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2005年08月31日(水) 23時59分59秒

2005年8月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』
後半読書数が、伸び悩んだ8月。
ま、暑さってよりも、忙しさが原因だったります。

ということで月刊「後感」8月号です。

まずは、今月のランキングから

[総合ランキング]
5656位/442496人中(1.27%)前月からの比=0.03%
[ジャンルランキング]
116位/3657人中(3.17%)前月からの比=0.77%

やっぱり金城一紀効果の7月 だったってことですが、それにしてもキープしてます。
個人的にはここ辺りのポジションが良いです


全11冊です。
果たして王者なき8月の覇者は誰か?(ちなみに王者とはこの方

第1位;「後宮小説」 酒見賢一
;ファンタジー小説;2005年08月15日(月) 21時22分59秒

酒見 賢一
後宮小説

完璧なる世界観。
疾走する展開。
フィクションであることを忘れてしまうパスティーシュ。
ジブリの世界。
良い物語に出会うことができたのです。


第2位;「最悪」 奥田英朗
;エンターテイメント小説;2005年08月26日(金) 23時11分00秒

奥田 英朗
最悪

3つの最悪の物語が、1つになる時から物語りは急速に進みます。
ある意味で勇気を得られる作品。

第3位;「嘘は止まらない」 戸梶圭太

;エンターテイメント小説;2005年08月12日(金) 23時00分20秒

戸梶 圭太
嘘は止まらない

キマシタ。
いつか来ると思っていました。
トカジ本堂々の3位入賞です。
やっぱりこの手の人間味溢れるコメディーがいいですね。

第4位;「BG、あるいは死せるカイニス」 石持浅海
;推理小説;2005年08月06日(土) 01時10分58秒

第5位;「螢」 麻耶雄嵩
;推理小説;2005年08月24日(水) 01時02分17秒

第6位;「θは遊んでくれたよ」 森博嗣
;推理小説;2005年08月03日(水) 20時54分46秒

第7位;「四畳半神話大系」 森見登見彦
;ファンタジー小説;2005年08月08日(月) 21時02分04秒

第8位;「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 小路 幸也
;エンターテイメント小説;2005年08月09日(火) 21時28分35秒

第9位;「Q,O,L」 小路幸也
;エンターテイメント小説;2005年08月17日(水) 22時17分08秒

第10位;「火事と密室と、雨男のものがたり」 浦賀和宏
;推理小説;2005年08月20日(土) 00時29分43秒

第11位;「文学賞メッタ斬り」 大森望/豊崎由美
;分析本;2005年08月06日(土) 22時11分16秒

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2005年08月26日(金) 23時11分00秒

「最悪」 奥田英朗

テーマ:--奥田英朗
奥田 英朗
最悪

「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」でウワサの奥田氏の初お目見え本。
中々の文量ですが、読み始めたら、ちょっと胸が痛くなりつつも、読むことをやめられない作品です。

極めて個人的に、これまた俗っぽくいってしまえば戸梶圭太氏の『痛さ』と、伊坂幸太郎の『まとめて収束』を足して2で割って0.1引いた感じなのです。
0.1引いたってのは著者の作品が初お目見えだということの緊張感(なんだそりゃ)から。
で、どちらも好みなので、「満足満足」といったところです。

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説。<<文庫本裏表紙より抜粋>>

主人公はそれぞれにまったく関わりのない3人。
この3人が同じ地域・同じ時間でタイトル通りの「最悪」を経験していきます。
どの登場人物にも均等に「最悪」が降りかかります。

それは、些細なことだったものが、雪ダルマ式にいろんな状況を巻き込んで、取り返しがつかないことになったりとか、会社とか社会とかの慣習のようなもののなかで、理不尽な状況に追い込まれたりとか、信用していた仲間から裏切られて、本当に痛い思いをしてみたり・・・

