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2006年01月31日(火) 23時59分59秒

2006年1月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』

2006年最初の月刊『後感』でございます。
というくらいで、早速本文。

◆今月のアクセスランキング
総合ランキング:
7710位/824163人中(0.93%)前月からの比=-0.14%
ジャンルランキング:
145位/6016人中(2.41%)前月からの比=-0.04%

ぼちぼちでございますね。

◆検索ワードTOP10
1 伊坂幸太郎 5.2%
2 砂漠 4.6%
3 書評 4.4%
4 感想 3.4%
5 乾くるみ 2.1%
6 一週間のしごと 1.8%
7 山田悠介 1.5%
8 西尾維新 1.5%
9 金城一紀 1.2%
10 ネコソギラジカル 1.2%


最新刊「砂漠」効果もあってか、やっぱり”伊坂幸太郎”そして、”砂漠”の1・2フィニッシュです。
前月もそうでしたが、やはり人気作家さんの名前が多い中、6位に入り、健闘したのは、ミステリーフロンティアレーベルの最新刊である「一週間のしごと」。
実は作者の永嶋恵美さんも、15位に入っておりました。


ということで、なんだか忙しかった割には、前半の年始休暇と月末の追い込みでなんと14冊。
幸先の良い2006年でございます。

第1位;「明日の記憶」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2006年01月31日(火) 21時18分46秒

荻原 浩
明日の記憶


1月最終日に記事が更新されて、他の作品を追い抜き1位でございます。
とにかく感動的な作品であり、身につまされる作品でございました。
きっと6月公開の映画もそれなりに話題になったりするんでしょうね。

第2位;「新本格魔法少女りすか2」 西尾維新
;エンターテイメント小説;2006年01月25日(水) 00時19分03秒

西尾 維新
新本格魔法少女 りすか2


この作品を2位としちゃうこの心意気を買って頂きたい!!。
ということで、新本格魔法少女りすか2が堂々2位でございました。
若い頃(しかも比喩的でもなく少年時代)の連載漫画の続きを知りたい”うきうき感”を思い出しました。

第3位;「ぶらんでぃっしゅ?」 清涼院流水
;エンターテイメント小説;2006年01月13日(金) 20時24分29秒

清涼院 流水
ぶらんでぃっしゅ?

清涼院氏の作品を読んでいる方にとっては相当の完成度でした。
ということで、このランキングは極めて個人的なものなので、これが3位です。
思い切り「大量消費」的作品でありますが、かえってその辺りが潔く感じます。

第4位;「山ん中の獅見朋成雄」 舞城王太郎
;エンターテイメント小説;2006年01月28日(土) 02時15分08秒

第5位;「天の前庭」 ほしおさなえ
;推理小説;2006年01月14日(土) 00時51分44秒

第6位;「エソラ VOL.2 2005.7」
;雑誌;2006年01月06日(金) 23時01分06秒

第7位;「τになるまで待って」 森博嗣
;推理小説;2006年01月10日(火) 17時08分45秒

第8位;「東京ライオット」 戸梶圭太
;エンターテイメント小説;2006年01月05日(木) 19時34分41秒

第9位;邪馬台国はどこですか? 鯨統一郎
;エンターテイメント小説;2006年01月30日(月) 21時12分00秒

第10位;「ニンギョウがニンギョウ」 西尾維新
;エンターテイメント小説;2006年01月23日(月) 20時04分43秒

第11位;「夫婦茶碗」 町田康
;エンターテイメント小説;2006年01月20日(金) 00時35分32秒

第12位;「パーク・ライフ」 吉田修一
;エンターテイメント小説;2006年01月21日(土) 08時31分14秒

第13位;「最後の息子」 吉田修一
;エンターテイメント小説;2006年01月04日(水) 17時09分36秒

第14位;「沢蟹まけると意志の力」 佐藤哲也
;エンターテイメント小説;2006年01月07日(土) 03時06分39秒

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2006年01月31日(火) 21時18分46秒

「明日の記憶」 荻原浩 2006-014

テーマ:--荻原浩
いや~やられました。
昨年の秋から追い続けている待望の荻原本。
しかも話題の「明日の記憶」で、書評2回目の男泣きです。
ちなみに映画化 もされるようですね。

土曜日夜中の1時半から読み始めて、止まらず、朝方までで一気通読。
本当に土曜でよかったです。
そして本の内容は土曜日の夜中に一人で読むには、大変つらく、どこまでも切なく、そして感動的過ぎる作品でした。
そういった意味でも本当に土曜でよかったのです。

