1 | 2 次ページ >> ▼ /
2006年06月30日(金) 23時59分59秒

2006年6月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』

◆今月のアクセスランキング
総合ランキング:
7314位/1147407人中(0.64%)前月からの比=-0.12%
ジャンルランキング:
130位/7236人中(1.80%)(2.18%)前月からの比=-0.38%


◆検索ワードTOP10
1 書評 4.9%
2 感想 4.1%
3 荻原浩 3.7%
4 噂 2.5%
5 乾くるみ 2%
6 伊坂幸太郎 1.6%
7 ネタバレ 1.5%
8 金城一紀 1.4%
9 さよなら妖精 1.3%
10 砂漠 1.3%


◆2006年6月のランキング
前月に引き続き15冊という「読書の初夏」気分な6月でございました。
そんな中、見事1位を獲得したのは、本多氏の「MOMENT」でございます。
読む毎に、徐々に評価を上げていった本多氏です。
はたして、来月以降も活躍するのでしょうか?


第1位;「MOMENT」 本多孝好
;エンターテイメント小説;2006年06月25日(日) 15時08分16秒


本多 孝好
MOMENT

第2位;「包帯クラブ」 天童荒太
;エンターテイメント小説;2006年06月13日(火) 21時04分48秒


天童 荒太
包帯クラブ The Bandage Club

第3位;「そのケータイはXXで」 上甲 宣之
;エンターテイメント小説;2006年06月17日(土) 00時59分07秒

上甲 宣之
そのケータイはXX(エクスクロス)で

第4位;「ロックンロール七部作」 古川日出男
;エンターテイメント小説;2006年06月26日(月) 21時40分43秒

第5位;「ALONE TOGETHER」 本田孝好
;エンターテイメント小説;2006年06月01日(木) 00時58分37秒

第6位;「流れ星が消えないうちに」 橋本紡
;エンターテイメント小説;2006年06月15日(木) 02時49分17秒

第7位;「それでも、警官は微笑う」 日明恩
;エンターテイメント小説;2006年06月29日(木) 22時35分35秒

第8位;「白の家族」 栗田教行
;エンターテイメント小説;2006年06月22日(木) 21時18分01秒

第9位;「ALWAYS 三丁目の夕日」 山本甲士
;エンターテイメント小説;2006年06月03日(土) 03時18分35秒

第10位;「ドスコイ警備保障」 室積光
;エンターテイメント小説;2006年06月07日(水) 02時20分27秒

第11位;「ボーイズ・ビー」 桂望実
;エンターテイメント小説;2006年06月30日(金) 22時52分20秒

第12位;「KAIKETSU! 赤頭巾侍」
;推理小説;2006年06月11日(日) 21時14分42秒

第13位;「夏と花火と私の死体」 乙一
;ホラー小説;2006年06月19日(月) 21時25分36秒

第14位;「天帝妖狐」 乙一
;ホラー小説;2006年06月21日(水) 21時16分09秒

第15位;「平成マシンガンズ」 三並夏
;エンターテイメント小説;2006年06月20日(火) 23時54分02秒
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月30日(金) 22時52分20秒

「ボーイズ・ビー」 桂望実 2006-082

テーマ:--桂望実
ボーイズ・ビー読了です。
「県庁の星」でもそうでしたが、結構さらさらと読めてしまいました。
なんだか公私共々バタバタしているこの時期には、とても大事なことだったりします。

amazonリンク
桂 望実
ボーイズ・ビー
出版元
小学館
初版刊行年月
2004/04
著者/編者
桂望実
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
川端隼人12歳、小学六年生。この夏、ママを亡くした。弟がいる。直也6歳。小学一年生。直也はまだママが「死んだ」ということがわかっていない。消防士のパパは夜勤が多い。だから、ぼくが直也の面倒を見なければならない。ぼくには泣いてる暇はない。園田栄造70歳、靴職人。魂を込めて靴を造る。そのために不要なものはすべて排除する。気安く近づいてくるやつらが大嫌いだ。用事もないのに話しかけてくんな。ガキは特に嫌いだ。わがままで、未熟なくせに姑息で、甘えてみせもする芸達者だ。じんわりと気持ちがほぐれる泣けないガキと偏屈ジジイの物語。<<Amazonより抜粋>>



