2009年01月24日(土) 01時15分09秒

「ある日、アヒルバス」 山本幸久 2009-008

テーマ:--山本幸久
山本幸久氏「ある日、アヒルバス」読了しました。

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ある日、アヒルバス/山本 幸久
¥1,680
Amazon.co.jp
出版元
実業之日本社
初版刊行年月
2008/10
著者/編者
山本幸久
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
東京の観光スポットをめぐるバス会社・アヒルバスに入社して五年のバスガイド高松秀子(デコ)は、わがままなツアー客に振り回されながら仕事に励む毎日。ある日突然、新人バスガイド研修の指導員に指名されるが、自信のない態度が災いして、新人教育は遅々として進まない。そんな中、同期の中森亜紀にアヒルバスの「革命」を持ちかけられて……。軽快なテンポとユーモアあふれる筆致が笑いを誘う一方、主人公デコをはじめバスガイドたちが、それぞれに悩みを抱えながらも奮闘する姿は、胸に沁み、生きる元気が湧いてきます。名手がおくるとびきりのお仕事&青春小説です。また、アヒルバスのガイドたちによる東京名所の観光案内も読みどころのひとつ。二重橋、都庁、お台場、東京タワー、浅草、築地本願寺など、よく知っているつもりの観光スポットも、デコたちのガイドにかかれば意外な新発見があるかも。アヒルバスならではのTOKYO観光をお楽しみください。 <<Amazonより抜粋>>


ついこの間に同氏の「カイシャデイズ 」を読みましたが、続いての氏の真骨頂「お仕事小説」。

タイトルにあるとおり、バス会社の話であり、主人公はバスガイドのデコ。
あらすじにきっちり書かれている通り、デコが新人バスガイド研修の指導員になって、云々です。

で、本書のポイントは、やはり氏の描く「仕事との向き合い方」。

登場人物それぞれに「自分」と「仕事」との関係性があるのですが、総じて「シンプル」なのですね。

やっぱり前作同様、会社勤めをしている方々に読んでもらいたい1冊なのです。

バスガイドというやや特殊性のある職種の物語なので、なかなか細かいところに共感を得るのは難しいかもしれませんが、ベースにあるところは、どの職業も一緒なのだよねと感じました。

軽妙な文体に引っ張られて、一気に読めます。



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2008年12月24日(水) 22時34分56秒

「カイシャデイズ」 山本幸久 2008-143

テーマ:--山本幸久
山本幸久氏「カイシャデイズ」読了しました。

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カイシャデイズ/山本 幸久
¥1,450
Amazon.co.jp
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2008/07
著者/編者
山本幸久
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:5点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
けっこう熱血な営業チーフ、古臭い二枚目顔の施工監理部、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”と同僚たちが織りなす内装会社の愉快でアツい日々のお仕事。<<Amazonより抜粋>>


なんでもない話が8つ所収されています。

前述したように、なんでもない話なのですが、一つ一つの物語を読み終えるたびに、何か言われようもない「読了感」が得られます。
それに自分でもびっくりしました。

ココスペースという会社に勤める人たちの物語。
中心にいるのは高柳という強面のチーフなのですが、物語は高柳を含めて8人の社員(社長含む)視点で進みます。

なんども言うように、物語そのものには、強烈な印象は得られません。
例えば、映像化するのであれば、BSテレビで新進気鋭の脚本家の「お試しドラマ」程度なのです。

ただ、そこに漂う「居心地の良い仕事場」そのものに共感してしまうと、たまりません。

会社勤めをしている人々に読んでもらいたい一冊。
このタイトルは伊達ではありません。
まさに「カイシャデイズ」なのです。
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2007年07月20日(金) 21時54分58秒

「美晴さんランナウェイ」 山本幸久 2007-083

テーマ:--山本幸久
個人的に注目している作家さんの一人でもある山本氏。
氏の最新作「美晴さんランナウェイ」読了しました。

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山本 幸久
美晴さんランナウェイ
出版元
集英社
初版刊行年月
2007/04
著者/編者
山本幸久
総評
18点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
破天荒だけど憎めない、“美晴叔母さん”登場!美晴さんは「適齢期」の美女ながら、何かと家を飛び出すトラブルメーカー。そんな彼女が追いかけているものとは? 彼女が巻き起こすドタバタを姪の目線で描いた、ハートウォーミングストーリー。 <<Amazonより抜粋>>