こんなの電車の中で読んでいたら大変なこととなっていましたね。
amazonリンク
荻原 浩
明日の記憶
出版元
光文社
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
荻原浩
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
知っているはずの言葉がとっさに出てこない。物忘れ、頭痛、不眠、目眩――告げられた病名は若年性アルツハイマー。どんなにメモでポケットを膨らませても確実に失われていく記憶。そして悲しくもほのかな光が見える感動の結末。<<Amazonより抜粋>>


広告業に勤める佐伯が、物忘れが激しくなってきたことに気がつき、ふとしたことから医者に見てもらうと「若年性アルツハイマー」だったという「展開」とか、宣告後に、自暴自棄に陥り、夜中に一人起きて酒とタバコで気を紛らわす「弱さ」とか、この佐伯には、まもなく結婚する娘と会社があって、その双方に気がつかれないようにする佐伯自身の「努力」とか・・・とにかく身につまされる瞬間がたくさんありました。
決して私自身が同じ境遇ではないのですが、明日同じことが自分の身に起きたら、きっと同じ振る舞いをしてしまうのだろうと、身につまされたのです。

佐伯自身がその症状を自覚をするころから日記をつけ始めます。
その日記が、症状が悪化しようとも、基本的に理路整然としてる佐伯自身の一人称の物語の間に挟みこまれるように登場します。
やはりそこには、目を背けたくなるような病気の進行がはっきりと表現されています。
例えば、書けたはずの難しい漢字が「かな」になっていったり、同じ文章(以前に書いたことを忘れてしまい、もう一度書いてしまう)が、しばらくするとまた繰り返されるところなど、物凄くリアルに感じ入ってしまい、この演出は、ある意味残酷だなと思いました。

そして、病状が進行していくなか、徐々に自分自身を見失いかける佐伯を救っているのは、家族の存在だったのだと思います。娘の結婚式までは気丈に振舞う佐伯自身の姿にも感動しますが、特に妻・枝実子の佐伯に見せる献身ぶりには要所要所でうるうるしちゃいました。(これは、最優秀助演女優賞候補ですね)
久しぶりに鼻がツーンとしちゃいました。
例えば、アルツハイマーは、人体にアルミニウムが摂取されることが原因であること知ると、その進行を抑えるべく、アルミ製の鍋や容器をすべて捨て新しいものに買い換えたりします。
特に「心配している」ということを前面に出すのではなく、佐伯の不安を増長させまいとする、そしてプライドを傷つけないようにする献身ぶりを見せてくれます。こういうのダメなんですよね~
ま、これこそ夫婦のあるべき姿ではありますが、一方で刻一刻と記憶が消失していくという事実と向き合っていかなければならない夫婦の姿にも、圧倒的な悲しみがついて回るわけです。

ラストは、学生自体に友人と行った『とある場所』で、独白調に語られる『記憶を失っていくことも悪くない』というある種の悟り。そして、その悟りの後に訪れる、悲しみさえも包み込むような圧倒的な感動。
佐伯が苦しんで苦しんで苦しみぬいて得た何かと引き換えに訪れるこのラストで、これまた男泣きでした。
(ここで終わらすか~)と思う方はいらっしゃるかと思いますが、私にとっては100点満点のラストでした。

・・・

以前、この書評にて「荻原氏は毎回進化している」といった風の生意気なコメントをした記憶がありますが、本書も漏らさず、ユーモアだけではない著者の進化がはっきりと感じとれました。
特に物語の演出・進行は、荻原氏の技量の高さを感じ入り、大いに感服
してしまいました。

例えば、このような病気に罹ったことによるいくつかのエピソードが秀逸で、人間関係の脆さを表している「会社に病気がばれるエピソード」や、「陶器の先生とのエピソード」。また、国立にある施設に自分が罹患者であることを伏せて「見学に行くといったエピソード」など、本当にノンフィクションのような肌触りのするエピソードばかりで、この辺りは荻原氏の技量の高さを証明しています
こういった作家さんの作品を多少順不同になりながらも、刊行順に読めたことに、なんだかうれしくなってきます。

そうそう、この作品は、本屋大賞 2位の作品なのだそうです。
ふむふむ、これで私の「信用のおける賞」の3つ目が現れたということですね。(ちなみにもう2つは、「メフィスト賞」と「日本ファンタジーノベル大賞」です)

★本書をお勧めするその他のアメブロさん
TOY BOX ~おもちゃ箱の中身は?~さんとこの記事
果実相兼さんとこの記事
某図書館長の独り言さんとこの記事
SLOW-READER'S LIFEさんとこの記事

★本書をお勧めするアメブロ以外のブログさん
In one's Roomさんとこの記事
ブログってどんなモン?さんとこの記事
ROUTE 999さんとこの記事
本っていいよねさんとこの記事

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2006年01月30日(月) 21時12分00秒

邪馬台国はどこですか? 鯨統一郎 2006-0013

テーマ:--鯨統一郎
鯨氏のデビュー作にして代表作である「邪馬台国はどこですか?」を読了しました。

読みやすい歴史小説が結構好きな私。
実はそこにミステリー要素があったりすると震えてしまう私。
そんな私にはぴったりの作品です。

私を「貴方」に読み替えて、同意いただけて、かつ未読の方は、是非本書を読んでみてください。
それぞれの説にいろいろと驚かされますよ。(ということで、やや反則気味ですが『採点の詳細』にある『意外性』が5点ということです。)
amazonリンク
鯨 統一郎
邪馬台国はどこですか?

