとか、なぜ、事件が起こったのかというところを中心にそえるのではなく、外郭をゆっくり眺めるということで読んでみると気持ちよいのです。

とても気に入りました。
もう一度読んでみたい作品です。





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2008年11月16日(日) 22時05分59秒

「中庭の出来事」 恩田陸 2008-131

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「中庭の出来事」読了しました。

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中庭の出来事/恩田 陸
¥1,785
Amazon.co.jp
出版元
新潮社
初版刊行年月
2006/11
著者/編者
恩田陸
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺? それとも他殺? 芝居とミステリが融合した、謎が謎を呼ぶ物語のロンド。 <<Amazonより抜粋>>



なかなか不思議な作品でした。
なんというか、純粋な読者としての「不安」を感じてしまいました。

メタといえばメタですが、恣意的かつ意図的なメタなのです。

幾重にも重なるエピソードは、(その後に収束するんだろうな)と期待しつつも、読み進めていくごとに、もっと重なりを持っていくといった感じです。

自分の立ち位置を確かめながら読もうとしても、いつのまにかその立ち位置が変わっているような歪んだ感覚
読み手を混乱させて何が楽しいのかと思いつつ、その混乱を楽しんでしまっている読み手としての私

ま、とにかく、「不思議な本」なのですが、この「不思議」を無理に紐解こうとしなくても良いと思います。
まずは委ねてみる。
そういう本なのかもしれません。

主要な登場人物(例えば女優3名)自体が、あまりキャラとして面白くなかったことが残念でしたが、それ以外はとても実験的な作品であり、同じ雰囲気の作品があれば、「中庭の出来事」のような作品と呼ぶに相応しい、私の読書暦の記念碑的な作品となりました。

もう一度読んでみたいのですが、ちょっと時間を空けてからという気分でもあります。

きっと次も同じような感想を持つのでしょうけど。

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2008年10月02日(木) 21時10分44秒

「黄昏の百合の骨」 恩田陸 2008-108

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「黄昏の百合の骨」読了しました。

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黄昏の百合の骨 (Mephisto Club)/恩田 陸
¥1,785
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2004/03
著者/編者
恩田陸
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた………。<<Amazonより抜粋>>


麦の海 」の正統な続編である本書。
あの小説の雰囲気は残しつつ、まったく違う話が展開していきます。

前回が(小説世界上の)釧路だった場所は、(小説世界上の)九州の長崎に移ります。
あえて、括弧書きにしているのは、これが正しい意味で小説世界上であるという点。

読んでいるうちに、今ここにある場所ではないという雰囲気が伝わってきます。
これが前作の雰囲気だったのですが、本作も同様でした。

意外にこういったところが、どうにもこのシリーズの心地よさだったりもするんだろうなと思います。

物語は、起きてしまった事件(事故)の謎に加えて、登場人物自体が醸し出す謎が加わり、順番に整理しながら読み進めていくような方には、混乱をきたす可能性があります。

雰囲気を楽しめる方にとっては、その後者の「開示されない謎」に魅力を感じることでしょう。

いくつかの事件が発生し、なんとなくその犯人も読み進めていくと判るのですが、やっぱりこの物語(群)の良さは、物語世界が醸し出す雰囲気なのかと思います。

なんというか、古い本の匂いがします。
懐かしい匂いなのかもしれませんが、そんな原体験はありません。

次作の予定もあるようですね。
楽しみです。
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2008年09月26日(金) 00時08分41秒

「三月は深き紅の淵を」 恩田陸 2008-103

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「三月は深き紅の淵を」読了しました。

こういうの好きです。

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三月は深き紅の淵を (講談社文庫)/恩田 陸
¥700
Amazon.co.jp
出版元
講談社文庫
初版刊行年月
1997/07
著者/編者
恩田陸
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:5点 
装丁:3点

