2009年03月03日(火) 23時53分17秒

「忍びの国」 和田竜 2009-020

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
和田竜氏「忍びの国」読了しました。

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忍びの国/和田 竜
¥1,575
Amazon.co.jp
出版元
新潮社
初版刊行年月
2008/05
著者/編者
和田竜
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無門は想い女のお国を連れて敵前逃亡をはかるが……。歴史時代小説の枠を超えた面白さと圧倒的な感動に包まれる傑作長篇。<<Amazonより抜粋>>



伊賀の無門を主人公とした物語。
歴史上においては「天正伊賀の乱(1579年)」の物語となります。

まず読み進めて圧倒されるのは、この伊賀の者達の価値観。
義理人情のかけらもない、自分だけ良ければそれで良いといった価値観。
この価値観をベースに伊賀の下忍が語られていくさまは、ある意味で爽快感があるわけです。

ここにあるのは「生きる物の本能」だったりもするわけです。
とかく「助け合い(互助)」の仕掛けばかりがはびこる現代にとっては、間違ってはいるけど、誤ってはいるけど、とても分かりやすい世界なのです。

このような世界を一般的な時代小説然とさせず、エンターテイメント色豊かに物語る本作は、一歩間違えれば「嫌悪感」を持つかも知れませんが、私達に何かを気づかせてくれます。

物語のラストでは、もう一つの「人としての正しい本質」が垣間見えて、それがまた良いのですね。

物語を彩る登場人物のキャラクター設定も大変興味深く、これだけの際どい登場人物なら、もう一つ物語が書けるんじゃないかと思ったりしました。

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2009年02月01日(日) 21時18分47秒

「掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南」 輪渡颯介 2009-011

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
第38回メフィスト賞受賞作、輪渡颯介氏「掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南」読了しました。

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掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南 (講談社ノベルス)/輪渡 颯介
¥840
Amazon.co.jp
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2008/01
著者/編者
輪渡颯介
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く痛快時代活劇!第38回メフィスト賞受賞作。<<Amazonより抜粋>>


怪談モノで時代モノでミステリーな作品です。

しっかりとしたプロットがあって、前半に展開が発散しつつ、終盤きっちり収束するという「物語の見本」のような作品でした。

「闇討ち」というその時代ならではの事柄を主眼に置き、それに怪談話をちりばめていきます。
様々な登場人物の視点によって物語が進行する場合、読み手に進行(手の内)を見せてしまうため、一般的には謎解きが難しかったりするわけですが、そこら辺もうまく処理しています。

闇討ちの首謀者は誰か?という比較的分かりやすい謎解きテーマも良かったですが、ちりばめられたそれぞれの怪談話のオチもしっかりあったので良かったです。

個人的には主人公の「左門」がそれほどキャラクターとして強烈なものではなかったことが悔やまれますが、読み物としては上質のミステリーといった感じでした。

続編もあるようなので、ちょっと期待してしまいます。
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2008年10月07日(火) 22時21分15秒

「のぼうの城」 和田竜 2008-110

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
和田竜氏「のぼうの城」読了しました。
噂どおりの面白さでした。

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のぼうの城/和田 竜
¥1,575
Amazon.co.jp
出版元
小学館
初版刊行年月
2007/12
著者/編者
和田竜
総評
25点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:5点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。<<紀伊国屋Bookwebより抜粋>>


もう、ここまでくれば、歴史小説というよりも、完全なエンターテイメント小説なのです。
たまたま、こういう展開の話があって、それをきっちり描ける世界が「戦国時代」だったというくらいのエンターテイメント性です。

歴史小説が苦手な人にもきっちり読ませるし、私のように歴史小説が好きな人にも、それなりにドキドキを与えてくれるそういう物語です。

キャラクターの配置が良いですね
主人公の長親をはじめ、そこに従う(実際に従ってはいませんが)、正木、靱負(ユキエ)、柴崎の3人のそれぞれのキャラクター。
この4名の配置が、まるで「少年漫画」を読んでいるかのように、シンプルかつ説得力を持っています。

一人とも欠けてはいけない配置であり、これ以上はいらない配置。
絶妙
です。

また、石田三成をはじめとした敵方も「人の機微」のようなものを感じさせます。

もともと個人的には、「キャラ立ち」している物語に甘い採点を付けてしまうのですが、この物語には「ばっちりはまる」。
そう思いました。


物語の展開としても、非常にスリリングでかつ、長親の真の姿を知るべく、正木と一緒に想像しながらページが進むので、飽きさせません。

未読の方もいらっしゃるのでこれ以上はいえませんが、要するに長親は「自分の正しさ」のために生きているということを凄く感じました。

感じたと同時に、私自身にも、問いかけられているようで、読後は、何故か「清々しい」気分になりました。

自分の正しさに迷っていて、それを再認識するには、とても有効な物語です。
是非。
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2008年09月23日(火) 20時56分35秒