そんな最悪な経験はしていないのですが、何故か共有してしまいます。
それは、私(もしくは読者各位)が(各々に)持っている、日々のストレスとのシンクロがあり、また著者の圧倒的にリアリティーを持った文章と、文中の会話を巧みに使ったテクニックにあるのではと思いました。

そして、共有した上で、ストレスを増幅されているような感覚身につまされた思いを感じ、読むのをやめようと思いますが、ある思いが強くなって、読むことをやめられないのです。

その思いは、
この本のラストで3人は救われるのだろうか。と
そして、
読み終わった自分は救われるのだろうか。と

で、ちょっと残念だったのは、この最悪の状況に陥った3人に待っているラストが、思うほどの収束(救われ方)ではなかったということです。
これ以上、最悪な状態にはならないであろうという3人が、あることをきっかけに同じ場所に居合わせた瞬間から、怒涛の展開が始まる訳ですが、このまんま突っ走るかなと思いつつ、意外な終焉を迎えます。

(そんなに最悪の状態なのだから、もうちょっとハッピーなのもよかったんじゃない?)とか変に3人に同情してしまう自分がいたりするのです。これは完全に小説世界にはまってしまった証拠ですね。ははは。

ただ、これもある意味では、とてもリアルなのだし、最悪な状況を呼び込んでしまった3人のそれぞれの強さを見ることができます。で、リアルの中においては、このラストは立派に収束していたりするのです。

奥田氏の別作品も読んでみたいと思いました。結構人気あるから予約なんでしょうけど。

ちなみに文庫本を借りたのですが、文庫本には池上冬樹氏の解説がついてます。これもなかなか秀逸でした。
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2005年08月24日(水) 01時02分17秒

「螢」 麻耶雄嵩

テーマ:★読後感想:作家別【ま・や行】
麻耶 雄嵩


久しぶりの推理小説。いわゆる新・本格(もしかしたら死語ですか?)の麻耶氏の「螢」

個人的には、ここ最近、こういった作品を読んでいなかったので、久しぶり感たっぷりで、ミステリとしては上等で、読み終わった途端に、再読してしまうくらいでした。
一方で、(この手のシチュエーションの作品って、やっぱり好きなんだなぁ)と思ったりして、良い意味で、改めて「(私自身の)嗜好」を知ることのできた作品でした。

梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀螢司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼ジョージに無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった・・・。<<裏表紙より>>

上記の裏表紙にある「ふざけあう悪趣味な仲間達による推理合戦」とか「嵐によって道が閉ざされてしまい外部との連絡が閉ざされる(もちろん携帯は圏外だし、備え付けの電話は何者かによって壊されてしまっている)状況」とか「巻頭にある館の見取り図」とか「隠されている因果関係」とか。

と、とにかく新本格のエッセンスをすべて詰め込んだシチュエーションなわけです。

臆病者の私にとっては、そもそも、そんなところに肝試しをしに行くこと自体が、とっても稀有なシチュエーションなわけですから、あくまでも物語の世界でしかないのですが、それにしても「すべて出揃いました」ってくらいの出揃いかたなわけです。

加えて、読み進めていくことで、この館の秘密が明かされていく訳ですが、このあたりは綾辻氏の館シリーズだったりします。(それにしても最後の最後に明かされる「館の秘密」はなかなかお気に入りです。こんなの建築士じゃ考えられません)

綾辻氏の館シリーズは最新刊の「暗黒館」を除いて、だいぶ前にしかも比較的短期間に読了してまして、その頃は併せて島田氏の「斜め屋敷」なども読んでいたので、なかなかにしてその頃の感覚を思い出しました。なんならその当時の若かりし頃の自分自身を思い出したりしちゃいました。ふむふむ。

・・・さて、本題のミステリは、典型的な叙述トリックだったりしますが、流石というべきか二重・三重の伏線が張られています。ネタバレになってしまうのでこれ以上は差し控えますが、物語の中盤あたりにトリックそのものはある程度分りますが、最後の最後でどんでん返しがあります。
終盤は残りのページを気にしながら読んでいましたが、本当に最後まで決定的な決着は分からないと思います。そして、意外にも読了したところで分らないことがあるので、確認のための再読をしてしまうということです。