あらすじのとおり、母親を亡くした”泣けないガキ”と、昔のとおり靴が作れない”偏屈じじい”の話です。

「隼人」視点(ジュブナイル文体)と「栄造」視点(べらんめい文体)の物語りが交互に組み込まれています。
物語前半から二人の話は交差し、様々なことを経て、徐々に年齢の差を超えた友情のようなものが芽生え始めます。
隼人は弟の直也に「母親が亡くなったことをどうしたら理解してもらえるだろうか」と悩み、栄造は「思い通りの靴が作れない」ことに悩んでいます。

お互いの悩みを補完しあって(もちろん気の良い周りの登場人物のおかげもあって)、ラストはハッピーエンドってことになるわけです。よかったよかった。

印象深かったのは、隼人が心の内に秘めていたことを父親にぶつけるところなのですが、この父親ってのが、読み手の趣向によっては嫌な奴だったり、不器用な奴だったりします。
私は比較的後者の印象を持ちました。

さらっと読めて、読後もすっきりする作品でございます。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月29日(木) 22時35分35秒

「それでも、警官は微笑う」 日明恩 2006-081

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】

あらすじにもありますが、本作は第25回メフィスト賞受賞作でございます。
メフィスト賞といえば、「講談社ノベルズ」という刷り込みがありますが、最近は単行本なんですね。
ま、うすうす知ってはいましたが、なんだか淋しい気持ちになったりします。
(ちなみに本書は、その後、講談社ノベルズ版となったようですが)

で、警察モノハードボイルド小説でございます。

amazonリンク
日明 恩
それでも、警官は微笑う
出版元
講談社
初版刊行年月
2002/06
著者/編者
日明恩
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:2点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
硬派のタフガイと軟弱なお坊っちゃま。一見ミスマッチなこの刑事コンビこそ「踊る大捜査線」が呈示した警察改革の継承者に他なるまい。内外の敵を向こうに回し、渾身の捜査を繰り広げる“現場”の戦士たち。第25回メフィスト賞受賞作。<<Amazonより抜粋>>



前半はやや状況説明に冗長感があり、加えて、物語の視点が切り替わるのでいまいち感情移入できませんでした。
ただ、ぐっと堪えて読み進めてみると、良く出来た背景とキャラクターであることに気がつきます。

無骨な中年刑事武本と今風な若くして警部補の潮崎という刑事コンビと、麻薬取締官の宮田が、共通の”見えない敵”を、様々な糸口から追い詰めていくという物語です。

途中、この物語の犯人目線で物語が語られますので、純粋な推理小説ではありません。
どちらかといえば、事件を追っているもの達が、どのように犯人にたどり着いていくかという過程を丁寧に追っていく感じの作品ですね。
これをいわゆる「社会派」と呼ぶのであれば、「社会派」なのですが、そうとも言い切れない微妙な感じはあります。

犯人を含めた主要な登場人物は、それぞれにいろいろなものを背負っており、あるものはそれを証明するため、あるものはそれを精算するために、行動を起こします。

個人的に印象に残ったのは、犯人の犯行に至る動機。
この動機は、物語世界を超え、タブーの領域へ読み手をいざないます。
その結果、本当の犯人は、もっと巨大なものであることを思い知らされ、この物語はどうやって収束するんだろうという読み手のぐいぐい度を上げるものになりました。

結果的に物語の終焉は、うまくはぐらかされた感はあったものの、この”うまく”が重要で、そんなに不満ではありませんでした。

なんだか続編があるようなので、近いうちに読んでみたいと思います。

ちなみに、比較的、登場人物が多く、かつ名前が平凡な名前なので、頭の中での刷り込みがうまく行きませんでした。
(これは、私自身の能力に寄るものではありますが)つくづく「登場人物の名前」ってのも重要なのだな~と「読書経験初心者」のような感想を持ってしまいました。
まだまだ修行の足りない私です。

AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006年06月26日(月) 21時40分43秒

「ロックンロール七部作」 古川日出男 2006-080

テーマ:--古川日出男

ロックンロール七部作。
ベルカ、吠えないのか? 」の、”正統な意味でのロックンロール版”って感じです。
「ベルカ・・・」を既読済みで、(”正統な意味でのロックンロール版”って何よ?)と思われた方は、読まれれば、その真意が何となく分ると思います。

amazonリンク

古川 日出男
ロックンロール七部作
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
古川日出男
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
ロックでポップな、新たなる20世紀神話。"あたし"が語るのはロックンロールの誕生と隆盛。爆発的に広がるロックを追いかけつつ、物語は20世紀という時間、七大陸という空間を呑み込んでゆく。壮大なヴィジョンで描き直す新・20世紀史。<<Amazonより抜粋>>



