2007年01月07日(日) 00時39分07秒

「リレキショ」 中村航 2007-004

テーマ:--中村航
こちら の読前感想で「エソラ 」で見つけた作家さんなどと記述してしまいましたが、実はこちら のアンソロジー「ILOVEYOU」で見つけた作家さんでした。
お詫びして訂正します。
で、やっぱり、「ILOVEYOU」に所収されていた「突き抜けろ」に近い作品で、好印象。

ということで、第39回文藝賞受賞作、中村航「リレキショ」読了いたしました。

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中村 航
リレキショ
出版元
河出文庫
初版刊行年月
2002/12
著者/編者
中村航
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
「弟と暮らすのが夢だったの」という姉さんに拾われて、彼女の弟となった19歳の「僕」。新しい名前は「半沢良」。面接用に書いた「半沢良」の履歴書に、物足りなさを感じた「僕」は、真っ白な紙にもうひとつの「リレキショ」を書き上げる。免許・資格は「どこでもいける切符」。趣味・特技は「護身術」と「アイロンがけ」。無事、深夜のガソリンスタンドで働くことになった「僕」は、ある日、1通のラブレターを受け取る…。<<Amazonより抜粋>>


「僕」の一人称とウルシバラから僕宛の手紙で構成されています。

第一にシチュエーションが良いですね。
過去を失くして「半沢良」として生活することとなる僕。
その「僕」を取り巻く「姉」、「山崎さん」、「ウルシバラ」の女性3名。

物語は、あまりあり得ないシチュエーションを、あまりにも淡々と極々普通の生活のように描いております。

初期村上春樹氏の作品にも近い作風ですが、主人公の僕には、村上氏の「僕」より、少し血が通っているといった印象を受けました。

ストーリそのものも相当印象深いのですが、加えて印象深かったのは僕自身の姿です。
それは、護身術を覚える姿であり、深夜のガソリンスタンドで丁寧に仕事をする姿、山崎さんからもらった自転車「どこにでもいける切符2」(略して「どこ2」)を整備する姿、そしてウルシバラからの手紙を貰ったときの姿であったりします。
これら姿は、非常にリアリティーがあり、また、どこにでもありがちな気持ちの良い”青年の姿”なわけですが、物語の根底にあるのは、”どこにもいく事のできない閉塞感からの自由”であり、読んでいて羨ましくなる姿なわけです。
そんな「僕」自身が、あまり気負うことなく流れに身を任せながら、それでいて確固たるものを隠している雰囲気も個人的にはマッチしました。
この辺りは、作者の筆致によるところも大きく、期待の持てる作家さんだと思いました。

そんなこんなで、物語冒頭に姉が語る
「大切なのは意志と勇気。それだけで大抵のことは上手くいく」
というコメントは、相当の重みのある言葉でありながら、このような流れの中では、読み手にすっと入り込んでくるのでありました。

ちなみに「どうして半沢良は、半沢良となったのか?」といった物語のそれなりに本質に近いところの疑問には一切答えてくれません。
ただ、読み終わってみて、この疑問自体が所詮過去のことであり、そこに物語のメッセージがないことに気がついてしまえば、それほど気にはなりません。

ということで、2007年は、中村航氏を追ってみたりしようかと思う今日この頃。

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コメント

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1 ■こんにちわ☆

確かに村上春樹さんの主人公と似た所ありますね。流石奇屋ヒットさんの感想を読むまでまったく気づきませんでしたっ。くやしいっ
2007年は中村航さんを追いかけるんですね?ふふ、感想楽しみにしてマス('-^*)/

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