1 | 2 次ページ >> ▼ /
2005年09月30日(金) 23時59分59秒

2005年9月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』

せっかくの「読書の秋」ですが、私事(というか仕事)で、あんまり読書できなかった9月でした。
10月以降もあんまり期待できない雰囲気なので、やや憂鬱ですが、それでもヨイ本をたくさん読んでみたいと思う今日この頃でございます。

月刊「後感」9月号です。

まずは恒例の今月のランキング。

[総合ランキング]
6775位/508988人中(1.33%)前月からの比=0.06%
[ジャンルランキング]
132位/3970人中(3.32%)前月からの比=0.15%


・・・まぁこんな感じです。キープといえばキープ。
それにしても何気なく、アメブロ50万人突破なんですね。すごいすごい。

さて今月も全11冊。個人的な読書歴史としてルーキーの荻原氏が登場!!。
怒涛のハイペース!!なんと、ひと月で、5冊エントリーです。
この勢いはしばらく続く気配。さて肝心のランキングはどうなのか?


第1位;「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ
;エンターテイメント小説;2005年09月07日(水) 21時47分14秒


乾 くるみ
イニシエーション・ラブ
いやいや、このラストにはビックリしました。
読まれた方の評判が良かったので、どんなことになるのかワクワクしていたのですが、その期待をも裏切る、相当、○○○なラスト。これは男性諸君は、肝に銘じるためにも必読の書ですかね。

第2位;「なかよし小鳩組」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2005年09月11日(日) 21時15分34秒


荻原 浩
なかよし小鳩組
荻原氏の2作目にして、個人的にも2作目に読んだ作品ですが、1作目の「オロロ」の世界を保ちつつ、キャラクターが相当楽しい一品。やっぱ早苗いいですね。是非続編を読んでみたいところです。

第3位;「母恋旅烏」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2005年09月30日(金) 22時01分26秒


荻原 浩
母恋旅烏
第2位に続き、3位も荻原氏。4位のハードボイルドエッグと迷いましたが、読後の爽快感で、勝ちました。
とにかくこの本は、忘れていた何かを思い出させたりします。その思い出す何かは、未読の方であれば、お読みになってから分かち合いたいと思います。これまた家族愛などに飢えている方には必読の書。

第4位;「ハードボイルドエッグ」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2005年09月20日(火) 21時40分41秒

第5位;「「本能寺」の真相」 姉小路祐
;推理小説;2005年09月24日(土) 12時23分47秒

第6位;「オロロ畑でつかまえて」 荻原 浩
;エンターテイメント小説;2005年09月09日(金) 01時09分47秒

第7位;「噂」 荻原浩
;エンターテイメント小説;2005年09月28日(水) 22時01分11秒

第8位;「館島」 東川篤哉
;推理小説;2005年09月13日(火) 23時33分28秒

第9位;「高く遠く空へ歌ううた」 小路幸也
;エンターテイメント小説;2005年09月17日(土) 00時10分25秒

第10位;「青猫屋」 城戸光子
;ファンタジー小説;2005年09月02日(金) 22時46分26秒

第11位;「逆説探偵-13人の申し分なき重罪人」 鳥飼否宇
;推理小説;2005年09月26日(月) 07時00分11秒

AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005年09月30日(金) 22時01分26秒

「母恋旅烏」 荻原浩

テーマ:--荻原浩

荻原 浩
母恋旅烏

あの「本の雑誌」が選ぶ2002年上半期ベスト10の3位という微妙な冠を持った荻原氏の作品。
本当は「オロロ」に始まり、刊行順に読んでみようと思っていたのですが、図書館にあったので借りてしまいました。そして楽しく読んでしまいました。

これは「荻原節」炸裂。
ユーモアのある描写。生き生きとした登場人物。笑って笑って、笑って泣ける。裏切りませんね。


花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、レンタル家族派遣業。
元大衆演劇役者という経歴と経験を武器に意気揚々と張り切ったものの、浮草稼業に楽はなし。
失敗につぐ失敗に、借金がかさみ火の車。
やがて住む家すらも失い、かつての義理で旅まわりの大衆演劇の一座に加わることとなったが―。
はてさて、一家六人の運命やいかに。<<裏表紙より>>

