「灰色のダイエットコカコーラ」 佐藤友哉 2007-103
佐藤友哉氏「灰色のダイエットコカコーラ」読了しました。
どうやら、鏡家サーガ以来、氏の模索していた結果が出た(のかもしれない)作品です。
どうやら、鏡家サーガ以来、氏の模索していた結果が出た(のかもしれない)作品です。
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出版元 |
講談社 |
初版刊行年月 |
2007/05 |
著者/編者 |
佐藤友哉 |
総評 |
21点/30点満点中 |
採点の詳細 |
ストーリ性:3点 読了感:3点 ぐいぐい:4点 キャラ立ち:4点 意外性:3点 装丁:4点 |
あらすじ |
「覇王」として君臨した祖父の高みに至るべく、「特別な自分」を信じ続けようとする「僕」。北海道の片隅で炸裂する孤独な野望の行き着く先は、「肉のカタマリ」として生きる平凡な人生か、それとも支配者として超越する「覇王」の座か?さあ、世界のすべてを燃やし尽くせ。 |
僕の一人称で語られます。
不用意な言葉を使ってしまえば、「十代の苦悩」そのものをシチュエーションを変えて表出したような作品です。
「自分は他人より優れている」という極めて単純かつ明快な妄想を抱く僕。
その思いに打ち破れて自殺してしまった友人や、覇王として死してもなお君臨する祖父の影に押されるように、「僕」は大きく変貌していきます。
この物語の面白みは、その過程を経て、「結局「僕」はどこにいくのだろうか?」というところであり、この小説を10代(「僕」と同世代)で読むか、それ以上の年齢で読むかによって読了感はまったくちがうものになるなと思いました。
きっと、私自身、この物語を10代で読んでいたら、まったくもって違う思いをいだくことと思います。
<<ここからは今の私の感想>>
世界を憎悪しつづけること。
他者を憎悪しつづけること。
自分を最強と思うこと。
何でもできると信じること。
すべてにおいて、「自我」の世界で苦悩しつづける物語であり、帰結する先は意外過ぎるほどの場所でした。
読了感の良し悪しではなく、もっと違う何かで胸を打たれる作品です。