あらすじ
鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。<<Amazonより抜粋>>


刊行順であるなら、こちらの「三月」が先にあって、その後にこの間読んだ、「麦の海 」があるわけですが、逆に読んでしまいました。(さらにその後に「黄昏の」があるようです。)

厳密にいえば、この「三月」と「麦の海」は、続編というものでもありませんし、地続きの物語ではありませんが、この「微妙な連携」がたまらなく良いです。

4章で構成されています。
それぞれは独立した物語ですが、共通しているのは「三月は深き紅の淵を」という小説が出てくるところです。
この「三月は深き紅の淵を」という作中作(といっても紹介程度)も4編の物語で構成されていて、その1章のタイトルは、すでに刊行されている「黒と茶の幻想」だったりします。

入れ子構造になっているという点に加えて、他の章とちょっと毛色の違う4章「回転木馬」がとても興味を持ちました。
そこには後に刊行される「麦の海」の一節があり、同時に作者自身の心情が吐露
されています。

読み終えて、まっさきに思ったのは、「楽しんでいるな~」という点でした。
「物語を読むもの(読者)」の「物語を作るもの(作者)」へのあこがれのようなものを具現化した一冊だったような気がしました。

また、もう一度、再読するとまた違った印象が残ることが確約されたような物語でもありました。

この物語にまつわる別の小説も読んでみたいと思います。
そうやって、もっと「楽しんでいる感」を共有したいと思います。
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2008年08月28日(木) 00時25分09秒

「麦の海に沈む果実」 恩田陸 2008-092

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「麦の海に沈む果実」読了しました。

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麦の海に沈む果実 (講談社文庫)/恩田 陸
¥750
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2000/07
著者/編者
恩田陸
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:5点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。<<Amazonより抜粋>>



どうしてこの本を今まで読まなかったのでしょうか?
と、軽く自分の読書人生そのものを否定しちゃいそうなくらい良かったです。

何が良かったのかというと、「世界観」と「キャラクター設定」。
加えて、独立はしているだろうけど、同じ登場人物が出てくる別の物語があるという事実そのもの。

世界観は、色で例えれば灰色。
湿原(どうやら釧路?)にある全寮制の学園で起こる、不可思議な物語なのですが、そもそもこの場所そのものが、相当不可思議だったりします。

キャラクター設定は、多種多様。
前述した世界観にこういうタイプのキャラクターという組み合わせがとても良いと思いました。
なにより、「校長」が良いですね。
この世界の不可思議を一手に引き受けてくれています。

さて、主人公の理瀬が、学園に転入するところから物語は、はじまるのですが、ここでの心情は読み手のそれとシンクロします。
『よくわからないというところから徐々にこの世界の表裏を知る。』
このプロセス自体を主人公と共に共有することができるあたりは、うまい展開だなと思いました。

そして最後の最後に主人公自身の秘密を知ると、ちょっと置いてけぼりを食った感じになってそれはそれでよいと思いました。

先にも述べましたが、この物語で登場する人物が再登場する作品もあるようでして、ちょっと追いかけていきたいと思いました。

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2008年04月01日(火) 01時21分30秒

「いのちのパレード」 恩田陸 2008-040

テーマ:--恩田陸
恩田陸氏「いのちのパレード」読了しました。

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いのちのパレード/恩田 陸
¥1,575
Amazon.co.jp
出版元
実業之日本社
初版刊行年月
2007/12
著者/編者
恩田陸
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
<あの黒い表紙、強烈な帯コピー、シンプルかつ洗練されたデザイン。手に取った時の、嬉しいような怖いようなおののきを今でも覚えている。(中略)かつて「幻想と怪奇」というジャンルのくくりでお馴染みであった、奇妙でイマジネーション豊かな短編群には、今なお影響を受け続けている。あの異色作家短篇集のような無国籍で不思議な短編集を作りたい、という思いつきから連載をさせてもらった>(あとがきより)。恩田ワールドの原点<異色作家短編集>への熱きオマージュ。ホラー、SF、ミステリ、ファンタジー……クレイジーで壮大なイマジネーションが跋扈する、幻惑的で摩訶不思議な作品集。<<Amazonより抜粋>>



