2007年08月09日(木) 22時11分13秒

「誘拐の誤差」 戸梶圭太 2007-089

テーマ:--戸梶圭太
戸梶圭太「誘拐の誤差」読了しました。

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戸梶 圭太
誘拐の誤差
出版元
双葉社
初版刊行年月
2006/11
著者/編者
戸梶圭太
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
礼乎(10歳)が学校から帰ってこないんです。母親からの届けを受け、警察が捜査を開始した。1週間後、悲しくも礼乎が死体となって発見された直後、犯人から礼乎の身代金を要求する連絡が入る。困惑する警察。犯人の動機・目的は不明。捜査陣の足並みは乱れ、捜査は難航する。 <<Amazonより抜粋>>


装丁が、いつものトカジ本にあるポップ基調でなく、重厚(ある意味では普通)なものだったので、どんな物語かと、どんな裏切りがあるかと、やんわりと期待していたのですが、中身はいつものトカジ本でした。

トカジ本でお馴染みの安~い登場人物達が、安さゆえの過ちを繰り返していく物語です。

本作と今までの大きな違いは、物語の目線が、物語序盤で無残に殺害されてしまった礼乎目線(要するに霊)であり、物語世界や、登場人物の本心までも縦横無尽に我々に伝えるといった手法を用いている点

より登場人物についての情報が読み手に集まり、そのすべてが「どうしようもなさ」に溢れているという、稀有な作品となっているわけです。

とりわけ、本当に勢いで礼乎を殺害してしまった真犯人須田と真犯人探しをする刑事達の「本心」が、本当にもう「どうしようもなく」、「どうしようもなさ」すぎて、悲しくなるくらいです。

物語は、真犯人探しをする刑事達と、殺害を隠蔽しようとする須田の攻防ってことなのですが、これはある意味で「心理攻防戦」といっても過言ではありません。
ただし、とても非建設的な「心理攻防」、読んで字のごとくただの「心理攻防」であると断言できます。

ラストもトカジ本をお読みの方なら十分許容できちゃう「驚愕のラスト(本帯に記載)」であり、別段、絶句(これも本帯に記載)するわけでもありません。

物理的なガチャガチャ具合が少なめのため、物足りない感じを受けたりします。

私自身が、暑すぎて麻痺しちゃったのかも知れませんね。ははは
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2007年05月07日(月) 22時34分30秒

「ツーカイ!金剛地くん」 戸梶圭太 2007-055

テーマ:--戸梶圭太
ゴールデンウィークは終わってしまいましたが、淡々と・・・

2007年GW読書期間第3弾。
ラストは、トカジ本です。「ツーカイ!金剛地くん」読了しました。

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戸梶 圭太
ツーカイ!金剛地くん
出版元
徳間書店
初版刊行年月
2007/02
著者/編者
戸梶圭太
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
2時間ドラマ評に命をかける狂気の新聞記者・金剛地厳太郎の狂乱人生を、猛毒と苦笑テンコ盛りで描くブラックコメディ。<<Amazonより抜粋>>


あいかわらす、すごいですね戸梶氏。

今回は、特有のエログロバイオレンス色がなりを潜める変わりに「バリキチ」度全快です。

タイトルの「ツーカイ!」とは真逆な不快感たっぷりの主人公金剛地厳太郎
この金剛地のはちゃめちゃぶりは、怖いもの見たさに近い感覚で、ぐいぐい読めちゃいます。

こいつは最後まで改心しないだろうなという雰囲気が前半部当初から伝わり、どこに行ってしまうのだろうと、ちょっとだけ同情しつつ、とはいえ、自業自得なのだろうと納得してしまう自分。

トカジ本はどんなものかを知らずにお読みになってしまった方は、たぶんいろんなところがむかつくとは思いますけど、是非最後まで読みきっていただきたい作品です。
そして本作をきっかけにどんどんトカジ本を読みふけっていただきたいと思います。
ありがたいことに脳内が不健康になります

ちなみに本帯には「ブラックコメディー+ホラーサスペンス+少年冒険アクション 一粒で三度ハジケる」とありますが、この表現は、まったくはまっています。
一つずつちゃんと用意されているわけです。

