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2006年02月28日(火) 23時59分59秒

2006年2月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』
淡々といったりしますね。

◆今月のアクセスランキング
総合ランキング:
10340位/908538人中(1.13%)前月からの比=0.2%
ジャンルランキング:
181位/6500人中(2.78%)前月からの比=0.37%

◆検索ワードTOP10
1 書評 5.6%
2 感想 4%
3 伊坂幸太郎 4%
4 砂漠 3.7%
5 陽気なギャングが世界を回す 2.1%
6 金城一紀 1.6%
7 さよならの代わりに 1.6%
8 螢 1.6%
9 伊坂 1.6%
10 麻耶雄嵩 1.4%

意外に麻耶氏とその作品「蛍」がベスト10入り。上位は相変わらず伊坂氏シリーズでございます。ちなみに7位の「さよならの代わりに」は、貫井氏のこちら です。

◆2006年2月のランキング
ということで、2006年2月のランキング。
最近、月末かけこみの作品が多く、しかも上位を獲得している傾向があります。
「名作は月末に読まれる」という定石が生まれたのか否か?



第1位;「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男
;エンターテイメント小説;2006年02月28日(火) 22時09分29秒
古川 日出男
ベルカ、吠えないのか?
きちゃいました。前月同様、月末の読了で堂々1位。小説内には象徴として「地球儀」が出てきますが、まさに本書そのものも「地球儀」のような視点でイヌの系譜を追い続けています。圧倒的でした。

第2位;「殺人の門」 東野圭吾
;エンターテイメント小説;2006年02月23日(木) 00時31分13秒

東野 圭吾
殺人の門
決して途切れることのない関係性。しつこいくらいの仕打ちに一体いつになったら門をくぐるのか?と思ったほど。じりじりと責められる人生って感じでした。


第3位;「ウランバーナの森」 奥田英朗
;エンターテイメント小説;2006年02月10日(金) 22時29分52秒

奥田 英朗
ウランバーナの森
実は、採点では5位/月だったのですが、全体の印象・読後の爽快感から3位にランクアップです。
正しい意味で「爽快感」を味わえる本作です。

第4位;「空の中」 有川浩
;エンターテイメント小説;2006年02月18日(土) 01時03分15秒

第5位;「さよならバースディ」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2006年02月06日(月) 01時19分28秒

第6位;「そして扉が閉ざされた」 岡嶋二人
;推理小説;2006年02月04日(土) 01時20分53秒

第7位;「デットエンドの思い出」 よしもとばなな
;エンターテイメント小説;2006年02月13日(月) 21時53分09秒

第8位;「真夜中のマーチ」 奥田英朗
;エンターテイメント小説;2006年02月19日(日) 09時29分47秒

第9位;「HELP!」 久美沙織
;エンターテイメント小説;2006年02月27日(月) 23時52分29秒

第10位;「世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ」 西崎憲
;ファンタジー小説;2006年02月21日(火) 22時05分46秒

第11位;「長い長い殺人」 宮部みゆき
;推理小説;2006年02月03日(金) 22時18分24秒
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2006年02月28日(火) 22時09分29秒

「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男 2006-025

テーマ:--古川日出男
これは凄い!!
やっぱり「本屋大賞」ノミネート作品は違いますね。
帯にもあるとおり、『四頭のイヌから始まる、「戦争の世紀」。』
人間に翻弄される犬の姿を全世界的、はたまた宇宙的な視点でリアルに描いた大作です。

「ストーリー性」と、(もちろん)「装丁」は満点です。

amazonリンク
古川 日出男
ベルカ、吠えないのか?
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/04
著者/編者
古川日出男
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:5点

あらすじ
一九四三年、北洋・アリューシャン列島。アッツ島の玉砕をうけた日本軍はキスカ島からの全面撤退を敢行、無人の島には四頭の軍用犬「北」「正勇」「勝」「エクスプロージョン」が残された。自分たちは捨てられたーその事実を理解するイヌたち。その後島には米軍が上陸、自爆した「勝」以外の三頭は保護される。やがて三頭が島を離れる日がきてーそれは大いなる「イヌによる現代史」の始まりだった!<<本帯より抜粋>>