出版元
創元推理文庫
初版刊行年月
1998/05
著者/編者
鯨統一郎
総評
18点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:2点 
意外性:5点 
装丁:2点

あらすじ
カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった…。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活―を俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外な作品集。<<Amazonより抜粋>>



鯨氏の書評登場回数はこれまでで3回。
「ミステリアス学園」
「九つの殺人メルヘン」
MORNING GIRL

どれも、それぞれ違う世界観だったりしますが、この代表作は、あまり作家が育たないと言われている「歴史考証もの」です。

カウンター席だけの地下1階の店「スリーバレー」に集まる3人+バーテンダーが、数多ある代表的な歴史の謎について語り合い、その中の一人である宮田六郎の新説に驚かされる作品です。
このシチュエーション自体は既読の「九つの殺人メルヘン」に近いものがあります。

短すぎず長すぎない6編の短中編が所収されていて、取り上げられている謎は、以下の6つ
・仏陀(ブッダ)は悟りを本当に開いたのか?
・邪馬台国はどこにあるのか?(本タイトル)
・聖徳太子の正体は誰なのか?
・本能寺の変は何故起こったのか?
・明治維新は何故起こったのか?
・イエス・キリストの復活劇の謎?

・・・ま、ちょっと歴史に興味のある方なら、大いなる謎の数々なのですが、この宮田六郎の大胆な新説は、この謎のすべて解決し、なおかつ論理的に証明してしまうわけです。

個人的には、中世から近世に渡る日本史に興味があるので、本能寺の変だとか明治維新あたりが大変面白く読めました。
特に本能寺の変は、今でも謎が多く残り、この事件をモチーフにした数々の小説や考証がなされていますけど、この六郎説は、気持ちが良いほどに論理的に解決してしまっています。
当然ながら説の一つでしかないとは思いますが、事件そのものを多面的に捉えつつ、織田信長のそれまでも奇行と照らし合わせて、あの結論を導いているのは、読物としての興奮とは別に、考証としての納得感があるわけです。

歴史考証ものという点では、高田崇氏の「QEDシリーズ」がありますが、あちらはどちらかといえば、その考証を説明すると同時に現実に起こる事件も解決するスタイルであり、ちょっとした紀行ものの雰囲気もありますが、こちらは小さなバーの中の酒飲み話に終始するところが大きな違いです。

このような定点があまり動かない物語(静的)ではありながら、これだけ物語世界に引き込まれていくというのは、「謎とき」の本性をきっちり掴んでいる証拠なのでしょう。

本書の姉妹作に「世界・・・」というものもあるようですので、機会があれば読んでみたいと思います。

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2006年01月29日(日) 01時30分26秒

2006/1/28に借りた本(ただし臨時)

テーマ:読前感想

怒涛の4冊確保ということで、臨時の読前感想です。
改めて、臨時となってしまう経緯(いきさつ)をお話しすると、予約確保されてからの有効期限が2週間以上なく、月~金に普通に仕事をしている場合、隔週ローテーションからはずれてしまうということです。
例えば、下の本などは(2月3日(金)まで予約として確保しておきますよ~)ということなので、来週(2月4日あたり)に図書館に行っても、跡形もないってことなのです。
困っちゃいますね。
ということで、いそいそと図書館に行ったりしたのでした。
(そういえば先週は、雪が降っていて電車で行ったけな~)などと思いながら。

で、そんなフトドキな本が奇跡的に4冊もキマシタ。
しかも荻原本が2冊。
待ちわびてはいたものの、こういっぺんにこられるとちょっと困ったりするものです。

題名
明日の記憶
読了可能性
★★★★☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2004/10
著者/編者
荻原浩
読前感想
遂に借り出せました。待望の予約本です。第18回山本周五郎受賞作にして、第2回本屋大賞2位の作品。刊行順で読んでいた荻原氏でしたが、この作品から圧倒的な予約数だったもので、しばしお休みしておりました。で、お休みしている間に最新作「あの日にドライブ」を読了してしまったりして、ま、とにかく待っておりましたよ。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008520016.html

