「鼓笛隊の襲来」 三崎亜記 2008-111 | 流石奇屋~書評の間

「鼓笛隊の襲来」 三崎亜記 2008-111

三崎亜記氏「鼓笛隊の襲来」読了しました。

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鼓笛隊の襲来/三崎亜記
¥1,470
Amazon.co.jp
出版元
光文社
初版刊行年月
2008/03
著者/編者
三崎亜記
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る夜を、義母とすごすことになった園子の一家。避難もせず、防音スタジオも持たないが、果たして無事にのりきることができるのか――。表題作ほか書下ろし1編を含む全9編。眩いほどに不安定で鮮やかな世界を見せ付ける、贅沢な傑作短編集。<<Amazonより抜粋>>

9つの短編が所収されています。

「鼓笛隊の襲来」
「彼女の痕跡展」
「覆面社員」
「象さんすべり台のある街」
「突起型選択装置」
「「欠陥」住宅」
「遠距離・恋愛」
「校庭」
「同じ夜空を見上げて」

それぞれが不思議な物語であり、その発想力に驚かされます。
もともと三崎氏の作品は、個人的にこの「発想の飛躍の仕方っぷり(?)」を期待していたりするので、期待通りの物語でした。

強いていえば、その世界観を十分堪能するためなら、「長編」のほうが良いかなと思ったりしました。
読み進めていくと、どっぷりとその「不条理な世界観」に浸かってみたいという欲が出てきます。

本書に所収されている物語は、一見それぞれがバラバラな印象を受けますが、実は一貫したテーマがあるようにも思います。

そのテーマは「喪失」。
(もしかしたら、氏の作品全般に言えるテーマかもしれませんが)

良かれ悪かれ、私達には必ずついて回るこのテーマを、独特の世界で見せ付けてくれているように感じます。

次作は長編を期待します。