あらすじにあるとおり、七大陸それぞれのロックンロール史を、「あたし」が、「”あたし”なりのルール」を作り、語り手となって語ります。

小説世界は極めて充実したロックンロール史となっています。
「ベルカ、吠えないのか?」で見せた、”地球儀くるくる視点(と勝手に命名)”の物語展開があります。(地球儀くるくる視点とは、「距離的跳躍」と「時間軸跳躍」の2つがあり、ダイナミックな構造のこと(と、勝手に説明))

「風が吹けば、桶屋が儲かる」といった連鎖の世界もあれば、ミクロの事象(例えば、ボルシチにかけられたサワークリーム)に無理やりマクロな歴史的エピソードを付加してみたりと、縦横無尽に視点が行き交います。

前述した「”あたし”なりのルール」ってのもなかなかにして「ロックンロール」なわけでして、登場人物を無理やり翻訳するという手法を用いています。
この無理やり翻訳するって、よくよく考えてみると、輸入版CDとかを無理やり和訳したような感じなので、妙なズレ感と親近感がありました。

とにかく全7編(とプラスO章)は、ダイナミックな物語展開と、嘲笑してしまうくらいの登場人物名とで、しっかり読むと頭がくらくらしてしまいます。
ただ、この辺りもロックンロールなわけで、ここで初めて「小説で実演するロックンロール」という新しい文章技法を見つけちゃったりするわけです。

ふんふん、こりゃ凄い!!

というわけで、新たな文章技法を確立した古川氏に期待大ですね。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月25日(日) 15時08分16秒

「MOMENT」 本多孝好 2006-079

テーマ:--本多孝好
83さん !!よかったですよ~

ということで、「真夜中の五分前(Side-A  Side-B )」「ALONE TOGETHER 」と読了してきた、本多氏作品。
この「MOMENT」では、前2作(読了した2冊)とはまた違った雰囲気を醸し出しておりました。
もう、本多氏を「雰囲気小説の作家さん」とは思いません。
とんだ思い違いをしておりましたと深く反省しつつ、とても面白く読ませていただきました。

amazonリンク

本多 孝好
MOMENT
出版元
集英社
初版刊行年月
2002/08
著者/編者
本多孝好
総評
25点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―。静かに胸を打つ物語。<<Amazonより抜粋>>


病院で掃除夫のアルバイトをしている大学生・神田の視点、「僕」で語られる全4編が所収されています。
この「僕」が、末期患者の願いを一つかなえてくれる噂の必殺仕事人(ある意味で「必殺」にはかわりないのです)であり、最終編を除けば、「末期患者」の願いをかなえる「必殺仕事人」の仕事振りが物語の主題です。

「FACE」では、戦争中に、殺してしまった同僚の遺族の様子を知りたいという願い。
「WISH」では、修学旅行中にあった親切な大学生にもう一度会いたいという願い。
「FIREFLY」では、病院を抜け出してデートをしてほしいという願い。

それぞれの願いは、必殺仕事人の見事な仕事振りで、きっちりかなえられます。
ただ、この願い自体、もしくは展開には、大きな依頼者(末期患者)の企みがあって、それぞれの終盤で物語は一気に流転するのです。
それは読み手にとっても大きな驚きであり、純白だったものが黒くなってしまったような錯覚に陥ります。
人は、死を前にしたところで、決して清らかなのではなく、やはりその瞬間まで、何かを引きずって生きているのだと、痛切に思いました。

文体自体は、非常にスタイリッシュで、会話もユーモアが溢れており大変読みやすかったのですが、前述した「死を前にしてもなお・・・」というテーマが重くのしかかっています。

最後の「MOMENT」は、それまでの3編とはちょっと趣向が違います。
簡単に言ってしまえば「必殺仕事人 VS 必殺仕事人」。
それまでの3編に共通して登場してきた、ひとりの患者の「死にたい」というパラドックスな願いをめぐり、「灰色の仕事人」と「黒の仕事人」の対決が見られます。
そこにあるのは、映画的要素のエンターテイメント性と、小説的要素の「生きることへの執着」であり、両方が共存したとても良い一編でした。
この「MOMENT」で、本書全体がぐっと引き締まった感じがしました。