波乱万丈な一女二男6人「菱沼一家」、それぞれの成長物語です。
「ぼく」こと次男の寛二が一人称で家族に取り巻くことを語る章と、家族の誰かの視点でありながら三人称で語られる章が、ほぼ交互に構成されています。
この絶妙な章に切り替えが、小気味良さを感じさせます。

周りから知的障害者と囁かれる寛二の章は、純粋そのものの語り口で、様々なことを通じて、ただひたすらに「家族への愛」を求めます。
レンタル家族という職業(もちろんうまく行く訳はないのですが)を通じ、そしてそれに失敗し、旅まわりの演劇一座と共に生活することに通じて、貫き通す「家族」への憧れ。あの語り口であることがそのことをより強く感じさせられてしまいます。
一方、三人称で語られる章は寛二の夢を打ち砕くような「それぞれの人生」を語っています。
長女の桃代と長男の太一は、父親のわがままに振り回されることを嫌い、それぞれのきっかけで家族から離れて行きます。

そして期待の終盤には、期待通り、一人一人それぞれの物語に決着をつけ、菱沼一家に大きな事件が起こり、見事にこの2つの章立てが物語として融合してしまう訳です。

これが先述した「家族の成長」なわけなのですが、この収束に仕方は見事以外にいいようがありません。
あれほど家族というものを嫌がっていた長女・長男のわずかばかりの家族への愛と、「家族への愛」≒「甘えたがり」だった寛二の甘えるだけではない心の変化
ラストの寛二の台詞は、大袈裟にも心が洗われる思いがしました。
このあたりの持っていき方がうまいですよね。

この菱沼家族を取り巻く、登場人物もしっかりキャラがおさえられていて、テレビドラマのような「配役」でありながら、妙にリアルさもあったりします。

清々しい気持ちになりたいのなら、是非一読ください。
AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2005年09月28日(水) 22時01分11秒

「噂」 荻原浩

テーマ:--荻原浩

荻原 浩


ちょっとした「荻原ブーム」となっています。
9月だけで4冊目の作品で、デビューから4冊目の作品。

今までに読んだ荻原作品とは、だいぶ雰囲気が違う作品。
以前「なかよし小鳩組」でいただいた、ふらっとさんのコメント のとおり「荻原さんてどんな人?」という感じです。
とはいえ、読みやすさとか所々にあるユーモアは健在で、なるほどねぇと思いました。で、最後の一行に込められた、タイトルの「噂」によって起こるホラー的要素も、意外でありながらすんなり「怖い」と思えました。

まったく無名のブランドから発売される香水「ミリエル」。キャンペーンの手法としてやり手の女社長が提案したのは口コミだった。渋谷のファッション・リーダー的な少女を集め、広告代理店が創作したストーリーを流す。「ミリエルのローズをつけていると3ヵ月以内に恋がかなう」「女の子をさらって足首を切り落とす、ニューヨークのレイプ魔が渋谷に出没。でも、ミリエルをつけている子は狙われない」高額なバイト料をもらった少女たちはその話を多くの友人に伝え、ミリエルは大ヒットするが……。<<Amazonより抜粋>>

メインストリームは、香水をヒットさせるための噂でしかなかったはずの連続殺人事件が実際に発生し、刑事がそれを解決していくというストーリです。
で、そんなストーリだから、犯人探しという点で「ミステリ」だったりしますが、ミステリを構成する謎解き自体にはあまり重きを置いていないように思えました。実際、あまり伏線も少ないため、途中から犯人が分ってしまいました。

とはいえ、興ざめにならなかったのは、本書の軸がどちらかといえば、新米キャリアとベテランノンキャリの刑事コンビのチームワークを見せる点とか、(荻原作品では得意の)親子愛があったりして、なんとなく人間ドラマだったりしたからなのです。

例えば、犯人を探す行程で登場する「噂を発信する少女達の素直さ」や、ギャップに戸惑いながらも、まったく手がかりのないところから、一つ一つ真実に近づいていく前述した「刑事コンビの真摯な姿」など。
このあたりは、荻原氏が得意とする「キャラ押し」の世界であり、私自身が荻原氏を気に入ってしまっていた根本的な理由だったりします。

今までの作品との大きな違いは、その世界をややシリアスに描いている点にありますが、やっぱり根本にあるのは「オロロ」や「ハードボイルド」を書く作家さんなのだと思いました。