本書の章構造は、「大主教」と呼ばれる老人からはじまる、現代のマフィア抗争の話と、1940年台の大きな戦争から始まるイヌの系譜の話の2つの物語が交互に差し込まれる形になっています。
前者の物語は、いわゆる謎多き「大主教」が、これまた謎の行動をとり続け、その行動は過去の「とある」出来事から起因していることは容易に理解できます。
それでもってイヌの系譜の物語は、その老人の「とある」出来事を解き明かすがために存在しているのだろうと想像し、読み続けます。

でも、違うんです。

「イヌよ、お前たちはどこにいる?」で始まる後者の物語は、イヌの系譜をリアルに追い続け、圧倒的にダイナミックに展開するのです。
現代の「大主教」の物語に収束するどころか、それが結論の何万分の一でしかないほどに、広がっていってしまうのです。

ここで初めてこの物語の凄さを知ります。

そう、この物語は、あくまでも人間の戦争というシチュエーションにあてはまってしまったイヌ達の不運のクロニクルを表現しつつ、それら出来事は、イヌの世界から見れば「ただの一つの結論」でしかないという逆転の構造をもっているのです。

冷たい文体で登場するイヌに語りかけるような系譜の物語は、”イヌ好きな神(第3者的)”の視点で語られ、淡々と物語を紡いでいきます。
ただそこにはイヌの名前が明示され、そのイヌの生きること・死ぬことを、目前にした圧倒的な文体があります。
一方、「大主教」の物語は、”ただの神(第3者的)”の視点で語られ、同じく淡々と物語は進行しますが、登場人物のすべてが代名詞で、出来事をなぞるように語られます。
この差別化。
”名称と記号”の違いが、著者の狙い通りの効果を得られているようにも思いました。

とにかく読んで損はないです。
愚かな人間の業をイヌが嘲笑しているような感じを受け、ある意味で反省だってできちゃう作品でした。

深い。深すぎます。

ちなみにお気に入りのイヌは「犬神(アヌビス)」ですね。

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2006年02月27日(月) 23時52分29秒

「HELP!」 久美沙織 2006-024

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】
牛ちゃんの装丁が可愛い久美沙織氏の「HELP!」です
この装丁の通り、架空の村である下九一色村を舞台にした、牧場主と搾乳ヘルパーたちによるドタバタ物語です。
amazonリンク

久美 沙織
HELP!
出版元
光文社
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
久美沙織
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ

のどかな殺人計画、狂牛病騒ぎとドメスティックテロリスト、謎の白骨死体と巨乳、そして徳川埋蔵金の秘密!?のどかなはずの村を次々に襲う、トラブルの数々。搾乳ヘルパー砂子田寛(26)と下九一色村の愉快な人(牛)たち<<amazonより抜粋>>



冒頭に、なにやらキナクサイ殺人計画の話からはじまりますが、良い意味で裏切られます。
安穏とした村の素朴な人達のちょっとドタバタな物語が4編。

この物語の全体の雰囲気は、ちょっと昔の(最近のシリアス路線ではない、牧歌的な)TBSの東芝日曜劇場のようです。

主人公となる搾乳ヘルパーの砂子田寛のキャラクターは、一言でいうと”良い人”。
で、良い人だけにそれぞれの物語のメインストリーム(要するにドタバタ)に対しては、さほど関与しません。
狂言役といえばそれまでなのですが、この主人公の位置そのものが、読み手の同じ位置だったりするので、心地よかったりします。

で、4編のうち、個人的にオススメだったのが、「I'm feeling down」。
この話は、車がスタックしてしまった都会のいきがる若者達とアオメキバタンインコの物語。
これだけでは何のことやら分らないと思いますが、要するにそれら登場人物+素朴な人々によるドタバタ劇なわけです。
が、ここでも、本編の中でサブ中のサブキャラなのが、我らが主人公砂子田寛。
この辺りのスタンスで、このドタバタを俯瞰できていたら人生楽なんだろうな~と思うわけです。

軽~い作品なのですが、一方でBSE問題とか、搾乳の仕組み(ミルキングシステム)とか、そもそも「搾乳ヘルパー」という職業があることととか、それなりに薀蓄もあったりするので、大人の皆様にも楽しめる作品になっております。

