1 | 2 | 3 |最初 次ページ >> ▼ /
2006年09月30日(土) 23時59分59秒

2006年9月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』

◆今月のアクセスランキング

総合ランキング:
13467位/1204107人中 (1.12%)前月からの比=0.35%
ジャンルランキング:
200位/7803人中(2.56%)前月からの比=0.57%

◆検索ワードTOP10

1 感想 7.1%
2 書評 5.3%
3 荻原浩 4.6%
4 僕たちの戦争 3.9%
5 山田悠介 2.1%
6 砂漠 1.7%
7 伊坂幸太郎 1.7%
8 あらすじ 1.4%
9 乾くるみ 1.4%
10 ネタバレ 1.4%


◆2006年9月のランキング

今月の読了数は
なんと17冊!!
書評立ち上げ以来、最高の読了数を達成しました。

9月とはいえ、残暑だったり、長期休暇をとったわけでもなく、さほど勤務先への移動時間もないなか、どうしてこんなに読めたのか本人が一番わかっておりません。
ま、めでたいといえばめでたいってことで、早速9月のランキング。

まだまだ続く重松ブーム。
前月の1・2フィニッシュに続き、今月は1・3位を獲得しました。
割って入ったのは、これまたお気に入りの作家さんである乙一氏の「ZOO」。
さてさて、本格的な秋に向けて、重松・乙一両氏に続く作家さんは出てくるのでしょうか??

第1位;「トワイライト」 重松清
;エンターテイメント小説;2006年09月08日(金) 23時29分00秒


重松 清
トワイライト


第2位;「ZOO」 乙一
;エンターテイメント小説;2006年09月21日(木) 01時32分50秒


乙一
ZOO


第3位;「その日の前に」 重松清
;エンターテイメント小説;2006年09月18日(月) 17時44分44秒


重松 清
その日のまえに


第4位;「ママの狙撃銃」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2006年09月03日(日) 15時48分38秒

第5位;「約三十の嘘」 土田英生
;エンターテイメント小説;2006年09月30日(土) 04時08分22秒

第6位;「犬はどこだ」 米澤穂信
;エンターテイメント小説;2006年09月23日(土) 02時34分08秒

第7位;「希望の国のエクソダス」 村上龍
;エンターテイメント小説;2006年09月09日(土) 02時03分55秒

第8位;「押入れのちよ」 萩原浩
;エンターテイメント小説;2006年09月14日(木) 23時59分23秒

第9位;「神狩り」 山田正紀
;エンターテイメント小説;2006年09月13日(水) 21時36分50秒

第10位;「笑う招き猫」 山本幸久
;エンターテイメント小説;2006年09月26日(火) 23時38分25秒

第11位;「ギブソン」 藤岡真
;推理小説;2006年09月05日(火) 20時56分56秒

第12位;「セリヌンティウスの舟」 石持浅海
;推理小説;2006年09月28日(木) 22時27分14秒

第13位;「QED ~ventus~ 熊野の残照」
;エンターテイメント小説;2006年09月04日(月) 21時06分16秒

第14位;「εに誓って」 森博嗣
;エンターテイメント小説;2006年09月17日(日) 08時45分06秒

第15位;「エソラ VOL3 2006.4」
;エンターテイメント小説;2006年09月19日(火) 22時11分36秒

第16位;「秘密屋文庫知ってる怪」 清涼院 流水
;エンターテイメント小説;2006年09月24日(日) 18時39分57秒

第17位;「だいにっほん、おんたこめいわく史」 笙野頼子
;エンターテイメント小説;2006年09月07日(木) 21時58分14秒


AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月30日(土) 04時08分22秒

「約三十の嘘」 土田英生 2006-126

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
映画「約三十の嘘 」の原作本であるタイトル「約三十の嘘」(あたりまえか)を読了しました。
小気味よい、場面展開を感じることのできる軽い感じの本でありました。

amazonリンク

土田 英生
約三十の嘘
出版元
角川書店
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
土田英生
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
嘘発、幸せ行きの旅は、どこへ着くのだろう?映画「約三十の嘘」の原作。6人の詐欺師チームが3年ぶりに再結集。寝台特急トワイライトに乗り込み、北海道へ。仕事は成功するが、大金の詰まったスーツケースが消えた。そこから明らかになる人間模様とは・・・・・・。<<Amazonより抜粋>>