PS1:読み始めてすぐに、伊坂テイストを感じてしまいました。本書には「死神の精度」に似た雰囲気があるように思います。
PS2:神田の同級生である葬儀屋の森野(女)とのバランスも微妙な感じがして好感触でした。

いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006年06月22日(木) 21時18分01秒

「白の家族」 栗田教行 2006-078

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】
Amazonに画像はなく、実はこれ絶版されているらしいです。
天童荒太氏の本名「栗田 教行」名義で発表された作品です。

図書館って絶版も置いているので便利だな。
と、妙な字余りで感慨のまったくない川柳みたいな感想を書いてみました。

amazonリンク
栗田 教行
白の家族
出版元
角川書店
初版刊行年月
1992/03
著者/編者
栗田教行
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
第13回 野性時代新人文学賞受賞作。病気の母と幼稚園に通う妹を抱える正二と誠が始めた仕事、それは覚醒剤の包み『一万円包』作りだった…。少年たちが、この瞹眛な時代と無意識に闘っていることがわかる、ここ十年間で唯一の小説<<Amazonより抜粋>>



87年に野生時代に掲載された作品2編と書き下ろしの1編、合計3編の中編が所収されています。

3編に共通したテーマは、著者が、あとがきにも触れているように、「自分の魂を守ってゆく戦い」なのだと思います。

自身の責任ではなく、否が応にも徹底的に最悪な状況に加えて、悪化するばかりの生活から、如何に自分を見つけ、自分(とその魂)を守っていくかといった視点を硬質な文体
で表現しています。

前述したテーマが同一であることや、主人公が10代の青年という点心を許すことのできる同年代の少女の存在といった点も共通項なのですが、とにかくずしりと重いのがその境遇。

タイトル作である「白の家族」なんかは、父が失踪し、母が寝たきりかつ、自宅看病で、更に借金を抱える3兄弟の話ですが、麻薬の袋詰めの作業をしながら生計を立てています。
個人的には、小学校低学年の頃、雨がそぼ降る中、帰宅をすると、母が出かけており、居間の明かりがついていないときのどんよりとした暗さを思い出しました。(ちなみに当時、我が家は、幸いにも共働きではなかったので、家に母がいるということは当然の状況です。)
決して、物語とはまったく関係していませんが、あの時の状況って「どうしようもない」と幼心に思ったもので、なんだか近い感覚に陥りました。

そんな状況下の中、3人それぞれにちょっとしたエピソードがあって、物語は長男誠の「やりきれない状況からの脱出を志す」ってところで終わります。
ですが、その終わり方も、あんまりよろしくない状況になっていたりして、なんだか消化不良なところがあったりします。
ただ、この読了後の消化不良感は、元々の状況を察すれば、(そこまで行き着いたのだからいいじゃないか!)と変に納得してしまうわけです。

で、そんな内容の物語が3編あります。

興味のある方は、絶版ですので、中古本屋か、Amazonか、図書館にて是非!!
そして、あんな状況を自分に例えたら、どんなものかをお聞かせください。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月21日(水) 21時16分09秒

「天帝妖狐」 乙一 2006-077

テーマ:--乙一
「夏と花火と私の死体」 に続く、乙一氏「ジャンプジェイブックス」シリーズ第2段(と勝手に命名)です。
「夏と花火・・・」と比べると、ちょっとだけミステリ要素が含まれてますね。
この辺りの作品は、個人的には、通過儀礼といったところでしょうか

amazonリンク

乙一
天帝妖狐
出版元
集英社
初版刊行年月
1998/04
著者/編者
乙一
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:2点

あらすじ
はがれた人差し指の爪、引っかき傷のできた皮膚、酔っぱらいに殴られて血を出した鼻…夜木一太郎の体は、怪我を負うたびに、人ならぬものの体と入れ替わっていく。あの日、「にんげんのからだがほしい」と言った垂早苗との約束どおりに…。表題作「天帝妖狐」と、学校のトイレの落書きが、ショッキングな出来事へとつながる「A MASKED BALL」。『夏と花火と私の死体』に続く異色ホラーの意欲作、第2弾。<<Amazonより抜粋>>