で、ストーリの裏テーマとなる「都市伝説というものの起源はどこにあるか?」というなかなか興味深いテーマも拾い上げ、きっちりと書き上げていることも評価できます。

そして、前述した最後の最後(本当に最後の一文)に見せる「人間の怖さ」や「噂の怖さ」も、意外性という意味で綺麗な収束を見せてくれています。

小説内の台詞を代用させてもらえれば、それこそ「きもさぶ」なわけです。(ややネタバレ)

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月26日(月) 07時00分11秒

「逆説探偵-13人の申し分なき重罪人」 鳥飼否宇

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】

鳥飼 否宇
逆説探偵―13人の申し分なき重罪人

鳥飼氏の3冊目。

「小説推理」に04年5月から1年間連載された12編と書き下ろしの1編で構成された13の連作短編集。
とにかく1編が短いので読みやすく、13編同じパターンでくるかと思えば、微妙に時間軸が進んでいるので一筋縄ではいかない作品です。

綾鹿警察署・五龍神田刑事が、次々と起こる事件の謎に挑む!事件解決のヒントは、正体不明のホームレス十徳治郎が握る。あまりにも意外で皮肉な12人の真犯人とは!? そして、最後に残る物語最大の謎とは!?・・・。<<本帯より抜粋>>

本書は、各編とも
①不可解な事件が起きる→
②五龍神田刑事が事件を追及する→
③ホームレスのたっちゃんのところに行く→
④隣にいる「じっとく(十徳次郎)」がヒントを与える→
⑤五龍神田刑事が最後まで話を聞かずに、そのヒントから犯人を導く→
⑥上司の谷村(もしくはその配下)がその説を打ち破り真犯人を告発する。

といったパターンが途中まで繰り返されます。

このパターンの面白いところは、⑤で謎の解明ができたはずが、実は⑥という解答が正しいというところなのですが、後半にしたがってこのパターンが崩れていきます。
具体的には④でヒントを与える「じっとく」が失踪し、怪しい探偵が出現するあたりからなのですが、今までは、あわてものの五龍神田刑事の推理が、ぴしゃりと当たり始めるといった趣向です。

それから、身内(例えば前の編まで活躍していた刑事など)の犯行が多いというのも本書の特徴であり、事件に関与している人間が一番の容疑者であるというセオリーをちゃんと守っています。
ただここまでやると「使い捨て感」があって、意外に暴力的なストーリなのかもしれませんが。

そして、この物語の全体の謎は「じっとく」の正体なのですが、このあたりは注意深く読んでいれば気がついちゃいます。

前述しましたが、全体を通じて「ライト感覚な読物」(本帯にもキャッチコピーとして書かれています)ですので、2~3編を寝る前に読むには最適な本です。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月24日(土) 12時23分47秒

「「本能寺」の真相」 姉小路祐

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】

姉小路 祐
「本能寺」の真相

久しぶりの講談社ノベルズ。
この本のサイズも通勤の定番って感じで好きです。

信長は、そのとき、何故、丸腰同然で本能寺に泊まっていたのか?毛利と戦っていた秀吉は、いかにしてその情報を得、“中国大返し”をやってのけたのか?家康は、どうして“伊賀越え”ルートで逃れたのか?簡単な首実検で判定された、主君の仇・明智光秀の首は、本当に光秀のものだったのか…?「戦国時代の四英傑」にまつわる巨大な謎が、日本地図に浮かび上がる大三角形によって解き明かされる!最終勝者は誰だ。<<裏表紙より>>

QEDシリーズにも似た「現実の事件」と「過去の事件の新たな考証」の両軸がメインです。
「現実の事件」については銀行を退職し、現在は大学生の卜部(うらべ)甲一と、その息子で新聞記者の卜部英介がとある事件に巻き込まれて、被害者の娘と真犯人探しをするといったトラベルミステリ。
その進行の中で歴史的事件である「本能寺の変」の真相(いわゆる「過去の事件の新たな真相」を見いだしていくというストーリです。

この手の小説は、どうしたって「現実の事件」の印象が薄れてしまいがちですが、残念ながら本書も漏らさずその手の小説です。
現実の事件の真相に近づくことで、徐々に明らかになる「本能寺の変」の真相。
裏を返せば、「本能寺の変」の真相を見出すために、半ば強引に進められる「現実の事件」への進行ということです。

