2007年01月12日(金) 21時51分57秒

「ルー=ガルー ― 忌避すべき狼」 京極夏彦 2007-007

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】
あの京極夏彦氏の本帯には「近未来少女武侠小説」とある「ルー=ガルー -忌避すべき狼」読了しました。
タイトルの「ルー=ガルー」は、フランスの伝説に出てくる人狼のことのようです。

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京極 夏彦
ルー=ガルー ― 忌避すべき狼
出版元
徳間書店
初版刊行年月
2001/06
著者/編者
京極夏彦
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
21世紀半ば。清潔で無機的な都市。仮想的な均一化した世界で、14~15歳の少女だけを狙った連続殺人事件が発生。リアルな“死”に少女たちは覚醒した。…闘いが始まった。読者からの応募による未来社会の設定を盛り込んだ画期的な双方向性インタラクティブ小説。<<紀伊国屋Bookwebより抜粋>>


奇数章は少女である牧野葉月視点の3人称による同年代の少女達の物語。
偶数章は、カウンセラーである不破静枝視点の3人称による大人達の物語。
交互に同一の時間軸で同一の連続殺人事件を追っていきます。
で、当然ながらそれら分離していた登場人物が、後半ではごしゃごしゃとなり、収束すると言った展開です。

物語の展開そのものは、圧倒的に京極氏テイストです。
前半は静かに物語の沿革を語り、そして後半は「必殺仕事人」ばりのエンターテイメント。
そして、作者メッセージともとれる講釈が長い。(今回は「殺人は人の罪となるか」)
特に後半の「必殺仕事人」っぷりは、これまでの京極作品にはない、動きのなる展開で、”爽快感”のようなものがあったりします。
端的に言ってしまえば、「必殺仕事人」というよりは「ダイハード」ばりのアクション小説ってことです。(ってこんなジャンルあるのかは不明)

また、アクション小説ではありながら、ちゃんと少女達の成長小説だってことも見逃せません。
読み始めてしばらくは、彼女達は「デタッチメントな関係」でありながら、事件を通じて「コミットメントを許容する」(正しくは、「コミットメントすることも良いと考えられるようになる」)ようになります。
物語の世界においては、イレギュラーな感覚でありながら、そこには確実に成長した彼女達が居たりするわけです。

(アクション小説+成長小説)×キャラ立ち(余談2参照)ってことで、大変面白く読めたのですが、ただ、ちょっと残念だったのは「近未来」という設定に対する物語の中での説明
ま、往々にして未来ものの小説の良し悪しっては、”その「設定」をどこまで説明しないか”じゃないかと個人的に思っているんですが、そういった意味では、やや説明が多かったのは事実でした。
登場人物視点の物語で、設定を説明する場合、これまた往々にして「その昔は○○と呼ばれていた」などと語らせるものですから、どう考えても違和感があるんですよね。
だって普段の会話で、「これは江戸時代では”厠”っていってね」とトイレを説明する人いないですものね。

ということで、「デタッチメントな関係」って今でも十分成熟してたりするので、普通に現代を時間軸にしても、十分面白かったのかな~などと思ったりしたりしました。



**********

余談1:
巻末に「未来の設定」に協力してくれた方々の名前が”たくさん”記載されていましたが、そんなに設定があったのかと言う点で相当疑問でした。

余談2:
極めて強引ですけども、奇数章の主要な登場人物は、そのまま「京極堂シリーズ」の主要登場人物と重なっていると思いました。
牧野=愚鈍なところが「関口」
都築=破天荒なところが「榎木津」
河埜=物語の本質を理解しちゃっているところ(??)が「中禅寺」
麗猫=体力勝負・一直線なところが「木場」
・・・極めて強引(2回目)ですが、このキャラクター組み合わせって、どんな物語にもはまりそうで、”黄金カルテット”なのかも知れませんね。

余談3(ややネタバレ):
『百鬼夜行―陰』の「鬼一口」の登場人物とリンクしています。

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