題名
さよならバースディ
読了可能性
★★★★☆
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/07
著者/編者
荻原浩
読前感想
重なるときは重なるもので、荻原氏の予約本2冊目。この作品は昨年の夏に刊行されていたようですが、前述の「明日の記憶」効果で、やっぱり予約待ちだったのです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008772814.html

題名
ウランバーナの森
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社
初版刊行年月
1997/08
著者/編者
奥田英朗
読前感想
実はこの本が、期間的に一番待たされた作品です。ちなみに2ヶ月くらい前から借り出せる状態だったのですが、前の人が返してくれなかったのですね。たぶん・・・
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008960385.html

題名
生協の白石さん
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
白石昌則
読前感想
で、上の3冊の予約確保の連絡があったので、いそいそと図書館にいったところ、この本も予約確保されていたようです。朝一に行っていたら借り出せなかったかもしれない、まだまだ噂の「生協の白井さん」です。ま、分類的にはパラパラ本に近いですね。著者名で分るように、このほんわかしたコメントをする白井さんは男の方です。テレビでちょっと紹介されていたのを見ていて、ややショックだった記憶があります。
読後感想リンク


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2006年01月28日(土) 02時15分08秒

「山ん中の獅見朋成雄」 舞城王太郎 2006-012

テーマ:--舞城王太郎
おなじみ舞城氏の未読本。
本帯には『「ゼロの波の新人」の第一走者が放つ、これぞ最強の純文学!!』とあります。
「ゼロの波の新人」の定義も知らなければ、ちゃんとした「純文学」の定義も知りません。
そんなところを紐解きながらの読後感想です。

amazonリンク

舞城 王太郎
山ん中の獅見朋成雄
出版元
講談社
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
舞城王太郎
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
背中に鬣(たてがみ)を持つ少年『獅見朋成雄(シミトモナルオ)』の神話的世界。山に住む杉美圃モヒ寛という書道家かつ友人が、瀕死の事故にあい、そこに居るはずのない馬を見た成雄は、そのままモヒ寛の家に留まり続ける。やがて成雄が見る、新しい世界。そして新しい自分。


冒頭の「ゼロの波の新人」とは、メフィスト賞を受賞した舞城王太郎氏、西尾維新氏、佐藤友哉氏の3名を一括りとした名称であり、ま、講談社が売り出しの若手作家につけた俗称のようなものです。
”新御三家”みたいなもんですね。
で、問題の「純文学」とは「大衆文学に対して、純粋な芸術性を目的とする文学」とのことのようです。
これまた”住むという機能を廃した芸術的に優れた住居”のようなものでしょうかね。(ちがうか?)

で、この「ゼロの波の新人」(な~んか、語呂が悪いと思うのは私だけでしょうか)である舞城氏の「純粋な芸術性を目的とした文学作品」である「山ん中の獅見朋成雄」です。

まぁ、ビックリしました。そして、読了後に大いなる尊敬を込めて納得してしまいました。

今までに読んだ著者の長編小説にある「破綻した主人公」ではないことにまずビックリです。
純文学らしく主人公の獅見朋成雄は、真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐな純粋な少年。
その純粋な少年である成雄が語り手となって、物語が進みます。
大抵の作品は、「破綻した主人公」が「破綻的に物語」をぐいぐいと引っ張り、「破綻」に「破綻」を重ねて、「破綻的結末」に持っていっていた感じがしたので、冒頭の鬣の下りあたりは、やや不安だったりしたのですね。
もちろん文体は、独特のリズムを持っているので、最低限の「(今までに思い描いていた)舞城本」の感覚はキープしていますが、あまりにも実直で純粋な成雄の姿は、それからの展開を不安にさせていました。(結果オーライだったのですけどね)

そして、もう一つの驚きは、舞城氏の新機軸(とはいえ刊行はだいぶ前ですが)と言えるべき「静寂」への挑戦

友人であり、書道家の「杉美圃モヒ寛」から習う書道。
その書に対する成雄の精神と、周辺の描写。
そして、墨をする音。「しゅりんこき、しゅりんこき」

この辺りはまさしく「芸術性を目的とした文学」の名に相応しかったりします。

とくに「音」へのこだわりが絶妙です。
「音」を文字に置き換えることで、それ以外の音が聞き取れないといった効果があり、より一層「静寂さ」が増すような錯覚が得られます。
この物語には要所要所にこの効果を適用しており、全体的に静かな印象を持っています。

で、友人であり書道家の「杉美圃モヒ寛」の事故が発生し、その後成雄が、その事故の正体を突き止めたあたりから、一気に物語が加速します。
ここからは、いつもの「舞城ワールド」な訳ですが、ファンタジーとか異文化とかカニバリズムとかいろいろ、そしてやはり静寂が綯い交ぜになって押し寄せます。

