2007年02月18日(日) 01時23分29秒
「ハリガネムシ」 吉村萬壱 2007-025
テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
図書館の普通の書棚に鎮座していて、前々から気にはなっていた吉村作品。
第129回芥川賞受賞作「ハリガネムシ」読了しました。
なるほどこれは唸りますね~
ネット上の評価は賛否両論ですが、大層は否定的なものが多いようです。
そんななかで、私個人の評価は「これはこれでアリ(肯定)」といった感じです。
この「流石奇屋~書評の間」でも、たまに評価しずらい作品をご紹介しています。
それは例えば佐藤哲也氏の作品 だったり、最近で言えば「恋愛の解体と北区の滅亡」 だったり、いわゆる「読み手を選ぶ作品」って奴ですね。
で、この「ハリガネムシ」ですが、そんな作品群に含まれつつ、一方でオリジナリティがあります。
「舞城王太郎氏の作品に見られる、たたみかけるような文体と、戸梶圭太氏の作品に見られる、痛いほどの暴力性と、町田康氏の作品に見られる現代社会固有の怠惰な雰囲気と、前述した「読み手を選ぶ作品」を足し合わせたような作品だ」と文字にするとそんな感じなのですが、それだけでもこの作品の印象は語られていないような気もします。
で、これはたぶん「吉村作品」というオリジナルな作品なのだと思いました。
さらに、「芥川賞って奥が深いね~」と思ったりもしました。
高校教師と元ソープ嬢の夏休みの物語。
特徴的な一人称の呼称がない一人称表現であり、そこに描かれるのは、愛だったり、怠惰だったり、暴力だったりします。
テーマは、「人間の尊厳」だったり、「根源に潜む陰」であったりして、読み進めると、同化・共感を圧倒的に否定しつつ、一方で、どこかエグラレルような感覚になります。
この感覚を得られるだけで、小説としては「アリ」なのですよね。
キャラクターとしてのサチコも個人的には非情に印象的でした。
また、このキャラクターをどう自分自身の中でとらまえるかで、この作品の印象もだいぶ違うような気がします。
ということで、「評価しずらい=感想しずらい」作品、作家さんにまた出会ってしまいました。
こういった出会いがあるから、図書館借りはやめられません。
吉村萬一氏、ちょっと追っていきたいと思います。
第129回芥川賞受賞作「ハリガネムシ」読了しました。
なるほどこれは唸りますね~
| amazonリンク |
|
| 出版元 |
文藝春秋 |
| 初版刊行年月 |
2003/08 |
| 著者/編者 |
吉村萬壱 |
| 総評 |
21点/30点満点中 |
| 採点の詳細 |
ストーリ性:3点 読了感:2点 ぐいぐい:5点 キャラ立ち:3点 意外性:4点 装丁:4点 |
| あらすじ |
第129回芥川賞受賞作。客として知った風俗嬢と再会した時から高校教師「私」は<異界>に踏み込んで行く……驚愕、衝撃、センセーショナルな中に不思議なユーモアとモラリストの眼差しが光る傑作小説。<<Amazonより抜粋>> |
ネット上の評価は賛否両論ですが、大層は否定的なものが多いようです。
そんななかで、私個人の評価は「これはこれでアリ(肯定)」といった感じです。
この「流石奇屋~書評の間」でも、たまに評価しずらい作品をご紹介しています。
それは例えば佐藤哲也氏の作品 だったり、最近で言えば「恋愛の解体と北区の滅亡」 だったり、いわゆる「読み手を選ぶ作品」って奴ですね。
で、この「ハリガネムシ」ですが、そんな作品群に含まれつつ、一方でオリジナリティがあります。
「舞城王太郎氏の作品に見られる、たたみかけるような文体と、戸梶圭太氏の作品に見られる、痛いほどの暴力性と、町田康氏の作品に見られる現代社会固有の怠惰な雰囲気と、前述した「読み手を選ぶ作品」を足し合わせたような作品だ」と文字にするとそんな感じなのですが、それだけでもこの作品の印象は語られていないような気もします。
で、これはたぶん「吉村作品」というオリジナルな作品なのだと思いました。
さらに、「芥川賞って奥が深いね~」と思ったりもしました。
高校教師と元ソープ嬢の夏休みの物語。
特徴的な一人称の呼称がない一人称表現であり、そこに描かれるのは、愛だったり、怠惰だったり、暴力だったりします。
テーマは、「人間の尊厳」だったり、「根源に潜む陰」であったりして、読み進めると、同化・共感を圧倒的に否定しつつ、一方で、どこかエグラレルような感覚になります。
この感覚を得られるだけで、小説としては「アリ」なのですよね。
キャラクターとしてのサチコも個人的には非情に印象的でした。
また、このキャラクターをどう自分自身の中でとらまえるかで、この作品の印象もだいぶ違うような気がします。
ということで、「評価しずらい=感想しずらい」作品、作家さんにまた出会ってしまいました。
こういった出会いがあるから、図書館借りはやめられません。
吉村萬一氏、ちょっと追っていきたいと思います。