そして最終章のエピローグが、個人的には余韻なく終わっていて好きです。
「そもそも、そんなところに肝試しをしに行くこと自体が、間違っているんですよ」と教訓を言われているようで、臆病な私にマッチしました。
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2005年08月21日(日) 21時43分11秒

2005/8/20に借りた本

テーマ:読前感想

毎年、8月も20日くらいになると、子供の頃の夏休みが終わってしまうという妙な寂しさを思い出してしまう流石奇屋ヒットです。

さて、今回はオーソドックスに「目的・連携のあまり見出せない6冊」を借り出してみました。

最近は予約本を取りにいくことをメインに、せいぜい「最新刊コーナー」くらいしか立ち寄りませんでしたが、今回はじっくり一般本の本棚を嘗め回すように閲覧し、本来の「図書館の楽しみ」を満喫したのでした。

題名:最悪
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:講談社文庫
,著者/編者:奥田英朗
,読前感想:予約本。すでに何故予約したかすら忘れてしまいましたが、文庫本だというのも確か理由だったかと思います。奥田氏の初御目見本で、タイトルは「最悪」。書評もそうならなければ良いのですが、風のウワサでは相当エンタテイメントなようで、期待大です。

題名:鉄塔武蔵野線
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:新潮文庫
,著者/編者:銀林みのる
,読前感想:これまた予約本。意外に続く「日本ファンタジーノベル大賞」シリーズです。本作は第6回大賞受賞作です。映画化もされていたようで、主演は現在「電車男」で好演中の伊藤淳史氏。とはいえチビノリダーの頃です。

題名:蛍
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:幻冬舎
,著者/編者:麻耶雄嵩
,読前感想:2004年の「このミステリーがすごい!ベスト10」で11位だった麻耶氏の作品。オーソドックスな推理モノが読みたくなって一般の本棚を探していたら、ありました。確かこれは予約本候補だったはずですが、予約をしていなかったようです。

題名:青猫屋
,読了可能性:★★★☆☆
,出版元:新潮社
,著者/編者:城戸光子
,読前感想:第8回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。これも一般本の本棚を普通に眺めていたら見つけました。本帯には「想像力が暴走する、超新星の登場」とあります。あんまりこういったうたい文句には同調しないのですが、それなりに期待します。なんせ、大賞なのですから

題名:裸者と裸者 上【孤児部隊の世界永久戦争】
,読了可能性:★★★☆☆
,出版元:角川書店
,著者/編者:打海文三
,読前感想:2005/6/11に予約本として借り出した にも関わらず未読だったという稀有な本書。やっぱり読みたくなって一般本の本棚にいったらご丁寧にありました。ので、借りてみました。

題名:内側から見た富士通「成果主義」の崩壊
,読了可能性:★★☆☆☆
,出版元:光文社
,著者/編者:城繁幸
,読前感想:借りた理由はなんもありません。決して成果主義について何かを思っているわけでもなく、ましてや私自身が、「富士通」と何か関係があるわけでもありません。ただ社員食堂のご飯がまずいと書かれた部分を立ち読みして、何となく借りてしまいました。社員食堂がまずいってテンション落ちますよね。

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2005年08月20日(土) 00時29分43秒

「火事と密室と、雨男のものがたり」 浦賀和宏

テーマ:--浦賀和宏
浦賀 和宏
火事と密室と、雨男のものがたり

浦賀氏の新シリーズ第2段。
なるほどねぇ、今度のシリーズのテーマが何となく見えてきました。
そして次作に何となく期待しちゃう自分がいたりします。
八木剛士の今後の成長に大いに期待大。