冒頭、映画の原作と延べ、あらすじにもきっちりそのように書かれているようですが、実際には複雑な経緯をたどっているようです

作者の土田氏は劇作家であり、この「約三十の嘘」は元々彼の劇団で上演するためのシナリオだったようで、それが映画化されることとなったことで、映画用に脚色されたものを、さらに実際の原作者である土田氏が小説にしたようです。・・・

って分りづらいですね。

ということで本文。

さらっと読めてしまいました。
かる~い感じの物語です。

物語は、男4人女2人の計6人の視点で語られていきます。
横山を除く、5人は元々チームを組んでいて3年ぶりのチームによる詐欺を働こうとします。

現地である北海道に向かうトワイライトエキスプレス車内の6人の様子と、詐欺行為が終了した後の、やはりトワイライトエキスプレス車内の6人様子が展開されていきます。

”ということで、肝心の詐欺の場面はまったくありません。”
といったところが斬新ですね。

この6人同士が、復路の車中に、詐欺師という職業柄、騙し合いをし、最終的に儲けは誰の手に収まるかってのがメインストリームということです。

3年前のチームとしての失敗という背景があって、それを引きずっているものもいれば、単純に伝説の詐欺師に会いたくて合流するものもいれば、周りに聞こえるくらいの独り言を言う奴もいる。

とにかく個性豊かなメンバーのそれぞれの描写が面白く、また映画の原作(?)ということもあり、場面展開もはっきりしています。(ま、全部車内ですけど)

ただ、ラストの展開は、やや尻切れな感じを受けました。
もうちょっと、騙し合いの二転三転があってもよかったのではと欲を出しちゃいます。

DVDでも借りて映像も見てみたいと思いました。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月28日(木) 22時27分14秒

「セリヌンティウスの舟」 石持浅海 2006-125

テーマ:--石持浅海
「BG、もしくは・・・」の石持氏の「セリヌンティウスの舟」読了しました。
面白い趣向の作品でした。

amazonリンク

石持 浅海
セリヌンティウスの舟
出版元
光文社カッパノベル
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
石持浅海
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
荒れ狂う海で、六人のダイバーはお互いの身体をつかんで、ひとつの輪になった。米村美月、吉川清美、大橋麻子、三好保雄、磯崎義春、そして、僕、児島克之。石垣島へのダイビングツアー。その大時化の海で遭難した六人は、信頼で結ばれた、かけがえのない仲間になった―。そんな僕らを突然、襲った、米村美月の自殺。彼女はダイビングの後の打ち上げの夜に、青酸カリを飲んだ。その死の意味をもう一度見つめ直すために、再び集まった五人の仲間は、一枚の写真に不審を覚える。青酸カリの入っていた褐色の小瓶のキャップは、なぜ閉められていたのか?彼女の自殺に、協力者はいなかったのか?メロスの友、セリヌンティウスは、「疑心」の荒海の中に投げ出された。 <<Amazonより抜粋>>


短い物語です。
”不審な自殺”についての推理が、児島克之の一人称目線で語られていきます。

物語の合間には、六人が信頼関係を結ぶこととなった海での事故の様子が語られ、少ない文量でありながら、こちらは、なかなかリアルな描写でした。

で、肝心のメインストリームなのですが、これが趣向としてはユニークでした。

一般的な物語としては、「不審な自殺」といえば「他殺かも?」となり、「じゃ、この中の誰が?」「何故?」「どのように?」ってことになるわけですが、敢えてその定石を覆すような展開なわけです。
この展開の不自然さを吸収しているのが、登場人物間にある「絶大な信頼関係」ということであり、この時点で「上記のような展開を期待している読み手」VS「登場人物達」といった構図が成り立つ訳ですね。

本の背表紙にある著者の言葉を読み、そのあたりを深く納得しました。
大袈裟に言えば、「踏み絵」のような作品なわけです。

ただ、物語の大半を占める、5人の推理合戦は、ちょっと冗長感がありますね。

これが約半分の文量なら、相当面白かったかも知れません。
なんだか堂々巡りな感じを受けました。
ただ、(実際に、このようなシチュエーションだったらどうか?)というと、意外に堂々巡りしたりするはずなので、ある意味でこの不毛な推理合戦もリアリティーの追求なのでしょうかね?
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月26日(火) 23時38分25秒