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2006年02月26日(日) 07時22分59秒

2006/02/25に借りた本

テーマ:読前感想
ちょっとずつ暖かくなっておりますね。
大抵の方が悩まれる「花粉症」に無縁な私ですが、人によってはもうキテイルらしいです。
まさに「花粉探知機」並な高性能です。
ご自愛ください。

ということで、本屋大賞ノミネート作品を含む7冊の借り出しでございます。

題名
ベルカ、吠えないのか?
読了可能性
★★★★★
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/04
著者/編者
古川日出男
読前感想
予約本。意外に早く借り出せました。2005年の本屋大賞ノミネート作品です。なんといっても装丁が抜群ですね。勝手に想像していた私がいけないのですが、思っているより薄い本です。内容はコッテリしてそうですが・・・・
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009571135.html

題名
終戦のローレライ【上】
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2002/12
著者/編者
福井晴敏
読前感想
これも予約本。この間、「ローレライ」をDVDで見たので、原作ってのはどんなもんかということで借りてみました。映画化されたものって原作を先に読むか後に読むかでだいぶ印象違いますよね。個人的にはどちらも二度おいしい的感覚があって好きです。
読後感想リンク


題名
GOTH 夜の章
読了可能性
★★★★☆
出版元
角川文庫
初版刊行年月
2002/07
著者/編者
乙一
読前感想
予約本。ついに登場「乙一」の、代表作の「GOTH」。文庫化されたっていうが分っていて、短編も収録されているってことで、借りてみました。とっても薄いです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009664526.html

題名
海の底
読了可能性
★★★☆☆
出版元
角川書店
初版刊行年月
2005/06
著者/編者
有川浩
読前感想
前回に借り出した「空の中」に続く、有川氏の作品。その名も「海の底」。「空の中」と同様に怪獣小説のようです。血が騒ぎますね。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009858635.html

題名
逆さに咲いた薔薇
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2004/09
著者/編者
氷川透
読前感想
何となく借りてみたシリーズ。今の格好よい装丁までの過渡期にあったカッパノベルズの作品。久しぶりのメフィスト賞受賞者作品です。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009706328.html

題名
火の粉
読了可能性
★★★☆☆
出版元
幻冬舎文庫
初版刊行年月
2003/02
著者/編者
雫井修介
読前感想
これは最新本コーナーにありました。とはいえ初版刊行は2003/02。なんでそれが最新刊なのかというと、文庫化されたのが2004/12だからです。・・・あれ、1年以上まですね。どうしてなんでしょう?
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009932691.html

題名
HELP!
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
久美沙織
読前感想
実は読み終わっています。返却ぎりぎりまで読んでいたので、「読後感想用」に連続借用してみました。装丁の「牛ちゃん」もお気に入りです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009477464.html

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2006年02月23日(木) 00時31分13秒

「殺人の門」 東野圭吾 2006-023

テーマ:★読後感想:作家別【な・は行】
この書評を立ち上げてから1年経過しましたが、いわゆる一般的にベストセラー作家さん達の作品をあまりにも読んでいないことに気がつきました。
伊坂幸太郎氏を除けば、よしもとばななさんも宮部みゆきさんもこちらの東野圭吾さんも広く一般的に著名な作家さんなわけですが、当書評の初登場がこの2月に集中しております。
・・・何故なんでしょうね?本人すら、分りません。

で、この殺人の門ですが、さすが巨匠って感じですね。

amazonリンク
東野 圭吾
殺人の門
出版元
角川書店
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
東野圭吾
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
あいつを殺したい。でも、殺せないのはなぜだ。どうしても殺したい男がいる。その男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。あいつを殺したい。でも、私には殺すことができない。殺人者になるために、私にはいったい何が欠けているのだろうか……。<<Amazonより抜粋>>


東野氏愛好家の方々にはあまり評判がよろしくないようです
ですが、ほぼお初にお目にかかっている私にとっては、とても重厚でとても印象的な作品でした。
読書中は歌野氏の「世界の終わり、あるいは始まり 」に近い感じを受けました。
内容はまったく違いますけど、砂を噛みつづける様な、そんな感じ。