“奇跡の男”八木剛士(やぎたけし)の周辺で何故か頻発する怪事件。女子高生の首吊り死体が発見され、無差別放火事件が連続する。世の中を恨み続けて生きてきた剛士が、唯一出会った理解者・松浦純菜と事件を調べるうちに、ある1人の男に辿りつく。孤独に徹しきれない剛士の心に芽生える複雑な想いを、青春ミステリの先覚者、浦賀和宏が切なく描く!! <<本書裏表紙より>>

いじめられっ子で大強運の八木剛士に恋のライバル(極めて古い表現ですが、これ以上の表現が見つかりません・・・)が登場します。
その名もタイトルの通り雨男こと南部幸司(なんぶこうじ)。で、この南部君もいじめられっ子で引きこもり。
この男に、松浦純菜が興味を持ってしまったことが、八木君の嫉妬心を買ってしまいます。
そんなこんなで、八木VS南部の構図が生まれ、今までのいじめられ人生の不幸自慢合戦となるわけです。ここで興味深いのは、お互いが、まともに戦おうとしないという点。心の叫び(地文)で戦うわけなので、読み手の感覚としては、(いいから面と向かって口で言え)と思うわけです。

で、そんなやりとりが、(感覚的には)全編中5割を占める訳ですから、本筋であろう、連続放火事件(火事)や、自殺に見せかけた殺人(これを密室)や、雨男的物語は相当薄れてしまいます。

ということで、本書は大きな意味では青春小説であり、具体的には屈折した若者の心理(ここにはいじめる・いじめられる・そしてそれを無視するという3者のすべてを含みます)を描写した物語(のはず)なのです。

せっかくなので、本筋をさらりと総括すると、やっぱり中庸です。というか、かなり無理やり感があります

でもいいんです。
前述したように、今度のシリーズは形は推理小説ですが、中身は青春小説(今後の展開如何では成長小説)(のはず)なのですから。

で、そう思わせておいて、このシリーズの収束が、物凄い読者への裏切りだったりしたら、これこそ「浦賀節」だったりするので、どっちに転んでも期待は大きかったりする訳です。

ちなみに、まぁ間違いなく前作の「松浦純菜の静かな世界 」を読了したほうが、この世界観を堪能できると思います。

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2005年08月17日(水) 22時17分08秒

「Q,O,L」 小路幸也

テーマ:--小路幸也
小路 幸也
Q.O.L.

小路氏の4冊目。
ちなみにタイトルのQ,O,Lの意味は裏表紙に書かれていますが、【Quality of Life】もしくは【Quest of Love】という意味のようです。
仲の良い男2人と女1人。
相変わらずのやさしく語りかけられているような文体。心地よく物語が進みます。
それでいて、3人の登場人物が持つそれぞれ過去が、切なくて、悲しくて、そこからの救いがこの物語の裏テーマだったりします。

ふとしたきっかけで男女3人で暮らしている龍哉と光平とくるみ。ある日、「殺し屋」だった龍哉の父親からの遺言で、1961年モデルのサンダーバードを譲り受け、併せて拳銃を父親の昔の相棒に渡すこととなる。この拳銃を手に入れた時、光平とくるみは、それぞれに殺したい人間がいることを龍哉に話し、拳銃を貸して欲しいと懇願する。光平とくるみの殺したい人物とは?そしてその願いは叶うこととなるのか?

龍哉と光平とくるみの3名の地文で、物語が進行していきます。
最初のうちは、小路氏得意な、「ほのぼの」路線ですが、光平とくるみが、「殺したい人物」について語り出すと、一変して痛々しく切なくそして圧倒的に重くなります
このあたりは、現実の進行を停滞させつつ、過去の「殺したくなった理由」がそれぞれの口から語られるような形をとっているわけですが、しっかり書き上げているので、そんなつらい過去を越えようとする若者たちの真っすぐな思いが伝わってきます。