15編の短編が所収されています。
あらすじにあるとおり、「異色作家短編集」へのオマージュってことで、内容はそれです。

異色作家役の全員を著者一人でこなすってことですね。
ここがポイントです。

個人的にこういったアンソロジーは好きなのですが、好きなポイントってのは「違う作家が同じテーマでそれぞれの持ち味で短編を寄せる」ってとこなのですね。

そういう意味でこのオマージュをもう一度振り返ってみると、やっぱりすべての作品が「恩田陸」氏の作品なのです。

きっと氏のファンであれば、無条件に喜ぶのでしょうし、そうでない方であってもひとつの短編集として評価されてしかるべきものだとも思います。

事実、所収されている作品は、印象的であり、象徴的であり、異色であり、余韻を残す作品ばかりなのですが、前述した「作家短編集」という体で見てしまうと、やっぱり負けてしまうよな~と思うのです。

そこを差し引いて評価すれば、完成度の高い15編なので、あまり拘らないよう読んでいただければと思います。

私は、これを読んで「本当の異色作家短編集」が無性に読みたくなりました。

それだけの価値はあるんです。絶対。

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2006年10月04日(水) 02時21分55秒

「エンド・ゲーム」 恩田陸 2006-128

テーマ:--恩田陸
常野物語三部作の最終巻とされている「エンド・ゲーム 常野物語」
ちなみに前二部作は、書評立ち上げ後に読了したので感想があります。
で、それらは、こちら・・・
「光の帝国 常野物語」
「蒲公英草紙 常野物語」
こうやって三部作がすべて書評掲載されるってのもいいもんですね。

って、本当に最終巻なのか!!といった感じの「エンド・ゲーム」でございました。
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恩田 陸
エンド・ゲーム―常野物語
出版元
集英社
初版刊行年月
2006/01
著者/編者
恩田陸
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「常野物語」の最新作、早くも登場!「裏返さ」なければ「裏返される」??正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子。だが母が倒れ、残るは一族最強の力を持つ娘だけに。息もつかせぬ展開の果てに、驚愕の真相が明らかに! <<Amazonより抜粋>>


前二部作の印象は、常野の人々=「”穏やかで知的で、権力への志向を持たない”一族」だったわけですが、今回は現代・核家族化といった背景の中で語られる常野一家が主人公格であり、やや前作までの印象とは違ったものでした。

どちらかといえば、特殊な能力を疎ましく思い、一般化したがっている家族の物語なのです。

ということで、物語は、まるで「ダリの抽象画」のような不条理な世界があり、それを拒絶する常野一族の末裔の苦悩がありありと描かれています。

前2作の印象が強かったせいか、この展開は意外だったわけですが、同時に「この世界(現代)においては、もうこういった特別な能力を持った人々を必要としないくらい(もしくはそれ以上に)、不条理な世界である」というメッセージが隠れているようで、とても感慨深く思いました。

一体、常野の人々はどこにいってしまうのか?
そんな状況を許容できてしまう世界は、果たして正しい世界なのか?

今までの作品とは一線を画した作品であることは間違いないのですが、最終巻といわれるとちょっと淋しい思いもしちゃいました。
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2006年07月11日(火) 14時10分28秒

「不安な童話」 恩田陸 2006-084

テーマ:--恩田陸
これまた、旅行中に読了いたしました。
恩田陸氏の「不安な童話」です。
タイトルがかっこ良いですね。

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恩田 陸
不安な童話
出版元
祥伝社文庫
初版刊行年月
1994/12
著者/編者
恩田陸
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
私は知っている、このハサミで刺し殺されるのだ―。強烈な既視感に襲われ、女流画家・高槻倫子の遺作展で意識を失った古橋万由子。彼女はその息子から「25年前に殺された母の生まれ変わり」と告げられる。時に、溢れるように広がる他人の記憶。そして発見される倫子の遺書、そこに隠されたメッセージとは…。犯人は誰なのか、その謎が明らかになる時、禁断の事実が浮かび上がる。<<Amazonより抜粋>>