で、前述した「純粋な主人公」であることの意味と、「静寂」であることの意味がなんとなく分り、物語がきっちり昇華します。

ということで、極めて勝手に解釈すると、この物語は、

物語を牽引するのは、純粋な主人公を取り巻く外世界
であり、主人公自体が求めている「静寂」とのコントラストによってその破綻した外世界がより際立つといった、無駄のない構成になっている

というわけです。

いや~、ますます気になる今後の舞城氏でございます。

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2006年01月25日(水) 00時19分03秒

「新本格魔法少女りすか2」 西尾維新 2006-011

テーマ:--西尾維新
西尾氏連続です。
この「新本格魔法少女りすか」の1(前作)については、一昨年の書評以前の秋、とある方(先輩)からお借りして、仕事の都合で新幹線に乗ったときに、その往路で読み終わってしまいました。(ちなみにその方は、この本を貸す時に「最近、読む本が退化しちゃってさ~」と苦笑いされていました。)
なので、だいぶその世界観とか忘れかけていたんですけど、読み進めていくうちに(あぁあぁこれね!)と思い出し、読み終わったときに、結構はまっている自分がおりました。
・・・いやいや30超えているんでけどね。

amazonリンク

西尾 維新
新本格魔法少女 りすか2
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2005/03
著者/編者
西尾維新
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
心に茨(いばら)を持った小学5年生・供犠創貴(くぎきずたか)と、“魔法の国”長崎県からやってきた転入生・水倉りすかが繰り広げる危機また危機の魔法大冒険(ファンタジック・アドベンチャー)!ついに現れた最強の“天敵”を相手に2人の打つ策は――!?これぞ「いま、そしてかつて少年と少女だった」きみにむけて放つ、“魔法少女”ものの超最前線、<りすかシリーズ>第2弾!魔法は、もうはじまっている!<<本裏表紙より抜粋>>


この本の大きな特徴は、題名に『2』とあるから続編・・・というわけではなく、「第○話」となっているところであり、この「2」は第4話~第6話の3作(ファウストに連載されている2編と書き下ろしの1編)が所収されております。(ということで、前作は1話~3話なのですね)
ということでタイトルの「2」は、正しくは「第2巻」なわけです。

ストーリは「魔法の王国」とされている長崎からやってきた『”魔法少女”りすか』と、生意気な男の子『供犠創貴(くぎきずたか)』の物語。ちなみにこの『供犠創貴』の”頭いいけど生意気キャラ”は相当良いです。
こんな子供が近くにいたら、愛を持ってイタブリタイ。

で、

基本的には、新はついても本格なので、『魔法を扱うことのできる(りすかと同種の)魔法使いとひと悶着あり→魔法を使って→戦って→勝つ』という1話完結型でありつつ、キャラクターの心情や周りの状況は、どんどん変化(成長)していく種類の作品です。
この4話~6話については、りすか・創貴のコンビに新たに「新本格変態少女ツナギ」が加わり、相当のインパクトを与えてくれます。
それから、第7話以降にはじまる『六人の魔法使い』との戦いの大いなるイントロダクションという位置づけだったりもします。

今まで記述した「あらすじの補足なようなもの」でも分るとおり、要するに、とても肯定的な意味でこの「小説」は、(毎週楽しみにしてた)「連載漫画」なのです。

ということで、これを文学作品と思って読み始めると、かなり損をします

が、これを『エンターテイメント』と位置づけ、たまたま『伝える媒体が小説だった』と思って読み始めると、それなりにイケチャイマス。

加えて、元々そこそこ評判の良い「漫画」だったものがノベルズ版として出てくるような作品群がありますが、それらと比較すれば、圧倒的に「小説」なので、扱いに困るわけです。この辺りは作者も意図的に考慮しているはずで、見事にみっちりハマルと、童心に返って『面白い!!』となるわけです。

小・中学生の頃に、数多ある漫画の面白さを知っている方々には、とても面白いということはきっちり評価できます。そして、この作品を、きっちり面白いといえる大人になれたことを自画自賛しちゃいます。

一読される方は、この前作にあたる「新本格魔法少女りすか」からお読みください。
なんせ第○話ってことですから。
そして、『面白い』と思った大人の方々は、個々に自画自賛してください。