「笑う招き猫」 山本幸久 2006-124

テーマ:--山本幸久
第16回小説すばる新人賞受賞作、山本幸久著「笑う招き猫」読了しました。

amazonリンク
山本 幸久
笑う招き猫
出版元
集英社
初版刊行年月
2004/01
著者/編者
山本幸久
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
ヒトミとアカコは27歳の女漫才師コンビ。苦労性のヒトミと天衣無縫なアカコ、性格も境遇も異なる二人だが、“本物の漫才師”目指して奮闘中! お笑いに賭ける青春を描く、傑作成長小説。<<Amazonより抜粋>>



女漫才師コンビ「アカコとヒトミ」のツッコミの方であるヒトミの一人称で語られる成長物語です。
いわゆるこの手のシチュエーションでありがちな、楽屋ネタも少なく、純粋に主人公格の2人の成長を感じることができます。

物語は、分り易く、2人の初舞台のシーンに始まり、進行する物語の間に2人が出会った経緯などが挟み込まれ、徐々に感情移入できるようになっています。
読み手にやさしい構造を用いていて、好感触でした。

ま、最初のうちはどっちが「アカコ」でどっちが「ヒトミ」か分らなかったりしましたが・・・

で、物語のメインストリームは、2人の成長なのですが、どうやら借金を抱えたマネージャーや、売れないピン芸人とその妻の元アイドル、それからその夫婦の一粒種であるエリといった、周りを囲む登場人物のサブストーリーも挟まれています。

ちゃんとキャラクターとして成立している登場人物のこれらサブストーリが、とっても庶民的な展開なもので、なんだかほっとしちゃったんですよね。
盛り上がり方とか文章の旨さ云々は抜きにして、雰囲気は荻原氏の「母恋旅烏 」に近いと勝手に思っております。

ラストにある、盛り上がりは、2人が信頼していたマネージャーである永吉の処遇と、漫才コンビにはありがちな、方向性の違いから起こる喧嘩の顛末だったりするのですが、これまた極めて庶民的な、一歩間違えれば「雰囲気小説」になりがちな展開でしたが、ま、ギリギリOKといった感じです。

レッドバロン並に滑走するわけでもないですが、よくある「夢を追います」的物語に終始しなかったのは良い感じでした。
(読んだ方にしか分らない表現ですみません)

引き続き、山本氏を追ってみたいと思っております。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月25日(月) 21時48分56秒

2006/09/23に借りた本

テーマ:読前感想
秋分の日ですね。
淡々と借り出してみました全7冊。
別段、統計的な評価してもあれですが、今回の借り出し本は初版刊行年月が2005年秋に集中してますね。
ま、どうでも良いのですけど。

ということで、過ごしやすくなってすっかり「読書の秋」でございます。

題名
笑う招き猫
読了可能性
★★★★☆
出版元
集英社
初版刊行年月
2004/01
著者/編者
山本幸久
読前感想
予約本です。前回借り出した「エソラVOL3」に所収されていた山本氏。早速他の作品を借り出してみました。デビュー作であり第16回小説すばる新人賞受賞作だそうです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10017543737.html

題名
死日記
読了可能性
★★★★☆
出版元
小学館文庫
初版刊行年月
2003/01
著者/編者
桂望実
読前感想
こちらは、「県庁の星」の桂氏のデビュー作。文庫化されたということで、新刊コーナーにありましたので借りてみました。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10017680609.html

題名
セリヌンティウスの舟
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社カッパノベル
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
石持浅海
読前感想
「話題の本コーナー」からの借り出しです。石持氏といえばミステリフロンティアレーベルの「BG、あるいは・・・」なのですが、今回はダイバーの物語のようですね。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10017624447.html

題名
精霊探偵
読了可能性
★★★☆☆
出版元
新潮社
初版刊行年月
2005/09
著者/編者
梶尾真治
読前感想
こちらも「話題の本コーナー」から。たぶんお初にお目にかかる作家さんだと思われます。あの映画「黄泉がえり」の原作者のようですね。本作も霊的作品ですかね。
読後感想リンク


題名
凸凹デイズ
読了可能性
★★★☆☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
山本幸久
読前感想
これまた「話題の本のコーナー」。今回2冊目の山本氏の作品です。たぶん予約をして読むであろうと思っていたのですが、書棚にありましたのでせっかくだから借り出してみました。
読後感想リンク


題名
約三十の嘘
読了可能性
★★★☆☆
出版元
角川書店
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
土田英生
読前感想
なんとなく映画になったのは覚えていましたが、その原作本なんでしょうね。パラパラっと読んでみましたが意外に期待しちゃっています。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10017624560.html