「奇妙な新聞記事」 ロバート.O.バトラー 樋口真理訳 2008-102

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
ロバート.O.バトラー「奇妙な新聞記事」読了しました。

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アフィリエイト検索になし(アマゾンにはあります)
出版元
扶桑社
初版刊行年月
2002/06
著者/編者
ロバート.O.バトラー 樋口真理訳
総評
16点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:2点 
キャラ立ち:3点 
意外性:2点 
装丁:4点

あらすじ
「どうにもわけのわからぬ話だ…」沈没の瞬間を回想するうちに、自分がとうの昔に死んでいたと気づくタイタニック号の死者…。実は「ダラスの悲劇」を生き延びていたケネディ。ある事情から長らく幽閉されていた元大統領が、お忍びでジャクリーン夫人の遺品オークションに参加する…。オウムに生まれ変わって、妻の不倫の邪魔をする嫉妬深い夫の物語。生まれながらに胸にエルヴィスの顔の刺青を持って生まれた男の子と、その母親がたどる数奇な運命。扇情的な見だしで読者を惹きつける「タブロイド新聞」―この題材に想を得て、ピュリッツァー賞受賞の名手ロバート・オレン・バトラーが紡ぎだした“奇妙な味の短編”全十二作。 <<Amazonより抜粋>>


12編の短編が所収されています。
要するに日本で言うところの「東スポ」を賑わす「記事タイトル」をモチーフにした短編のようなものです。


◆「タイタニック号」乗客、ウォーターベッドの下から語る
◆夫の不倫を目撃した義眼
◆エルヴィスの刺青をつけて生まれた少年
◆クッキーコンテスト会場で自分に火をつけた女
◆オウムになって妻のもとに戻った男
◆車にひかれて淫乱になった女
◆九歳の殺し屋
◆キスで死を呼ぶ女
◆地球滅亡の日は近い
◆探しています わたしの宇宙人の恋人
◆JFK、ジャッキー・オークションにあらわる
◆「タイタニック号」生還者、バミューダ三角水域で発見さる


どれも、これも、扇情的なタイトルですが、残念ながら、物語自体は比較的凡庸。
たまたま、電車で遠くまで行く機会があって、行き帰りで読み終わってしまったので、この記事を書いていますが、もしそのような機会がなければ、間違いなく途中でやめていた・・・と思います。

一つ目の『「タイタニック号」乗客、ウォーターベッドの下から語る』と最後の『「タイタニック号」生還者、バミューダ三角水域で発見さる』が連作になっているところ以外は、どうにもこうにもな感じです。

すみません。
最近好き嫌いがはっきりしています。

ちなみに、英語のタイトルは相当イケテマス
これはこれでどこかで引用したい気分ですね。
せっかくなのでご紹介しておきます。

TABLOID DREAMS Robert Olen Butler

Titanic victim speaks through waterbed
Woman uses glass eye to spy on philandering husband
Boy born with tattoo of Elvis
Woman loses cookie bake-off, sets self on fire
Jealous husband returns in form of parrot
Woman struck by car turns into nymphomaniac
Nine-year-old boy is world's youngest hit man
Every man she kisses dies
Doomsday meteor is coming
Help me find my spaceman lover
JFK secretly attends Jackie auction
Titanic survivors found in Bermuda Triangle

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2008年06月06日(金) 21時44分47秒

「べろなし」 渡辺球 2008-063

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
渡辺球氏「べろなし」読了しました。
面白かったです。

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べろなし/渡辺 球
¥1,680
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2007/06
著者/編者
渡辺球
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
皇紀2666年(西暦2006年)。戦争はまだ続いていた。外国諸国と。そして抑圧者とも。期待の新鋭が描く驚愕のパラレル・ワールド!戦時統制下の中、好ましからざる情報を広めようとしてお堂に閉じ込められた老人「べろなし」。彼が落とし紙に木炭を使って書いた物語に胸を躍らせた2人の少年は、その複製本を作ろうと企んだ――。<<講談社HPより抜粋>>


この本の魅力はやっぱり世界観。
いい年してあれですが、こういう世界観は好きです。

村上龍氏の「五分後の世界」にも近いです。
パラレルワールドですね。

抑制された世界。
しかも抑制されていることを誰も気がつくことができない統制された世界。

「べろなし」の語る物語は、我々の世界の物語です。

「物語の世界」と「こちらの世界」を行き来するような感覚が好きです。

中盤、ちょっと説明っぽいところ(工場の生産性をあげるくだり)がありますが、そこも愛嬌。

こういうフィクション好きです。

いや~、続編が読みたいですね。
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2008年03月01日(土) 01時24分34秒