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2006年01月23日(月) 20時04分43秒

「ニンギョウがニンギョウ」 西尾維新 2006-010

テーマ:--西尾維新
戯言シリーズの文体とはうってかわって、レトロな文学の匂いがします。
といっても根本にあるのは「戯言」。
語る言葉も、進む物語もすべてが「戯言」であり、「記号」。
「現実逃避」を無自覚のうちに欲している大人達(もちろん、私も含みます)の童話といったところでしょうかね。

amazonリンク
西尾 維新
ニンギョウがニンギョウ
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2005/09
著者/編者
西尾維新
総評
18点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
映画を見に行くことになったのは妹が死んでしまったからだ。私は平素より視覚情報に関しては淡白を貫く主義なので、映画を見るのは実に五年振りのこととなり、妹が死んだのも、矢張り五年振りだった。回数を勘定すれば、共にこれが四回目である。映画を見るのは妹が死んだときだけと決めているのではなく、逆であり、妹が死んだからこそ、映画を見るのだ。そうはいってもしかしこうしょっちゅう死なれては私としても敵わない。日頃大きな口を叩いている友人達に合わせる顔がないというものだ。私には合計で二十三人の妹があるけれど、死ぬのはいつも、十七番目の妹だった。<<紀伊国屋BOOKWEBより抜粋>>


”文字フォント”から”わら半紙に近い紙の質”に至るまで、幻想的な雰囲気の本書。
読み始めて思ったのは、まったく脈絡もなく『ドグラ・マグラ』でした。

チャカポコチャカポコ。

ですが、決して「ドグラ・マグラ」ではありません。
あれほど強烈な作品では当然なくて、ただ、なんとなく思ったのです。

十七番目の妹の四回目の死に至り、『私』が映画を見に行く。その映画のタイトルが「ニンギョウがニンギョウ」。その後、腐乱した右足は妊娠し、5年振りの目覚めで気がつく、熊の少女との関係。

なんだか、夢を見ているような感覚。
否、夢を聞かされて、その夢の話にうなされてしまう感覚


幻想小説みたいなものに慣れていないと、まったく持って無意味な作品なのですが、それなりに経験されている方であれば、それなりに楽しめます。
意味のない作品に意味を見出すのは読者の役目ということです。

加えて、西尾氏ならではの『私』ではじまる一人称は、やっぱり『戯言』風であり、ドライブ感はあります
こういった趣(おもむき)の作品ですが、ちゃ~んと西尾作品になっております。
このあたり、知った著者という、安心感というかミーハー感というか。
とにかく(あぁこれも西尾維新氏の作品なのよなぁ)と思うわけです。

ちなみにこの本、購入すると1,500円。
なんだか図鑑のようなカバーがあります。
いわゆる「箱入り」と言う奴ですな。
・・・そんな高級仕様の本なのですが、図書館ではすっかり「箱無し」で借り出されておりました。
ということで、図書館から借り出した、この「ニンギョウがニンギョウ」の装丁は4点ということです。

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2006年01月22日(日) 03時03分04秒

2006/01/21に借りた本

テーマ:読前感想

よりによって積雪でございました。
とはいえ、通常通り図書館に出向くのです。
なぜなら借り出しをするという行為には、必ず、返却をするということが含まれており、普段よりセイフティーライフを推奨する私には、たとえ雪が降ろうが、槍が降ろうが、まず返却するということが大事だからです。

ということで、普段は車で行くところ、雪も降っているということで、セイフティーライフを推奨するものは電車で行ってみたりしました。たった2駅だし。

ところが、車では10分程度で着くところにある図書館なのですが、電車では着くまでに、なんと40分以上もかかるのです。我が家は最寄り駅まで徒歩で5分程度のところにあるし、図書館だって出先の最寄り駅から5分程度の距離にある。じゃぁ、この30分の移動時間の理由は、一体なんなのか?(解答編は、本文の後)

・・・

ということで、今回は8冊。
積雪バージョンです。なにが積雪バージョンかは本文中に隠されています(もしくは、隠されていません)←なんじゃそりゃ?

題名
ニンギョウがニンギョウ
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2005/09
著者/編者
西尾維新
読前感想
予約本です。この他にも何冊か今週借り出せるはずだった予約本があったと思っていたのですが、どうやら返却していないフトドキな方が多いようです。こっちは雪の中、普段と変わらずせっせと返却&借り出しをしているというのに、もうもう。ということで、西尾氏のちょっと不思議な物語のようです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008261733.html

題名
あなたが名探偵
読了可能性
★★★☆☆
出版元
東京創元社
初版刊行年月
2005/08
著者/編者
泡坂妻夫・西澤保彦・小林泰三・麻耶雄嵩・法月綸太郎・芦辺拓・霞流一
読前感想
唐突ですが、こんな著者欄も困ったものです。でも誰々編とも書いておらず、ちゃんとクレジットは上の通りの著者名だったので、気張ってみました。珠玉の犯人当てミステリなのだそうです。要するにアンソロジーですが・・・。ちなみにこちら本は新刊コーナーに御座いました。
読後感想リンク