ちょっとマッチしませんでした。
唐突に厳しい評価ですが、これは氏の過去の作品「凸凹デイズ」「はなうた日和」の好印象があったからであり、近頃の作風が私個人にマッチしないという意味です。

ですので、ここからは極めて個人的な感想です(ま、どの作品もそうですが、今回は強調します)

マッチしない最大の理由は、主人公「美晴」のキャラクター設定。
ちょっと中途半端、というよりは、なんだか普通
破天荒なら、徹底的に破天荒であって欲しかったと、正直思います。
ダメキャラなら、とことんダメキャラであるべきではと思います。

なんだか真正面ではない。
これが27歳の家事手伝いの姿なのだと言ってしまえばそのとおりなのですが、ならば物語はいらない。
そんな感じです。

語り手でもある姪の世宇子も文中でも語るように、美晴は、「やりたい放題なのに、いざという時に逃げ出す(でも憎めない)」キャラクターであり、読み手が十分にそこを許容しなければならないわけですね。
そういう意味では、私自身の了見の狭さのようなものを露呈しているのですが、30半ばの私から見ると、純粋に「甘い」と思ってしまったということですね。
もちろん感情移入できないわけです。
正しい意味での主人公である世宇子に対しても、「許して良いものか」と思ってしまい、イマイチ感情移入できない。

いかんいかん、自分がものすごく小さい人間になってしまったような感じがします。

唯一の救いは、家族小説としてとらまえた場合の、美晴をとりまく登場人物の普通さだったりします。
ストーリは面白かったので、たとえば「東京バンドワゴン」みたく、中心を美晴ではなく、家族を中心に添えれば良かったのにと思ったりもします。

・・・いかんいかん、最後まで批判してしまった。

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2006年11月30日(木) 01時27分28秒

「男は敵、女はもっと敵」 山本幸久 2006-157

テーマ:--山本幸久
隠れた個人的マイブームの山本氏。「男は敵、女はもっと敵」を読了いたしました。
これで山本氏の既出作品はコンプリートいたしました。パチパチ。


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山本 幸久
男は敵、女はもっと敵
出版元
マガジンハウス
初版刊行年月
2006/02
著者/編者
山本幸久
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
フリーの映画宣伝マン・高坂藍子36歳。長身、美貌、才覚で男をひきつけてきたが・・。結婚、離婚、不倫あり。その相手やその別れた妻などかかわった人たちが語るちょっぴり哀しく、おもしろオカシイ6つの連作小説。<<Amazonより抜粋>>



高坂藍子を中心とした連作短編集です。
6つの短編がありますが、最初と最後が高坂藍子本人目線の三人称表現であり、それ以外は、以下にあるように高坂藍子となんらかの関わりのある登場人物の目線の三人称で語られていきます。

「敵の女」
目線:高坂藍子
現在の仕事ぶりやら過去の話などを織り交ぜつつ、全体的に、高坂藍子の紹介に近い作品。
ここで登場する人物が、後の短編の目線担当になることもある。

「Aクラスの女」
目線:高坂藍子の元夫の恋人「真紀」
恋人を高坂に獲られてしまった(その後離婚し、ヨリを戻す)真紀が仕事で、高坂に逢うという話。
Aクラスとはまさしく高坂のこと。

「本気の女」
目線:高坂藍子の浮気相手の元妻「八重」
別れた夫が本気といった相手が高坂藍子。仕事場で知り合った吉口という女性と居酒屋に行った先で起こる話。

「都合のいい女」
目線:高坂藍子の仕事上の付き合いのある年下「吾妻」
高坂藍子に憧れる。ずるずると付き合ってしまっている彼女の話と仕事として請け負った映画試写会での話。

「昔の女」
目線:高坂藍子の元浮気相手(「本気の女」の八重の元夫)「西村」
これまでの経緯と、息子を通じた「妻」との交流の話

「不適の女」
目線:高坂藍子
「敵の女」と同様、仕事振りを通じて、今までに登場した登場人物とのその時点での関わりを表した話。


各作品毎に目線担当と本当に粗い粗筋を書いてみました。
最初と最後を除けば、一人の登場人物を取り巻く(もしくは否応なしに関連してしまった)人々の物語であり、似たような作品に伊坂幸太郎氏の「チルドレン」がありますが、本書の特徴は、それら表現すべき作品に一貫したルールのようなものがないという点だと思いました。

