2006年08月11日(金) 23時00分02秒

「翼とざして アリスの国の不思議」 山田正紀 2006-103

テーマ:--山田正紀
「翼とざして」読了いたしました。
テーマは「アイディンティティの揺らぎ」(著者の言葉)ってことのようでして、てっきり「幻想モノ」を想像しておりましたが、いやいやどうして、きっちり本格推理領域でございました。

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山田 正紀
翼とざして アリスの国の不思議
出版元
光文社カッパノベルズ
初版刊行年月
2006/05
著者/編者
山田正紀
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
各国が領有権を主張している南洋の島、海鳥諸島。その中のひとつ、鳥迷島に、右翼青年のグループ『日本青年魁別動隊』が上陸した。しかし、上陸早々、仲間のひとりが断崖から突き落とされた!わたしは、わたしが突き落とすのを見ていた…。グループの人間が次々と惨劇遭う。仕掛けているのは、わたしなのだろうか。わたしも、殺されるのだろうか。魔術的な筆致で紡がれる、傑作本格推理長編。 <<Amazonより抜粋>>


物語は「章タイトルのない短文」の後、「孤島」「殺意の翼」「愛の翼」と続き、再び「孤島」というタイトルで終わります。

「章タイトルのない短文」、「殺意の翼」を除いては、登場人物の一人である綾香(「わたし」)目線で物語が進むのですが、この辺りは、地の文担当の「わたし」自身が混乱しているので、読み手も当然ながら混乱しながら読み続けます。

「わたしが仲間を崖から突き落とすところを、わたしは見た」

この英語の翻訳ミスのような既成事実を受けて、なんだそりゃ?って感じで読み進めるわけです。

物語が進行するにつれて、時代背景とか、魁別働隊の7人の出会い、それぞれの登場人物のキャラクターが紹介されていき、ここに至るいきさつや、外観を知ることとなりますが、最後の最後まで、この翻訳ミスのような既成事実にひきづられていきます。
個人的には、こういった物語世界とかはそんなに嫌いじゃないので、単純に楽しんでしまったりしちゃいました。
ま、この単純に楽しんじゃった辺りが、追々ちょっとした感動を呼んだりするのですが・・・

で、話は、そこに留まらず、その後も次々と不可解な事件が起こり、クエスチョンにクエスチョンを重ねていき、(あれ?もしかして、このままぼんやり終わっちゃうんじゃなかろうか?)と不覚にも不安になったりもしましたが、ちゃんと推理され、解決されてしまうのです。

最終章「孤島」で見せた綾香の推理を読んで、(おぉ、おぉ、これは推理小説だったのか~)と思い出して、変に感動してしまいました。

ただただ、物語を楽しんでいたため、「本格推理」ってことを単純に忘れていただけなのですが、これって意外にありがたい感動だったりしますね。

ちなみに”忘れていた”で、思い出しましたが、冒頭の「章タイトルのない短文」も意外に忘れがちで、読了後読み直すと、(あぁぁあの話だったのね)とこれまたふんふんと思ったのでした。

ということで、忘却によって感動を呼び起こした作品でございました。

PS:謎解きネタ(いわゆるハウダニットとかフーダニットとか)そのものについては、賛否両論があると思われます。
(えぇぇ、そんなん、見間違える訳ないじゃん・・・)とか(動機ってそれだけ・・・)とか。
なので、最初から「本格」と構えて読むと、納得感はないかも知れません。

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