題名
山ん中の獅見朋成雄
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2003/09
著者/編者
舞城王太郎
読前感想
最近、「雰囲気本」を読むことが多く、その生ぬるさを、心地よく感じてしまっているわけですが、そういった風潮を一気に解消すべく借りてみました。そういえばこの本読んでないわ~ということで、舞城氏の作品です。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008423070.html

題名
新本格魔法少女りすか2
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2005/03
著者/編者
西尾維新
読前感想
馴染みの図書館の書棚エリアで滅多に通らないラインに「ヤングアダルトコーナー」なるものがありまして、たまたま見つけた西尾氏の2冊目。そういえばこの作品、ブログ以前に読んでいたりします。で(「2」が出てたんだ~)な~んて思い、借りてみました。この本を貸し出しコーナーに出す30過ぎのおやじってのもあれですけでね。しかも雪の中。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008314007.html

題名
長い長い殺人
読了可能性
★★★☆☆
出版元
光文社カッパノベルズ
初版刊行年月
1997/05
著者/編者
宮部みゆき
読前感想
ダサい装丁で有名な(関係者の方、ごめんなさい)旧カッパノベルズの作品です。宮部さんもブログ以前に読んだ、「蒲生亭」以来の借り出しです。あ、そうそう新しいカッパノベルズの装丁は格好良くて好きですって、もう遅いか・・・
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008667318.html

題名
異本西遊記
読了可能性
★★★☆☆
出版元
角川春樹事務所
初版刊行年月
1999/02
著者/編者
光瀬龍
読前感想
まだまだ、行きます。この本、実は前々から気になっていたんですよ。で、せっかく月9でドラマになっているんだから思い切って借りてみようと思いました。タイトルの「異本」にあるとおり、まともな西遊記ではないのでしょうけど、これはこれでちょっとしたネタになるかもしれません(ま、読了すればの話ですが)
読後感想リンク


題名
そして扉が閉ざされた
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社文庫
初版刊行年月
1990/12
著者/編者
岡嶋二人
読前感想
岡嶋二人氏の文庫本です。持ち帰りを考慮して、文庫本エリアを散策中に手にしてみました。なんというか雪が降っていなければ出会っていなかったであろう本かもしれません。「風が吹けば桶屋が儲かる」ならぬ「雪が降れば、文庫本を借りる」ということです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008713194.html

題名
邪馬台国はどこですか?
読了可能性
★★★☆☆
出版元
創元推理文庫
初版刊行年月
1998/05
著者/編者
鯨統一郎
読前感想
これまた文庫本。有名な本ですよね。鯨氏。最近の本はそれなりに読んでおりましたが、この王道を忘れておりました。いかんですね。いかん、いかん。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10008498131.html

冒頭の解答編
2つの原因があります。
①我が家の最寄駅と図書館の最寄駅を結ぶ路線の形が、「く」の字のようになっている。
②「く」の字の角の部分では、乗り換えが必要であり、会社が違うため、まったく待ち合わせてくれていない。
こんなの、ちょっとした「旅」です。雪降ってたし・・・
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2006年01月21日(土) 08時31分14秒

「パーク・ライフ」 吉田修一 2006-009

テーマ:--吉田修一
第127回芥川賞受賞作のパーク・ライフ読了しました。
amazonリンク

吉田 修一
パーク・ライフ
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2002/08
著者/編者
吉田修一
総評
17点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:2点 
装丁:3点

あらすじ
公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。<<紀伊国屋BOOKWEBより抜粋>>



タイトル作品と、「flowers」の2編の中編が所収されています。
2006年最初の読後感想で登場した吉田修一氏の作品。
2006年で2冊目ってのは、単独トップです(当たり前ですけど)。

受賞作である「パーク・ライフ」は、日比谷公園という場所で起こる「ぼく」の日常の話です。
ふとしたきっかけで出会った女性と、仕事の昼休みに公園で会い続ける。極めて日常的な場所であり、その象徴でもあるような公園というシチュエーションで、徐々に変化が見られる「ぼくたち」の関係性を見せる物語です。

もう1作の「flowers」は、周囲の反対を押し切って東京にやってきた夫婦の話と、その夫である「ぼく」が就職先で出会った「元旦」という男との話。この元旦という名の男を通じて、やや非現実的な側面もあるけど十分「日常」の範疇に収まる日々の出来事の物語です。

ということで、どちらも「日常」を淡々と描く作品であり、日常である以上、それ以上の結果を求めてはいけないものとなっています。
このような種の作品を勝手に「雰囲気本」と称してみたいと思います。