例えば、「本気の女」では、高坂藍子はあくまでも別れた夫の最後の愛人であり、それ以上の存在感はもっていません。
したがって、そういう女が居たという印象までで、物語自体は、目線担当の「八重」の今現在、起こっている、「それだけで物語」になる物語なわけです。

また、「都合のいい女」と「昔の女」は時系列としてもきっちり並んでおり、エレベーターの描写を通じて、ひとつの物語を2人の目線によって表現しているともいえます。

この辺りの”ルールのなさ”は、新鮮といえば新鮮であり、中途半端といえば中途半端な感じを受けました。
個人的には、後者の感覚が強く、元々雑誌掲載のものであることの制約もあろうかと思いますが、連作短編として単行本化する以上、大幅改稿してでもその世界を堪能させてもらいたかったです。

ある意味で素材(アイデア)はとても良いのだけど、調理がうまくなかった惜しい作品といえなくもありません。

ちなみに「高坂藍子」のキャラ自体は、嫌いではないので、次があっても良いと思いました。

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2006年11月19日(日) 01時18分39秒

「幸福ロケット」 山本幸久 2006-151

テーマ:--山本幸久
いろいろありまして、更新が遅れてしまいました。
ちゃんと本は読んでおります。

・・・ということで、マイブームの山本幸久氏の「幸福ロケット」読了いたしました。

ま、当然にして読了したのでこの感想を書いている訳ですが、未だにタイトルの意味が解りません。
プラネタリウムとか天文部とか出てくるのでその辺りからだとは思いますが・・・
「これだっ!!」という方、是非コメントをください。

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山本 幸久
幸福ロケット
出版元
ポプラ社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
山本幸久
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
ふたり、同じ未来を見てた。京成電車に、ガタゴト揺られながら…。クラスで8番目にカワイイ「あたし」と、深夜ラジオ好きでマユゲの太い「コーモリ」の、可笑しくて切ない初恋未満の物語<<Amazonより抜粋>>



小学5年生の少女「山田香な子」の一人称で語られるジュブナイルな作品です。

随分昔のことなのであれですが、この「小学5年生」という時期、男は、まだまだ子供で同級生の女の子のことを「女子」といい、「呼び捨て」にすることで、自分の内面に芽生え始める”異性への憧れ”を押し殺していたりします。
一方、女の子は、それよりちょっとだけませていて、この微妙な差が、後で振り返ってみるとちょっとだけ”こそばゆい”そんな時期
だったかと思います。
大した思い出もありませんが、ちょうど私自身も、その頃に同級生の女の子から本格的にバレンタインデーのチョコをもらい、「どうしようもなく”どうしよう???”」と感じていたわけで、(ふんふん、懐かしいやね~)とすっかり大人びた感慨にふけるのですね。

で、そんな”微妙な時期”を本書はよく捉えて作品にしているという印象を受けました。

ちょっとだけませた女の子「山田香な子」と同級生の「小森(通称:コーモリ」の恋愛未満な物語です。
また、香な子の両親、コーモリの母親、担任の先生と、脇を固める大人たちのキャラクタが、この2人の物語以上に大きな環を作り出しています。

氏の作品の魅力は、きっとこういった「何気ないキャラクタ像」が比較的嫌な人でないといったところでしょうか?
結局のところ本作品で”一番嫌われる役”という、はずれくじを引いてしまったのは香な子の塾のクラスメイトくらいで、ついでに言ってしまえば、その子も愛嬌のある嫌われ者といった感じなのです。(個人的には、好きなキャラクタです。ぐふふ)

ラストに向かって、ちょっとした三角関係やら、父親のことやらいろいろと物語が展開していくのですが、最終的には、香な子とコーモリの2人の物語に収束していきます。
このラスト、登場している人物が「小学5年生」だということを忘れるくらいの立派なラストです。
とくにコーモリのセリフは、歯が浮くようなドラマのセリフのそれですが、意外にまっすぐ心に響いたりして、(なかなか言うじゃん、コーモリ)と肘でつんつんしたくなったりしました。