今回は前フリなく、所収されている2編の紹介をしたいと思います。

■A MASKED BALL
和訳すると「仮面舞踏会」ってことのようです。
なるほど男子トイレの個室の落書きで繰り広げられる、顔の見えない者どおしの会話。
その会話にある奇妙な事件の宣戦布告。そのとおりの事件が本当に起こり、上村吾郎は、犯人を貢げ出そうとします。
いわゆるヒロイン的立場で登場する宮下昌子という女性は、手に取るように分り易い”表裏のある”女性
分り易すぎるため、あまり感想もないのですが、実際にそばにいたら厄介ですよね。
で、そんなヒロインを助けるべく、若干の推理をして犯人をおびき寄せる上村なのですが、そこに犯人の真意があったりします。
多少のミステリ要素が加わっております。

■天帝妖狐
なかなか、漢字変換に手間取ったタイトルですが、これは、それなりに展開に工夫があります。
いわゆる怨念モノであり、超人ハルク的展開です。(超人ハルクそんなに知りませんけどね)
垂杏子に届く、夜木一太郎からの手紙から物語が始まります。
この物語のポイントは、立退きを迫られたアパートをどのように救うかってことと、垂早苗という謎の人物の正体と、裏切り者は誰かって事です。
こちらも、それなりにミステリ要素(というより謎解きそのもの)があります。

2作品とも、「おぉ」という感嘆がでるものではなかったのですが、それなりに雰囲気があります。
やっぱり文量の問題かもしれませんが、物語そのものが、深いところまでいかなかったのが残念といえば残念。
同じモチーフで、もうちょっと長い作品だったら、それなりに引き込まれるのではと思いました。

ということで、乙一初期2作品を読了いたしました。
次は何を読みましょうかね?
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月20日(火) 23時54分02秒

「平成マシンガンズ」 三並夏 2006-076

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】

前回の乙一氏が17歳なら、こちらは15歳。
文藝賞受賞作「平成マシンガンズ」を読了しました。

”この両親にこの娘あり”って感じでした。
う~ん、多感な頃なら共感できたんでしょうけどね・・・

amazonリンク

三並 夏
平成マシンガンズ
出版元
河出書房新社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
三並夏
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
あたしの夢には死神が降臨する ボロのジーンズに出刃包丁をもって夢に現れる男。あたしはそいつが差し出すマシンガンを撃っては、頭を撫でられていた。言葉という武器で世界と対峙する史上最年少15歳による第42回文藝賞受賞作。<<Amazonより抜粋>>


そこにあるのは、崩壊した家庭であったり、陰湿なイジメであったり、強くしぶとく生きるには、 ”世の中を斜に構えるしかね~っつぅ~の”風な作品です。

ま、本作は、決してこんなべらんめぇ口調の作品ではなく、文体そのものはすっかり出来上がっている感があります。
これは構成そのものが面白ければ、相当腕の立つ文体マジシャンですね。
句読点の使い方とか、微妙な言い回し。
リズミカルでないものの、どこかにテンポがありそうな文体。
なんとなく、舞城王太郎氏やら古川日出男氏やらのラインに似ておりますね。
将来が有望です。

ただ、いかんせん内容がいまいちでした。
「十代の苦悩とその対処方法」っていってしまえばそういうことなのでしょうが、やっぱりちゃんときっちりオチがついて然るべきかと思います。
苦悩に始まり、やや解き放たれた苦悩で終わる。
この微妙な差を「十代の感性」と呼んでしまうには、やや高尚過ぎます。
良くできた「雰囲気本」って感じです。

(いやいや、この微妙な感じがいいのよ)とか(現実は何も起こらんのよ)と思われる方も多いと思いますが、「だったら死神だすな」ってことです。

で、著者は15歳ってことで、新しい物語に期待します。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月19日(月) 21時25分36秒

「夏と花火と私の死体」 乙一 2006-075

テーマ:--乙一
乙一氏17歳の時の作品です。
で、デビュー作なんですかね?
Amazonリンクの表紙の方を、借り出しています。
それなりにおしゃれな表紙の文庫もあるようですので、無理やりこちらを手に取っていただく必要はありませんが、個人的にはこちらの挿絵が気に入りました。
ま、文庫版にも挿絵があったら、そりゃ文庫版だとは思いますけど・・・

amazonリンク

乙一, 幡地 英明
夏と花火と私の死体
出版元
集英社
初版刊行年月
1996/10
著者/編者
乙一
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:2点