ラストの奇想天外っぷりも良いですね。
きっと対抗する組織そのものに、崇高なメッセージが隠されているんだとは思いますが、ある意味でエンターテイメントとしての完成形をみせてもらったという感じです。

ということで、脳内不健康になりたければ是非。
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2006年12月29日(金) 21時10分37秒

「バカをあやつれ」 戸梶圭太 2006-168

テーマ:--戸梶圭太

たぶん2006年最後の読後感想になるでしょう。
そんな2006年最後の読後感想が、トカジ本というのも、アレですが・・・


いいんです!!そういうもんです。

ということで、”最高の激安小説”「バカをあやつれ」読了しました

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戸梶 圭太
バカをあやつれ!
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/10
著者/編者
戸梶圭太
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
高知県の田舎町に警察署長として赴任したエリート警察官僚と、幼い頃に地域から受けた壮絶ないじめの恨みを抱える町長とが、町を“この世で最低最悪の下層社会”にするプロジェクトを開始した。大型ショッピングモールの誘致、パチンコ店の新規参入促進、風俗店営業の規制緩和、ホームレスにやさしい町づくり、前科者の再チャレンジ支援などなど、次々に繰り出される「構造改革」。果たして“下流社会”はつくりだせるものなのか?小説界のホリエモン、戸梶圭太がおくる渾身の書き下ろし長篇。<<Amazonより抜粋>>


まったくもって「激安野郎(本書から引用)」たちばかりが出てくる物語です。

ま、トカジ本にとっては、定番の「激安野郎」なのであって、ここまでは今までの作品と変わりないのですが、この作品の大きな違いは、それを鑑賞しようとする「鬼畜変態(これも本書から引用)」が登場し、物語の牽引がそちらサイドにあるってことですね。

いわゆる勝ち組といわれる「鬼畜変態」(警察官僚と町長)が、いわゆる負け組といわれる「激安野郎」を操って、ある町を崩壊しようとする。
町を崩壊させる目的というのも、ただの観賞(警察官僚)と過去への復讐(町長)なのですが、この辺りの説明もそこそこ、物語の大半は、「激安野郎」の激安っぷりが続くのであって、審査員特別賞をもらってしまった前衛作家の映画のような作品なのですね。

エロ・グロ・バイオレンスは、近年のトカジ本にはない”激しさ”で、正直、読む場所を選びます。
なんせ、次のページで、どんな行動をするかわからないのですよ、この「激安野郎」が。
もう、ドキドキで・・・

と、こんな感想を書いている私自身も「鬼畜変態」の気があったりするんですよね。

そんなこんなで、今までのトカジ本には定番の「激安野郎」の物語に、それを操る「鬼畜変態」という役割・牽引者を加えると、このように作品の印象が変わってしまうのです。
今までは、バカバカしい作品だと、軽く読み流していたのが、どうやら、ちょっと違った感慨をもって受け止めてしまいます。
いわゆる、読み手の鬼畜変態度を検査するのにはもってこいの作品なのですね。

自分ではそう思っていなくたって、この作品を嫌悪感を持ちつつも、読み終えてしまったのなら、それだけでプチ「鬼畜変態」なのです。

ということで、リトマス試験紙のつもりで読んでみたら如何でしょうか?
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2006年08月15日(火) 22時01分32秒

「もっとも虚しい仕事」 戸梶圭太 2006-104

テーマ:--戸梶圭太

「クールトラッシュ 裏切られた男(感想はこちら )」「ビーストシェイク(感想はこちら )」に続く鉤崎シリーズの第3段です。
既読の2冊の感想を改めて読み直してみると、どうやら「続きが出ても、もう(このシリーズは)読めませんな」的感想のようですが、怖いもの見たさというより、そんな感想すら忘れて借り出したようです。

で、読み終わって、次回作も読んでみようと思いました。

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戸梶 圭太
もっとも虚しい仕事 ブラッディースクランブル
出版元
光文社カッパノベルズ
初版刊行年月
2006/06
著者/編者
戸梶圭太
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
売れっ子俳優宅への押し込み強盗計画がきっかけで、過去の「仕事仲間」の不始末に気づいた鉤崎。アシのつきやすい拳銃を乱発し、暴走するかつての仲間を追いかける鉤崎だが、またもや、勝手で無計画な犯罪者たちの思惑に巻き込まれて…。後始末という虚しい仕事に、決着はつくのか!?ギャング・ライフの魅力(?)に満ちた、痛快無類のパルプ・ノワール。 <<Amazonより抜粋>>