その昔の微妙な時期を、味わいたい方は是非ご一読ください。
特に男性諸兄の方々は、コーモリのいきざまを感じて、今を深く反省してみていただければ良いと思います。(私のように・・・)

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2006年10月27日(金) 01時25分10秒

「はなうた日和」 山本幸久 2006-142

テーマ:--山本幸久
極めて個人的に「密かな小ブーム」となっております、山本氏。
「はたうた日和」読了いたしました。

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山本 幸久
はなうた日和
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/07
著者/編者
山本幸久
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
こどももおとなも人生はハプニングづくし。東京・世田谷線沿線を舞台に描く、ささやかな変化と希望の物語8編。『笑う招き猫』の著者による、待望の小説すばる新人賞受賞後第一作。 <<Amazonより抜粋>>



世田谷線沿線の短編が8編所収されています。

それぞれの物語の共通点は「普通の生活にちょっとした出来事が起こる→結末の手前で終わる」といった感じです。

そういった意味では収束しきれない物語となり、この書評でやや蔑視の印象で用いられる「雰囲気小説(雰囲気を味わうという目的の小説で、どうにもすっきりしない小説群のことです)」と類似な印象もありますが、これはこれで良いという感じなのです。
というのも、雰囲気小説たる所以は、「ちょっとしたことすら起こらない」ということであり、結果として「結末も何もない」というなのであって、そんな意味でも「ちょっとしたことが起こる」という点が違い、結果的には(まぁ、そんなにはっきり収束しなくっても良いかもね)と思うということです。
「振幅の問題」ってことですね。

本作の注目すべきポイントは2つ。

1つは、8編の物語の主人公が、まったく違うキャラクタであるということ。
あらすじにもあるとおり、「こどももおとなも」どころか、不倫をしていた女・定年間際のベテラン社員・離婚した主婦・堪え性のない若者・30歳のグラビアアイドル・冴えない営業マン・老婆と、ありとあらゆるキャラクタを描いています。
で、個人的には、ちょっとだけ「短編小説集冥利につきる作品」だと個人的に思ってしまうわけです。

もう1つが、それぞれの短編が地続きであるという点。
「森林開発研究室」とか、「超絶戦士キャストロフィン」とか、「世田谷もなか」とか「散歩代行のイチニサンポ」とか「狸の置物がある小料理屋」とか、2つ以上の短編でちょこっとずつ登場したりします。
このあたりは読んでいただいてちょっとだけ「にんまりする」といった効果あります。
世田谷線沿線という共通の環境に物語をおくことで、決して連作ではないものの、こういった「小技」が見られるといった趣向です。
洒落たことを言えば、この「世田谷線沿線の風景」そのものが、本作品の本当の主人公だったりするわけです。
(ちなみに、これまたちょっとだけ登場する「未名未コーポレーション」は同著の別作品である「凸凹デイズ」との連携だったりします。)

このあたりの注目ポイントは個人的な嗜好(というか偏愛)の世界なので、同意していただくでもありませんが、ちょこっとだけ普段の短編小説集よりお得な感じがするんですよね。

総じてタイトルの「はなうた日和」の通り、ちょこっとだけ幸せになるような作品でした。

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2006年10月12日(木) 17時21分37秒

「凸凹デイズ」 山本幸久 2006-133

テーマ:--山本幸久
「笑う招き猫」 に続く、山本氏の2冊目です。
荻原浩氏の「オロロ畑」「小鳩組」に近い、”仕事系成長小説”(ってなんだそりゃ?)で、ということは、個人的にアリな分野でございました。
加えて、物語の構成そのものも、とてもアリだったのです。

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山本 幸久
凸凹デイズ
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
山本幸久
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
エロ雑誌のレイアウトもスーパーのチラシもなんでもござれの弱小デザイン事務所・凹組クロニクル。キュートでコミカルなデザイナー青春小説。 <<Amazonより抜粋>>


凹組(ぼこぐみ)という弱小デザイン事務所の物語です。
章が5章までありますが、奇数の章が「現在」の話で、主人公・凪海の一人称で同社の大滝・黒川と、敵対するライバル会社の醐宮の3人が登場し、偶数の章が「10年前」の話で、主人公・大滝の一人称で、同社の黒川・醐宮が登場します。