題名
そして名探偵は生まれた
読了可能性
★★★☆☆
出版元
祥伝社
初版刊行年月
2005/10
著者/編者
歌野晶午
読前感想
結構借り出しています歌野氏の作品です。中編集ですね。これまた期待大。
読後感想リンク


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月24日(日) 18時39分57秒

「秘密屋文庫知ってる怪」 清涼院 流水 2006-123

テーマ:--清涼院流水
この文庫の改訂前の2作品「秘密屋 赤」「秘密屋 白」は書評以前に読了済みなので、再読といえば再読。
とはいえ、だいぶ昔に読んだので内容忘れてしまったのと、清流院氏の得意技である「文庫になったので全面改訂」ってことで、新たな気持ちで読んでみました。

「秘密屋文庫知ってる怪」読了です。

amazonリンク

清涼院 流水
秘密屋文庫 知ってる怪
出版元
講談社文庫
初版刊行年月
2004/08
著者/編者
清涼院流水
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
口裂け女、人面犬、ベッドの下の斧男 。どこからともなく社会に広まる“都市伝説”の数々。怪しい噂を支配する深い謎に包まれた存在「秘密屋」が、本当の姿を現した! 超大物政治家を標的に、彼が仕掛ける驚くべき計画とは?(『秘密屋 赤』『秘密屋 白』を全面改稿し、書き下ろし『黒』を加えた文庫オリジナル)<<Amazonより抜粋>>



「「都市伝説」研究」→
「自分のことを「秘密屋」と勘違いしているオッサン・シローとの電話」→
「驚くべき「秘密屋」の真相と、世界の真相」

端的言うと「赤」→「白」→「黒」はこういったストーリです。
このストーリに、いわゆる清流院テイストである「言葉遊び」がふんだんに入り、大量消費感覚満点の作品となるわけです。

めでたしめでたし。

本編の感想は、そんなところで、さておき(・・・えっ短い?)


今回の、大きな収穫は、袋とじにある<秘密屋の秘密>にありました。

著者の攻めの姿勢にはある意味脱帽すらしちゃいます。
ただ、非常に空回り感があったりするのも、大変興味深いわけです。

さすがに袋とじなので内容自体に触れるのはやめておきますが、本書を読む→袋とじを読むというまともな順番だと、本書だけを読んだ時の感想と袋とじも読んだ後の感想では、だいぶ違ったんですね。

良い意味でも悪い意味でも著者は真剣であり、その真剣さが、周りか見て、空回りしていることも計算ずくで、またそれが多少演技じみていたりする部分も含めて本気だったりするから、とっても複雑な思いが巡るのです。
特に最後の2編は、相当気持ちが入らないと書く事のできない文章だったりして、云々。


とにかく、一度でも清流院作品をお読みになっている方は、是非袋とじの中身だけでもさらっと読んでいただきたいのです。

一度も読んでない方が読むと、相当引きます。
だから袋とじなのだと思って疑いません。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月23日(土) 02時34分08秒

「犬はどこだ」 米澤穂信 2006-122

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
読了後に気がつきましたが、本書、2005年このミステリーがすごいの8位受賞作だったのですね。
ということで、何かと検索上位にある米澤氏の「犬はどこだ」読了しました。

まず、タイトルが良いですね。

amazonリンク

米澤 穂信
犬はどこだ
出版元
東京創元社
初版刊行年月
2005/07
著者/編者
米澤穂信
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
犬捜し専門の仕事を始めたはずなのに、依頼は失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、ふたつはなぜか微妙にクロスして-。いったいこの事件の全体像は? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。<<Amazonより抜粋>>


主人公である紺屋長一郎と、探偵に憧れて歩合でもよいからと仕事を手伝うこととなったハンペー(半田平吉)の一人称が交互に挟まれています。

物語りも、それぞれの仕事(失踪人探しと古文書解読)の調査過程が、一昔前のRPG並みの展開の速さで進み、後半に合流するといった感じです。
Chapterの冒頭に日付がふられているのですが、2004年8月12日(木)~8月19日(木)のたった一週間の出来事であることに気がついたときは、物語の世界であるにも関わらず、せわしない話だったんだなと思ってしまいました。