本作をミステリーと定義すべきか、ホラーと定義すべきか、はたまたエンターテイメントと称するべきかは、読み手によって違うかもしれません。

主人公格の古橋万由子の一人称で語られる物語は、万由子が、25年前に殺害された高槻倫子の生まれ変わりとなり、倫子殺害の真実を、息子の秒と共に解き明かすことがメインストーリーとなります。

容疑者とみなされる当時の関係者4名にそれぞれ渡された倫子の絵が、そのヒントとなっていくわけですが、読み進めていくほど、徐々に真実が明らかになっていきます。

興味深かったのは、主人公である万由子が、それほど主体的に謎ときに参加していない点
どちらかといえば「はた迷惑」という気持ちの中、いやがおうにも物語の中心にそえられております。
これはひとえに「高槻倫子の生まれ変わり」であるからなのですが、こと万由子は、そのことにすら消極的に(もしくは幾ばくかの嫌悪感をもって)接していきます。
(そりゃ、いきなり、○○の生まれ変わりって言われりゃ、誰だって気持ちよくないわな~)と単純に共感してしまいました。

加えて、この高槻倫子が、生粋の芸術家肌というか、一般的ではないというか、いわゆる「良い人ではない」わけで、なおさらテンションは落ちていくということとなります。

物語の後半以降は、とんとんと話が進み、全ての謎が解かれていきますが、本を読むことになれている方、(とかくミステリーを読んでいる方)は、肝心の「犯人探し」という点においては、中盤辺りで、やんわり分ってしまいます。

で、やっぱりな~というオチなのですが、もう一つの謎である「万由子は本当に高槻倫子の生まれ変わりなのか?」という謎については、相当のどんでん返しをもって(PS①参考)、曖昧のままとなる訳です。

この辺りの演出は、さすが恩田さんだよな~と思いました


PS1:
エピソードの「私のグレーテル(太字)」に、(???)と思われた方は、プロローグをもう一度再読してみてください。
この物語のもう一つの真実が見えてきます。

PS2:
ちなみに「グレーテル」とは、かの「ヘンゼルとグレーテル」のグレーテルなのですが、この物語のオリジナルを知ってもらえるとこれまた、
「う~む、なるほど」と合点してしまいます。

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2006年04月11日(火) 01時00分19秒

「蒲公英草紙 常野物語」 恩田陸 2006-043

テーマ:--恩田陸
タイトルは「たんぽぽそうし」と読みます。
去年の3月に読了した「光の帝国 常野物語 」で登場した常野一族が、またしても登場する正式な後継作品。ですが、時代は20世紀初頭。
ということで、「スターウォーズ」でいうところのエピソードⅠのような位置づけでしょうかね。

amazonリンク

恩田 陸
蒲公英草紙―常野物語
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/06
著者/編者
恩田陸
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。時を超えて人々はめぐり合い、約束は果たされる。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。 <<Amazonより抜粋>>


「光の帝国」が連作短編だったので、もちろん本書もそうであろうと思っていたら、こちらは長編でした。
峰子の回想からはじまり、回想がそのまま物語となりますが、しばらくは常野一族は出てきません。

で、今回の常野一族である春田葉太郎一家は、その”穏やかで知的で、権力への志向を持たない”一族そのままに、風のようにふわっと現れるわけです。

本書における春田一家(常野一族)の位置づけは、サブキャラかも知れません。
物語自体は、旧家である槙村の家に住む病弱なお嬢様である聡子と、その話し相手を務める峰子の「ちょっとした三角関係やら」「いじめっこが成長してちょっと気になる存在やら」といった”青春真っ只中”な物語がメインです。
とはいえ、時代背景が20世紀初頭の日本だったりするので、当時の人々が持つ”慎ましさ”のようなものが漂っております。