あらすじ
九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?死体をどこへ隠せばいいのか?恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。<<Amazonより抜粋>>



やっぱりローティーン向けの物語って感じだったのですが、物語の構成が、相当うまいですね。
これを17歳で書いたってところに、驚愕したりします。

表題作と「優子」という中編が2編所収されています。

本帯には、”モダンホラー”などとありましたが、モダンホラーの定義も良くわかりませんので、これ以上は言及しません。
ですが、少なくとも、このホラーレベルってやつは、ローティーン向けですかね。

■「夏と花火と私の死体」
私の死体っていうくらいですから、冒頭に殺されてしまう五月(さつき)視線の一人称で物語りは進みます。
この死体の一人称というスタンスが、結構良いです
これって要するに三人称視点と同義なのですが、より物語に不可思議さを与えてくれます。
これは、村上氏の最新作である「アフターダーク」にある「私達(作者と読み手)」という三人称くらいに、衝撃的でしたね。
物語自体は、中編(というよりちょっと長めの短編)なので、深いところまでは言及せず、どうやってこの一人称の私の死体を弥生と健が隠すことができるかってところがメインです。
そうそう、「健」という少年は、どことなくGOTHにでてくる僕の印象に近いですね。
どうやらこの状況を楽しんでいる様子
でした。

従姉妹の「緑」への伏線は、やっぱり感がありましたが、それはそれで良いのです。

■「優子」
人形師を父に持つ、お手伝いの清音が見た作家政義の異常ってところなのですが、この物語はちゃんと意外性を持たせています。
この意外性ってのが、やや説明っぽいのが残念でしたが、静枝がらみの伏線の持ち方はバッチリでした。

そういえば、本書は文庫本化され、その際に、だいぶ見直されているようですね(未確定情報)。
少なくとも私がよんだ「ジャンプジェイブックス」の方ですのであしからずです。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年06月18日(日) 21時12分08秒

2006/06/18に借りた本

テーマ:読前感想
相当のスピードで読了してしまい、(これじゃ返却予定の一週間もたないぞ)と判明したので、急ぎ借り出してみました。
そうなると、結局未読のままだった「ロックンロール7部作」を再借り出しなんかしちゃった予約本1冊を含む6冊の借り出しです。

題名
白の家族
読了可能性
★★★★☆
出版元
角川書店
初版刊行年月
1992/03
著者/編者
栗田教行
読前感想
予約本です。前回借り出した「包帯クラブ」の天童氏が本名で発表したデビュー作のようです。かなり古い感じの単行本でした。楽しみです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10013880578.html

題名
ボーイズ・ビー
読了可能性
★★★★☆
出版元
小学館
初版刊行年月
2004/04
著者/編者
桂望実
読前感想
あの「県庁の星」の桂さんの作品です。ま、何となく借りてみたって感じです。本帯情報からの印象は、ジュブナイル系かもしれませんね。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10014188177.html

題名
それでも警官は笑う
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2002/06
著者/編者
日明恩
読前感想
タチモリメグミさんと呼ぶようです。メフィスト賞受賞作です。最近の受賞作品、ノベルズじゃないってことは薄々気がついていましたが、個人的にはノベルズが好きです。ま、内容とはまったく関係ないですけど・・
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10014130197.html

題名
MOMENT
読了可能性
★★★☆☆
出版元
集英社
初版刊行年月
2002/08
著者/編者
本多孝好
読前感想
真夜中の五分前とか、ALONETOGETHERの本多氏ですね。またまた冷めた感じの主人公なのでしょうか?楽しみです
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10013979025.html

題名
円環の孤独
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2006/02
著者/編者
佐飛通俊
読前感想
サビミチトシさんと呼ぶようです。久しぶりの講談社ノベルズです。正統派な本格推理小説のようです。たまにはいいじゃんってことで借り出してみました。
読後感想リンク


題名
ロックンロール7部作
読了可能性
★★★★☆
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
古川日出男
読前感想
前回の借り出しで未読だったので、すかさず借りてみました。読めなかったのは、純粋に借り出しが一週間だったためで、他意はありません。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10013979103.html

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
1 | 2 次ページ >> ▼ /

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。