この本の魅力の一つは、登場人物のキャラクター設定だったりします。
主人公の紺屋長一郎は、大手銀行員になったものの、とある事情で退社を余儀なくされ、犬専門の調査会社「紺屋S&R」を開業することとなります。
この開業までの背景が、「あまりやる気のない探偵」というキャラクター設定と、「犬専門」というやや消極的な業務内容につながります。
一方で、探偵に憧れ、たまたま高校の先輩だった紺屋を頼って仕事を無心するハンペーは、明らかに小説内世界にある探偵業を地で行きたいタイプであり、そのやる気に見合わず、なにか頼りない印象を受けます。
この2人の対比が、よくあるシチュエーションではありますが、非常に興味深かったです。

また、紺屋の妹夫婦が経営している喫茶店「D&G」があり、物語中盤で登場する謎の男がいたりと、そのような観点においても、キャラクター設定は申し分のないものだと思いました。

このようなキャラクター設定があるから、後半の紺屋自身の真相を見出した後の今までにない積極的な行動が生きて、覆いかぶさるような結論の反転の驚きと共に、ある意味、達成感を感じることも出来る訳です。
(ま、物語自体の読後感は、これとはちょっと違うんですけどね。)

ただ、強いて言わせてもらえば、ちょっと文体が真面目かな~と。
もっとキャラクターを前面に出した文体(例えば、紺屋パートはもっと「低いテンション」で、ハンペーパートはもっと「高いテンション」)であれば、相当良い作品だったかな~と思いました。

とにかく、このキャラクター設定とシチュエーションなら続編にも十分期待できそうですし、期待ちゃいます。
個人的には紺屋義弟となる「D&G」のマスター河村友春の活躍に期待大ですね。

PS:タイトルの「犬はどこだ」の意味は、「犬専門の調査会社なのに犬の仕事がないじゃないか?」という突っ込みの以外にもあります。最後まで読むと解る仕掛けになっていて、この辺りのセンスは良いですね。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月21日(木) 01時32分50秒

「ZOO」 乙一 2006-121

テーマ:--乙一
乙一氏の「ZOO」を読了しました。
単行本の方です。
表紙には、ZOO(ズー)のなかにZ-(ズー)みたいですが、Z-ではなく「乙一」です。
よく出来た洒落です。
知らない人がいきなり読んだら混乱しますね。

で、内容は、もっと驚きでした。

amazonリンク

乙一
ZOO
出版元
集英社
初版刊行年月
2003/06
著者/編者
乙一
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
最も注目される若手ナンバーワン、乙一のホラー短編集。毎日届く恋人の腐乱死体の写真。彼女を殺したのは誰? 「犯人探し」に奔走する男を描く表題作ほか、書き下ろしを含む全10編を収録。<<Amazonより抜粋>>



10編の短中編が所収されています。


どの作品も、乙一マジック満載ですね。
ということで、どんなところが乙一マジックなのかというと・・・

1.基本的に主人公が不幸せ
2.基本的に主人公を含む登場人物が邪悪
3.基本的に当たり前でないことが当たり前のように描かれる
4.基本的に唐突かつ劇的に物語が終わるが、よく考えてみると、それなりに論理的な感じ

ってとこでしょうか?

加えて言うなら、この結末を4のように感じる読者は、もちろん邪悪ってことでしょうか。
当然ながら、私も含まれます。

印象深かったのは「カザリとヨーコ」「SO-far」そして「SEVEN ROOMS」(←つながいさん、オススメの通り、良かったです。)です。
この3作品に共通しているのは、前述した4の劇的さがとても強烈だった点です。

いじめられる片方の双子が、とった行動とは?
お互いが見えない夫婦の間に残された息子の結末は?
閉じ込められた部屋から幼い姉弟は逃げられるか?

・・・

残り数ページで起こる、怒涛の展開なのですが、どれも期待以上のラストでした。
推理小説ではないので、なんだか中盤くらいに分ってしまうところもあったりしますが、これは、これで良いんです。
そういった意味では乙一作品にとって「予定調和」な収束なのでしょうね。

短編がとても上手な作家さんであることを改めて認識しました。

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2006年09月19日(火) 22時11分36秒

「エソラ VOL3 2006.4」 2006-120

テーマ:★読後感想:作家別【その他】
不定期刊行のエソラ。
いつの間にかVOL3まで出てきてまいりました。

実はこのブログ、きっちりちゃんとVOL1から追っておるのです。
図書館からの借り出してあるにもかかわらずきっちりちゃんとなのです。

ということで、過去のリンク先はこちら。
エソラ VOL1 2004.12
エソラ VOL2 2005.7

amazonリンク

絲山 秋子, 伊坂 幸太郎, 黒田 硫黄
エソラ vol.3
出版元
講談社
初版刊行年月
2006/03
著者/編者
小説現代特別編集
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
物語よ、前へ!同時代を突きすすむ、14の独創性がほとばしる。漫画も小説も、ぜんぶ読みきり、書き下ろし。言葉と、絵と、空想力と。ピュアな「物語」集。<<本帯より抜粋>>


