2006年07月12日(水) 14時52分58秒

「告白」 町田康 2006-085

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
圧倒的な文量と圧倒的な文体。
そして圧倒的な読了感

2006年本屋大賞第7位の作品。
読了しました。

「河内十人斬り」という河内音頭があるそうです。
ウィキペディア では、

河内十人斬り(かわちじゅうにんぎり)は、明治26年に大阪府南東部の金剛山麓の赤坂水分(あかさかすいぶん)村で起こった殺人事件。金銭・交際トラブルによって、名前通り十人殺害されて当時のビッグニュースとなり、小説・芝居にも使われ、大阪の伝統芸能である河内音頭の代表的な演目となった。


・・・そんな実話をモチーフにした、本作です。

amazonリンク

町田 康
告白
出版元
中央公論新社
初版刊行年月
2005/03
著者/編者
町田康
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:5点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:5点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件<河内十人斬り>をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。殺人者の声なき声を聴け! <<Amazonより抜粋>>


相当文量もあって、相当読了するのに時間がかかったのですが、殺人者である主人公の熊太郎の半生を描ききった作品ということもあり、正しい意味での読了感を、久しぶりに得ることが出来ました。

実際の「河内十人斬り事件」の描写は、後半も後半にちょろっとだけ描かれており、物語のメインテーマは、そこに至るまでの熊太郎の”やるせない半生”と、綺麗事ではすまされない”人の情けなさのようなもの”だと思います。

主人公の城戸熊太郎は、幼少の頃からいわゆる情けない人間であり、本書はその情けない人間のダメっぷりを独特の文体(例えばそれは著者自ら文中でそのダメっぷりにつっこむ(事例:あかんではないか))で綴られております。

数々のエピソードが掲載されており、その都度、熊太郎の大いなる情けなさが満開なわけで、最初のうちは、(どうしてこうも、情けないのかね~)などと対岸の火事よろしく、ふんふん言いながら読んでいるわけですが、読み進むにつれて、それが、自分の内なる何かと微妙にシンクロしていくこととなります。
人間誰しも、腐ったり、怠けたり、あきらめたり、虚勢や見得を張って生きているわけですが、それらを丸ごと熊太郎が体現しているかのような気がしてくる
のです。

決して包み隠すことのない熊太郎の情けなさとは、我々自身の恥部であり、サガなのであり、あえてそれを読み解いていくことで、人身御供としての「城戸熊太郎」が浮かび上がってくる
わけです。

河内音頭でいうところの「河内十人斬り」は、絶対に揺るぐことのなかった社会的な構図の中において、賞賛を浴びたのでしょうが、この町田康氏の「告白」は、加えて我々自身の中にあり、周りには知らせることのできない「情けなさ」を表現し、それが賞賛に値する
のでしょう。

とにかく文量も多く、途中いつまでたっても熊太郎が改心しないため、読むこともあきらめてしまいがちですが、きっちり読了していただければと思います。
読み終わった後に、何か残ります。
そして、落ち込んだときにもう一度読んでみたいと思うはずです。

冒頭の著者の突っ込みの言葉に符合する、最後の熊太郎のひと言は、普段の我々が一人になったときにつぶやく「それ」なのです。

PS1:
本書は、読売新聞夕刊にP415まで連載されていたようです。
ちなみにP415ってあまり区切りの良いところではございません。
一体何があったのでしょうか?そしてこれが毎日連載されるってどんな感じなのでしょうか?

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コメント

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1 ■シンクロしました

こちらからもTBさせて頂きました。
全くもって熊太郎とシンクロさせて頂きました。

町田康作品=情けない男の生き様のような作品なのですが、今回は情けなさ+悲哀で相当に重い作品だったなあって個人的には思っております。

いやはや、町田康にやられました。

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