ただ「二兎追うもの・・・」にはならず、本能寺の変の真相自体の考証は衝撃的であり、なおかつ極めて論理的に導いております。
ちょっと戦国時代終期から江戸時代初期に興味のある方であるなら、このテーマに興味がないことはなく、また、いろいろな史実がパズルのピースのように一つの画を描く様は、(ふむふむ、なるほど)と唸る訳です。
いくつかの謎がそれぞれに明かされ、最終的な英傑は誰だったのか?までを、きっちりと証明(まさにQED)しています。

その手の真相本が好きな方は、手にとってお読みください。
それにしても「「明智光秀」って奴は”したたか”だぜぇ」(ややネタバレ)と思ってしまいます。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月20日(火) 21時40分41秒

「ハードボイルドエッグ」 荻原浩

テーマ:--荻原浩

荻原 浩
ハードボイルド・エッグ

怒涛の荻原氏の3冊目。
99年10月刊行の氏3作目の作品。マーロウを模した講釈や比喩を一笑にふした小気味よい会話が心地よく、加えて「探偵業」という職業、「ハードボイルド」という世界に焦がれるダメダメ青年の人や動物との関わりによって育まれる成長記とも読める本作品(←なんだそりゃ?)。

ハードボイルド的世界、いわゆるフィリップ・マーロウに憧れ探偵業を営む最上。現実は小説の中のようにはいかず、目下、生活のためにペット探しに明け暮れている。現状を打破するために採用した秘書は80過ぎのおばあさん。そんな二人がシベリアン・ハスキーの「チビ」の捜索を依頼されたところから本当のハードボイルド劇が始まる。

前半は主人公のひととなりを紹介するいくつかのエピソードがありますが、そこで繰り出される「偽マーロウ」な文体・会話が笑いを誘います。
特に同じような偏愛を持つバー「J」の主人との会話は、そのバーの名前もさながら、まるで「風の歌を聴け」(村上春樹著)に見られる厭世的で洒落た会話のパロディーのような出来栄え。
そして現実とのギャップが悲哀を通り越して笑ってしまうわけです。

以下、会話のみ抜粋
探:「やぁ、J」
J:「やぁ、探偵」
J:「いつもの?」
J:「どうだいこの暑さは。まるで真夏のニューオリンズのようじゃないか」
探:「そうだね」
J:「今日は運がいい。あんたが最初の客だ」
探:「この店に関して言うと」「僕はいつも運がいいようだ」

ね、「気取り」の中にも悲哀がたっぷりなのです。
これに地の文が加わるとさらに悲哀なのですが、それは本書を読んでみていただきたいと思います。

中盤から後半にかけては、ひとつの事件を探偵が追います。
元々は事件性のまったくない「身寄りのない飼い犬であるチビ」を民間のアニマルセンターに預けるところからなのですが、それをきっかけにして殺人事件が起こり、容疑者(というより容疑犬)となったチビの嫌疑を晴らす事となる訳です。

早々に展開が読める構造でありながら、思いもよらぬ、どんでん返しがあります
そのあたりのストーリー展開はオロロシリーズ(と勝手に命名)よりレベルアップしています。
おかげで、探偵も本当のハードボイルドも経験しちゃうわけです。

極めて感動的なラストってわけでもないのですが、ちゃんと感動する場面もあります。

きっちりと配役をこなす登場人物(もしくは動物)がいい味を出していて、全体的に好感が持てました。
この物語の続編を読みたいと思ったのは私だけでしょうか?
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月18日(日) 21時41分15秒

2005/09/17に借りた本

テーマ:読前感想
日差しは強いですが、もうすっかり秋です。過ごしやすくなってまいりました。
さて今回は予約本2冊。そして「荻原氏」の3冊です。「荻原氏」、意外な秋の刺客だったりしますかね。

題名:ハードボイルドエッグ
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:双葉社
,著者/編者:荻原浩
,読前感想:予約本。荻原氏3冊目。とりあえず刊行年の古い順から借りてみています。表紙がトカジ本っぽいですね。

題名:噂
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:講談社
,著者/編者:荻原浩
,読前感想:予約本。荻原氏4冊目。01年2月刊行。これまたちょっと今までの感じとは違う様子です。