ただ、しっかり動機付けをする分、物語はあまり進みません。
もうちょっと物語の進行部分を長くしてもよいのかなぁと思ったりしました。
これは、それだけこの3人の関係が魅力的だとも言える苦言です。

物語も中盤に入って、拳銃を渡す相手の孫が誘拐されてしまい、3人が探偵役となって事件を解決しようとするという意外な展開を見せますが、最後には、それらの展開を含めて収束をしてしまいます。
このあたりはやや「無理やり感」もありますが、とにかく広い意味でのハッピーエンドだったのではと思います。
この状況を、無理やり例えるならば、スタードッキリ○秘(マルヒ)報告的終焉なわけです。
読了した方しか分らない表現で、すみません。
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2005年08月15日(月) 21時22分59秒

「後宮小説」 酒見賢一

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
酒見 賢一
後宮小説

記念すべき第一回ファンタジーノベル大賞 受賞作。
なんとこの作品、89年12月に刊行され、当時30万部を超えるベストセラーになったようです。
で、そんなこんなの冠が納得できるほど、面白かったです。

中国の歴史文献の研究書をパスティーシュした作品で、云わば、清水義範氏風味でありつつ、内容そのものは、ほんのり感動もあって、それでいて爽快感のある読後感が得られます。
そんなこんなで、なんだかお得な気分になるのは私だけでしょうかね

時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに…。さて、銀河の運命やいかに。<<Amazonより抜粋>>

活発な女の子が、世の中のあれこれに翻弄されつつ、持ち前のバイタリティーで難問を解決していき、成長していく物語。これを原作にして、ジブリ作品にでもなれば、面白くなりそうですよね。
と思ったら、すでにアニメーション化されておりました。(「雲のように風のように」というタイトルのようです。)

注目すべきは、前述した歴史文献の研究書をパスティーシュした点。これが非常に巧みなのです。

もちろん史実を語る文献は、書き手の立場が大きく影響したりしますから、都合の良いことしか書かれていないのです。
で、大抵の研究者は、その行間の隙間を埋めるように、分析し、独自の解釈を入れて物語を構成するわけですが、本書も漏らさず、同様の書きぶりです。
そして、加えてこの小説は、それらが、総てフィクションだという2重構造を持ちえているわけです

例えば、有名な最初の文 「腹上死であった、と記載されている」は、まさにこの構造を的確に表しています。わざわざ「と記載されている」と記載することに大きな意味があるわけです。

内容についても、房中術の講義に哲学的要素があったり、物語の展開も極めて上等です。
個人的には、反乱軍となる渾沌の行動の行動がとても魅力的でした。

ちょっと変わった読物が読みたくて、歴史モノが比較的好きな方には、オススメの一冊です。
ただし、何度もいいますが、この物語はフィクションです。
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2005年08月14日(日) 20時52分20秒

2005/8/13に借りた本(ただし臨時)

テーマ:読前感想
最近、毎週、図書館に通っておりますので、調整という意味もあって少なめの借り出しです。

題名:火事と密室と、雨男のものがたり
,読了可能性:★★★★☆
,出版元:講談社
,著者/編者:浦賀和弘
,読前感想:予約本。05年7月に刊行された浦賀氏新シリーズの2冊目。やっぱり安藤シリーズは終了してしまったのでしょうか?やや残念です。

題名:図解誰かに話したくなる社名・ロゴマークの秘密
,読了可能性:★★☆☆☆
,出版元:学研
,著者/編者:本間之秀
,読前感想:2週続いて社名の由来シリーズ。で、パラパラ本。この本、本屋さんで立ち読みしていて、気になったので予約して借りて見ました。なので予約本パラパラ本です。
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2005年08月12日(金) 23時00分20秒

「嘘は止まらない」 戸梶圭太

テーマ:--戸梶圭太
戸梶 圭太
嘘は止まらない
05年6月刊行のトカジ本最新刊。
いやいやこれですよトカジ本。全体的にドタバタで、最後の最後までドタバタなのですよ。

うだつの上がらない詐欺師の須波は、パチスロ店で妙な黒人に出会い、直感的に尾行を始める。その黒人は「ンゴラス王国駐日大使のオベンバ。須波は、オベンバを使った詐欺プロジェクトを思いつき、昔の相方である結婚詐欺師の早乙女や、早乙女との昔の仲間の娘沙理と共に、その詐欺プロジェクトを実行する。果たしてその詐欺の内容は?そして詐欺はうまく行くのか?