で、間違いなく「倉持修」は、助演男優賞候補ですし、主人公の「田島和幸」もある意味では主演男優賞候補次点です。(ここでのポイントは「次点」ですけどね)


少年時代から大人になるまで、永遠と続くような「倉持修」からの不幸に対する「田島和幸」の態度は、とにかくイライラしますし、「さっさと殺人の門を越えてしまえ」と非道徳的な応援をしたくなります。
お人好しというよりは、騙されやすいというか、信じやすいというか、ある意味で楽観的というか・・・
とにかく、「田島和幸」は、「倉持修」が仕掛けた”不幸の道”に自ら進んでいってしまうわけです。
で、進んでおいて、あげくに「殺してやる~」と息巻いた後、倉持の巧みな話術でかわされて、そのタイミングを見失うといったことが繰り返されるわけですから、読み手としては、他人事ではありながら、腹が立って仕方がないと言うこととなるのです。

また、この「倉持修」も、だいぶしつこい。
しつこいくせにやることが小さい。
彼は彼なりの理由なりポリシーがあって(この辺りはラストで明らかにはなります)「田島和幸」が幸せにならないように様々なトラップを仕掛けるのですが、この理由そのものが、あまりにも稚拙で、トラップ自体も比較的分りやすかったりします(陰湿ですけどね)。
また、執念深さも、自らを犠牲にしてまでって程でもなく、息をするのと同等なレベルで極めて普通にトラップを仕掛けるので、まったくもって共感がもてません。
読み進めていくほどに、また読み終わっても、「圧倒的な悪役」なわけです。

この「田島和幸」と「倉持修」は、とっても分りやすく言えば「トム&ジェリー」なわけです。
この「トム&ジェリー」を人間に置き換えて、不幸さをリアルな描写にしたのが「殺人の門」なのです。

・・・

今までの感想だと、あまりにも否定的表現が多いのですが、これはこれで面白かったのです。
身につまされるほどの数々の不幸の描写は、著者の技巧によるものですし、読了後は、印象が強く残ったので、アリと言えばアリ。

人は、どんな時に人を殺せるのか?というタイトル通りのテーマに対する本書の答えは、「人は、どんな時にも人は殺せる」であり、裏返せば「人は、どんな時にも人は殺せない」という、極めて哲学的だったりするのもなるほどな~と唸らせるものでした。

読み終わって「楽しかったな~」という感想以外の何かを感じたい方は、是非お読みください。
個人差はあれど、間違いなく「な~んか」残ります。
ま、ちゃんと読了しないとあれなので、イライラしながらも根気良く読んでいただくのが前提ではありますが、是非。

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2006年02月21日(火) 22時05分46秒

「世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ」 西崎憲 2006-022

テーマ:★読後感想:作家別【な・は行】
数ある賞レースでも個人的に期待している賞のひとつである「日本ファンタジーノベル大賞」(ちなみにもう2つは「メフィスト賞」と「本屋大賞」)。
その14回大賞受賞作である「世界の果ての庭」でございます。
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西崎 憲
世界の果ての庭―ショート・ストーリーズ
出版元
新潮社
初版刊行年月
2002/10
著者/編者
西崎憲
総評
18点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:2点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
イギリスの庭園と江戸の辻斬りと脱走兵と若くなる病気にかかった母と大人の恋と謎の言葉…。前代未聞の仕掛けに、選考委員の椎名誠氏は「ハメラレタ」と、小谷真理氏は「アヴァンポップでお洒落な現代小説の誕生」と絶讃。幻想怪奇小説の翻訳・紹介で知られる著者の満を持しての創作デビュー!第14回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。


55編にもなる短編から構成されるサブタイトルの通りの作品ですが、大きく分けるといくつかの中編となります。


●駆け落ちして5年後、若くなる病気になって帰ってきたリコの母の話。
●ビルマで死んだといわれているリコの祖父がたどり着いた、奇妙な話。
●緑童が書いた「辻斬り」という作中作。
●リコが研究していたイギリス庭園の話。
●スマイスが研究している江戸時代の国学者、富士谷御杖の話。
●そしてスマイスとリコの現在の物語。

