「ZOO」 乙一 2006-121 | 流石奇屋~書評の間

「ZOO」 乙一 2006-121

乙一氏の「ZOO」を読了しました。
単行本の方です。
表紙には、ZOO(ズー)のなかにZ-(ズー)みたいですが、Z-ではなく「乙一」です。
よく出来た洒落です。
知らない人がいきなり読んだら混乱しますね。

で、内容は、もっと驚きでした。

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乙一
ZOO
出版元
集英社
初版刊行年月
2003/06
著者/編者
乙一
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
最も注目される若手ナンバーワン、乙一のホラー短編集。毎日届く恋人の腐乱死体の写真。彼女を殺したのは誰? 「犯人探し」に奔走する男を描く表題作ほか、書き下ろしを含む全10編を収録。<<Amazonより抜粋>>



10編の短中編が所収されています。


どの作品も、乙一マジック満載ですね。
ということで、どんなところが乙一マジックなのかというと・・・

1.基本的に主人公が不幸せ
2.基本的に主人公を含む登場人物が邪悪
3.基本的に当たり前でないことが当たり前のように描かれる
4.基本的に唐突かつ劇的に物語が終わるが、よく考えてみると、それなりに論理的な感じ

ってとこでしょうか?

加えて言うなら、この結末を4のように感じる読者は、もちろん邪悪ってことでしょうか。
当然ながら、私も含まれます。

印象深かったのは「カザリとヨーコ」「SO-far」そして「SEVEN ROOMS」(←つながいさん、オススメの通り、良かったです。)です。
この3作品に共通しているのは、前述した4の劇的さがとても強烈だった点です。

いじめられる片方の双子が、とった行動とは?
お互いが見えない夫婦の間に残された息子の結末は?
閉じ込められた部屋から幼い姉弟は逃げられるか?

・・・

残り数ページで起こる、怒涛の展開なのですが、どれも期待以上のラストでした。
推理小説ではないので、なんだか中盤くらいに分ってしまうところもあったりしますが、これは、これで良いんです。
そういった意味では乙一作品にとって「予定調和」な収束なのでしょうね。

短編がとても上手な作家さんであることを改めて認識しました。