プロの強奪犯である主人公「鉤崎」は相変わらず、冷静沈着な男であり、読み始めて前作までのキャラクターを思い出しました。

今回の当シリーズ特有の「エログロバイオレンスレベル」は、前作までに比べればどうってことないです。
とはいえ、もしかしたら単純に「慣れ」てしまったのか知れませんので、初めて読む方はお気をつけください。

この「エログロバイオレンスレベル」が少ないことが影響してか、してないかは分りませんが、物語としては、とても短い作品になっています。
普段のノベルズよりやや薄く、お手にとってパラパラっとしてもらえれば分りますが、空白が多いことも分ります。

ただ、ストーリ展開は、相当激しく、個人的には気に入りました。
ただでさえ、トカジ本は文体自体にスピード感があって、加えてこの展開となれば、そりゃ「ぐいぐい」といってしまうわけです。
同じストーリを、別の作者が書けば、人によっては前後編になるくらいの展開なわけです。(言いすぎですかね)

鉤崎の周りの登場人物は、もれなく「悪人」であり、そんな「悪人達」が「悪人の世界」で「悪人の物語」を紡いでいくわけです。
現実の世界と同様に、いわゆる非犯罪者が一番「悪人」だったといった、ちょっとした風刺も効いています。

でも、ラストの収束の仕方は、さすが「トカジ本」という印象もありつつ、ちょっと「いさぎよすぎ」な感じを受けました。
本裏のあらすじは何かの比喩かと思っていたのですが、そのままじゃんって感じです。
もうちょっと一捻りあれば面白かったのですが。

PS:前作の「ビーストシェイク」で鉤崎がある含みを持って終了している点については、きっちりフォローされております。
ちゃんと作品順に読めると幸せかもしれません。

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2006年05月13日(土) 11時18分07秒

「天才パイレーツ」 戸梶圭太 2006-060

テーマ:--戸梶圭太

いやいや、読了までに時間がかかっちゃいました。

決して退屈ってわけではなく、どちらかといえばトカジ本真骨頂って感じなのですが、じゃぁどうして時間がかかってしまったのか?
ふむふむ、後でちゃんと説明します。

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戸梶 圭太
天才パイレーツ
出版元
朝日新聞社
初版刊行年月
2004/04
著者/編者
戸梶圭太
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
特異な才能だけが突出した「天才」たちが社会生活に適応するため、船上セミナーに参加する。しかし、海上で彼らを待ち受けていたのは、トンデモナイ事態だった。ハリウッド顔負けのエンターテインメントを放ち続けるトカジの海洋エンターテンメント。 <<Amazonより抜粋>>


社会不適合者の天才達が船上セミナーに出発します。
前半、豪華客船のクルーは、その天才っぷりというよりも、「社会不適合」っぷりに辟易しますが、中盤以降は、まさにパイレーツな状況になり、終盤辺りは完全に「バイオハザード」の世界に突入します。
相変わらずのトカジ3大要素「エロ・グロ・ナンセンス」はフンダンに盛り込まれており、こっそり楽しむには十分な作品です。
ま、天才の天才っぷりってのが、もうちょっと盛り込まれていれば、そのギャップみたいなものが面白そうだったのにな~と思いました。
でも、そんな描写が許されないほどのドタバタなわけで、勢いでグイグイいっちゃうのです。

なのに、読了スピードが遅かったのは、その「エロ」っぷりでした。
これね、正確な表現ではないんです。
今までの作品に見られる「文章」のエロってわけではなく、ただ単に、天才バカがしゃべるバカ言葉(単語)なのです。
具体的にはご一読いただければ良いのですが、ただの単語を羅列しているだけならまだしも、それが、ほぼ2~3ページに1回、それが太大字で書かれているわけです。
通勤時はもちろん、就寝時もおちおち読んでいられない状況→読了スピードが遅くなったというわけです。(で、結局、今日の朝に一人でこっそり読了したとうことなのですけど)