題名:母恋旅烏
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:小学館文庫
,著者/編者:荻原浩
,読前感想:なぜか最新刊コーナーとまだまだ話題の本コーナーの間の書棚にあった今週の荻原本3冊目。予約はしていませんでしたが、文庫だったこともあり、つい借りてしまいました。

題名:逆説探偵 13人の申し分なき重罪人
,読了可能性:★★★☆☆
,出版元:双葉社
,著者/編者:鳥飼否宇
,読前感想:最新刊コーナーにありました。「太陽と戦慄」の鳥飼氏です。で、短編集です。最近長編ばかり読んでいるので、たまにはいいかと。

題名:シェルター終末の殺人
,読了可能性:★★★☆☆
,出版元:東京創元社
,著者/編者:三津田信三
,読前感想:先週に引き続き「ミステリ・フロンティア」レーベルの作品。このレーベルは比較的失敗がありません。それに本のサイズがいいです(しつこいですね)。

題名:「本能寺」の真相
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:講談社ノベルズ
,著者/編者:姉小路祐
,読前感想:最新刊コーナーにありました。講談社ノベルズがこのコーナーにあるのも珍しいので借りてみました。実は歴史モノも好きな私。それなりに期待大です。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月17日(土) 00時10分25秒

「高く遠く空へ歌ううた」 小路幸也

テーマ:--小路幸也

小路 幸也
高く遠く空へ歌ううた

小路氏のトータル5冊目の読了であり、既読のデビュー作「空を見上げる古い歌を口ずさむ 」の続編的位置づけの作品です。
ジュヴナイル風味の文章で、やさしく物語世界に導いてもらえます。
内容自体はどちらかといえば悲劇的なのですが、なんだか癒される作品です。

「ぼく、また死体を見つけてしまったんです。これで10人目なんです」 なぜか死体の第一発見者になってしまう少年ギーガンは、高くて広い空に囲まれた街で起きる不思議な事件に知らず知らずのうちに巻き込まれていく…。 <<Amazonより>>

前述に「続編的作品」としてはいますが、単純な続編ではなく、正しくは『「空を見上げる古い歌を口ずさむ」で描かれた世界と地続きとなっている別の場所で起こる不可思議な物語』です。
ですので、ギーガンを中心とした主要となる登場人物は、まったく別の街の住人であり、前作を読んでいなくてもそれなりに楽しめる作品になっています。

「春先の十人目」から始まる15章からなる物語の前半は、ギーガンと主要となる登場人物の関わりが丁寧に描かれていて、後半に続く物語の大きな伏線となっています。

小路氏の作品の多くは、こういった「人物の背景」(物語の前提)を描くものが多く、本筋の物語の進行が進むスピードは、通常よりも遅いかもしれません。
ただ、こういった「人物の背景」(物語の前提)を知り、改めて物語が進行することで、イメージがしやすくなったりする訳です。そのような意味では、大変読みやすい作品です。
個人的には、「行間を読む」といった作業も嫌いではないのですが、ここまで丁寧に描かれると、逆にどっぷり甘えてみたくなったりもします。

後半から終わりにかけて、「違い者」と「解す者」と「稀者」といった、前作との続編的世界が広がっていきますが、特段、そこに拘りがなくても、いいのではないかと思いました。
本筋にある「どうして自殺者ばかりでてしまうのか?そこに関わる人とは誰なのか?」といった謎や、続編的世界の堪能というよりは、「悲しい出来事とシンクロするギーガンの変化」の方に、興味がそそられてしまいました。

このあたりの感想は個人差がありますから、やっぱり本書を読む前に前作「空を見上げる古い歌を口ずさむ」を読んでいただいた方よいと思います。
意外に(もしくは意図的に)このあたりは丁寧な物語の前提がありませんので。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月13日(火) 23時33分28秒

「館島」 東川篤哉

テーマ:★読後感想:作家別【な・は行】

東川 篤哉
館島

あの「アヒルと鴨のコインロッカー」を排出し、個人的には本の形に魅力を感じる「ミステリ・フロンティアレーベル」の第16回配本の本作。05年5月刊行の作品。

巨大な螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘にふたたび事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!