それぞれが独立した物語でありながらも、無作為に場面展開を繰り返すことで、一つの大きな流れが見えてきそうな雰囲気を持っています。
それほど厚くない本でありながらも、55編もあるわけですから、1編はそりゃ短い。
で、この著者の特徴なのかも知れませんが、随所に詩的表現を用いていたりするもので、芸術性も高そうな雰囲気。
この「”大きな流れ”風」と「”詩的”風」が綯い交ぜになって、全体としてちゃんとしたポリシーが見たりするのだから不思議です。

たまたま1編目が、スマイスとリコの話からはじまるし、その他の話も、基本的にはこのスマイス&リコの物語からの派生のようなので、あたかもこの話が、本書の定点であると理解しますが、読み続けて、先ほどの不思議感を感じて以降は、この物語自体が、構成上の挿話である可能性(いわゆるメタ)もあろうと疑ってかかるわけです。(あくまでも可能性なのですがね)

とにかく不思議な作品であり、全体を一貫したテーマも(また、それが存在しているか否かも)基本的に読者に委ねているわけで、学者的分析でもしない限り、そう簡単には、本書は読み解けません。

ただただ、「こういう本も「ファンタジー」なのだよな~」と日本語の懐の深さをうかがい知ったのでした。

めでたしめでたし。

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2006年02月19日(日) 09時29分47秒

「真夜中のマーチ」 奥田英朗 2006-021

テーマ:--奥田英朗
奥田英朗氏、書評3冊目。
最悪 」には重厚感があって、「ウランバーナの森 」には、癒しがありました。
さて、この「真夜中のマーチ」はどうでしょう?

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奥田 英朗
真夜中のマーチ
出版元
集英社
初版刊行年月
2003/10
著者/編者
奥田英朗
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:2点

あらすじ
青年実業家気取りのパーティー屋ヨコケン。むっつりすけべの一流商社マン、ミタゾウ。高飛車で強がりのモデル、クロチェ。ひょんなことから10億円強奪の計画に乗ることになった3人だが……。

ヨコケン・ミタゾウ・クロチェ。
それぞれのキャラクターは、それぞれに個性的でしたが、この手のスラップスティックには、もうちょっと際どさがあっても良かったような気がします。

この手の作品といえば「トカジ本」で有名な戸梶圭太氏がお気に入りなのですが、トカジ本に比べると「良心的」な作品に見えてしまうんですね。

ストーリそのものは非常に優れていますし、チャイナマフィアやら詐欺師やら、暴力団やらがデットヒートを繰り広げるラスト前からは、いやでも”ぐいぐい”行きます。
まさにスラップスティック(ドタバタコメディー)なわけですが、著者の良心が邪魔をして、ちょっと人間性みたいなものが出てきちゃうのですね。

個人的には、この手のエンターテイメントは徹底的(ある意味で非人道的に)に「ばばばばばば!!」っと行って欲しかったりするので、それぞれの登場シーンが異端的・特徴的だったからこそ、惜しかったと思ってしまいます。

ただ、ミタゾウのダメっぷりに相反する、「記憶力の良さ」や「アイデアの良さ」は、学歴社会を勝ち抜く術そのものだったりして、そういった意味では風刺があったりするわけです。

全体的には非常に軽い物語ですので、かる~く読んでもらいたい作品です。
この手のドタバタで「ばばばばばば!!」っと行きたい場合は、やや癖はありますが、トカジ本をオススメします。
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2006年02月18日(土) 01時03分15秒

「空の中」 有川浩 2006-020

テーマ:--有川浩
まったくもって前提知識のないまま、言うなれば、下にある装丁で借りてみた有川氏の「空の中」。
「空の中」っていうタイトルのシンプルさと「空の中」って感じの装丁だけで、読みたくなったというわけです。
で、結果オーライ。
これは「怪獣小説」という、新しいジャンルとして読んでしまいました。
映像化はいろいろとあって難しそうですが、どこか懐かしい特撮ものの匂いがプンプンでございます。