いやいや、引用できなくて残念です。

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2006年04月22日(土) 09時07分14秒

「宇宙で一番優しい惑星」 戸梶圭太 2006-048

テーマ:--戸梶圭太

なんだかんだいって、刊行すれば借りてしまうトカジ本。
今回は、設定がSFでしたが、内容はいたって現実のなぞらえています。

なるほど、こういうやり方があったか~と、変に関心してしまいました。

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戸梶 圭太
宇宙で一番優しい惑星
出版元
中央公論社
初版刊行年月
2006/03
著者/編者
戸梶圭太
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
遠い遥か彼方の惑星上にある三つの国。この国々舞台に、繰り広げられる戦争、テロ……。人間のエゴと、その心理の奥底に存在する「暗部」を、独自の文体で抉り出す! 書き下ろし長篇小説! <<Amazonより抜粋>>


相変わらずグロ要素満点です。
個人的に、グロ表現が好きなわけではないのですが、「トカジは仕方ね~か」というスタンスなのです。

今回は惑星「オルヘゴ」を舞台とした、3つの国家間の紛争の物語です。
この3つの国の国境は、大陸の中心にある山を中心に同心円にひかれており、
中央に位置するのが、知的ではあるが高圧的な「クイーグ」。
次の輪は、無責任で事なかれの「ボボリ」。
一番外側は、ずる賢いのに単純で、暴力的な「ダスーン」です。

ま、こんな紹介をしてみて、感の良い方は気がついたのだと思いますが、まさにこの3国、現代にある「とある国」を模倣し、「よく聞く紛争」をテーマにしています。

「紛争」などという表現をしてますが、そこはトカジ本、簡潔に言ってしまえば、人殺しがず~っと、何のためらいもなくず~っと続きます。無差別だし。

この本に無理やりでも意味をつけるのであれば、

”第三者的な視点で物語を進めることで見えてくる、現実に起きていることの馬鹿馬鹿しさ。”
といったところでしょうか?

人は何のためらいもなく殺されていくし、表現は、ある意味狂ったような筆力なのですけど、よっぽどストレートな戦争反対論よりは、感じ入るものは多かったりします。
トカジ流の「NO MORE WAR」なのです。

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2006年03月25日(土) 00時59分55秒

「CHEAP TRIBE ベイビー、日本の戦後は安かった」 戸梶圭太 2006-037

テーマ:--戸梶圭太
トカジが語ると、「昭和史」もこうも惨めなものになってしまうんですね。
圧倒的な文圧に、ぐいぐいいってしまいました。
読前感想にある「エログロナンセンス」は、ばっちりでございます。
WBC決勝を見ながら一気読みをしてしまいました。ははは

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戸梶 圭太
CHEAP TRIBE-ベイビー、日本の戦後は安かった
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2003/08
著者/編者
戸梶圭太
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
東北の零細炭抗に生まれ、偽大学生としてデモに参加、強姦未遂で殺人、ムショを出たらホームレス。時代に流された沼田永吉の人生 。トカジがほじくり出す、ダメ男の爆裂的人生。できればなかったことにしたい昭和史。<<Amazonより抜粋>>


沼田栄吉という一人の男性の一代記です。
episode1から5、それぞれ 「1957」「1969」「1974」「1985」「1995」と西暦がタイトルの章が5つ。
一代記っていうと、なんだか大成しちゃったりする雰囲気がありますが、本書はまったくの逆であり、簡潔に言ってしまえば、”惨めな人生”を画に書いたような生涯の物語です。

炭鉱での人権を無視された生活から始まり、学生運動、ノストラダムス、戸塚ヨットスクール、援助交際とそれぞれの時代のキーワードとなるものに極めて「惨めに」接し続ける沼田栄吉。
犯罪史ってほどの悪でもないわりに、人間の業のようなものが苦味を感じることができます。
特に後半の2章は、これでもかってくらいトカジ節炸裂の暴力的な表現で、昭和(というか沼田栄吉の人生)を語ります。