VOL1が4編。
VOL2が5編の短編小説が所収されており、この法則なら「次は6編」。
ということで、本当にVOL3は6編の短編小説が所収されているわけです。

一冊の厚みを変えずに、所収の数を増やすって事は、要するに一編が短くなってしまったということで、どちらかといえば「長編派(と初めて、言ってみましたが)」の私にとっては、ちょっと物足りなかったかな~と。

と、そんな流れもあって、VOL2まできっちり各編の感想を上げていましたが、今回はちょっとサボります。
ごめんさい。
とはいえ、一覧にはしてみますね。

「みなみのしまのぶんたろう」絲山秋子
「ギア」伊坂幸太郎
「零下五度」吉田修一
「束の間」柴崎友香
「百文字の女」山本幸久
「走る家」唯野未歩子

ということで、やはりピックアップすべきは伊坂氏の「ギア」。

これは、なんだかんだいって良かったのですよ。
何故かワゴンに見知らぬ人々が乗り込んでいて、何故か銀座の次が荒野で、謎の生物「セミンゴ」が出てきたりと、普段の差区品にない、夢の中で起きるような不条理な世界を描いて折るのですよ。
これって、ある意味で、伊坂氏の新天地だったりしましたね。
ただ、逆に言ってしまえば、「今までの伊坂作品」ではないので、そのあたりを注意してください。
どちらかといえば佐藤哲也ワールドなのです。

もう一つサッカメッケとしては、「ややウケ」だったのが、山本幸久「百文字の女」。
テンポの良い会話が良かったです。
この作家の別の作品は読んでみましょうかね。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年09月18日(月) 17時44分44秒

「その日の前に」 重松清 2006-119

テーマ:--重松清
2006年本屋大賞第5位の作品。
「その日のまえに」を読了しました。

「大事な人の死」をテーマにした極めて精度の高い連作短編集でした。

amazonリンク
重松 清
その日のまえに
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/08
著者/編者
重松清
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る、愛するひとの死―。生と死と、幸せの意味を見つめる最新連作短編集。 <<Amazonより抜粋>>



7つの作品群。
ラストの3つは、表題作に加えて「その日」「その日のあとで」と、正統な連作となっており、その連作にリンクされるように前の4作品が用意されています。
きっちりリンクされているところは、伊坂作品に類似しているところがありますが、その前4作の「その後」が描かれているという点では、伊坂作品より、意味を持つリンクなのかもしれません。
ちなみに、ネット上にアップされている感想を見てみると「朝日のあたる家」だけが、リンクしていないようなことを仰っている方も多いようですが、しっかり登場人物の2人が「表札」(「その日のまえに」205頁)といった形で登場しております。
他の作品に比べれば、一番地味な登場なので見落としがちですが、一番救われている登場の仕方で個人的には一番気に入っています。

で、読み終えて、率直に思ったのは、「この作品は、もう一度、読み直す時が必ずくるだろう」ということでした。

このことは、私自身の個人的な現況に大きく関与します。
それは、私の周りの大事な人が、今現在、幸いにも皆健在であることから、このシチュエーションをきっちり飲み込めなかった、シンクロすることができなかったということです。
本書を読み進めるたびに、妻・両親・兄弟、それから親友、師・・・大事な人はたくさんいるけれど、その人たちを失うといった感覚自体を、否定している自分を見つけてしまいました。

例え不通になってしまっていても、生きてさえいれば、見えないところで支えてもらっているという自分の甘えのようなもの、そんなものを大きく感じることができました。

ですからわがままを言わせてもらえれば、本書の主人公達の気持ちに同調できる時に、もう一度読んでみたいと思ったのです。
そして、更なるわがままを言わせてもらえれば、なるべくそれは遠い未来にしてもらえないだろうかと、誰かに頼みたい気分なのです。

物語自体は、どの短編も、さすが重松氏といった構成と、心理描写でした。
そして、「自分の外側の世界のこと」と思えなくするような、筆致であったと思います。

その結果として、このような状況を、「真っ向から、拒否する自分」が明らかになったことは、大きな収穫と呼んでよいものかもしれません。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 |最初 次ページ >> ▼ /

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。