2006年07月18日(火) 07時18分16秒

「ルート350」 古川 日出男 2006-089

テーマ:--古川日出男
古川日出男氏の短編集「ルート350」読了しました。

タイトルの「ルート350」とは、実際に存在する「新潟県新潟市から佐渡市(佐渡島)を経由して、新潟県上越市に至る一般国道(ウィキペディアより抜粋)」の国道350線のことであり、「佐渡汽船両航路のカーフェリーのデッキ部には「国道航路350号」と書かれたパネルが設置されている(これも、ウィキペディアより抜粋)」ようです。
amazonリンク

古川 日出男
ルート350
出版元
講談社
初版刊行年月
2006/04
著者/編者
古川日出男
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
いっぱいの現実と、いっぱいの絵空事。何十、何百もの小説へと続く可能性を秘めた、虚実のあわいを走るルート350-。小説の地平を切り拓く、著者初の衝撃短編集。表題作の他、「カノン」「飲み物はいるかい」等7話を収録。<<Amazonより抜粋>>


意味をあまり求めずに読んでしまえば、1時間程度で読めてしまう短編集でした。
そういった意味ではリーダビリティーに優れた作品群なのでしょう。
ただし、ここでのポイントは「意味をあまり求めずに」にあって、意味を理解しようとすると、それはそれは趣深い作品群だったりもするわけです。

全8編の長さもちぐはぐな短編が所収されています。
それぞれに感想を述べても良いのですが、やっぱり「趣深い」作品群なので、興味のある方は是非お手にとっていただければと思います。(と、軽く回避してみました・・・)

印象深かったのは「お前のことは忘れていないよバッハ」と「飲み物はいるかい」の2編。

「お前のことは忘れていないよバッハ」は、隣近所の両親がそれぞれ不倫関係に陥ってしまったそれぞれの家族の娘達とハムスター「バッハ」の物語です。
どうってことのない物語なのですが、家族が亡くなっていく辛さをハムスター「バッハ」に投影する娘達に、そして、それを微塵と感じさせない会話などに、どこか切ない思いを抱きました。
また、文体も「ロックンロール7部作」の語り手として登場した「あたし」に近いので、とてもポップな感じでした。(実際には好き嫌いがはっきりする語り手なのですが、私は「あり」だと思っています)
このあたりは作者の力量がでている作品だと思いました。

「飲み物はいるかい」は、旅についての考察からスタートする、ややエッセイに近い作品。
妻に追い出された「僕」が、偶然、たどり着いた東京の下町で、死んだふりをしていると公言する7歳の少女「ナカムラ」と出会う。
この「ナカムラ」と東京の橋を巡る冒険をするといった内容です。
これも話自体はどうってことないんですけど、なんだか長編もののモチーフに使えそうなシチュエーションだったりして、ちょっと面白かったです。
とくに「僕」と「ナカムラ」のズレた会話は、どこかにありそうでどこにもない会話のようでとても不思議でした。

ということで、その他6編もそれぞれ「どうってことないけど、何かひっかかる」作品として仕上がっております。
作者自ら「ストレートな短編集」といっているだけあって、「ストレートってどういう意味?」と思う瞬間もありますが、一方で、既出作品をそれなりに読んでいると、(古川氏のストレートは、こういったものである)と妙に納得もしてしまう作品でした。

まだまだ期待の大きい古川氏でございます。
でも、やっぱり長編が読みたいですね。

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