この書評で紹介している過去のトカジ本(「クールトラッシュ 裏切られた男 」「ビーストシェイク 」)は、総じて「痛々しい小説」と評してましたが、今回の作品は、それ以前の作品に見られた「どうしてそこまでドタバタしちゃうの?」ってくらい「ドタバタコメディ小説」です。
それぞれの登場人物が良い意味でも悪い意味でも「エネルギッシュ」であり、誰一人スマートには見えません。
利己的で俗物ばかりの登場人物が、それぞれのキャラクターを剥き出しにして、欲を満たすことだけを追求し続けます。
この感覚が、とても気持ちよいわけです。

性欲にあふれた貧乏国の大使と金銭欲にまみれた詐欺師に、やっぱり性欲にあふれた悪徳官僚がからみ、ただのテロリストが出れば、男に騙されてAV出演してしまう娘がいたりします。
とにかく、誰一人として個としては共感し得ないものの、本書全体に通じる「欲を満たすことためだけ」への剥き出しの行動は、何処かで羨ましかったりします(ま、決して抑制された人生ってわけでもないんですがね)。

後半にたたみかける展開(ドタバタ加減)の早さは、(一体どこまでいってしまうのか?)と思うほどであり、物理的な残りページ数から(本当にこの物語はちゃんと終わるか?)と思いましたが、ご丁寧に後日談まで入って、きっちり終わります。
このドタバタのくせにちゃんと終わるってこともとても重要だったりします。

とにかくトカジ本は、こんな感じでよいのです。それを期待している読者である限り。
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2005年08月09日(火) 21時28分35秒

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 小路 幸也

テーマ:--小路幸也
小路 幸也
空を見上げる古い歌を口ずさむ

いやいや個人的にちょっとした小路氏ブームです。
3冊目。相変わらずの語りかける文体。子供の頃を思い出すには十分の本書です。

「みんなの顔が“のっぺらぼう”に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって…」兄さんに、会わなきゃ。二十年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。「いつかお前の周りで、誰かが“のっぺらぼう”を見るようになったら呼んでほしい」と。<<本帯より>>

第29回メフィスト賞受賞作です。どこか懐かしい牧歌的な町で起こる不可解な事件。
”のっぺらぼう”に見えてしまうということが何を意味しているのか、その謎を解くため、文章のほとんどが、20年間失踪していた主人公の兄からのカタカナの町で起こる、20年前の出来事の語りとなります。

広場や集まる場所に子供なりの名称をつけるところや、アダ名、スタンドバイミーばりの冒険、秘密基地など、子供の頃の時代背景について著者が深くそして慈愛を持って描く点は好感が持てます。
(あ~確かに、私の子供の頃も同じような雰囲気あったよな~)と思い、その思い出がオーバーラップしていくわけです

ミステリーでありながらもファンタジーとも呼べる本作品は、起きる事件そのものはシビアなものでありますが、包み込む雰囲気が先行し、どこか夢の世界といった感じです。

小路氏の別の作品で既読の「そこへ届くのは僕たちの声」 と同様に、「特別な力を持った者たち(主に子供)の戦い」が裏テーマにありますが、デビュー作ということもあって、やや力が入っているようでした。
このテーマをより洗練したのが、「そこへ届くのは僕たちの声」 だったりするかもしれません。

本作には続編(高く遠く空へ歌ううた)なるものがあるらしく、そちらも読んでみたいと思いました。
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