孤島にある天才建築家が建てた奇妙な六角形の別荘に、嵐によって外界から閉ざされた空間。綾辻氏の館シリーズを彷彿させるシチュエーションなのですが、残念ながら作家の売りでもある「コミカルな筆致」がやや妙な感覚を醸してしまいます。

なんせ休暇中の刑事と女私立探偵(共にその主人の遠い親類)のやりとりが「コミカル」だったり、遺恨がある3兄弟のやりとりも「コミカル」。
まぁ「これはコミカルだ」って思って読み始めれば抵抗ないのですが、タイトルに「本格の2大要素」である「館」と「島」がある場合、誰だって「本格」だと思うでしょうよ。

しかも、久しぶりの「怪しい見取り図」があるあたりで、(この建物自体がトリックなんでしょ~)となりワクワクしてしまう、天然の本格好きには、ちょっと妙な感覚(有り体に言えば「抵抗感」だったりします)なわけです。
・・・ま、この点に関しては私自身の好みの問題なのでこれ以上は言及しません。

で、漏らさずに述べておくと、館トリック自体は、綾辻氏の館シリーズを最初に読んだ瞬間に近いほどの衝撃でした。個人的には懐かしいといった部類に入ります。

なんとなく形で分ったりするのですが、この仕掛けをどのように効果(この場合、不可解な事件そのもの)に結びつけるかという点では、ロジックがしっかりしていて満足だったのです。
『謎解きを読みながら、見取り図を見て、頭の中で想像して納得する。』といった館モノの王道を体験させてもらったことには感謝です。

また、ちょっとだけ社会派推理的な「本州四国連絡橋」がらみの話があったり、本格にありがちな「あまり動機自体には重きを置かない犯人」だったり、それなりに楽しめます。

やっぱり懐かしいという感覚が一番近いのかもしれません。
で、極めて個人的な(というより、今までどんな本を読んでいたかということに起因する)理由で締めてしまってすみません。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005年09月11日(日) 21時15分34秒

「なかよし小鳩組」 荻原浩

テーマ:--荻原浩
荻原 浩
なかよし小鳩組

オロロ畑でつかまえて 」(以下、「オロロ」)の荻原氏2冊目。
「なかよし小鳩組」(以下、「小鳩」)読了です。
ユニバーサル広告社の面々がまたもや活躍する続編的物語です。

これはヨイです。
オロロも面白かったのですが、小鳩はもっと良かった。
語り口は軽妙で、分り易いし、爽快。
久しぶりにぐいぐいいっちゃいました。

倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。<<Amazonより>>

今回は100%杉山の物語です。
彼の周りに起こる(起こってしまう)事象を彼の目線で語ります。
で、これまた「オロロ」に負けじと周りを取り巻く登場人物がいい味を出しています

前半から「オロロ」で個人的に注目していた娘の「早苗」が登場し、父親とタメ口で微笑ましい会話をすれば、これまた注目していたユニバーサル広告社の「村崎」は、ヤクザには決して屈しない鈍感の持ち主。
その他、アルバイトの猪熊の出自の秘密や、社長石井の悲哀などを織り交ぜながら小鳩組の無理難題をクリアしていきます。
中盤に見せる目標動員数一千人というノルマを課せられた「任侠展」というイベントの奇妙な面白さ。チョッと行って見たくなってしまいました。
そこで大活躍の早苗とその仲間達。
この一連の大騒動の意外な張本人に対して早苗は、子供なりのルールでねじ伏せてしまいます。
キャラクターがしっかり描かれているから、多少「ご都合主義」的なストーリでも許せちゃうのです。

そして物語の後半に見せる、杉山自身が企画したマラソン出場に至る経緯、そしてマラソン大会のシーンは、金城氏の「FLY,DADDY,FLY 」を彷彿させる、「父親としての意地」が光ります。
会社の存亡を賭けた戦いのはずが、いつのまにか今はばらばらとなってしまった家族への愛が満ち溢れています。
苦しくても走り続ける杉山には「ダメ父ちゃん」の悲哀と共に、例え見返りがなくても守るべきものを持った者の強さを感じ入り、感動すらしてしまうのです。

面白くて、感動する作品が読みたい方にはオススメの一冊です。
できれば「オロロ」を先に読んでいただければより世界観を堪能できるものと思います。
いいね!した人  |  コメント(5)  |  リブログ(0)
1 | 2 次ページ >> ▼ /

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。