「暗色コメディ」 連城三紀彦 2008-029

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
連城三紀彦氏「暗色コメディ」読了しました。

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連城 三紀彦
暗色コメディ (文春文庫)
出版元
新潮文庫
初版刊行年月
1982/04
著者/編者
連城三紀彦
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:5点 
装丁:3点

あらすじ
もう一人の自分を目撃してしまった主婦。自分を轢き殺したはずのトラックが消滅した画家。妻に、あんたは一週間前に死んだと告げられた葬儀屋。知らぬ間に妻が別人にすり替わっていた外科医。四つの狂気が織りなす幻想のタペストリーから、やがて浮かび上がる真犯人の狡知。本格ミステリの最高傑作。<<Amazonより抜粋>>


「絆のはなし」で伊坂氏が感銘を受けた本として紹介していた本作。

読んでみて、(あ~伊坂氏の推薦も納得ね)と思いました。

複数の物語が交互に発生する第一部。
あらすじにもあるとおり、どの物語も一つも「まともな物語」ではなく、一種のミステリなわけです。
この狂気の物語を枕に、第二部が始まります。

この第二部では、第一部の登場人物が、自分が精神を病んでいることを知り、ある精神病院に診察を受けるわけですが、この物語が展開していくにつれ、第一部の物語の不可思議な部分が解かれているという趣向なわけです。

興味深いのは、第一部の不可思議部分が、ひとつの事件に集約されていくという点
この「集約」が、伊坂氏の物語にある「伏線が束ねられる収束感」と類似していて、冒頭の(あ~伊坂氏の推薦も納得ね)に繋がるのです。

それぞれの物語の独自性を活かしつつ、別の物語に集約させ、最終的にはそれぞれの物語に論理的な説明をしていくのは、読んでいて期待以上でした。

ある意味で、ものすごく精巧に作られた物語であると思いました。

ただ、ちょっとだけ残念だったのは、集約させるべき物語自体に、魅力があったため、論理的な説明がやや白けた感じにとられてしまったこと。
あまりにも論理的に説明をしてしまったため、謎を謎のままとする微妙なラインが暴力的に突破されてしまったことがあります。
このあたりは読み手の趣味の世界なので、これはこれで良しとするのも当然ながらアリなのですが、個人的には第一部の物語そのものにとても魅力を感じてしまった以上、そういう印象を持ってしまいました。

終章で語られる「暗色メロディ」全体のラストは、これまたちょっとした謎を残していて、この辺りはとても興味深い感じを受けました。

伊坂氏の作品が好きな方が、ぜひ読んでいただいて、それぞれの感想を持ってもらえればと思います。
少なくとも(あ~伊坂氏の推薦も納得ね)とは思うはずです。

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2005年04月23日(土) 18時27分55秒

「象の棲む街」 渡辺球

テーマ:★読後感想:作家別【ら・わ行】
著者: 渡辺 球
タイトル: 象の棲む街

エソラ で見つけた渡辺球氏の小説。
第15回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作なのだそうです。

アメリカと中国が占領する近未来の日本。
ここでは人口のほとんどが東京に集約されている。
この貧しく猥雑な街である東京で、タフに生き抜く人々を描いている。

タイトルの「象」は、アメリカや中国との外交面での重大な要素でありつつ、主人公の一人であるハルにとって「強さの象徴」とされおり、この「象」に出会うことができるかが物語の主軸となっていきます。

連作短編形式であり、それぞれに主人公が違いますが、おおむね、冒頭の章から登場する「英次」と地見屋の「ハル」が中心となって物語が構成されていきます。

「英次」と「ハル」の物語を本流とすると、支流である「この世界観を共有する数々のエピソード」の構成が秀逸でした。

この支流の主人公は、前章以前の登場人物か、登場人物に関連のある人であり、この関連性が、この貧しく猥雑な世界観をより広げてくれているものと思いました。
例えば、「老年期の終わり」という話は、過疎の進む群馬に住んでいる老人の話なのですが、この老人の曾孫が、前章の「狩人の眼」で、登場したユキヤだったりします。
また「鼠のように」では、「饅頭と女と子守唄」の「女」である京子の独白だったりします。

このような各章の連鎖は、サイドストーリとしての機能を十分に果たしており、本流への収束を期待させるものとなっていますが、残念ながら最終的には収束はされません。(これは本当に惜しかった)
ただこの世界観の整合性やリアリティーは十分感じ取れ、例えば別の物語に繋がっていけるだけの力をもっています。同じ世界観での続編を期待してしまいました。

アメリカと中国に支配される日本ってのが、「非現実という訳でもない」って感じたりするのは、私だけでしょうか?

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