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有川 浩
空の中
出版元
角川書店
初版刊行年月
2004/11
著者/編者
有川浩
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
200X年、二度の航空機事故が人類を眠れる秘密と接触させた。変な生き物ゆうたわね?そやね?」―秘密を拾った子供たち。「お前を事故空域に連れて行く。話は現場を見てからだ」―秘密を探す大人たち。秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か。


意外に分厚い本書ですが、ちょうど真ん中あたりで話が2つに分れます。
なんだか商業的には前編・後編ってしてもよかったような気がしますが、元々図書館で借り出す私にはあまり関係ありません。

高度2万メートル上空に存在していた巨大な白い楕円形(それは、後に人から【白鯨】と呼ばれるようになりま)のもの。

物語の前半は、この【白鯨】と人類との邂逅があり、その邂逅で父親を亡くしてしまった高知に住む斉木少年が、その【白鯨】から剥離したもの(後に「フェイク」と呼ばれます)と、友情を築いたりして、最終的にはこのフェイクが、斉木少年の願いをかなえるために人類を滅ぼそうとする【白鯨】と戦うってところまでです。

で、物語の後半は、この斉木少年の父の部下であった武田光稀と民間人の春名高巳が、この【白鯨】と和解するためのプロセスが描かれ、同時にこの【白鯨】被害者の会である「セーブ・ザ・セーフ」という団体(代表は【白鯨】最初の犠牲者の娘である白川真帆)と戦ってみたりしてラストに向かいます。

う~ん、なかなか難しいですね。
要約すると「得体の知れない空中の巨大生物【白鯨】に翻弄されつづける人間の物語」ってことなんですけど、この【白鯨】自体が、極めて友好的で平和的、かつ物凄く頭が良いってのが、普段の怪獣ものと大きく違います。

極めて友好的で平和的な【白鯨】。一方、何かと過ちばかり繰り返す【人類】。
間接的にもこのような構図とすることで、著者の何かしらの意図が見えてきます。
前半ラストの”人類を滅ぼそうとする【白鯨】”ってのも、ちゃんとした理由があってのことですしね。

それから、後半のキーパーソンである「セーブ・ザ・セーフ」という団体の白川真帆は、際立ったキャラクターでした。
「フェイク」を自由に操ることができる斉木少年を団体に招聘し、【白鯨】を殲滅しようと企てますが、その本意なるものが、あまりにも稚拙であり、振る舞いを含めてあまりにも「嫌われキャラ」なのですが、個人的には、あらゆるエンターテイメント世界には一人はいたほうが良い、「理想的な憎まれ役」だったわけです。

物語構成も、展開も、昔懐かしい「特撮もの」雰囲気があって良かったのですが、唯一、残念だったのは、和解を推し進める武田光稀と春名高巳の歯の浮くような会話。
設定上、大人の部類に入りはしますが、会話そのものは非常に子供っぽいものでした。
ま、「ライトノベル」とも紹介される本書には、必要なエッセンスだったのかもしれませんが、ストーリが面白かったので、興ざめしてしまったのも事実です。
映画「ゴジラ」に無理やり人気絶頂アイドルを起用してしまったくらいの「狙い」と言う感じですね。

惜しい・・・

****************

蛇足ですが文中でよく使用されていた「全き一つ」の読みが、「まったきひとつ」と読むことを、さっきインターネットで知りました。・・・いやいや勉強になりますね。

MSN辞書より)
まったき 【全き】

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2006年02月13日(月) 21時53分09秒

「デットエンドの思い出」 よしもとばなな 2006-019

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
ま、この書評ではお初にお目にかかり本のよしもとばなな氏です。
なんか女性のための小説っていうか、感情のひだっていうか、そんな”くすぐり”を得意とするばなな氏の5編の中短編を集めた「デットエンドの思い出」でございます。

こういうのも読むってことです。
amazonリンク
よしもと ばなな
デッドエンドの思い出
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2003/07
著者/編者
よしもとばなな
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
人の心の中にはどれだけの宝が眠っているのだろうか――。時が流れても忘れ得ぬ、かけがえのない一瞬を鮮やかに描いた傑作短篇集。<<Amazonより抜粋>>