ちょっとだけ深く考えてみると、各章毎にあるシチュエーションそのものは決してフィクションではないわけで、沼田と同じような人生を送った人々もいるはずなのでは、と考えると意外と感慨深い物語だったりもするんですね。
生まれたときから人生のどん詰まりでありながら、生き続ける沼田に、人の在り様をダブらせちゃったりする自分がいたりして、(少なくともここまで惨めではないわな~)と妙な勇気をもらったりしてしまう自分がいたりするわけです。

ま、(こんな本(決して悪い意味ではなく、文面どおりの「こんな」)に勇気をもらっちゃうほどなのか~)と客観的に冷めた自分もいたりしますが・・・

ちなみに、内容には関係ないのですが、わら半紙風な紙質と1世代前風な文字フォントもなかなか”昭和”っぽさがあってよいですね。

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2006年01月05日(木) 19時34分41秒

「東京ライオット」 戸梶圭太 2006-002

テーマ:--戸梶圭太
トカジ流社会派群像物語です。
とでも言えば格好良いですが、これはもう完全なる「トカジワールド」です。
ですので、これを最初のトカジ本とするのはやめといた方が良いと思います。
もっとソフトな作品はたくさんありますので、まずはそちらを読んでいただければと・・・
この安穏とした正月休みに読むには、最適というか最悪というか・・・
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戸梶 圭太
東京ライオット
出版元
徳間書店
初版刊行年月
2005/07
著者/編者
戸梶圭太
総評
18点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:2点 
意外性:2点 
装丁:4点

あらすじ
複合型超高級マンション・ソナーレを巡る構図。新入居者は貧乏地元住民など一顧だにしないスノッブなハイソ&セレブ。そのハイソを警護する貧乏アルバイト警備員。マンション専用バスの小心な運転手。破滅的家庭環境からギャング化する中学生。宅配ピザのアルバイトで糧を得るカメラマン志望の若者。誰にも邪魔されずひっそりと暮らすことだけが願いの近隣ホームレス。そのホームレスを喰いものにして保険料を掠めとる暴力団。スラム化する街をテーマにミュージッククリップを制作する教祖的ミュージシャンとデザイナー。彼らの私利私欲が恐るべき大暴動へと繋がってゆく…。

昨今の「構造計算書偽造問題」ってのもあって、マンションをテーマにした物語は、旬といえば旬なのでしょうね。

ただ、本書のマンションは「超高級マンションと地域住民との軋轢」ってことで、マンションに住むハイソ(≒選民意識の強い)な人々や、元々そこに住む(やや)ヤンキーな人々・マンションの警備員・ホームレス・マンションのバスの運転手・建設を請け負っているガテン系・・・なんでもかんでも詰め込んだ群像物語です。

「群像物語」っていえば聞こえはいいのですけど、誰一人まともな人はいません。
ここがトカジ本の真骨頂。
あえて本文を引用すればオール「人間の形をしている何か変な生き物」の群像なわけです。

あらすじにもあるとおり、綾瀬に突如としてあわられた複合型超高級マンション。
このマンションが建った反動で、元々の地域と住民が、スラム化します。
この状況が、加速度を上げて盛り上がり、最終的には暴動(ライオット)が起こるといったシンプルかつ大胆な作品です。

エロはないけどグロはあって、圧倒的に暴力的。
著者の他の作品に見られる「ユーモア」も若干入り込んではいますが、これは前述したとおり「社会派」ってことなわけです。

そりゃもう、こんな安穏としたお正月休みにはもってこいの本書(最適であり最悪)であり、この「人間の形をしている何か変な生き物」の目を覆いたくなるようなドタバタには、グイグイもいってしまいます。

読了感は、ほぼ最悪ですけど、これも「人間のなせる業(わざ)」なのだと思うと、まったくフィクションてわけでもないのでちょっと怖くなったりします。

ということで、トカジ氏には、この調子でどんどん書き続けていって欲しいですね。
私の本能がトカジ本を求めているかもしれません。
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2005年08月12日(金) 23時00分20秒

「嘘は止まらない」 戸梶圭太

テーマ:--戸梶圭太
戸梶 圭太
嘘は止まらない
05年6月刊行のトカジ本最新刊。
いやいやこれですよトカジ本。全体的にドタバタで、最後の最後までドタバタなのですよ。

うだつの上がらない詐欺師の須波は、パチスロ店で妙な黒人に出会い、直感的に尾行を始める。その黒人は「ンゴラス王国駐日大使のオベンバ。須波は、オベンバを使った詐欺プロジェクトを思いつき、昔の相方である結婚詐欺師の早乙女や、早乙女との昔の仲間の娘沙理と共に、その詐欺プロジェクトを実行する。果たしてその詐欺の内容は?そして詐欺はうまく行くのか?