春田一家は、この槙村の集落とも呼ばれる土地との繋がりが過去にあり、その恩から一時的に滞在することとなったという位置づけであり、どちらかといえば「部外者」だったりします。
で、この不思議な部外者は、決して、やはり物語の中心に向かうわけでなく、やはり(その存在のように)風のように存在しているというわけです。

主人公格の聡子の不可思議な傾向には、常野一族と槙村一族の「過去のとある出来事」が影響したりしていたりすることもあり、物語後半あたりで(そろそろ常野一族である春田一家が、物語を牽引するのかな~)となんとなく期待していたりしましたが、まったく牽引しません。

こんなところにも、すごい能力持っているのに権力の志向を持たない常野一族が健在です。

で、そんな常野一族を、個人的には凄く憧れていたりして、物語の登場人物として「いるだけ」でなんだかホッとする存在です。(この辺りは「光の帝国」と同じ印象でした。)

ラストは、楽しかった青春が終わるかのごとく、ちょっと辛い、象徴的な事件が起こます。
時代背景としても、その後、数多くの戦争を経験するということもあり、極めて象徴的な終わり方でした。

回想する峰子が最後に語る「その頃、春田一家はどこで何をしていたのだろう?」という問いかけが印象的でした。

そういえば、もう一冊、常野シリーズが出ているようですね。
早速予約をしなければ。

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2005年11月02日(水) 01時35分21秒

№119 「夜のピクニック」 恩田陸

テーマ:--恩田陸
恩田 陸
夜のピクニック

遂に手にしました。(昨年の)話題の「夜のピクニック」。

あれだけ話題となり、いろんな賞を総なめして、しかるに、あらゆるブログで感想が書かれている本作なので、こんな私は”構えて”読んでしまうわけです。
で、しっかりとしたノスタルジー小説であり、読了後も爽やかな気分になることは十分保障しますが、(あえて、言わせてもらうと)みんな格好良すぎるのよね~と思ってしまったのも正直なところです

夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。 <<本帯より抜粋>>

とにかく、すごく懐かしい気持ちになりました。
悩める十代のそれなりの”重さ”と楽しい十代のそれなりの”軽さ”。

主人公である二人の男女の「込み入ってしまった話」には、ぴったりとした同意はないものの、それに似た「解決すべきわだかまり」とか「何かを成し遂げようとする努力」とか「気の置けない友人達の存在」とか、ノスタルジーを堪能するには、十分過ぎるほどの物語だと思います。

・・・ただですね。
冒頭でも暴言したように、やっぱりみんな「優等生」なのですよ。
物語上、唯一「嫌われ者」とされる打算的な彼女だって、考えてみれば思い切りピュアだし。
結局のところ、そんな登場人物たちが同じ時間・同じ場所で経験する一日の出来事っていってしまえばそれだけだったりするのですね。

・・・

でも、これは決して批判ではなくて、どちらかといえば、読み手の「スレ度(いろいろと世間にもまれて、すれちまった度合い)」や「マル度(いろいろと世間にもまれて、まるくなってしまった度合い」によるんですよね

この物語を読んで「なつかしいなぁ」と思いつつ、「でも、こんなにピュアじゃなかったはずよねぇ」などと思う私は、スレ度もマル度も標準値を大きくオーバーしているんでしょうね。
自分自身が嫌になってきました。

裏を返せば、自身の純心さをはかるには物凄く適切な物語だったりします。
なつかしいと思うだけでなく、「今の自分にもこんな気持ちが残っているのか?(いや、残っているだろう)」と思うことが大切なのでしょう。

もうちょっと仕事が落ち着いたら、もう一度読んでみたい作品です。
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