2006年09月09日(土) 02時03分55秒

「希望の国のエクソダス」 村上龍 2006-115

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
単行本刊行が2000年だったのですね。
もっと随分昔に一度読んだ気がしていましたが、(2000年といえば、もう結婚して、この家にも住んでいるじゃないか~)と勝手に盛り上がってしまいました。

ということで、初の再読感想「希望の国のエクソダス」読了いたしました。

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村上 龍
希望の国のエクソダス
出版元
文春文庫
初版刊行年月
2000/07
著者/編者
村上龍
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
バブル崩壊の2年前、著者は『愛と幻想のファシズム』で、戦後日本が作りあげてきたシステムに拮抗する「狩猟社」を登場させ、世界経済と格闘させた。13年後、教育をテーマにした本書で、著者は再び経済と出あう。金融経済の専門家、文部省官僚などへの3年にわたる徹底した取材から、正確な情報に裏打ちされた話題の超大型長編<<Amazonより抜粋>>



あらすじにもある通り(というより、あえてこの部分を抜粋してみたのだけれど)、これまた遥か昔に読み、深く感動した「愛と幻想のファシズム」を思い出しました。
で、時を超えて、村上氏は新たな戦いの物語を作り出してしまいました。

そういえば、実はこの書評の間で唯一まったく更新されないテーマである「特別寄稿:私の人生に関わった本 」の第3回は村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」「コインロッカー・ベイビーズ」を取り上げようと思っておりました。
私にとってこの2作は、まさしく本を読むことが、エンターテイメントを感じることと直結した初めての作品だったのです。

閑話休題。

さて、今回は不登校をし始めた中学生達が主人公です。
この中学生達は、大人が作り出してしまったこの「何でもあるが、希望だけがない」日本に嫌気がさし、大きなムーブメントを生み出していきます。

物語は、フリーの取材記者である関口の目線で進みます。
もちろんこの関口は、大人ですので、この中学生達の行動力に驚かされっぱなしなわけですが、かといって贔屓な目線で見ることなく、冷静にストーリを紡いでいきます。

また、物語を関口目線とすることで、断片的な情報のみが読み手に与えられるので、より中学生達のムーブメントの拡大・成長の早さに驚かされます。
まさに心身の成長期にあわせ、ムーブメント自体も加速度的に展開されていきます。

この中学生達の動きそのものが一つのメインストリームではありますが、本書のもう一つの大きなテーマは、「日本という国の脆弱性」にあると思いました。

関口と同居している由美子の口から語られるのは、刊行時点から見た未来の日本経済の状況であり、それを2006年の今読むことに、感慨深くなりました。
実は、このあたりの話そのものは、半分は理解できなかったりしました。
ですが、少なくとも夢見ごこちな未来ではなくどちらかといえば悲壮感のある未来であり、また実際の2006年のこの状況に照らしても、いくつかの事象はまるで予言のように状況変化していることに、改めて驚かされます。

例えば、「貧富の差の拡大」。
景気は上昇しつつあるが、誰もがそう思ってはいない状況などは、まさしく現在そのものなんですよね。

さて、物語のクライマックスは、そんな中学生の代表ポンちゃんが、国会答弁に参加する場面。
ここでのやりとりは、印象的です。
これは、中学生だからできるってことではなく、リスクコントロールができているからの発言であり、裏を返せば、現代の日本のリスクへの対応能力の低さを露呈しているような気がしました。

この物語は、今まさに読むことで、何かを得ることができる作品なのかもしれません。


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