ここまで書いてもピンと来ないかもしれませんが、要するに、凹組の”凹”とは男女男と3人が並ぶことの形を指しており、10年前は大滝・醐宮・黒川であり、現在は、醐宮の代わりに、凪海が加わり、大滝・凪海・黒川の3人で”凹”なわけです。
この10年前の凹組と現在の凹組を交互に読ませることで、物語の広がり(というか壮大な繋がり)をうまく演出しております。

で、ストーリそのものは、「大きな仕事を手にして、それを阻害するものがいて、いろいろあって、ひとつ成長する」という、いわゆる”仕事系成長小説”なのです。

なんだか「アツイ奴」とか思われるのが、憚れますけど、まぁせっかくなので、ここでカミングアウトしておきますが、個人的には「仕事系成長小説」って好きなのですね。
仕事をしていくことで如何に人が成長していくかってことに興味があるのかもしれませんし、単にうらやましいと思っているだけかも知れませんが・・・

キャラクター設定もバラエティーの富んでいて好感触でした。
特に、一人称の語り手として登場する凪海・大滝は、比較的普通の人(これはまぁ定石といえば)に比して、「大成するぞ」と息巻く、ある意味でこの物語のキーパーソンである「醐宮」と、デザインに関しては、天才肌だが天才肌以上の何者でもない「黒川」を「現代」でも「10年前」でも異端として際立たせるバランスは、絶妙ですね。(まぁ、この2人はまったく変わらないのです)

前述したとおり、荻原氏の「オロロ畑でつかまえて 」と「なかよし小鳩組 」テイストであり、良いですね。

仕事で行き詰まり気味な方で、それでも仕事っていいよねって思いたい人はオススです。

ちょっと引き続き、山本氏を追ってみたいと思います。

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2006年09月26日(火) 23時38分25秒

「笑う招き猫」 山本幸久 2006-124

テーマ:--山本幸久
第16回小説すばる新人賞受賞作、山本幸久著「笑う招き猫」読了しました。

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山本 幸久
笑う招き猫
出版元
集英社
初版刊行年月
2004/01
著者/編者
山本幸久
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
ヒトミとアカコは27歳の女漫才師コンビ。苦労性のヒトミと天衣無縫なアカコ、性格も境遇も異なる二人だが、“本物の漫才師”目指して奮闘中! お笑いに賭ける青春を描く、傑作成長小説。<<Amazonより抜粋>>



女漫才師コンビ「アカコとヒトミ」のツッコミの方であるヒトミの一人称で語られる成長物語です。
いわゆるこの手のシチュエーションでありがちな、楽屋ネタも少なく、純粋に主人公格の2人の成長を感じることができます。

物語は、分り易く、2人の初舞台のシーンに始まり、進行する物語の間に2人が出会った経緯などが挟み込まれ、徐々に感情移入できるようになっています。
読み手にやさしい構造を用いていて、好感触でした。

ま、最初のうちはどっちが「アカコ」でどっちが「ヒトミ」か分らなかったりしましたが・・・

で、物語のメインストリームは、2人の成長なのですが、どうやら借金を抱えたマネージャーや、売れないピン芸人とその妻の元アイドル、それからその夫婦の一粒種であるエリといった、周りを囲む登場人物のサブストーリーも挟まれています。

ちゃんとキャラクターとして成立している登場人物のこれらサブストーリが、とっても庶民的な展開なもので、なんだかほっとしちゃったんですよね。
盛り上がり方とか文章の旨さ云々は抜きにして、雰囲気は荻原氏の「母恋旅烏 」に近いと勝手に思っております。

ラストにある、盛り上がりは、2人が信頼していたマネージャーである永吉の処遇と、漫才コンビにはありがちな、方向性の違いから起こる喧嘩の顛末だったりするのですが、これまた極めて庶民的な、一歩間違えれば「雰囲気小説」になりがちな展開でしたが、ま、ギリギリOKといった感じです。

レッドバロン並に滑走するわけでもないですが、よくある「夢を追います」的物語に終始しなかったのは良い感じでした。
(読んだ方にしか分らない表現ですみません)

引き続き、山本氏を追ってみたいと思っております。

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