で、この「雰囲気本」の雰囲気とは
例えば、食事でいえば、「お茶漬け」
例えば、趣味でいえば、「お香(匂いを楽しむやつですね)」
例えば、映画化するとなれば、その主人公の配役は
「かつて暴行傷害事件を起こし、しばらくの謹慎の後、復帰した若手俳優の復帰1作目」。
といった感じです。
この例示に他意はありません。ははは。

で、この微妙なニュアンスの作品(もしくは数多の作品群)に感想となれば、(やっぱり雰囲気がいいねぇ)となるわけで、それ以上ではないわけです。
私の文章能力では。

こういった作品において、どこまで作品世界に深く関与できるかは、読者の感性(と状況としての余裕さ)しだいですが、比較的読みやすく、パラパラと読み続けると当たり前のように「何ごとも起こらず」終わる作品なので、ホントに「さらさらかけこめるお茶漬け的作品」でした。
例えば、物語を彩る様々な装飾(それは、「スターバックスにかよう女性達の描写」であり「公園で気球を回転しないように上げてようとしてる男の心情」だったり)に暗喩が隠されているといったプロ的書評ができればまたこの作品の良さをお伝えすることもできるのでしょうが、いやいや困ったものです。

ただ、2作目の「flower」の後半に見せる、主人公と妻繭子、主人公と元旦の関係性には、日常の残酷さ、人の脆さのようなものが語られているようで、なんだか感慨深くなりました。

ということで、本作パーク・ライフの感想というよりも、私が普段思っている、この手の「雰囲気本」の雰囲気をお伝えしたような感じの感想となってしまいました。すみません。

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2006年01月20日(金) 00時35分32秒

「夫婦茶碗」 町田康 2006-008

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
・・・いやいや更新が滞ってしまいました。
それというのも、ただただ私事都合で多忙だっただけです。
で、この町田氏のお初にお目にかかり本。
読み終わってから、(あ~中々良い本だったよな~)と思ったりしましたが、一方で、多忙中に読む本ではないわなと思ったりして。
ま、書評してみます。
amazonリンク

町田 康
夫婦茶碗
出版元
新潮社
初版刊行年月
1998/01
著者/編者
町田康
総評
17点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:1点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ

金がなく職もなく潤いすらない無為の日々。そんな私に人生の茶柱は立つのか?!その過激な堕落の美学で絶賛を浴びた「夫婦茶碗」、金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカーのワイルド・ライフを描いた「人間の屑」。ポストバブル世代の福音書。<<本帯より抜粋>>


あらすじの通りです。
中編が2編所収されておりますが、どちらの物語も基本的に「怠惰で堕落」な感じです。
何かをあきらめるための理由を探し続ける主人公。
何かから逃げることが人生の最優先事項である主人公。

自己嫌悪になってみたり、開き直ってみたりと、感情の起伏は激しいものの、基本にあるのは「厭世的な姿勢」であり「世間を見下した世捨て人」なわけです。

この主人公が、物語を牽引するのであって、結果的には、「何かが始まりそうで始まらない」という物語だったりします。

物凄く多忙な場合、この本を開いたことで、随分と気が滅入った私自身は、まだまだ修行が足りないなぁと思いました。
要するに(こっちは、これだけ忙しいのに、こいつ(主人公のこと)は、随分と楽な人生送っていやがるじゃね~か!!えぇぇ(怒号))という感覚になってしまうのです。

ついでに帰宅中の電車の中で読んでいて、ちょっとしたうつ症状に近い感覚に陥り、改札の手前で、定期券を出すつもりが、家の鍵を出してしまって、さらに、それを機械に通そうとしてしまったくらいでした。(ま、ただ単に疲れていたってことが本当の理由なのでしょうけど)

読書を楽しむということは、余裕がない限りできないことであり、余裕がない以上、読書を楽しむことはできないという、事実をまざまざと感じることのできる小説だったということです。

あまり、良い印象がない雰囲気で終わってしまいそうなので、ちょっとだけ補足をします。

ようやくこのブログに感想が書ける程度の余力がある今になって、改めて思うと、改行をしない、独白に近い特徴的な文体自体は、非常に詩的感覚にあふれており、要所要所のユーモアはちゃんと的を得ています。
偉そうなコメントを許してもらえれば、読物としては高水準だと思いました。
ただ、舞城王太郎氏の作品を読んでいる方(そして、少なからず評価されている方)にとっては、この文体以上の優れた作品に巡り合っていたりするので、ややインパクト不足なところもあります。
ま、刊行年月はこちらの方が古いので、そういった点では評価しちゃいます。

ただ、やっぱり、あまりにも堕落すぎる物語は、(たまに、不条理な理由で)忙しくなるリーマンな私にはやや辛いのです。

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