「コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ)」 上甲 宣之 2006-087
いやいや、やられちゃいました。
本作、まったく新しいヒロインの登場です。
エピローグでも触れられておりますが、本作自体が、ヒーロー・ヒロインものの(歪んだ形での)オマージュになっており、それはタイトルでも現れております。
■プロローグ:紅蓮女同好会BBS
■第一夜:ハロウィン「紅蓮女 vs 口裂け女」
── 昭和の伝説、口裂け女に遭遇!? 新旧世代交代戦
■第二夜:クリスマスイヴ「紅蓮女 vs 紅蓮女es (フレイム・レイディーズ)」
── コスプレ監獄居酒屋での怪談パーティー
■第三夜:大晦日「辺倉史代 vs 刃業(はごう)の鏡」
── 紅蓮女に変身できず!? 阿鹿里旅館、見てはならない鏡を探せ
■第四夜:バレンタインデー「紅蓮女 vs 苦色(にがいろ)の手紙」
── 副担任の涙の記憶、エマ先生をあざむけ!
■第五夜:史代の誕生日「紅蓮女 vs 電話男」
── 紅蓮女の正体がバレた!? 謎の脅迫電話を退けろ
■エピローグ:エイプリル・フール「紅蓮女 vs ??」
── そして紅蓮は、桜の海に
この「──」から始まる「副題」が「火サス(古い!)」っぽくて好感触です。
加えて内容も、どうにも卑屈な教師「辺倉史代)」が、人を驚かすためだけに紅蓮女に変装し、夜な夜な街を俳諧するのですが、この変装した「紅蓮女」の存在意義そのものが、徐々に本人の趣旨に反した方向に流れていきます。
いわゆる「亡霊」ではなく「望霊」となって活躍する紅蓮女というわけです。
で、面白いのは、本人の趣旨に反した方向に流れているにもかかわらず、本人はまったく悪い気がしていないとう点。
(おいおい、そんなんで良いのかよ~)的突っ込みもありますが、一方でこういった趣味を持つ人達に持つある種の固定観念を打ち破ってくれる作品に仕上がっています。
また、数々のマッチを使った必殺技(これは、火傷などをしながら、自身が開発した技)を駆使し、恐怖にさいなまれながら、それ以上の恐怖を相手に与えることで、勝利を勝ち取り(って、ここでいう勝利というのは、本人のプライドが保たれるという意味)、一方で世間的にも、ちょっとハッピーになるといったラストとなるわけです。
まったく新しいタイプのヒロインものの登場です。
なんだかちゃんと終わってしまうのが残念でした。
PS1:
第三夜は、「このケータイは××で」のあの場所、およびエピローグには、その物語の主人公達が、サプライズゲストとして登場してくれています。
氏の作品を刊行順に読むことをお勧めします。(とかいって、私も「地獄のババぬき」未読ですけどね・・・)
本作、まったく新しいヒロインの登場です。
amazonリンク |
|
出版元 |
宝島社 |
初版刊行年月 |
2006/05 |
著者/編者 |
上甲宣之 |
総評 |
22点/30点満点中 |
採点の詳細 |
ストーリ性:4点 読了感:4点 ぐいぐい:4点 キャラ立ち:3点 意外性:3点 装丁:4点 |
あらすじ |
辺倉史代は、頭はいいのに陰気な性格で、友人も恋人もいない孤独な三十路の女。職業は小学校教師。人づきあいに臆病で内気な史代は、生徒はおろか同僚の教師の間でも「やる気のないダメ教師」というレッテルを貼られ、敬遠される存在である。そんな彼女の生きがいは、ちまたの噂で有名な「紅蓮女」と呼ばれる幽霊の変装をして、人を驚かす事。夜な夜な、オーダーメイドでしたためた豪勢な「紅蓮女」の仮装に身を包み、怪奇スポットや自殺の名所を徘徊、その場に居合わせた人々を怖がらせる事に甘美を感じているのだった…。口裂け女、都市伝説パーティー、生き神信仰、呪いの手紙、電話男―さまざまな怪奇スポットで遭遇する事件に、「紅蓮女」が立ち向かう。<<Amazonより抜粋>> |
エピローグでも触れられておりますが、本作自体が、ヒーロー・ヒロインものの(歪んだ形での)オマージュになっており、それはタイトルでも現れております。
■プロローグ:紅蓮女同好会BBS
■第一夜:ハロウィン「紅蓮女 vs 口裂け女」
── 昭和の伝説、口裂け女に遭遇!? 新旧世代交代戦
■第二夜:クリスマスイヴ「紅蓮女 vs 紅蓮女es (フレイム・レイディーズ)」
── コスプレ監獄居酒屋での怪談パーティー
■第三夜:大晦日「辺倉史代 vs 刃業(はごう)の鏡」
── 紅蓮女に変身できず!? 阿鹿里旅館、見てはならない鏡を探せ
■第四夜:バレンタインデー「紅蓮女 vs 苦色(にがいろ)の手紙」
── 副担任の涙の記憶、エマ先生をあざむけ!
■第五夜:史代の誕生日「紅蓮女 vs 電話男」
── 紅蓮女の正体がバレた!? 謎の脅迫電話を退けろ
■エピローグ:エイプリル・フール「紅蓮女 vs ??」
── そして紅蓮は、桜の海に
この「──」から始まる「副題」が「火サス(古い!)」っぽくて好感触です。
加えて内容も、どうにも卑屈な教師「辺倉史代)」が、人を驚かすためだけに紅蓮女に変装し、夜な夜な街を俳諧するのですが、この変装した「紅蓮女」の存在意義そのものが、徐々に本人の趣旨に反した方向に流れていきます。
いわゆる「亡霊」ではなく「望霊」となって活躍する紅蓮女というわけです。
で、面白いのは、本人の趣旨に反した方向に流れているにもかかわらず、本人はまったく悪い気がしていないとう点。
(おいおい、そんなんで良いのかよ~)的突っ込みもありますが、一方でこういった趣味を持つ人達に持つある種の固定観念を打ち破ってくれる作品に仕上がっています。
また、数々のマッチを使った必殺技(これは、火傷などをしながら、自身が開発した技)を駆使し、恐怖にさいなまれながら、それ以上の恐怖を相手に与えることで、勝利を勝ち取り(って、ここでいう勝利というのは、本人のプライドが保たれるという意味)、一方で世間的にも、ちょっとハッピーになるといったラストとなるわけです。
まったく新しいタイプのヒロインものの登場です。
なんだかちゃんと終わってしまうのが残念でした。
PS1:
第三夜は、「このケータイは××で」のあの場所、およびエピローグには、その物語の主人公達が、サプライズゲストとして登場してくれています。
氏の作品を刊行順に読むことをお勧めします。(とかいって、私も「地獄のババぬき」未読ですけどね・・・)