この書評で紹介している過去のトカジ本(「クールトラッシュ 裏切られた男 」「ビーストシェイク 」)は、総じて「痛々しい小説」と評してましたが、今回の作品は、それ以前の作品に見られた「どうしてそこまでドタバタしちゃうの?」ってくらい「ドタバタコメディ小説」です。
それぞれの登場人物が良い意味でも悪い意味でも「エネルギッシュ」であり、誰一人スマートには見えません。
利己的で俗物ばかりの登場人物が、それぞれのキャラクターを剥き出しにして、欲を満たすことだけを追求し続けます。
この感覚が、とても気持ちよいわけです。

性欲にあふれた貧乏国の大使と金銭欲にまみれた詐欺師に、やっぱり性欲にあふれた悪徳官僚がからみ、ただのテロリストが出れば、男に騙されてAV出演してしまう娘がいたりします。
とにかく、誰一人として個としては共感し得ないものの、本書全体に通じる「欲を満たすことためだけ」への剥き出しの行動は、何処かで羨ましかったりします(ま、決して抑制された人生ってわけでもないんですがね)。

後半にたたみかける展開(ドタバタ加減)の早さは、(一体どこまでいってしまうのか?)と思うほどであり、物理的な残りページ数から(本当にこの物語はちゃんと終わるか?)と思いましたが、ご丁寧に後日談まで入って、きっちり終わります。
このドタバタのくせにちゃんと終わるってこともとても重要だったりします。

とにかくトカジ本は、こんな感じでよいのです。それを期待している読者である限り。
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2005年05月12日(木) 22時03分18秒

「自殺自由法」 戸梶圭太

テーマ:--戸梶圭太
著者: 戸梶 圭太
タイトル: 自殺自由法

トカジ本です。
装丁がカッコよいですね。
残念ながらAmazonのイメージでは伝わりませんが、オレンジ色の表紙に凹凸でこんなことが書かれています。

以下全文。

”日本国民は満十五歳以上になれば何人も自由意志によって、国が定めたところの施設に於いて適切な方法により自殺することを許される。但し、服役者、裁判継続中の者、判断能力のない者は除外される。”

・・・

そんな近未来の日本の人々の物語です。個人名がタイトルとなり、じゃんじゃん人々が登場します。
こういった世界で、人々が、何に追われ、何にこだわり、何を考えるかというのが、この小説のポイントです。
よくぞ、ここまで世界を広げて考えられますね~と、作者に感心しちゃいます。
ホント、脱稿後に2日間だけ鬱に陥っても無理はないと思います。(著者あとがきより)

本書に登場するいろいろな境遇の人々は、施行前のモラリティー(現在の我々のモラリティー)に縛られながらも、自殺自由法と対峙し、ある人物はそれを許容し、ある人は生きる糧とする。
この境界線が微妙なのですね。
死のうと思った人が、あることきっかけに生きることを選択したり、仕事のために報道規制されている自逝センター(法でいうところの、国の定めたところの施設です。)内の潜入をはかろうとした人が、その法を受け止めてしまったり。

自殺が許される社会ってのは、逆説的には「生きること(生き続けること)の責任」を課せられるものなのだなぁ・甘いもんじゃないのだなぁと思いました。

エンタテイメントとして本書を読むか、心に何かを感じとるかは、読者次第です。
なるべくなら前者でありたいものですが、後者であっても鬱にならなければ良いと思います。
私自身は前者:後者が8:2くらいで、後者は「NON鬱」でした。

あ、ちなみにトカジ本特有の暴力描写は、相変わらずでございます。「痛い小説」なので気をつけてください。私は慣れちゃいました。(←トカジ本を読むときは覚悟をして読むという意味です)
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