さっくと読んじゃいました。
本を開けて、途中昼ごはんを食べて、トリノオリンピックを見ようと思った瞬間までで読み終わりました。
推定1時間半くらいでしょうかね。

個人的に気に入ったのは1作目の「幽霊の家」です。
(若いっていいよね~。)

(若い頃のちょっと苦い経験っていいよね~。)

やけに老け込んだ風なコメントをしちゃいます。

著者の作品は、基本的に女性の視点からの一人称が多いので、女性ファンが多いのも納得しちゃいます。
ちなみに、こんな男性(「幽霊の家」で言うところの”岩倉くん”)ってのが女性の心を癒すんだろうねなんて穿った気持ちで読めるのもなんだかお得な感じです。

ところで、本帯には「これが書けたので小説家になってよかったと思いました」と本人のコメントが載っておりましたが、こういう気持ち(良かったという気持ち)で物語が書ける(≒仕事ができる)ってこと自体が、羨ましく思ったりもしました。
小説家としてのこのコメントを、それぞれの(私を含む)人々に読み替えると、どんなコメントになるでしょうね?。
そういうコメントを、人生のどこかのタイミングで言ってみたいと思いました。

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2006年02月12日(日) 20時41分19秒

2006/02/11に借りた本

テーマ:読前感想

先週あたりから、読書できてなんですよね。
この表現は、決してあってはいませんが、スランプです。
ま、いろいろあって時間がなくて、”もうもう(怒)”って感じなのです。
ですがなんと8冊。意気込みだけは張り切っております。
今週は読むぞ~

題名
デッドエンドの思い出
読了可能性
★★★☆☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2003/07
著者/編者
よしもとばなな
読前感想
予約本。どうして予約をしたのかは、さっぱり忘れております。随分久しぶりのよしもとばばな氏の作品。ま、多くを語ることはいらないでしょう。こういったのも読みますといった感じです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009023924.html

題名
殺人の門
読了可能性
★★★☆☆
出版元
角川書店
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
東野圭吾
読前感想
国内三冠にして直木賞受賞作の「容疑者Xの献身」の東野氏です。オススメ本コーナーにありましたので、借りてみました。特に本帯もないので、事前知識はまったくありませんが、ま、タイトルから察するにミステリーかサスペンスかホラーか何かだと思います。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009373669.html

題名
空の中
読了可能性
★★★★☆
出版元
角川書店
初版刊行年月
2004/11
著者/編者
有川浩
読前感想
こちらもオススメ本コーナーにありました。こちらは本帯に恩田陸さんのコメントがあり、何故か橋本大二郎高知県知事のコメントもありました。”第10回電撃小説大賞受賞者である有川氏の待望の第2作”ということです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009106510.html

題名
真夜中のマーチ
読了可能性
★★★★☆
出版元
集英社
初版刊行年月
2003/10
著者/編者
奥田英朗
読前感想
前回借り出した「ウランバーナの森 」で、ややブームの兆しもある奥田氏の、比較的ドタバタ系らしい感じの本です。エンターテイメントってことですね。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009206193.html

題名
世界の果ての庭 ショート・ストーリズ
読了可能性
★★★☆☆
出版元
新潮社
初版刊行年月
2002/10
著者/編者
西崎憲
読前感想
第14回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。予約していたと思っていたらしておらず、書棚に普通にありましたので、借りてみました。”奇想天外で悪辣で美しい物語”なのだそうです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10009247299.html

題名
HELP!
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
久美沙織
読前感想
これもふいに借りてみました。牛の写真が表紙にバーンとあったので、そのインパクトで借りたということです。
読後感想リンク


題名
稀覯人の不思議
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2005/04
著者/編者
二階堂黎人
読前感想
講談社ノベルズかカッパノベルズのどちらかを借りたいと思い、借り出して見ました。
読後感想リンク


題名
るるぶ愛知2005
読了可能性
★★☆☆☆
出版元
JTB
初版刊行年月
2005/04
著者/編者
JTB
読前感想
パラパラ本。今度休みがとれたら愛知に行ってみようと思い立ち、借りてみました。味噌カツとひつまぶしと手羽先ときしめんが食べれれば良いと思っています。ところで、いつになったらお休みとれますかね?
読後感想リンク


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