2006年12月23日(土) 02時45分28秒

「孤独の歌声」 天童荒太 2006-165

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
「家族狩り」についてはほぼ断念しつつある天童氏。
その天童氏の作品「孤独の歌声」読了いたしました。
93年の日本推理サスペンス大賞優秀作なのだそうです。

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天童 荒太
孤独の歌声
出版元
新潮文庫
初版刊行年月
1994/01
著者/編者
天童荒太
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。 <<Amazonより抜粋>>

何か過去に読んだ作品と似ているな~と思っていましたが、どうやらテイストは、雫井氏の「火の粉 」に近いものがあることとに気がつきました。
ま、ストーリはまったく違うのですけど、文体というか陰鬱な雰囲気というか、孤独感というか。

「わたし」と「おれ」と「彼」で物語が進みます。
「わたし」とは、過去に心の傷を持つ女性刑事、風季。
「おれ」とは、歌を歌うことを夢に持つ青年、潤平。
そして「彼」とは、連続殺人事件の犯人、松田。

あらすじの通り、連続殺人事件と強盗事件を通じて、この3人の目線で物語が進みます。
この物語のポイントは、この立場(役割)の違う3人が共通して所有する「孤独」と、それぞれに違う「その孤独を埋める補完の仕方」。

風季はそれを「仕事」で補完し、潤平は「音楽」で補完し、そして松田は「家族」で補完しようとし、その「家族」は、「狂人の世界」で表現されていきます。

この恐ろしいほどの「狂人の世界」は、松田にとって真の世界であり、偽の世界である現実とは、大きな乖離があります。
ただ、大きな乖離はあるものの、執拗に真の世界にこだわり続ける松田は、本来糾弾されるべき犯罪者の側面以上に、悲哀な人物像を浮き彫りにしているようでした。

また、後半部にある松田と風季の「孤独」に関するやりとりは、孤独を持った者同士の完全に成立したコミュニケーションであったことがとても印象的でした。

現実に潜む誰もが所有するであろう「孤独」というものを表現している作品であると感じました。
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