2006年11月21日(火) 21時07分10秒

「クローズド・ノート」 雫井脩介 2006-153

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
雫井氏の「クローズド・ノート」読了しました。
既読の「火の粉 」とはまた違ったテイストですが、こういった物語もちゃんと書き上げてしまう著者の実力を堪能いたしました。

amazonリンク
雫井 脩介
クローズド・ノート
出版元
角川書店
初版刊行年月
2006/01
著者/編者
雫井修介
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める??。 <<Amazonより抜粋>>



主人公が女性の小説というのは、極めて個人的にとっつき難いものなのです。
本作品でも初盤あたりの「香恵」のキャラクター(どちらかといえば事流れ主義的キャラ)にちょっと抵抗がありましたが、中盤・後半の物語の展開と共に、あまり意識しなくなりました。
で、読み終わって、この物語は、既成の作品とは違ったアプローチによる「主人公(香恵)の成長物語」であったのだと、思いました。

本作品の物語は、香恵の部屋に残された伊吹先生のノート(これがタイトルになる「閉ざされたノート」)の物語と、並行して展開される香恵の現代の物語の2つがあります。
前者のウエイトが高いまま、読み手は、素直にその小説世界に入り込むわけですが、一方で同じ読み手の立場にいる小説内の香恵にも、徐々に物語が進行するといった構図なわけです。
それこそ序盤は、バイト先の万年筆を売る文房具屋の話(これはこれで個人的に興味深かったのですが)に終始しますが、これが微妙に後半の盛り上がりを促していたりしています。

と、感の良い方であれば、中盤あたりに、この物語にとって重要な位置に占める「伊吹先生の現在はどこで何をしているか?」とか、「伊吹先生の恋人は誰か?」とかは、解ってしまうのであって、その辺りを調べようとする香恵に、(どうして気がつかないのかね~)と訝しがったりする事もあるとは思いますが、それはこの物語の結末の良さに免じて、勘弁してやっていただければと思います。(といいつつ、その辺りの突っ込みをするのは私くらいかもしれませんが・・・)

さて、そのラスト。
時が止まってしまったノートの中の伊吹先生の物語と、無限の可能性がある現在の香恵の物語であれば、軍配はどうしたって後者に挙がるのですが、この物語の結末時点では、綺麗に両者引き分けのようです。
ラストの”香恵の口から語られる「ノートの中の言葉(この言葉は綺麗過ぎちゃいます)」”で、見事に収束したといった感じです。
このラストの見せ方は、シンプルでありますが、中々にして良いなぁと思いました。

そうそう涙ぐむこともない生活を営んでおりますが、このラストの綺麗さには、ちょっとだけウルウルとしてしまいました。(不覚!!)
ということで、殺伐とした毎日を過ごしていられる方々にオススメです。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

流石奇屋ヒットさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

コメント投稿

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。